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・☆【注目度S級】霞ヶ関キャピタル(3498)
・◎【注目度A級】ネクステージ(3186)
・(B級)ダイセキ(9793)
・★【要注意D級】壱番屋(7630)
・【上方修正】トーセイ
・【下方修正】あみやき亭ほか3社
・【翌日の発表予定】10月6日(火)9社

☆【注目度S級】霞ヶ関キャピタル(3498)

霞ヶ関キャピタル(3498)2026年8月期 本決算
営業利益は前期比47.2%増の278億6600万円で、9月17日に引き上げた計画276億円を上回って着地した。売上高は69.7%増の1637億5600万円だ。読みどころは利益の偏りで、3Qまでの営業利益は82億200万円にとどまり、年間の7割を4Q(6〜8月)で稼いでいる。今期(2027年8月期)は営業利益410億円(47.1%増)、配当は165円から200円への増配を見込む。1〜2週間で見るのは、5日終値7410円とほぼ同じ水準にある25日線(約7450円)の上で推移できるかだ。

霞ヶ関キャピタル(3498)の株価と25日線

10月5日の終値7410円は、25日線(7451円)を0.6%下回る

陽線陰線25日線決算発表日(10月5日)

6000650070007500800085008月9月10月
直近10営業日の数値を表で見る
日付終値25日線乖離
9/177200円7556円-4.7%
9/187420円7528円-1.4%
9/247480円7508円-0.4%
9/257550円7509円+0.5%
9/287690円7509円+2.4%
9/297500円7489円+0.1%
9/307760円7485円+3.7%
10/17550円7473円+1.0%
10/27480円7466円+0.2%
10/57410円7451円-0.6%
出所:J-Quants(JPX)の日足から作成。株価は分割調整後、25日線は終値の25営業日平均。直近60営業日

◎【注目度A級】ネクステージ(3186)

ネクステージ(3186)2026年11月期 3Q
3Q累計の営業利益は66.7%増の216億2400万円、売上高は26.0%増の6004億2200万円だった。中間期で引き上げた通期計画276億円に対する進捗は78.3%で、計画は据え置いた。残る4Q(9〜11月)に要る営業利益は59億7600万円で、前年同期の66億2200万円を1割近く下回っても計画に届く。株価は5日終値2839円で、25日線(約3020円)を6.0%下回った位置で発表を迎えた。1〜2週間で見るのは、この25日線を回復できるかだ。

ネクステージ(3186)の株価と25日線

10月5日の終値2839円は、25日線(3020円)を6.0%下回る

陽線陰線25日線決算発表日(10月5日)

250030003500400045008月9月10月
直近10営業日の数値を表で見る
日付終値25日線乖離
9/172918円3254円-10.3%
9/182909円3226円-9.8%
9/242915円3197円-8.8%
9/252903円3169円-8.4%
9/282823円3145円-10.2%
9/292800円3114円-10.1%
9/302835円3087円-8.2%
10/12792円3064円-8.9%
10/22819円3041円-7.3%
10/52839円3020円-6.0%
出所:J-Quants(JPX)の日足から作成。株価は分割調整後、25日線は終値の25営業日平均。直近60営業日

(B級)ダイセキ(9793)

ダイセキ(9793)2027年2月期 中間
中間期の営業利益は12.0%増の83億4500万円、純利益は23.1%増の58億500万円だった。通期計画168億円に対する進捗は49.7%で、計画は据え置いた。株価は9月2日の3730円から5日終値3485円まで6.6%下げ、25日線(約3680円)を5.3%下回った位置で発表を迎えた。数字は崩れておらず、下げてきた分の見直しが入るかが焦点だ。1〜2週間で見るのは、25日線まで戻れるかどうか。

★【要注意D級】壱番屋(7630)

壱番屋(7630)2027年2月期 中間
中間期は売上高が10.0%増の352億2700万円と伸びたが、営業利益は17.2%減の20億9100万円だった。通期計画50億円は据え置いたが、届くには下期に32.9%の増益が要る。株価は8月31日、親会社のハウス食品グループ本社が保有株の売却を検討していると報じられてストップ高となり、その後は1100円前後で推移してきた。決算より売却の行方に左右されやすく、1〜2週間で見るのは、続報がないまま25日線(約1080円)を割り込むかだ。

【上方修正】

銘柄修正した項目修正前→修正後修正率
トーセイ(8923・プライム)2026年11月期 営業利益246億1100万円→250億6100万円1.8%増
同 当期利益151億5700万円→159億600万円4.9%増
同 売上高1229億8600万円→1136億1300万円7.6%減
同 年間配当55円→58円3円増配

トーセイは利益を引き上げた一方、物件販売の一部を翌期以降に回し、売上高は引き下げた。3Q累計の営業利益は234億4500万円で、修正後の計画に対する進捗は93.6%だ。

【下方修正】

銘柄修正した項目修正前→修正後修正率
あみやき亭(2753・プライム)2027年3月期 営業利益25億円→20億円20.0%減
同 純利益14億5000万円→10億7000万円26.2%減
カルラ(2789・スタンダード)2027年2月期 純利益1億5400万円→6600万円57.1%減
エコートレーディング(7427・スタンダード)2027年2月期 中間期 営業利益5億5500万円→3億3000万円40.5%減

あみやき亭は原材料費や人件費、水道光熱費の上昇が下期も続くと見て、通期を引き下げた。カルラは売上高と営業利益の計画を据え置き、純利益だけを下げた。エコートレーディングは中間期の予想を下げ、通期は据え置いた。

【翌日の発表予定】10月6日(火)9社

サカタのタネ(1377) 1Q/サンエー(2659) 中間/パルグループホールディングス(2726) 中間/サーラコーポレーション(2734) 3Q/三陽商会(8011) 中間

フェリシモ(3396・スタンダード)中間/note(5243・グロース)3Q/放電精密加工研究所(6469・スタンダード)中間/中北製作所(6496・スタンダード)1Q

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

10万円を1年で100万円にする株式投資術(コマンドY 著)

記事を書いた人

コマンドY

スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。

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https://goldbeans.jp/?p=7872 <![CDATA[ 住宅ローン、フラット35は1年で2倍 諸費用込みで固定への借り換え採算の見極めポイント ]]> https://goldbeans.jp/real_estate/page_7872.html Mon, 05 Oct 2026 08:30:00 +0000 Mon, 05 Oct 2026 10:15:42 +0000

この記事でわかること

フラット35の金利が過去最高まで上がった推移
固定金利が変動金利より先に上がる理由
3000万円を借り換えるときにかかる諸費用
変動金利がどこまで上がれば固定に並ぶか
固定への借り換えが向く人、動かなくていい人

フラット35は1年で2倍になった

住宅金融支援機構が公表した10月のフラット35(買取型)の金利は、返済期間21〜35年・融資率9割以下で3.83%。9月の3.46%から0.37%上がって3か月連続の上昇となり、2017年10月に現行の制度になってから最も高い水準だ。

1年前の2025年10月は1.89%だったので、1年で2倍を超えたことになる。

年月フラット35の金利
2019年10月1.11%
2021年10月1.30%
2023年10月1.88%
2025年10月1.89%
2026年1月2.08%
2026年4月2.49%
2026年7月3.14%
2026年10月3.83%

※返済期間21〜35年・融資率9割以下の最頻金利

現行制度で最も低かったのは2019年9月と10月の1.11%。その後、2025年12月の1.97%まで6年あまり1%台で動かなかった。ところが2%台に乗ったのが2026年1月、3%台に乗ったのが6月と、半年で1%ずつ上がっている。

フラット35の金利は長期金利に連動する。10月1日には新発10年物国債の利回りが3%を超え、日銀は9月18日の金融政策決定会合で政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げた。6月の利上げから3か月での追加利上げだった。

「金利が上がるなら固定へ」の落とし穴

「変動」と「固定」と書かれた2枚のカードを手に持つ様子

金利が上がる局面では、変動から固定へ逃げておけ――。住宅ローンの通説である。

とはいえ、この通説には時間の問題が抜けている。長期金利は、この先の利上げを先回りして織り込む。つまり固定金利は、変動金利が上がる前に、もう上がってしまっているのだ。

変動金利の人の多くは、まだ1%を下回る金利で借りている。6月と9月の利上げを受けて0.90%になった人を想定すると、フラット35との差は2.93%。借り換えた翌月から、返済額は大きく増えることになる。

借り換え費用は約90万円

借り換えには費用もかかる。残高3000万円をフラット35に借り換える場合で見積もった諸経費は以下のようになる。

・融資手数料(定率2.2%の場合) … 66万円
・抵当権設定の登録免許税(0.4%) … 12万円
・金銭消費貸借契約の印紙税 … 2万円
・司法書士報酬など … 約10万円

合計で約90万円。融資手数料は金融機関によって違うものの、残高の3%前後は見ておきたいところ。

変動が平均4.01%を超えないと元は取れない

では、どこで元が取れるのか。残高3000万円・残り25年・元利均等返済で試算してみた。

変動0.90%のままなら毎月の返済は11万1709円、フラット35の3.83%なら15万5549円で、毎月4万3840円の差になる。25年の総返済額は変動が3351万円、固定は4666万円に費用90万円を足して4756万円だ。

変動金利がこの先どう動けば、固定の4756万円に並ぶのか。

変動金利の動き25年の総返済額固定(費用込み)との差
0.90%のまま3351万円▲1405万円
毎年0.25%ずつ上昇(最後は6.90%)4242万円▲515万円
半年ごとに0.25%上昇、3%で頭打ち4104万円▲653万円
半年ごとに0.25%上昇、4%で頭打ち4401万円▲356万円
半年ごとに0.25%上昇、5%で頭打ち4656万円▲101万円

※金利が変わるたびに返済額を計算し直した。5年ルール・125%ルールは考慮していない

毎年0.25%ずつ、25年間上がり続けても固定に届かない。半年ごとの利上げが続く場合でも、変動が5.45%まで上がり続けて、ようやく並ぶ計算だ。

25年を均して言えば、変動金利が平均4.01%を超えたときが分岐点になる。0.90%の変動金利は政策金利より0.35%低い水準なので、同じ幅で動くなら政策金利が4.3%台に乗り、それが25年続くということ。5月時点の試算では、固定が変動を逆転するのは政策金利が2.25%を超えたときだった(住宅ローン、変動がお得なのは政策金利2%まで? 金利上昇の備え方)。固定が先に上がったぶん、借り換えのハードルも上がったのだ。

それでも固定を選ぶ人

もちろん、総返済額だけで決まる話ではない。固定に借り換える意味は、返済額がこの先動かなくなる安心にある。毎月4万3840円の差は、その安心に払う保険料と考えることもできる。

とはいえ、変動の返済額が増えると家計が持たない人ほど、借り換えた翌月から4万円増える固定にも耐えにくい。固定への借り換えは、家計に余力がある人の選択肢になっているといえるだろう。

残り期間が20年以下なら、フラット35は3.51%に下がり、分岐点も動く。逆に2019〜2021年に1%台前半のフラット35で借りた人は、いまの金利水準から最も遠い場所にいる。動く理由はない。

変動で借りている人が先にやることは、借り換えより残高を減らすことだ。手元資金に余裕があれば繰り上げ返済で元金を減らし、利上げが乗る土台そのものを小さくしておく。固定への扉は、変動の利上げが本格化する前に、すでに狭くなっていた。

※フラット35の10月の金利は住宅金融支援機構の公表値、過去の推移はSBIアルヒ「【フラット35】の金利推移」による。返済額の試算は元利均等返済方式で計算したもので、実際の適用金利・借り換え費用・返済額は金融機関と契約内容により異なる。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品を推奨するものではありません。借り入れ・借り換えの判断は、ご自身の状況に応じて金融機関にご相談ください。

【合わせて読みたい】

・住宅ローン変動金利8月アップ 5年ルールの落とし穴と守り・攻めの対策
・住宅ローン、変動がお得なのは政策金利2%まで? 金利上昇の備え方

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https://goldbeans.jp/?p=7867 <![CDATA[ 【今週発表の注目決算】ファストリ、セブン&アイ、安川電機、note、ツルハHD|決算ウォッチ ]]> https://goldbeans.jp/financial/page_7867.html Sat, 03 Oct 2026 20:00:00 +0000 Sat, 03 Oct 2026 12:01:59 +0000 この記事でわかること
・5日(月)15社 霞ヶ関キャピタル、ネクステージ
・6日(火)9社 note、パルグループホールディングス
・7日(水)9社 ツルハホールディングス、エービーシー・マート
・8日(木)29社 ファーストリテイリング、セブン&アイ ほか
・9日(金)65社 安川電機、Sansan ほか

今週の決算発表は127社

日社数うちプライム
5日(月)15社10社
6日(火)9社5社
7日(水)9社4社
8日(木)29社17社
9日(金)65社19社
合計127社55社

2月期決算の会社の中間決算が中心で、8月期決算の会社の本決算も重なる。週の後半ほど社数が増え、9日だけで週全体の半分を占める。

5日(月)15社

霞ヶ関キャピタル(3498)本決算
9月17日に営業利益計画を276億円へ上方修正。3Qまでの進捗は29.7%

ネクステージ(3186)3Q
中間期で営業利益計画を276億円へ上方修正。株価は9月2日から12.2%安

6日(火)9社

note(5243・グロース)3Q
営業利益計画を7億円から11億円へ上方修正。株価は9月2日から47.4%高

パルグループホールディングス(2726)中間
1Qの営業利益79億5300万円で、上期計画150億円の53.0%に届いた

7日(水)9社

ツルハホールディングス(3391)中間
1Qの営業利益242億2900万円は、上期計画526億円の46.1%

エービーシー・マート(2670)中間
1Qの営業利益は8.3%増の203億1600万円、上期計画の58.5%

8日(木)29社

ファーストリテイリング(9983)本決算
営業利益計画を期初の6100億円から3度引き上げ、7300億円に

セブン&アイ・ホールディングス(3382)中間
1Qで営業利益計画を4050億円から4250億円へ。主因は円安

ローツェ(6323)中間
1Qの営業利益は21.2%増、上期計画の53.6%に届いた

スギホールディングス(7649)中間
1Qの営業利益は10.9%増の122億900万円、上期計画の45.7%

キユーピー(2809)3Q
上期の営業利益は23.9%増だが、株価は9月2日から11.2%安

9日(金)65社

注目:安川電機(6506)、Sansan(4443)、ジンズホールディングス(3046)、ビックカメラ(3048)、ヴィッツ(4440・スタンダード)

65社のうち本決算は14社。ジンズホールディングスとビックカメラはここに入る。

発表のあとは

それぞれの決算は、発表の翌朝5時に読み解く。上方修正・下方修正を出した会社は、市場を問わず表にまとめる。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

10万円を1年で100万円にする株式投資術(コマンドY 著)

記事を書いた人

コマンドY

スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。

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https://goldbeans.jp/?p=7863 <![CDATA[ ハイデイ日高 1Qで上期計画の55.8%、2Qは前年比6.5%減でも届く|決算ウォッチ ]]> https://goldbeans.jp/financial/page_7863.html Thu, 01 Oct 2026 20:00:00 +0000 Thu, 01 Oct 2026 09:41:42 +0000 この記事でわかること
・今日2日の決算発表は9社 プライムは3社
・今日の相場観 日経平均は2203円高、それでも値上がりは48.4%
・相場が急騰した日の、決算との向き合い方
・答え合わせ 平和堂は2Q単独20.4%減益、スター・マイカは寄りで8.6%安
・今週と来週の決算発表予定

今日2日の決算発表は9社 プライムは3社

今日2日に決算発表を行う予定は9社で、プライムは3社。ハイデイ日高(7611)と象印マホービン(7965)は、どちらも計画を上回るペースで走りながら、会社が計画を動かしていない。

☆【注目度S級】ハイデイ日高(7611/小売業)2027年2月期2Q プライム

項目数字
前期実績(2026年2月期)売上高622億5200万円(11.9%増)、営業利益65億8400万円(19.4%増)
今期計画(2027年2月期)売上高670億円(7.6%増)、営業利益68億円(3.3%増)
上期計画売上高333億円(8.3%増)、営業利益37億9000万円(3.5%増)
1Q実績売上高169億9400万円(11.4%増)、営業利益21億1400万円(13.0%増)
前年上期の営業利益36億6300万円(うち1Q 18億7100万円、2Q 17億9200万円)
上期の月次(3〜8月)全店売上高108.1%/既存店売上高105.1%
1日終値2931円(前日比+1.21%)/出来高13万5600株

中華食堂「日高屋」を首都圏で展開する。

見どころ:1Qで上期計画の55.8%に達し、月次の全店売上高も上期で108.1%と計画に沿う。計画を引き上げるかが焦点になる。

2Qで見る数字:上期計画に届くには2Q単独で16億7600万円あればよく、前年2Qの17億9200万円から6.5%減っても届く。前年は1Qで上期の51.1%を稼いでいた。

スイング目線:1日終値は2931円で前日比+1.21%、3営業日前から+2.05%、1か月では-2.2%。20営業日の日中値幅は平均1.94%、1日の売買代金は約3億9600万円。前年の2Qと今期の1Qはともに15時の開示で、同じ時間帯なら引けまでの30分で最初の反応が出る。

Point:計画を上回って走る会社は、修正が出なければ据え置きそのものが材料になることもある。私はまず修正の有無を見る。

◎【注目度A級】象印マホービン(7965/電気機器)2026年11月期3Q プライム

項目数字
前期実績(2025年11月期)売上高911億5100万円(4.5%増)、営業利益74億3600万円(24.9%増)
今期計画(2026年11月期)売上高925億円(1.5%増)、営業利益66億円(11.2%減)
上期実績売上高512億1000万円(2.2%増)、営業利益52億1200万円(7.0%増)
前年の3Q単独/4Q単独の営業利益6億9000万円/18億7600万円
前提為替1ドル145円 → 155円(上期の決算で変更)
1日終値1437円(前日比-0.62%)/出来高15万1400株

炊飯ジャーなどの調理家電を手がける。

見どころ:上期で通期計画の79.0%に達したが、原材料高と円安によるコスト増を理由に据え置いた。下期の計画は13億8800万円と前年下期25億6600万円の約半分だ。

3Qで見る数字:3Q単独が前年並みの6億9000万円なら、累計は通期計画の89.4%になる。前提為替155円に対し、1日のドル・円は158円45銭まで円安に振れた。

スイング目線:1日終値は1437円で前日比-0.62%、3営業日前から-1.64%、1か月では-2.8%。日中値幅は平均1.25%、売買代金は約2億1700万円と細い。前年の3Qは15時30分の開示で、同じ時間帯なら答えは週明け5日に出る。

Point:上振れても据え置いた理由はコストの見方にある。私はそこが変わるかを読む。

★【要注意D級】エクスモーション(4394/情報・通信業)2026年11月期3Q グロース

S級・A級は誰もが見る。ここでは、その陰に隠れていて、しかも値が大きく動きやすい一社を挙げておく。注目度ではなく、値動きの荒さで見るべき銘柄という意味だ。

項目数字
前期実績(2025年11月期)売上高13億8600万円(7.9%増)、営業利益1億8900万円(22.1%増)
今期計画(2026年11月期)売上高14億5100万円(4.7%増)、営業利益2億400万円(7.7%増)
上期実績売上高7億600万円(4.6%増)、営業利益9700万円(30.2%増)
前年3Q累計売上高10億2600万円、営業利益1億3200万円
1日終値827円(前日比+7.54%)/出来高18万6100株

組込みソフトウェア開発のコンサルティングを手がける。

見どころ:上期は営業利益が30.2%増えたが、通期計画に対する進捗は5割に届いていない。下期の計画が控えめかどうかが確認点だ。

3Qで見る数字:前年は3Q累計で営業利益1億3200万円と、通期実績のほぼ7割を稼いでいた。

スイング目線:1日終値は827円で前日比+7.54%、3営業日前から+14.38%、1か月では+23.1%。20営業日の日中値幅は平均7.16%で9社の中で最も大きいが、売買代金は約1億4900万円と細い。前年の3Qは15時30分の開示だった。

Point:見ている人が少ないぶん、数字が出た瞬間に評価が変わる余地が残る。要注意と付けたのは、動くということは逆にも同じだけ動くからだ。

【本日発表予定】

瑞光(6279/機械)2月期2Q プライム
 衛生用品の製造機械を手がける。1Qは2億2500万円の営業赤字で、通期は17億8000万円の営業黒字を計画する。

ほかにケイティケイ(3035)、ミタチ産業(3321)、オプトエレクトロニクス(6664)、和田興産(8931)、北恵(9872)が発表する。

今日の相場観 日経平均は2203円高、それでも値上がりは48.4%

指標10月1日前日比
日経平均6万8956円72銭2203円高(+3.30%)
TOPIX4131.9823.33pt高(+0.57%)
プライム平均株価―+0.20%(中央値0.00%)
上げた銘柄/下げた銘柄750/74748.4%/48.2%
プライム売買代金約8兆7228億円―

※「プライム平均株価」とは、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を、単純に平均した当サイトの独自指数(詳しくは記事末尾)。

1日の日経平均は2203円高の6万8956円72銭と大幅に続伸した。米国の利上げ観測が後退し、米マイクロン・テクノロジーの好決算も重なって半導体株が買われた。

日経平均の+3.30%に対し、プライム平均株価は+0.20%にとどまる。 アドバンテストなど4銘柄で約1481円を押し上げ、銀行・保険など22業種は下げた。指数は急騰したが、多くの銘柄にとっては横ばいの一日だった。

相場が急騰した日の、決算との向き合い方

上げの理由が「相場」なのか「その会社」なのかを分ける

上の3社は、1日の上げを主導した半導体とは顔ぶれが違う。ハイデイ日高は+1.21%、象印は-0.62%だった。エクスモーションの+7.54%は日経平均を上回り、出来高は前日の3.7倍に膨らんだが、会社からの開示は出ていない。

急騰の翌日に決算をまたぐのは、平時より分が悪い

変数が2つに増えるからだ。決算の中身に加えて、相場の上げが続くかという不確実性が上に乗る。今日2日は金曜で、引け後の決算発表をまたげば土日もはさむ。

上がったから買う、は理由になっていない

上げが一部の値がさ株に偏った日はなおさら、上がり始めを出来高で確かめてから乗ればいい。

持っている場合は、撤退ラインを先に決める

含み益があると、判断が「もっと上がってほしい」という願望に寄る。降りる値段は上げている今のうちに決めておく。

なお、上の3社の分析は前期までの実績と会社計画にもとづくものだ。1日の急騰を織り込んだ株価水準の評価ではないし、当日の着地を予想するものでもない。

答え合わせ 平和堂は2Q単独20.4%減益、スター・マイカは寄りで8.6%安

銘柄開示中身株価・答え
平和堂(8276)1日13時30分上期営業利益56億6500万円(17.1%減)、上期計画の82.1%。通期据え置き1日2564円(-0.85%)、出来高は前日の2.7倍
スター・マイカHD(2975)9月30日15時30分3Qで純利益が通期計画超え。通期据え置き1日1332円(-4.65%)、出来高は前日の3.1倍
アンドエスティHD(2685)9月30日15時30分上期営業利益34.6%増。通期据え置き1日3040円(-1.62%)
西松屋チェーン(7545)1日15時30分上期営業利益70億3200万円(3.7%減)、上期計画の94.3%。通期据え置き答えは今日2日
クスリのアオキHD(3549)1日15時30分1Q営業利益84億2400万円(16.0%増)、上期計画の54.3%答えは今日2日
ナガイレーベン(7447)1日15時30分前期営業利益36億2500万円(1.2%増)、計画の90.1%。今期は0.7%減益の計画答えは今日2日

平和堂は上期計画に届くのに2Qで前年比11.3%増が要ったが、2Q単独の営業利益は30億9400万円と20.4%減った。

スター・マイカは寄り付きで前日比8.6%安の1277円を付け、終値は1332円まで戻した。純利益が計画を超えても、据え置きは寄り付きで売られた。

西松屋は2Q単独の営業利益が17億1100万円で、必要だった21億3900万円に届かず、同時に上限3億円の自社株買いを発表した。

今週と来週の決算発表予定

日付社数主な銘柄
10月2日(金)9社ハイデイ日高(7611/小売業・プライム) 2月期2Q/象印マホービン(7965/電気機器・プライム) 11月期3Q ほか
10月5日(月)13社ワールド(3612/繊維製品・プライム)2月期2Q/ネクステージ(3186/小売業・プライム)11月期3Q ほか
10月6日(火)9社サンエー(2659/小売業・プライム)2月期2Q/サカタのタネ(1377/水産・農林業・プライム)5月期1Q ほか
10月7日(水)9社エービーシー・マート(2670/小売業・プライム)2月期2Q/ツルハホールディングス(3391/小売業・プライム)2月期2Q ほか
10月8日(木)28社ファーストリテイリング(9983/小売業・プライム)8月期本決算/セブン&アイ・ホールディングス(3382/小売業・プライム)2月期2Q ほか
10月9日(金)62社安川電機(6506/電気機器・プライム)2月期2Q/ビックカメラ(3048/小売業・プライム)8月期本決算 ほか

決算書Watchでは、またぎを推奨していない。

上がる株であれば、決算発表後も伸びるだろうから、そこで買っても遅くはない。

逆であれば、損切りしてマイナスを確定したほうがよい。

ただし、配当を目的にしている場合は、その限りではない。

来週は9日に62社、連休明けの15日には125社まで増える。損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

「プライム平均株価」について

「プライム平均株価」は、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を単純に平均した当サイトの独自指標で、時価総額でも株価水準でも重みをつけず1銘柄を1票として数える。日経平均は値がさ株、TOPIXは大型株が効くのに対し全銘柄を等しく扱うため、上げ下げが広く行き渡っているのか一部に偏っているのかが見える。ただし日経平均より優れた指標という意味ではなく、あくまで補助線だ。1日の対象は1551銘柄。当社が独自に計算した指標であり、取引所等が公表する指数ではない。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

10万円を1年で100万円にする株式投資術(コマンドY 著)

記事を書いた人

コマンドY

スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。

著書をAmazonで見る →

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https://goldbeans.jp/?p=7851 <![CDATA[ 「繰下げ受給」は何歳まで(3) 働く場合の分岐は85歳だが、年金にかかる税・保険料は軽い!? ]]> https://goldbeans.jp/money/page_7851.html Thu, 01 Oct 2026 03:40:00 +0000 Thu, 01 Oct 2026 03:14:48 +0000

この記事でわかること

給与20万〜30万円なら在職老齢年金で減らされない理由
働く人と年金だけの人、年金にかかる税・保険料の差
70歳を過ぎてからさかのぼって受け取る「みなし増額」
在職中に増えた年金と繰り下げの関係
繰り下げで変わる75歳以降の医療費の窓口負担
繰り下げを決める前に確かめる4つの点

65歳を過ぎても働く人は多い。もはや当たり前になりつつある。
こうなると給与で生活費を賄えるなら、年金は繰り下げて増やせばいい。そう考えるのは自然だ。では給与が月20万円、25万円、30万円のとき、繰り下げの損得はどう変わるのか。

年金だけで暮らす単身者が70歳まで繰り下げると、税と社会保険料を引いた手取りの損益分岐は85.1歳だった。では働いている人を同じ物差しでみると、どうなるだろうか。
税と保険料は2026年度の水準で、全国平均に近い率を使った概算とし、65歳から69歳まで賞与なしで働いて厚生年金に加入し、70歳で退職する単身者を例にシミュレーションしてみよう。

“普通”に働いていても年金は減らされない

働きながら年金を受け取ると、在職老齢年金の仕組みで厚生年金が減らされることがある。その基準額は2026年度で月65万円で、給与(賞与を含む年収の12分の1)と厚生年金の月額の合計がこれを超えると、超えた分の半分が止まる。基礎年金は対象外だ。

この試算では厚生年金の月額が約8万9000円なので、給与20万円なら合計28万9000円、30万円でも38万9000円にとどまり、減額は起きない。

注意したいのは、給与が高くて減額される人だ。止められた分は、繰り下げても増額されない。この試算の年金額なら、賞与込みの月額でおよそ56万円を超えると減額が始まる。給与が月60万円なら年約23万6000円が止まり、その分は70歳まで待っても42%増にはならない。つまり厚生年金を繰り下げる効果が、それだけ削られる。

年金を足しても税金・社会保険料の負担は増えにくい

働いている間、健康保険は勤め先の保険に入り、保険料は給与額だけで決まる。年金を受け取っても、国民健康保険料のように上がることはない。年金を受け取って増えるのは、所得税と住民税、それに65歳以上が市区町村に納める介護保険料だ。

給与(月額)年金192万円を受け取ると増える負担70歳繰下げの損益分岐(手取り)
20万円約12万1000円85.0歳
25万円約12万2000円85.0歳
30万円約10万9000円85.1歳
働いていない約14万2000円85.1歳

意外なことに、働いている人のほうが、年金にかかる負担は小さい。

退職して年金だけで暮らす人は、年金を受け取った時点で住民税がかかるようになり、国民健康保険料と介護保険料も上の段階に移る。内訳は住民税が約2万9000円、国民健康保険料が約4万5000円、介護保険料が約6万8000円の増加だ。介護保険料は、住民税非課税の最も低い段階から課税の段階へ移るので、4倍を超えることになってしまう。

働いている人はそれらがすでに給与で決まっている。
そのため給与20万円の人が年金192万円を受け取って増えるのは、住民税が約7万円、所得税が約3万6000円、介護保険料が約1万5000円だ。給与30万円の人は介護保険料がすでに同じ段階にあり、増えない。この給与水準なら所得税の税率は5%のままで、給与所得と年金所得の両方がある人には、所得金額調整控除(最大10万円)も付く。

結果として、70歳繰り下げの損益分岐は給与の額にかかわらず約85歳で、働いていない人とほとんど変わらない。給与と賞与を合わせて月50万円まで上がり、年金にかかる所得税の税率が上がる人でも、分岐は84.6歳と半年ほど早まるにとどまる。働くことそのものは、繰り下げを有利にも不利にもしない。変わるのは、65歳から70歳の生活費を年金なしで賄えるかどうかだ。繰り下げが向くかどうかは、むしろ損益分岐よりもこちらで決まる。

5年分16.8%増で一括受け取り

繰り下げは、65歳の時点で受給開始年齢を決めておく必要がない。請求しなければ待機が続き、66歳以後の好きな月に請求できる。
それこそ体調を崩したり仕事を辞めたりしたら、そこで請求すればいいだけのこと。働いている間は結論を先送りできることが、繰り下げのもう一つの利点だ。

70歳を過ぎてから、繰り下げを選ばずに65歳からの年金をさかのぼって受け取ることもできる。年金は5年で時効になるが、2023年4月からは「特例的な繰下げみなし増額制度」により、請求の5年前に繰り下げたものとみなして増額した年金を、5年分まとめて受け取れる。
65歳時点で年192万円の人が72歳で請求すると、67歳で繰り下げたとみなされて16.8%増え、年224万2560円の5年分、1121万2800円が一括で入る。ただ、この制度は80歳以降の請求には使えず、一括分は過去の年の所得になるので、税や保険料がさかのぼって変わることもある。

働いて増える分は増額されない

「引退」「定年」「働く」と書かれた3枚の道しるべ

65歳以降も厚生年金に加入すると、その期間の分だけ年金が増える。2022年4月からは在職定時改定が始まり、毎年9月1日時点の加入記録で10月分から年金額が見直される。1年働くと、給与20万円で年約1万3000円、25万円で約1万7000円、30万円で約2万円増える。

65歳から受け取っていれば、この上乗せは翌年から順に効く。繰り下げている人には請求するときにまとめて加わるが、働いて増えた部分は増額の対象にはならない。繰り下げの増額は、あくまで65歳時点の年金額がベースになる。

60歳以降の厚生年金加入には、もう一つ別の効果がある。
基礎年金は20歳から60歳までの納付で決まるので、60歳以降に働いても増えない。ただ厚生年金の加入期間が通算480か月に満たない人は、経過的加算という形で、基礎年金に近い額が厚生年金に上乗せされる。国民年金の期間が長い人や未納がある人には、60歳以降に会社員として働くことが、その穴を埋める手段の一つになる。

75歳以降の窓口負担

損益分岐とは別に、繰り下げで年金収入が一定額を超えると、医療費の窓口負担が変わる。75歳以上の後期高齢者医療は原則1割だが、単身なら課税所得28万円以上で、年金収入とその他の所得の合計が200万円以上だと2割になる。

65歳時点で年192万円の人は1割にとどまるが、66歳へ1年繰り下げるだけで年金は208万1280円になり、200万円の線を越える。70歳まで繰り下げた272万6400円なら、課税所得の条件も大きく上回る。医療費がかさむ年齢になってから、窓口負担が倍になりうる。

しかし、このラインそのものも動きつつある。2割負担は2022年10月に始まり、外来の負担増を月3000円までに抑える配慮措置も2025年9月末で終わった。
2026年7月に閣議決定した骨太方針は、70歳以上の窓口負担を「年齢によらない真に公平な応能負担」へ見直すとし、負担割合の区切りとなる所得の見直しも含めて2026年末までに結論を出すとした。引き上げの時期はまだ決まっていないが、繰り下げで年金を増やすほど、見直しの対象に入りやすくなる。

年金が少ない人は、住民税の非課税の線にも気をつけたい。
65歳以上の単身者は、年金収入155万円以下(1級地)なら住民税がかからない。この線を越えると、介護保険料の段階や高額療養費の上限、自治体の各種減免がまとめて動く。

繰下げ受給を考える際の要チェックポイント

3回にわたって繰下げ受給について説明してきたが、繰り下げを決める前に必ず確かめておきたいことは以下の点だ。

・ねんきんネットで、基礎年金と厚生年金それぞれの額と、加入月数を確かめる。未納があれば、60〜65歳の任意加入を先に検討する
・年下の配偶者がいて加給年金の対象なら、繰り下げるのは基礎年金だけにする
・働くなら、給与(賞与込みの月額)と厚生年金の合計が月65万円を超えないかを確かめる。超えると、止められた分は繰り下げても増えない
・繰り下げた後の年金収入が、155万円(住民税非課税)、200万円(75歳以降の2割負担)、242万円(所得税の基礎控除が下がる線)のそれぞれどちら側に着地するかを見る

平均余命と生存率で期待値を出すと、手取りが最も多くなるのは男性で68歳前後、女性で70歳前後だった。とはいえ、これは平均の話で、64歳の人が90歳まで生きる割合は、男性で約3割、女性では5割を超える。

繰り下げが得か損かではなく、どこまで生きるか分からないことへの備えを、“何歳までいくらで買うか”という見方で考えることも重要だ。85歳という手取りの分岐は、その値段を知るための1つの材料になるだろう。

※在職老齢年金、在職定時改定、経過的加算、特例的な繰下げみなし増額制度は日本年金機構、後期高齢者医療の窓口負担は厚生労働省、骨太方針は内閣府の資料による。試算は単身・2026年度の水準で固定した概算で、税額と保険料は自治体や個人の状況で変わる。

【合わせて読みたい】

・「繰下げ受給」は何歳まで? 男性68歳・女性70歳を超えると手取りが減る!?
・「繰下げ受給」は何歳まで(2) 実は基礎年金のみ繰下げがお得な場合も 加給年金の注意点
・「106万円の壁」10月に消滅 変わる人・変わらない人はここで分かれる

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https://goldbeans.jp/?p=7849 <![CDATA[ 西松屋チェーン 通期26.1%増益の計画、支えは前年の1.9倍を置く下期|決算ウォッチ ]]> https://goldbeans.jp/financial/page_7849.html Wed, 30 Sep 2026 20:00:00 +0000 Wed, 30 Sep 2026 16:50:39 +0000 この記事でわかること
・今日1日の決算発表は6社 プライムは3社
・今日の相場観 日経平均は1272円高と3日ぶりに反発、全業種が上げた
・答え合わせ DCMは通期据え置きで-2.97%、アンドエスティHDとスター・マイカは今日
・今週と来週の決算発表予定

今日1日の決算発表は6社 プライムは3社

今日1日に決算発表を行う予定は6社で、プライムは3社。西松屋チェーン(7545)と平和堂(8276)はともに2月期の2Qで、1Qの進捗は上期計画の71.3%と37.3%と差がついている。

☆【注目度S級】西松屋チェーン(7545/小売業)2027年2月期2Q プライム

項目数字
前期実績(2026年2月期)売上高1933億6500万円、営業利益99億4100万円
前期の修正(2025年12月29日)通期の営業利益予想を136億円から93億円へ引き下げ
今期計画(2027年2月期)売上高2050億円(6.0%増)、営業利益125億4000万円(26.1%増)
上期計画売上高1029億3400万円(6.1%増)、営業利益74億6000万円(2.1%増)
1Q実績売上高545億5400万円、営業利益53億2100万円
前年上期の営業利益73億500万円
配当前期32円 → 今期32円(予想)
30日終値1961円(前日比+0.62%)/出来高24万2100株

ベビー・子供用品の専門店チェーンだ。前期の中間期から連結に移り、1Qの前年同期比は短信に載っていない。

見どころ:前期は秋冬物衣料が売れ残り、値下げ処分で12月に通期の営業利益予想を3割強引き下げた。今期は当初価格で売る比率を高めて売上総利益率を戻す計画だ。

2Qで見る数字:1Qの営業利益は上期計画74億6000万円の71.3%に達し、2Q単独で21億3900万円を上積みすれば上期計画に届く。目を向けたいのは下期で、計画は50億8000万円と前年下期の26億3600万円の1.9倍を置いている。 前期につまずいた秋冬物の季節にあたり、通期を据え置くかが焦点になる。

スイング目線:30日終値は1961円で前日比+0.62%、3営業日前から-0.91%、1か月では-2.7%。20営業日の日中値幅は平均1.35%、30日の売買代金は約4億7300万円。前年の2Qは15時30分の開示で、同じ時間帯なら答えが出るのは明日2日だ。

Point:下期の1.9倍を市場がどこまで信じるかは別の話だ。『10万円を1年で100万円にする株式投資術』にも書いたように、決算はまたがず、反応を見てから上がり始めるのを待てばいい。

◎【注目度A級】平和堂(8276/小売業)2027年2月期2Q プライム

項目数字
前期実績(2026年2月期)営業収益4560億1000万円(2.5%増)、営業利益133億1300万円(0.4%減)
今期計画(2027年2月期)営業収益4780億円(4.8%増)、営業利益143億円(7.4%増)
上期計画営業収益2340億円(4.7%増)、営業利益69億円(1.0%増)
1Q実績営業収益1121億9900万円(3.4%増)、営業利益25億7100万円(12.7%減)
前年上期の営業利益68億3300万円(うち1Q 29億4400万円、2Q 38億8900万円)
配当前期66円 → 今期66円(予想)
30日終値2586円(前日比-0.65%)/出来高12万3000株

滋賀県を地盤とする総合スーパーだ。

見どころ:1Qは中核の平和堂単体で営業収益が5.2%増えたが、粗利益率が下がって営業利益は17.6%減った。2Qで粗利益率が戻るかが第一の確認点になる。

2Qで見る数字:1Qの営業利益は上期計画69億円の37.3%にとどまる。上期計画に届くには2Q単独で43億2900万円が要り、前年2Qの38億8900万円から11.3%増やす必要がある。前年は1Qで上期の43.1%を稼いでいた。

スイング目線:30日終値は2586円で前日比-0.65%、3営業日前から-3.65%、1か月では-3.8%。20営業日の日中値幅は平均1.41%、30日の売買代金は約3億1800万円と細い。前年の2Qは13時30分、今期の1Qは15時30分の開示で、場中に数字が出れば答えは今日のうちに出る。

Point:売上が伸びて利益が減った会社を、私はまず粗利益率から見る。

★【要注意D級】クスリのアオキホールディングス(3549/小売業)2027年5月期1Q スタンダード

S級・A級は誰もが見る。ここでは、その陰に隠れていて、しかも値が大きく動きやすい一社を挙げておく。注目度ではなく、値動きの荒さで見るべき銘柄という意味だ。

項目数字
前期実績(2026年5月期)売上高5668億6500万円(13.0%増)、営業利益270億9600万円(1.9%増)
今期計画(2027年5月期)売上高6400億円(12.9%増)、営業利益320億円(18.1%増)
上期計画営業利益155億円(14.9%増)
前年1Q売上高1397億3500万円(16.1%増)、営業利益72億6300万円(1.0%減)
1Qの月次(6〜8月度)全店売上高107.3%・109.6%・110.7%/既存店売上高97.5%・100.3%・100.7%
30日終値3685円(前日比-1.26%)/出来高37万9400株

北信越を中心に「フード&ドラッグ」のドラッグストアを展開する。

見どころ:前期は売上高が13.0%増えたのに営業利益は1.9%増にとどまり、今期は18.1%増を掲げる。1Qで利益の伸びが売上に追いつくかが確認点だ。 月次では既存店の客数が3か月とも前年を下回った。

1Qで見る数字:上期計画は14.9%増で、1Qも前年の72億6300万円から同じだけ伸びれば83億円台になる。

スイング目線:30日終値は3685円で前日比-1.26%、3営業日前から-6.66%、1か月では-12.2%。20営業日の日中値幅は平均2.73%で6社の中で最も大きく、30日の売買代金は約14億円。前年の1Qは15時30分の開示だった。

Point:見ている人が少ないぶん、数字が出た瞬間に評価が変わる余地が残る。要注意と付けたのは、動くということは逆にも同じだけ動くからだ。

【本日発表予定】

ナガイレーベン(7447/卸売業)8月期本決算 プライム
 医療用白衣の大手だ。3Q累計の営業利益は28億1300万円で3.5%減り、通期計画40億2500万円の69.9%にとどまる。前年は3Q時点で通期実績の81.4%だった。

ほかにイーサポートリンク(2493)、日本フイルコン(5942)が発表する。

今日の相場観 日経平均は1272円高と3日ぶりに反発、全業種が上げた

指標9月30日前日比
日経平均6万6753円72銭1272円45銭高(+1.94%)
TOPIX4108.6567.52pt高(+1.67%)
プライム平均株価―+0.84%(中央値+0.68%)
上げた銘柄/下げた銘柄1127/36972.7%/23.8%
プライム売買代金約9兆1212億円―

※「プライム平均株価」とは、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を、単純に平均した当サイトの独自指数(詳しくは記事末尾)。

30日の日経平均は1272円45銭高の6万6753円72銭と3日ぶりに反発した。原油安で中東情勢への警戒が和らぎ、AI・半導体関連に買いが集まって全業種が上げた。

日経平均の+1.94%に対し、プライム平均株価は+0.84%にとどまる。 ソフトバンクグループ1銘柄で約317円、ファーストリテイリングで約173円を押し上げており、値がさ株の上げが指数を大きく見せた。

西松屋・平和堂・アオキの3社はそろってプライム平均株価を下回った。

答え合わせ DCMは通期据え置きで-2.97%、アンドエスティHDとスター・マイカは今日

DCMホールディングス(3050)は上期計画を上回りながら通期を据え置き、30日は1537円(-2.97%)で引けた。出来高は前日の2.1倍で、プライム平均株価が+0.84%の日に逆行して売られた。

アンドエスティHD(2685)は30日15時30分に上期を開示し、営業利益は107億3100万円で34.6%増えた。2Q単独も前年同期から20.5%増えた。通期の172億円は据え置き、進捗は62.4%になる。

スター・マイカ・ホールディングス(2975)の3Q累計の営業利益は97億6800万円で67.4%増え、通期計画の93.5%に達した。純利益は60億7900万円と3Q時点で通期計画の60億3000万円を上回ったが、通期は据え置いた。 2社とも答えは今日1日に出る。

今週と来週の決算発表予定

日付社数主な銘柄
10月1日(木)6社西松屋チェーン(7545/小売業・プライム) 2月期2Q/平和堂(8276/小売業・プライム) 2月期2Q ほか
10月2日(金)9社ハイデイ日高(7611/小売業・プライム)2月期2Q/象印マホービン(7965/電気機器・プライム)11月期3Q ほか
10月5日(月)13社ワールド(3612/繊維製品・プライム)2月期2Q/ネクステージ(3186/小売業・プライム)11月期3Q ほか
10月6日(火)9社サンエー(2659/小売業・プライム)2月期2Q/サカタのタネ(1377/水産・農林業・プライム)5月期1Q ほか
10月7日(水)9社エービーシー・マート(2670/小売業・プライム)2月期2Q/ツルハホールディングス(3391/小売業・プライム)2月期2Q ほか
10月8日(木)28社ファーストリテイリング(9983/小売業・プライム)8月期本決算/セブン&アイ・ホールディングス(3382/小売業・プライム)2月期2Q ほか
10月9日(金)62社安川電機(6506/電気機器・プライム)2月期2Q/ビックカメラ(3048/小売業・プライム)8月期本決算 ほか

決算書Watchでは、またぎを推奨していない。

上がる株であれば、決算発表後も伸びるだろうから、そこで買っても遅くはない。

逆であれば、損切りしてマイナスを確定したほうがよい。

ただし、配当を目的にしている場合は、その限りではない。

来週は8日にファーストリテイリングの本決算があり、9日は62社に増える。損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

「プライム平均株価」について

「プライム平均株価」は、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を単純に平均した当サイトの独自指標で、時価総額でも株価水準でも重みをつけず1銘柄を1票として数える。日経平均は値がさ株、TOPIXは大型株が効くのに対し全銘柄を等しく扱うため、上げ下げが広く行き渡っているのか一部に偏っているのかが見える。ただし日経平均より優れた指標という意味ではなく、あくまで補助線だ。30日の対象は1551銘柄。当社が独自に計算した指標であり、取引所等が公表する指数ではない。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

10万円を1年で100万円にする株式投資術(コマンドY 著)

記事を書いた人

コマンドY

スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。

著書をAmazonで見る →

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https://goldbeans.jp/?p=7838 <![CDATA[ 「繰下げ受給」は何歳まで(2) 実は基礎年金のみ繰下げがお得な場合も 加給年金の注意点 ]]> https://goldbeans.jp/money/page_7838.html Wed, 30 Sep 2026 03:30:00 +0000 Thu, 01 Oct 2026 04:51:35 +0000

この記事でわかること

基礎年金だけ・厚生年金だけを繰り下げたときの損益分岐
厚生年金を繰り下げると受け取れなくなる加給年金の額
未納の穴を埋める任意加入と追納

年金の繰り下げは、全部やるか、やらないかの二択ではない。老齢基礎年金と老齢厚生年金は、別々に繰り下げられる。年下の配偶者がいれば加給年金が絡み、保険料の未納があれば土台の金額そのものが変わる。この3つで損益分岐がどう動く。
具体的にどのような違いあるのかを見ていこう。

65歳時点で年192万円を受け取れる人が両方とも70歳まで繰り下げると、税と社会保険料を引いた手取りの損益分岐は85.1歳だった。いま64歳の男性の平均余命は84.5歳まで、女性は89.4歳まで。そこでこの平均余命を前提に試算は単身・2026年度の水準で、税と保険料は全国平均に近い率を置いた概算でシミュレーションしてみた。

一方だけなら分岐が早まる

受給開始年齢両方を繰り下げ基礎年金だけ厚生年金だけ
68歳82.8歳81.5歳81.7歳
70歳85.1歳83.5歳84.1歳
75歳89.8歳89.0歳89.3歳

額面なら、どれを繰り下げても70歳開始の分岐は81.9歳で同じだ。増額率が同じなので、額面の分岐は金額の大小に左右されない。手取りで差がつくのは、一方だけなら年金の増え方が小さく、税や保険料の段差を越えにくくなる。

基礎年金だけを70歳まで繰り下げると、65歳から69歳までは厚生年金の約107万円を受け取り、70歳から基礎年金が84万7300円から約120万3000円に増える。分岐は83.5歳で、64歳の男性の平均余命84.5歳の内側に入る。

生命表の生存率で期待値を出しても同じ傾向になる。64歳の男性が70歳まで待つ場合、両方を繰り下げると65歳受給より9万円多いだけだが、基礎年金だけなら45万円多い。男性で70歳まで待つなら、一方に絞るほうが計算上は分がいい。

では、どちらを繰り下げるか。
64歳の男性が68歳まで繰り下げる場合の期待値は、厚生年金だけなら65歳受給より66万円多く、基礎年金だけなら55万円多い。70歳まで待つ場合は基礎年金だけが45万円、厚生年金だけが37万円で、順位が入れ替わる。
女性の70歳繰り下げでは、厚生年金だけが187万円、基礎年金だけが166万円だ。差はそれほど大きくないので、どちらを選ぶかは、次に見る加給年金と振替加算の有無で決めてかまわない。

手続きの面では、両方とも繰り下げるなら65歳の時点で何もしなくていい。一方だけを65歳から受け取るときは、年金請求書で受け取る側を選んで年金事務所に出す。公務員として働いた期間があり、共済組合からも厚生年金を受け取る人は、日本年金機構の厚生年金と共済の厚生年金を別々には繰り下げられない。

加給年金は厚生年金に付く「家族手当」

加給年金は、厚生年金の加入期間が20年以上ある人が65歳になったとき、生計を維持している65歳未満の配偶者か、18歳になった年度末までの子がいれば、老齢厚生年金に上乗せされるものだ。配偶者は年収850万円未満であることが条件になる。

2026年度の額は、配偶者が24万3800円。ただ、加給年金は受給者の生年月日に応じた特別加算が付き、昭和18年4月2日以後生まれなら17万9900円で、合計42万3700円になる。子は2人目まで各24万3800円、3人目からは各8万1300円だ。

配偶者の分は、配偶者が65歳になるまで続く。5歳下の配偶者がいれば5年間で211万8500円になる。配偶者が年上で、受給者が65歳になった時点。すでに65歳を超えていれば、加給年金はそもそも付かない。

配偶者自身が厚生年金に20年以上加入し、老齢厚生年金を受け取る権利を持っていれば、加給年金は止まる。2022年3月までは、配偶者の年金が在職などで全額止められていれば加給年金は支給されていたが、4月からは配偶者に受け取る権利があるだけで止まるようになった。共働きで配偶者も長く会社員だった家庭では、加給年金はもともと当てにできない。

繰り下げとの関係で押さえたいのは3点だ。

・加給年金は老齢厚生年金に付くので、厚生年金を繰り下げると待機中は受け取れない
・受け取れなかった加給年金は、あとで増額されて戻ってくることもない
・基礎年金だけを繰り下げるなら、加給年金はそのまま受け取れる

配偶者との年齢差受け取れなくなる加給年金厚生年金を70歳まで繰り下げた場合の損益分岐(額面)
対象外なし81.9歳
3歳下127万1100円84.7歳
5歳下211万8500円86.6歳

額面でも、5歳下の配偶者がいれば分岐は86.6歳まで遠のき、手取りで見ればさらにうしろ倒しになる。加給年金の対象になる人が繰り下げるなら、基礎年金だけにするのが定石だ。

配偶者の側にも同じ構図がある。配偶者が65歳になると加給年金は終わり、代わりに配偶者の基礎年金に振替加算が付く(昭和41年4月1日以前生まれの配偶者に限る)。配偶者が基礎年金を繰り下げると、待機中は振替加算を受け取れず、これも増額されない。

加給年金には制度改正も控える。
2025年の年金制度改正法で、2028年4月以後に受給権が発生する人の配偶者加給年金は約1割減る。いま64歳の人は2027年9月までに65歳になるので現行の額だが、60歳の人は2030年から2031年にかけて65歳を迎え、減額後の額になる。

未納があると土台が小さくなる

基礎年金の額は、20歳から60歳までの40年間、480か月の保険料の納め方で決まる。

老齢基礎年金 = 84万7300円 × 保険料を納めた月数 ÷ 480

免除を受けた月は一部が反映される。2009年4月以後の期間なら、全額免除でも2分の1、半額免除なら4分の3が年金に入る。これに対して未納の月は、まったく反映されない。受給には、加入期間が10年以上あることも要る。

未納の期間65歳から受給70歳まで繰り下げ
なし847,300円1,203,166円
5年(60か月)741,388円1,052,771円
10年(120か月)635,475円902,375円

繰り下げの増額率は、未納で小さくなった額にかかる。5年の未納がある人が70歳まで繰り下げても、未納のない人の70歳繰り下げより年15万円少ないままだ。繰り下げで穴は埋まらない。

穴を埋める手段は別にある。60歳から65歳までの間なら、国民年金に任意加入して保険料を納められる。20〜60歳の納付月数が480か月に満たず、繰上げ受給をしておらず、厚生年金に加入していない人が対象だ。2026年度の保険料は月1万7920円。加入は申し出た月からで、さかのぼることはできない。

5年分の60か月を納めると、保険料は107万5200円で、年金は年10万5913円増える。10.2年で元が取れ、65歳から受け取れば75歳過ぎに回収が終わる。支払った保険料は社会保険料控除の対象にもなる。いま60歳の人は5年間使えるが、64歳の人は65歳までの残りの月だけだ。仮に12か月納めると、保険料21万5040円で年金は年2万1183円増え、回収にかかる年数は同じ10.2年になる。任意加入で増やした基礎年金も、繰り下げれば同じ率で増える。

このほか、納め忘れた保険料は2年以内なら後から納められる。免除や猶予を受けた期間は、10年以内なら追納できる。

未納がある人は、繰下げの損得を考える前に、土台の穴を埋められるかを確かめたい。

65歳を過ぎても働く人にとっては、話がもう一段変わる。給与があれば生活費に困らないので繰下げが向く、というのが通説だが、在職中の税と社会保険料まで入れると、損益分岐の数字にはその差がほとんど表れない。次回は70歳まで働く場合を計算する。

※繰り下げと加給年金・振替加算の扱い、加給年金の額、老齢基礎年金の計算式、任意加入と追納の制度は日本年金機構の資料による。試算は単身・年金収入のみ・2026年度の水準で固定した概算で、税額と保険料は自治体や個人の状況で変わる。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品を推奨するものではありません。年金の受給額や繰り下げによる増額は個々の加入状況により異なります。詳細は日本年金機構または年金事務所にご確認ください。

【合わせて読みたい】

・「繰下げ受給」は何歳まで? 男性68歳・女性70歳を超えると手取りが減る!?
・「繰下げ受給」は何歳まで(3) 働く場合の分岐は85歳だが、年金にかかる税・保険料は軽い!?
・遺族年金2028年改正 5年で打ち切りになる人、ならない人
・「106万円の壁」10月に消滅 変わる人・変わらない人はここで分かれる

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https://goldbeans.jp/?p=7834 <![CDATA[ アンドエスティHDとスター・マイカ 進捗45.8%と65.2%、通期目標見直しの有無が焦点|決算ウォッチ ]]> https://goldbeans.jp/financial/page_7834.html Tue, 29 Sep 2026 20:00:00 +0000 Tue, 29 Sep 2026 16:26:51 +0000 この記事でわかること
・今日30日の決算発表は10社 プライムは3社
・今日の相場観 配当落ち日で日経平均は続落、プライムの8割超が下げた
・答え合わせ オークワは修正値どおりで-1.93%、しまむらは逆行高の2.76%
・今週と来週の決算発表予定

今日30日の決算発表は10社 プライムは3社

今日30日に決算発表を行う予定は10社で、プライムは3社。アンドエスティHD(2685)は2月期の2Q、スター・マイカ・ホールディングス(2975)は11月期の3Qになる。2社とも期の前半で計画を大きく先行しており、今日見るのは通期の計画を引き上げるかどうかだ。

☆【注目度S級】アンドエスティHD(2685/小売業)2027年2月期2Q プライム

項目数字
前期実績(2026年2月期)売上高3043億5100万円(3.8%増)、営業利益165億2400万円(6.5%増)
今期計画(2027年2月期)売上高3140億円(3.2%増)、営業利益172億円(4.1%増)
1Q実績売上高803億1800万円(3.7%増)、営業利益78億7500万円(40.5%増)
前年上期の営業利益79億7300万円(うち1Q 56億300万円、2Q 23億7000万円)
配当前期90円 → 今期90円(予想)
29日終値3065円(前日比-1.29%)/出来高20万1800株

「グローバルワーク」「ニコアンド」などを展開するアダストリアの持ち株会社だ。上期の計画は開示しておらず、物差しは通期になる。

見どころ:1Qは売上総利益率が57.9%、販管費率が48.1%とそれぞれ1.3ポイント改善した。春夏物を値引きせずに売れたことが効き、1Qだけで前年上期の営業利益の98.8%を稼いだ。 純利益は特別功労金12億3000万円で10.6%減った。7月28日の熊本の地震で県内の全18店舗が休業したが、アダストリアの8月の月次は全店103.1%、既存店101.9%だった。

2Qで見る数字:1Qの営業利益は通期計画172億円の45.8%に達した。前年は1Qで通期実績の33.9%だったので、進捗は大きく先行している。前年の2Q単独は23億7000万円と1Qの半分に満たず、稼ぎの薄い四半期だ。2Qが前年並みでも上期は102億4500万円で通期の59.6%になり、焦点は通期を据え置くかどうかに移る。

スイング目線:29日終値は3065円で前日比-1.29%、3営業日前から-3.31%、1か月では-13.3%。20営業日の日中値幅は平均2.21%、29日の売買代金は約6億1800万円。前年の2Qも今期の1Qも15時30分の開示で、答えが出るのは明日10月1日だ。

Point:1Qが良いのに株価は1か月で1割以上下げており、通期を据え置けば1Qの伸びは続かないと読まれかねない。『10万円を1年で100万円にする株式投資術』にも書いたように、決算はまたがず、反応を見てから出来高を伴って上がり始めるのを待てばいい。

◎【注目度A級】スター・マイカ・ホールディングス(2975/不動産業)2026年11月期3Q プライム

項目数字
前期実績(2025年11月期)売上高691億5800万円、営業利益73億1400万円
今期計画(5月13日に修正)売上高891億6800万円(28.9%増)、営業利益92億9800万円 → 104億4900万円(42.9%増)
上期実績売上高434億2100万円(28.8%増)、営業利益68億900万円(69.5%増)
前年3Q累計の営業利益58億3600万円(うち3Q単独 18億1900万円)
配当前期37円 → 今期51円(予想)
29日終値1380円(前日比-2.54%)/出来高31万6100株

賃貸中の中古マンション(オーナーチェンジ物件)を買い取り、リノベーションして販売する会社だ。

見どころ:5月13日に上期と通期の計画を引き上げ、配当予想も増やした。上期の営業利益は修正後の上期計画65億5700万円も上回った。一方で4月15日には、住宅設備メーカーが供給条件の調整を表明したことを受け、一部の建材や設備で納期の遅れが出る見込みだと開示している。

3Qで見る数字:上期で通期計画104億4900万円の65.2%に達した。前年は3Q累計で通期実績の79.8%だった。3Q単独が前年の18億1900万円を保てば累計は86億2800万円で計画の82.6%になる。 計画の下期は36億4000万円で、前年下期の32億9700万円から10.4%増にとどまり、上振れの余地を残す置き方だ。

スイング目線:29日終値は1380円で前日比-2.54%、3営業日前から-2.34%、1か月では-13.7%。20営業日の日中値幅は平均2.40%、29日の売買代金は約4億3800万円。前年の3Qも今期の2Qも15時30分の開示で、答えは明日1日に出る。

Point:一度計画を引き上げた会社は次の修正への期待まで値段に入りやすいが、株価は1か月で13.7%下げた位置での発表になる。私なら3Qの数字と翌日の出来高を見てから考える。

【本日発表予定】

ピックルスホールディングス(2935/食料品)2月期2Q プライム
 「ご飯がススムキムチ」などを手がける。1Qは売上高が4.9%減ったが、営業利益は6億9600万円で12.5%増え、上期計画13億円の53.5%に達した。

YE DIGITAL(2354/情報・通信業)2月期2Q スタンダード
 9月18日に上期の営業利益予想を8億円から5億5000万円へ引き下げ、通期は据え置いた。20営業日の日中値幅は平均5.54%と大きい。

ほかにインテグループ(192A)、テクノアルファ(3089)、ERIホールディングス(6083)、ヤマシタヘルスケアホールディングス(9265)、キユーソー流通システム(9369)、日本プロセス(9651)が発表する。

今日の相場観 配当落ち日で日経平均は続落、プライムの8割超が下げた

指標9月29日前日比
日経平均6万5481円27銭396円35銭安(-0.60%)
TOPIX4041.1370.87pt安(-1.72%)
プライム平均株価―-1.83%(中央値-1.91%)
上げた銘柄/下げた銘柄174/135611.2%/87.4%
プライム売買代金約7兆3224億円―

※「プライム平均株価」とは、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を、単純に平均した当サイトの独自指数(詳しくは記事末尾)。

29日の日経平均は396円35銭安の6万5481円27銭と続落した。米国株安と原油高、長期金利の上昇に加え、3月期企業の中間配当の権利落ち日にあたり、一時1100円安まで売られた。東京エレクトロンやファーストリテイリングが支え、ソフトバンクグループが押し下げた。

日経平均の-0.60%に対し、TOPIXは-1.72%、プライム平均株価は-1.83%と下げが大きい。 権利落ちの下げは配当の権利が外れた分で、業績の評価とは別物だ。

2月期のアンドエスティHDと11月期のスター・マイカは9月末の配当と関係がなく、2社の下げは地合いによるものだ。

答え合わせ オークワは修正値どおりで-1.93%、しまむらは逆行高の2.76%

オークワ(8217)は29日13時に上期を開示し、営業損益は△5700万円と25日の修正値どおりに着地した。配当は年26円の予想を据え置いた。 29日は761円(-1.93%)で引けたが、プライム平均株価の-1.83%とほぼ同じ下げで、答えは修正を受けた28日に出ていた。

しまむら(8227)は28日15時30分の上期開示(営業利益5.3%増)を受け、29日は3240円(+2.76%)で引けた。出来高は216万6200株と前日の1.7倍で、プライムの8割超が下げた日に買われた。

DCMホールディングス(3050)は29日15時30分に上期を開示した。営業利益は211億4900万円で1.5%増え、上期計画202億円を4.7%上回ったが、2Q単独は97億7600万円で前年同期から12.4%減った。通期の312億円は据え置いた。 答えは今日30日に出る。

今週と来週の決算発表予定

日付社数主な銘柄
9月30日(水)10社アンドエスティHD(2685/小売業・プライム) 2月期2Q/スター・マイカ・ホールディングス(2975/不動産業・プライム) 11月期3Q ほか
10月1日(木)6社西松屋チェーン(7545/小売業・プライム)2月期2Q/平和堂(8276/小売業・プライム)2月期2Q ほか
10月2日(金)9社ハイデイ日高(7611/小売業・プライム)2月期2Q/象印マホービン(7965/電気機器・プライム)11月期3Q ほか
10月5日(月)13社ワールド(3612/繊維製品・プライム)2月期2Q/ネクステージ(3186/小売業・プライム)11月期3Q ほか
10月8日(木)28社ファーストリテイリング(9983/小売業・プライム)8月期本決算/セブン&アイ・ホールディングス(3382/小売業・プライム)2月期2Q ほか
10月9日(金)63社安川電機(6506/電気機器・プライム)2月期2Q/ビックカメラ(3048/小売業・プライム)8月期本決算 ほか

決算書Watchでは、またぎを推奨していない。

上がる株であれば、決算発表後も伸びるだろうから、そこで買っても遅くはない。

逆であれば、損切りしてマイナスを確定したほうがよい。

ただし、配当を目的にしている場合は、その限りではない。

来週は8日にファーストリテイリングの本決算があり、9日は63社に増える。損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

「プライム平均株価」について

「プライム平均株価」は、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を単純に平均した当サイトの独自指標で、時価総額でも株価水準でも重みをつけず1銘柄を1票として数える。日経平均は値がさ株、TOPIXは大型株が効くのに対し全銘柄を等しく扱うため、上げ下げが広く行き渡っているのか一部に偏っているのかが見える。ただし日経平均より優れた指標という意味ではなく、あくまで補助線だ。29日の対象は1551銘柄。当社が独自に計算した指標であり、取引所等が公表する指数ではない。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

10万円を1年で100万円にする株式投資術(コマンドY 著)

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スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。

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https://goldbeans.jp/?p=7823 <![CDATA[ 「繰下げ受給」は何歳まで? 男性68歳・女性70歳を超えると手取りが減る!? ]]> https://goldbeans.jp/money/page_7823.html Tue, 29 Sep 2026 06:00:00 +0000 Thu, 01 Oct 2026 04:51:34 +0000

この記事でわかること

繰り下げの増額率と、75歳まで待てる人
「約12年で元が取れる」の計算の中身
税と社会保険料を引くと、分岐は約3年うしろへ
物差しは平均寿命でなく、いまの年齢からの平均余命
手取りの期待値が最も多くなる受給開始年齢
平均だけで決めないために

年金を65歳で受け取らず、遅らせれば増える。1か月遅らせるごとに0.7%、70歳まで待てば42%、75歳まで待てば84%増える。「損益分岐は約12年後だから、81歳より長生きするなら得」という説明もよく知られている。

ところがこの計算には、抜けているものが2つある。

1つは、増えた年金にかかる税金と社会保険料。もう1つは、自分があと何年生きそうかという寿命の見通しだ。この2つを入れて、何歳まで繰り下げるのが最も得なのかを計算し直してみたい。

増額は一生続く

日本年金機構の説明では、増額率は次の式で決まる。

増額率(最大84%)= 0.7% × 65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数

受給開始年齢繰り下げた月数増額率
66歳12か月8.4%
68歳36か月25.2%
70歳60か月42.0%
75歳120か月84.0%

昭和27年4月2日以後生まれなら75歳まで繰り下げられ、いま60歳や64歳の人はすべて該当する。増額は一生涯続くので、長生きするほど効く仕組みだ。

額面では81.9歳が分岐点

65歳から年192万円(月16万円)を受け取れる人で考えると、2026年度の老齢基礎年金の満額84万7300円に、厚生年金が約107万円プラスされる水準だ。

70歳まで繰り下げると増額率は42%で、年金は272万6400円になる。65歳から70歳までに受け取らなかった960万円を、1年あたりの増加額80万6400円で割ると11.9年。70歳に足して、損益分岐は81.9歳だ。これが一般に言われる「約12年」の中身である。

手取りで見ると85歳にずれる

年金は所得税と住民税の対象で、国民健康保険料(75歳からは後期高齢者医療保険料)と介護保険料も所得に応じて決まる。年金が増えれば、これらの負担も増える。

65歳以上で年金収入が330万円以下なら、公的年金等控除は110万円で一定だ。控除が増えないので、増えた年金はほぼそのまま課税と保険料の対象になる。単身で年金収入のみとし、保険料は全国平均に近い率を置いて試算したのが次の表だ。

項目65歳から受給70歳から受給
年金額(額面)192万0000円272万6400円
国民健康保険料約6万0000円約15万8000円
介護保険料約9万0000円約9万7000円
住民税約2万9000円約9万9000円
所得税0円約3万8000円
税・社会保険料の負担(計)約17万9000円約39万2000円
手取り(概算)約174万1000円約233万4000円

年金は1.42倍だが、負担は約2.2倍に増える。最も増えるのは国民健康保険料で、約6万円から約15万8000円へ2.6倍になる。保険料の所得割は、所得から43万円を引いた額に料率を掛けて決まるため、増えた年金の1割近くがそのまま保険料に回る。住民税も3倍を超え、65歳受給ではかからなかった所得税も発生する。

一方で、繰り下げて待つ5年間は年金収入がゼロになる。住民税はかからず、国民健康保険料の均等割は7割軽減され、介護保険料も最も低い段階に下がるので、負担は年3万6000円ほどで済む。65歳から受け取る人は同じ5年間に毎年約17万9000円を納めるので、この差は繰り下げる側の得になる。

この両方を入れて65歳からの手取りの累計を比べると、70歳繰り下げの損益分岐は85.1歳になる。額面より3.2年うしろだ。

70歳まで繰り下げた場合の損益分岐。額面で計算すると81.9歳、税と社会保険料を引いた手取りでは85.1歳で、3.2年うしろにずれる
70歳まで繰り下げた場合の損益分岐(額面と手取り)
受給開始年齢損益分岐(額面)損益分岐(手取り)
66歳77.9歳81.1歳
68歳79.9歳82.8歳
70歳81.9歳85.1歳
72歳83.9歳86.9歳
75歳86.9歳89.8歳

何歳から受け取る場合でも、手取りで見ると分岐はおおむね3年うしろにずれる。

この3年は小さくない。後で見る生命表で計算すると、64歳の男性が82歳まで生きる割合は63.3%だが、85歳までなら51.6%に下がる。額面の説明を信じて「82歳まで生きれば得」と考えると、元が取れる見込みは3人に2人から、2人に1人に減る。

なお年金額は物価や賃金に合わせて毎年改定されるが、試算は2026年度の水準で固定した。いまのお金の価値に置き直した比較と考えればいい。

60歳と64歳の「あと何年」

では85歳は遠いのか、近いのか。ここで平均寿命を持ち出すのは正確ではない。厚生労働省の2025年簡易生命表で平均寿命は男性81.35年、女性87.33年だが、これは0歳の人の見通しだ。

60歳まで生きた人は、それより長く生きる。平均寿命の81.35年を物差しにすると、男性は66歳への繰り下げ(手取りの分岐81.1歳)でかろうじて元が取れるだけで、それより先はどれも損に見えるが、それは物差しの取り違えだ。見るべきは、いまの年齢からの平均余命である。

現在の年齢平均余命平均で何歳まで90歳まで生きる割合
60歳・男性23.86年83.9歳28.6%
60歳・女性29.07年89.1歳52.9%
64歳・男性20.50年84.5歳29.4%
64歳・女性25.42年89.4歳53.5%

平均余命は、年を重ねるほど行き着く年齢がうしろに延びる。60歳の男性は平均で83.9歳までだが、64歳まで生きた男性は84.5歳までになる。途中で亡くなった人が計算から外れるからだ。

64歳の男性は平均で84.5歳まで生き、70歳繰り下げの手取りの分岐85.1歳にわずかに届かない。生存率で見ても、64歳の男性が85歳まで生きる割合は51.6%で、70歳まで待って元が取れるかはほぼ五分五分になる。女性は平均で89.4歳まで生き、分岐を4年以上上回る。85歳まで生きる割合も73.7%と高い。同じ70歳繰り下げでも、男女で答えが割れる。

最も得なのは男性68歳・女性70歳

満開の桜の木の下で、並んで花を見上げる夫婦の後ろ姿
いくつになっても税金と社会保険料はなくならない

平均余命はあくまで平均で、早く亡くなる人もいれば100歳まで生きる人もいる。そこで生命表の年齢ごとの生存率を使い、各年齢まで生きている確率で手取りを重み付けして、65歳以降に受け取る手取りの総額の期待値を受給開始年齢ごとに出した。

受給開始年齢64歳男性64歳女性
65歳(基準)3392万円4247万円
66歳+43万円+99万円
67歳+73万円+185万円
68歳+78万円+245万円
70歳+9万円+273万円
72歳▲107万円+250万円
75歳▲410万円+55万円

64歳の男性は68歳開始が最も多く、65歳受給より78万円上回る。70歳まで待つと差はほぼ消え、72歳では65歳受給を下回る。女性は70歳開始が最も多く、273万円上回る。60歳で計算しても、男性68歳・女性70歳という結論は変わらなかった。

待てば年金は増えるが、受け取れる年数は減り、途中で亡くなる確率も上がる。その釣り合いが取れる点が、男性では68歳、女性では70歳になる。

男性の68歳と70歳の間で期待値が落ち込むのは、税の仕組みによる。2028年分以後の所得税は、合計所得132万円以下なら基礎控除が99万円、超えると62万円に下がる。年金だけの人なら年金収入242万円がその線だ。68歳開始の240万3840円は線の内側に収まるが、69歳開始の256万5120円は外に出る。

もう一つ知っておきたいのは、繰り下げを待っている間に亡くなっても、年金がすべて消えるわけではないことだ。遺族は65歳時点の年金額で、最大5年分をさかのぼって受け取れる。

平均で決めない

この期待値は、生命表どおりに人が亡くなると置いた平均の話だ。健康状態や家族の病歴によって、自分の寿命の見通しは平均から大きくずれる。64歳の女性の半数以上は90歳まで生きる。長生きしたときに年金が月16万円か月22万7200円かは、損得の計算とは別の重みを持つ。

ここまでの試算は、基礎年金と厚生年金を両方とも繰り下げた場合だ。実際には一方だけ繰り下げる選び方ができ、年下の配偶者がいれば加給年金が絡み、保険料の未納があれば基礎年金の額そのものが変わる。次回はこの3つで損益分岐がどう動くかを計算してみる。

※増額率と対象の生年月日は日本年金機構「年金の繰下げ受給」、平均寿命・平均余命・生存率は厚生労働省「令和7年簡易生命表」による。試算は単身・年金収入のみ・2026年度の水準で固定した概算で、税額と保険料は自治体や個人の状況で変わる。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品を推奨するものではありません。年金の受給額や繰り下げによる増額は個々の加入状況により異なります。詳細は日本年金機構または年金事務所にご確認ください。

【合わせて読みたい】

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・今日29日の決算発表は8社 プライムは小売3社を含む4社
・今日の相場観 日経平均は6日ぶり反落、プライムの3分の2が下げた
・答え合わせ ハローズは2Qで取り戻せず-1.15%、あさひは開示当日に売られて戻した
・今週と来週の決算発表予定

今日29日の決算発表は8社 プライムは小売3社を含む4社

今日29日に決算発表を行う予定は8社で、プライムは4社。そのうちDCMホールディングス(3050)とオークワ(8217)は2月期の2Q(上期)になるが、DCMは1Qで計画を先行し、オークワは発表の前に計画を引き下げており、同じ小売の2Qでも立ち位置は正反対だ。

☆【注目度S級】DCMホールディングス(3050/小売業)2027年2月期2Q プライム

項目数字
前期実績(2026年2月期)営業収益5423億1700万円(0.4%減)、営業利益310億1400万円(6.7%減)
今期計画(2027年2月期)営業収益5773億円(6.5%増)、営業利益312億円(0.6%増)
上期計画営業収益3045億円(8.6%増)、営業利益202億円(3.1%減)
1Q実績営業収益1519億4300万円(9.8%増)、営業利益113億7300万円(17.4%増)
前年上期の営業利益208億4300万円(うち1Q 96億8500万円、2Q 111億5800万円)
配当前期47円 → 今期48円(予想)
28日終値1593円(前日比-0.93%)/出来高39万800株

ホームセンターを全国に展開し、1Q末の店舗数は918店舗。前期に連結子会社化したホームテックの業績が、今期の1Qから損益に加わっている。

見どころ:1Qは営業収益9.8%増、営業利益17.4%増と伸びた。ただ短信は、中東情勢を受けた紙製品やごみ袋の一時的なまとめ買いと、暑さによるエアコンや夏物作業衣料の好調を挙げており、伸びのうちどこまでが続くものかは2Qを見ないとわからない。

2Qで見る数字:1Qの営業利益は上期計画202億円の56.3%に達した。前年は1Qで上期の46.5%だったので、進捗は先行している。計画の2Q単独は88億2700万円で、前年同期の111億5800万円から20.9%減に置かれている。前年2Qの水準を保てば上期計画を大きく上回る計算で、焦点は通期312億円を引き上げるかどうかに移る。

スイング目線:28日終値は1593円で前日比-0.93%、3営業日前から-0.44%。20営業日の日中値幅は平均1.33%、28日の売買代金は約6億2000万円。前年の2Qも今期の1Qも15時30分の開示で、答えが出るのは明日30日だ。

Point:上期計画を超えること自体は驚きにならない。私が見るのは通期の扱いだ。上方修正がなければ、1Qの伸びは一時的な需要と受け取られかねない。『10万円を1年で100万円にする株式投資術』にも書いたように、出来高を伴って上がり始めるのを見てからで遅くはない。

◎【注目度A級】オークワ(8217/小売業)2027年2月期2Q プライム

項目数字
前期実績(2026年2月期)営業収益2526億5500万円(1.0%増)、営業利益18億7800万円(41.4%増)
今期計画(25日に修正)営業利益21億円 → 13億円、純利益6億5000万円 → 5000万円
上期計画(25日に修正)営業収益1263億円 → 1232億2700万円、営業利益6億円 → △5700万円
1Q実績営業収益597億800万円(0.6%減)、営業損益△3億1800万円(前年同期は5900万円の黒字)
前年上期の営業利益5億7900万円(うち1Q 5900万円、2Q 5億2000万円)
配当前期26円 → 今期26円(予想)
28日終値776円(前日比-3.36%)/出来高34万2200株

見どころ:25日15時30分に上期と通期の業績予想を引き下げた。物価高で節約志向が想定以上に強まり、既存店売上高が計画を2.3%下回ったうえ、荒利益率も計画に0.2ポイント届かなかった。通期の営業利益13億円は前期から30.8%の減益になる。

2Qで見る数字:数字の大枠はすでに出ている。修正後の上期から1Qを引くと2Q単独の営業利益は2億6100万円で、前年同期の5億2000万円から49.8%減る。今日見るのは、修正値からさらにぶれるかどうかと、配当の扱いだ。 修正の開示は配当に触れておらず、純利益5000万円の見通しで年26円を続けるかが残る。

スイング目線:28日終値は776円で前日比-3.36%、一時764円まで下げた。出来高は25日の4.5倍に膨らみ、修正への答えは28日に出ている。前年の2Qは13時の開示で、今日も取引時間中に出れば反応は当日に出る。

Point:下方修正のあとの決算は、悪い数字がすでに値段に入っていることが多いが、下げた直後に「もう底だろう」と拾うのは理由になっていない。私なら修正値どおりの着地と、下げ止まりを確かめてからにする。

【本日発表予定】

ハニーズホールディングス(2792/小売業)5月期1Q プライム

婦人服の専門店チェーン。前期は営業利益46億1900万円で21.8%減り、今期も40億円で13.4%の減益計画を置く。上期計画は22億円で19.5%減だ。

TAKARA & COMPANY(7921/その他製品)5月期1Q プライム

上場企業の開示書類づくりを支えるディスクロージャー関連事業が主力。今期は売上342億円(9.8%増)、営業利益49億円(10.9%増)を計画する。

ほかにクラウディアホールディングス(3607)、セキチュー(9976)、フィードフォースグループ(7068)、スローガン(9253)が発表する。

今日の相場観 日経平均は6日ぶり反落、プライムの3分の2が下げた

指標9月28日前日比
日経平均6万5877円62銭486円58銭安(-0.73%)
TOPIX4112.0016.59pt安(-0.40%)
プライム平均株価―-0.41%(中央値-0.44%)
上げた銘柄/下げた銘柄469/103930.2%/66.9%
プライム売買代金約8兆2028億円―

※「プライム平均株価」とは、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を、単純に平均した当サイトの独自指数(詳しくは記事末尾)。

28日の日経平均は486円58銭安の6万5877円62銭と6営業日ぶりに反落した。前週末の米国株高と原油安を受けて買いが先行したが、利益確定売りに押され、国内長期金利の上昇も重荷となって安値で引けた。イビデンが約69円押し下げ、ソフトバンクグループの約76円の押し上げでは支えきれなかった。

プライム平均株価も-0.41%で、下げた銘柄は1039と全体の66.9%を占めた。指数だけでなく中身もそろって下げた日で、一部の銘柄に偏った下げではない。

DCMの-0.93%が地合いに近いのに対し、オークワの-3.36%は下方修正を受けた個別の売りだ。

答え合わせ ハローズは2Qで取り戻せず-1.15%、あさひは開示当日に売られて戻した

ハローズ(2742)の上期営業利益は57億800万円で2.6%減り、上期計画61億4000万円の93.0%にとどまった。計画に届くには2Q単独で21.4%の増益が要ったが、実際の2Q単独は29億8000万円で6.0%増だった。 通期計画は据え置き、28日は一時4000円まで買われたあと3875円(-1.15%)で引けた。

あさひ(3333)は25日13時の開示で、答えはその日に出た。上期営業利益は32億3100万円で14.0%減り、計画33億2000万円の97.3%。2Q単独は1億3400万円で、計画の2億2300万円に届かなかった。25日は一時1252円まで売られ、出来高は61万株と前日の3.5倍に膨らんだが、終値は1288円(-0.39%)まで戻した。通期計画は据え置いた。

しまむら(8227)は28日15時30分に上期を開示し、営業利益は331億2900万円で5.3%増、通期計画668億4200万円に対する進捗は49.6%だった。答えが値段に出るのは今日29日だ。

今週と来週の決算発表予定

日付社数主な銘柄
9月29日(火)8社DCMホールディングス(3050/小売業・プライム) 2月期2Q/オークワ(8217/小売業・プライム) 2月期2Q ほか
9月30日(水)10社アンドエスティHD(2685/小売業・プライム)2月期2Q/ピックルスホールディングス(2935/食料品・プライム)2月期2Q ほか
10月1日(木)6社西松屋チェーン(7545/小売業・プライム)2月期2Q/平和堂(8276/小売業・プライム)2月期2Q ほか
10月2日(金)9社ハイデイ日高(7611/小売業・プライム)2月期2Q/象印マホービン(7965/電気機器・プライム)11月期3Q ほか
10月5日(月)13社ワールド(3612/繊維製品・プライム)2月期2Q/ネクステージ(3186/小売業・プライム)11月期3Q ほか

決算書Watchでは、またぎを推奨していない。

上がる株であれば、決算発表後も伸びるだろうから、そこで買っても遅くはない。

逆であれば、損切りしてマイナスを確定したほうがよい。

ただし、配当を目的にしている場合は、その限りではない。

10月5日は13社と数が増え、小売の2Qに不動産や機械の11月期3Qが並ぶ。オークワのように発表の前に計画を修正した会社は、決算の日より修正の日の値動きに答えが出ている。 損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

「プライム平均株価」について

「プライム平均株価」は、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を単純に平均した当サイトの独自指標で、時価総額でも株価水準でも重みをつけず1銘柄を1票として数える。日経平均は値がさ株、TOPIXは大型株が効くのに対し全銘柄を等しく扱うため、上げ下げが広く行き渡っているのか一部に偏っているのかが見える。ただし日経平均より優れた指標という意味ではなく、あくまで補助線だ。28日の対象は1554銘柄。当社が独自に計算した指標であり、取引所等が公表する指数ではない。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

10万円を1年で100万円にする株式投資術(コマンドY 著)

記事を書いた人

コマンドY

スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。

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https://goldbeans.jp/?p=7805 <![CDATA[ 相続税マンション評価 タワマン節税封じ込めで、中古マンションも「実質増税」に ]]> https://goldbeans.jp/money/page_7805.html Mon, 28 Sep 2026 03:30:00 +0000 Mon, 28 Sep 2026 06:04:41 +0000

この記事でわかること

評価額に掛けられるようになった「区分所有補正率」の計算式
試算するとタワマンは2.19倍、築25年の中古も1.18倍に
評価額が上がっても、現金より4割ほど有利な理由
補正の対象にならないマンション
マンションの持ち主がいまやること2つ

相続税の対策として、都心のタワーマンションの購入。この手法は長らく有効だった。現金で1億円を持っていれば1億円に課税されるが、同じ1億円でマンションを買えば、相続税評価額は3000万円ほどになる。差額の7000万円には課税されない。この乖離を使うのが、いわゆるタワマン節税だ。

国税庁はこれを問題視し、2024年1月1日以後の相続・遺贈・贈与から新しい評価方法を適用。それから3年近くが過ぎている。この手法の効果はどこまで失われたのだろうか。

通達の計算式に実際の数字を入れて確かめてみた。

先に結論を書いておく。タワマンの評価額はおおむね2倍前後に上がったが、やはり現金で持つよりは有利な状態が続いている。そして影響は、タワーマンションを持っている人だけにとどまらない。

いったい何が変わったのか

評価方法が変わったことでどうなったかというと、マンションの評価額に「区分所有補正率」を掛けるようになった。従来の評価額そのものの計算方法は変わっていない。そこに補正率という係数が追加された。

国税庁の法令解釈通達では、まず評価乖離率を次の式で求めることになっている。

評価乖離率 = A + B + C + D + 3.220

記号中身係数
A1棟の区分所有建物の築年数× △0.033
B1棟の区分所有建物の総階数指数× 0.239
C専有部分の所在階× 0.018
D敷地持分狭小度× △1.195
出典=国税庁「居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通達)」

総階数指数は総階数を33で割った値で、小数点以下第4位を切り捨て、1を超える場合は1とする。地階は総階数に含めない。敷地持分狭小度は敷地利用権の面積を専有部分の面積で割った値で、小数点以下第4位を切り上げる。築年数は建築の時から課税時期までで、1年未満の端数は1年として数える。

次に、評価乖離率の逆数である評価水準を出す。

評価水準 = 1 ÷ 評価乖離率

この評価水準がいくつになるかで、扱いが3つに分かれる。

評価水準区分所有補正率意味
0.6未満評価乖離率 × 0.6評価額が上がる
0.6以上1以下補正なし従来どおり
1超評価乖離率評価額が下がる

要するに、市場価格に対して評価額が6割を下回っているものは、6割の水準まで引き上げる。これが制度の骨格である。市場価格の6割までは認めるという線引きだ。全部を時価にするわけではない。

実際に計算してみるとどうなるか

ベランダに洗濯物が並ぶ、板状の中高層マンション
タワマンでないマンションにも影響が(写真はイメージ)

築5年・40階建ての30階、敷地持分狭小度0.15の住戸を想定。都心のタワーマンションとして無理のない数字だ。

・A = 5 × △0.033 = △0.165
・B = 40÷33=1.212 → 1を超えるので1 → 1 × 0.239 = 0.239
・C = 30 × 0.018 = 0.540
・D = 0.15 × △1.195 = △0.179

合計に3.220を足すと、評価乖離率は3.655になる。評価水準は1÷3.655で0.274。0.6を下回るので、区分所有補正率は3.655×0.6=2.193だ。

従来の評価額が3000万円だったなら、6579万円になる。2.19倍である。

では、タワーマンションでない普通の物件はどうか。築25年・8階建ての3階、敷地持分狭小度0.45で計算する。

・A = 25 × △0.033 = △0.825
・B = 8÷33=0.242 → 0.242 × 0.239 = 0.058
・C = 3 × 0.018 = 0.054
・D = 0.45 × △1.195 = △0.538

評価乖離率は1.969、評価水準は0.508。これも0.6を下回るので補正率は1.181になる。従来2000万円なら2363万円だ。

物件評価乖離率評価水準補正率評価額の変化
築5年・40階建の30階3.6550.2742.1933000万円→6579万円
築25年・8階建の3階1.9690.5081.1812000万円→2363万円
相続税評価額の変化。築5年・40階建ての30階のタワーマンションは改正前3000万円から改正後6579万円で2.19倍、築25年・8階建ての3階の中古マンションは2000万円から2363万円で1.18倍
国税庁の通達の式で試算した相続税評価額の変化

ここが見落とされやすい点だ。この改正はタワーマンションだけを狙い撃ちにしたわけではない。築25年の8階建てという、どこにでもある中古マンションでも評価額は2割近く上がるのだ。「タワマン節税の封じ込め」と報じられたものの、影響を受けるのは分譲マンション全般である。タワマンでないマンション所有者もちゃっかり実質増税されるようになったというわけ。

タワマンはいまなお現金よりは有利なことに変わりはない

数字を見ると評価額は大きく上がった。ただ、これで節税効果が消えたかというと、そうではない。

先ほどのタワーマンションの例に戻ると、評価水準0.274ということは、従来の評価額3000万円は市場価格のおよそ27%だったという意味だ。市場価格は逆算すると1億964万円ほどになる。改正後の評価額6579万円は、その6割である。

つまり、1億964万円で買った住戸が6579万円と評価される。現金で1億964万円を持っているより、4385万円ぶん評価が低い。乖離は縮んだが、消えてはいない。制度が6割という線を引いた以上、4割ぶんの差は残り続ける。

ここは正確に理解しておきたい。国税庁は乖離をゼロにしたのではなく、乖離の幅に上限を設けた。市場価格の6割を下回る評価は認めない、という設計だった。

同じ1億964万円を持っている場合で並べると、差ははっきりする。

持ち方相続税評価額現金との差
現金で持つ1億964万円―
マンション(改正前の評価)3000万円△7964万円
マンション(改正後の評価)6579万円△4385万円

改正で失われたのは、7964万円と4385万円の差である3579万円ぶんの圧縮効果だ。残った4385万円は、いまも有効である。

もっとも、これは評価額の話でしかない。マンションは売らなければ現金にならず、値下がりもする。相続人が複数いれば分けにくいという問題も残る。評価額が下がることだけを見て買うと、納税資金が用意できないまま分けられない資産を抱えることになる。これは改正前から変わらない。

低層のマンション、アパートは対象から外れる

すべての物件がこの通達の対象になるわけではない。次のものは適用外だ。

・構造上、主として居住の用途に供することができるもの以外
・区分建物の登記がされていないもの
・地階を除く総階数が2以下のもの
・1棟の区分所有建物に存する居住用専有部分1室の数が3以下で、そのすべてを区分所有者またはその親族の居住の用に供するもの
・たな卸商品等に該当するもの

2階建てのアパートや、1棟まるごと自分と親族で使っている小規模な建物は外れる。逆にいえば、3階建て以上の分譲マンションはほぼ対象と考えてよい。

普通のマンションでも判断が必要な人

この改正が効くのは、相続財産にマンションが含まれる人と、これから相続対策を考える人である。やることは2つだ。

1つは、手持ちの物件の補正率を計算しておくこと。国税庁は「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書」をExcelファイルで公表している。登記事項証明書から築年数・総階数・所在階・敷地権の割合を拾って入力すれば、補正率が自動で出る。申告書に添付する様式そのものなので、ここで出した数字がそのまま使える。

もう1つは、すでに立てた相続計画を見直すこと。2024年より前に試算した評価額は、いまの制度では通用しない。遺産分割の方針や納税資金の手当てを評価額ベースで組んでいたなら、前提が変わっている。とくに2.19倍という水準を見れば、納税資金が足りるかどうかの結論は変わる可能性がある。

タワマン節税は死んでいない。効き目が半分ほどになり、そのかわり普通のマンションにも薄く効くようになったというのが、3年近くたったいまの姿なのである。

※評価乖離率・区分所有補正率の算式と適用対象外の範囲は、国税庁「居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通達)」およびタックスアンサーNo.4667による。試算の物件は架空のもので、実際の評価額は物件ごとに異なる。

【合わせて読みたい】

・節税効果がなくなっただけでは済まない、タワーマンションの落とし穴
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https://goldbeans.jp/?p=7793 <![CDATA[ マンション管理会社の値上げ要求、断ると契約終了も 3つのチェックポイントと交渉法 ]]> https://goldbeans.jp/real_estate/page_7793.html Sat, 26 Sep 2026 01:30:00 +0000 Fri, 25 Sep 2026 21:56:24 +0000

この記事でわかること

管理費の平均は月1万1503円、上がっているのは「経費」のほう
値上げの背景にある人件費・採用難・外注費・法改正
断ったあとの3つの結末と「3か月」の壁
値上げの妥当性を見極める3つのチェックポイント
通告が来る前に、理事会でやっておくこと

管理組合の理事会に、管理会社から一通の書面が届く。管理委託費の改定について、という表題で、来期からの値上げを求める内容だ。金額は現行の1割から2割、物件によってはそれ以上になる。

数年前なら、こうした提案は交渉の余地があった。断れば引き下がる会社も多かった。いまは事情が違う。断った結果として、管理会社のほうから契約を終わらせるケースが出ている。何が起きているのかを整理しておきたい。

まず現状の数字を押さえる

国土交通省が公表した令和5年度マンション総合調査の結果から、管理費の水準を確認する。

項目月/戸当たりの平均
管理費(駐車場使用料等からの充当額を含む総額)1万7103円
管理費(駐車場使用料等からの充当額を除く額)1万1503円
修繕積立金(充当額を含む総額)1万3378円
修繕積立金(充当額を除く額)1万3054円
月/戸当たりの平均。出典=国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」

管理費と修繕積立金は別の財布である。管理費は管理会社への委託費や管理員の人件費、日常の清掃・点検にあてる。修繕積立金は十数年に一度の大規模修繕のために貯める。値上げ要求が来ているのは前者で、これは貯金ではなく毎月出ていく経費だ。

同じ調査では、単棟型の管理費(充当額を除く)は1万1580円で、前回調査の1万0970円から610円上がっている。すでに水準は切り上がっている。

なぜ値上げが起きているのか

理由は複合している。順に見ていく。

人件費である。 管理員の時給は最低賃金の引き上げに直接連動する。管理員業務は最低賃金近辺の求人が多く、最低賃金が上がればそのぶん原価が上がる。管理会社が吸収できる幅を超えれば、委託費に乗せるしかない。

採用ができない。 管理員の高齢化が進み、募集しても人が集まらない。時給を上げなければ採用できず、上げれば原価が上がる。管理会社にとっては、人を確保するための値上げでもある。

外注費が上がっている。 エレベーター保守、清掃、消防設備点検といった業務は協力会社に出している。その協力会社からの値上げ要請が管理会社に届き、管理会社から管理組合に回ってくる。

制度も重くなる。 マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則の一部を改正する省令が2025年10月2日に公布され、2026年4月から施行された。管理業者が管理者を兼ねる方式などで、利益相反のおそれがある発注について区分所有者への事前説明が義務づけられている。管理組合を守るための改正だが、管理会社から見れば手続きと人員のコストが増える。

管理会社の値上げ要求を断ったあとの3つの経過。据え置きで合意、仕様の見直しで金額は維持し業務量が減る、管理会社が更新を辞退して3か月ほどで管理会社が不在になる
断った先は3通りに分かれる。いま増えているのは3つ目の更新辞退だ

値上げ要求を断るとどうなるか

管理会社からの値上げを断った場合に起きることは、大きく3つに分かれる。

1つ目は、交渉が成立して据え置きになる場合。 管理会社にとって採算の取れている物件なら、契約を失うほうが損になる。戸数が多く、管理員の勤務形態に無理がなく、滞納が少ない物件はこちらに入りやすい。

2つ目は、仕様を落としてつじつまを合わせる場合。 金額は据え置くかわりに、管理員の勤務時間を週6日から週5日に減らす、清掃の回数を減らす、といった調整をする。合意としては穏当だが、下がったのは金額ではなくサービスの量である。分譲であれば居住者への連絡がなされるが、賃貸の場合は数か月経ってから居住者から「最近ゴミ置き場が汚い」と苦情が出てくる可能性がある。

3つ目は、管理会社が契約更新を辞退する場合。 これがいま増えている。採算の合わない物件、とくに小規模で管理員の確保が難しい物件では、管理会社のほうから手を引く。値上げを断ったのではなく、断った結果として契約が終わる。

断ったあとの経過起きること起きやすい物件
据え置きで合意現状維持戸数が多く採算の取れる物件
仕様の見直し金額は維持・業務量が減る中規模で調整余地のある物件
更新辞退3か月ほどで管理会社が不在になる小規模・管理員確保が難しい物件
「更新辞退」の3か月は、標準管理委託契約書で更新の申し出が契約満了の3か月前までとされていることによる

辞退の通告は、契約期間の満了の数か月前に届く。標準管理委託契約書では更新の申し出は契約満了の3か月前までとされているのが一般的で、動ける時間はおよそ3か月しかない。その間に新しい管理会社を探し、見積りを取り、理事会で候補を絞り、総会で決議する必要がある。総会の招集通知にも日数がいるため、実際の検討時間はもっと短い。

そして、探しても見つからないことがある。前の管理会社が採算に合わないと判断した物件は、他社から見ても同じく採算に合わないと判断されるだろう。ここで管理会社が決まらないまま管理不全に陥るのが最悪のパターンである。

値上げの妥当性をどう判断するか

マンションの管理規約・使用細則の冊子

値上げをすべて受け入れる必要はない。判断するための材料は、管理組合の側にもある。

内訳を出してもらう。 管理委託費は一つの金額ではなく、事務管理業務費・管理員業務費・清掃業務費・建物設備管理業務費などの合算である。どの項目がいくら上がるのかを出してもらえば、人件費が問題なのか外注費がネックなのかが分かる。総額だけの提示は、判断材料として不足していると考えてよい。

人件費が要因の値上げは、断っても下がりにくい。最低賃金は毎年上がっており、管理会社の努力で吸収できる性質のものではないからだ。一方、外注費や本部経費の上乗せには交渉の余地が残る場合がある。どこを争点にするかを内訳から見て、そこから話し合うのが、実務的な交渉になる。

こうした交渉を進める一方で、他社からの相見積りを取る。 他社に見積りを依頼すれば、提示額が相場から外れているかどうかが分かる。注意したいのは、相見積りは必ずしもリプレイスのためではない点だ。現在の管理会社に残ってもらう前提でも、水準を知る意味がある。

もっとも、相見積りを取ること自体が交渉の材料になると考えるのは危ない。契約中の管理会社が採算の合わない物件だと判断しているということは、他社も同じ見方をする。見積りが集まらないこと自体が、その物件の置かれた状況を示す情報になる。数字が出てこなければ、値上げを受け入れて管理を続けてもらう判断も現実的な選択肢になってくる。

仕様を見直す。 管理員の勤務日数、清掃の頻度、点検の回数は、いまの居住実態に合っているとは限らない。竣工時のまま見直していない物件は多い。必要のない業務を減らして値上げを吸収するのは、サービスの劣化ではなく適正化である。

理事会で決めておくこと

値上げの通告が来ていない管理組合も、やっておくことがある。

管理委託費の内訳を、直近3期ぶん並べてみることだ。どの項目が上がってきているかが見えれば、次に来る提案の中身が予測できる。あわせて、現在の契約の満了日と、更新の申し出期限を確認しておく。なぜなら3か月前に通告が来てから調べはじめるのでは間に合わないからだ。

管理費の3か月以上の滞納がある住戸を抱えるマンションは30.1%にのぼる。滞納は管理会社から見た物件の採算に直結する。値上げへの備えとしても、滞納の回収は先に手をつけておきたい。

値上げを断ること自体は組合の正当な判断だが、いまは断った先に相手が降りる可能性がある。その前提で交渉に臨むかどうかで、結果は変わってくる。

※管理費・修繕積立金の額、滞納の割合は、国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」による。法改正は「マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(令和7年国土交通省令第102号)による。

【合わせて読みたい】

・マンション管理組合は何もしなくてもOK? 「第三者管理」の落とし穴
・マンションを購入するなら管理で選べ 管理組合役員目線からのチェックポイント
・マンションを購入するなら管理で選べ マンション管理のチェックポイント(上級編)

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https://goldbeans.jp/?p=7762 <![CDATA[ 2027年4月新リース会計で見えてくる、会社の”すっぴん美人度” ]]> https://goldbeans.jp/money/page_7762.html Thu, 24 Sep 2026 23:00:00 +0000 Thu, 24 Sep 2026 09:37:28 +0000

この記事でわかること
・2027年4月から何が変わるのか 家賃が「負債」に変わる仕組みと、例外になる2つのリース
・店舗を借りる会社と持つ会社で、決算書の見え方がどう分かれるか(ファーストリテイリングの実額で検証)
・自己資本比率は下がるのに営業利益は増える 指標の方向が逆に出る理由
・格付会社が「格付への影響はない」と言い切る根拠と、税金が変わらない理由
・それでも株価が動きうる会社 財務制限条項という落とし穴
・2027年を待たずに、いまの決算書から自分で計算し直す方法

家賃が「負債」になる

企業会計基準委員会が2024年9月13日に公表した企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」が、2027年4月1日以後に開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用される。2025年4月1日以後に開始する年度からの早期適用も認められている。

借手についてファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分が廃止され、これまで家賃を費用に落としていただけの取引が、原則すべて「使用権資産」と「リース負債」になって貸借対照表に載る。

対象は複合機や社用車にとどまらない。基準がリースと識別するのは特定された資産の使用を支配する権利が移転している契約であり、契約の名前は問わないため、店舗の賃貸借契約も倉庫も船も航空機も入る。格付投資情報センター(R&I)は影響の大きい業種として、小売・百貨店や外食、陸運・倉庫、海運、空運、住宅・不動産を挙げている。

例外は、リース期間が12か月以内で購入オプションを含まない短期リースと、1件当たりのリース料総額が300万円以下などの少額リースの2つ。だが店舗の賃借はどちらにも当てはまらない。

借りる会社と、持つ会社

同じ売上高、同じ利益の2社があるとする。一方は店舗を自社で保有し、一方はすべて賃借している。これまでは持つ会社の貸借対照表に建物と土地が並ぶ一方、借りる会社は家賃を販管費に計上するだけで、総資産は小さく自己資本比率は高く見えていた。

2027年4月以降、この差が消える。借りる会社にも使用権資産と同額のリース負債が載り、自己資本は増えないため、自己資本比率は下がって総資産が分母のROAも下がる。

どれくらい効くのか。すでにIFRS第16号を適用しているファーストリテイリングの2025年8月期が参考になる。使用権資産は4771億1100万円で資産合計3兆8593億5300万円の12.4%。リース負債は流動1268億3000万円と非流動3866億7000万円の合計5135億円で、負債合計1兆5318億5200万円の33.5%を占める。負債の3分の1が、店舗を借りているという事実から生まれた数字だ。

同社の親会社所有者帰属持分比率は58.9%だが、仮に使用権資産を資産から除いて計算すると67.2%になる。オンバランスしているかどうかだけで8.3ポイントの差が出るわけで、日本基準のまま店舗を借りている会社は2027年にこの段差を一度に飛び越えることになる。

項目金額構成比
使用権資産4771億1100万円資産合計の12.4%
リース負債(流動)1268億3000万円―
リース負債(非流動)3866億7000万円―
リース負債 合計5135億円負債合計の33.5%
資産合計3兆8593億5300万円―
負債合計1兆5318億5200万円―
親会社所有者帰属持分比率58.9%―
(参考)使用権資産を除いた場合67.2%差8.3ポイント
表1 ファーストリテイリングに見るリースの重さ(2025年8月期)。出所:同社2025年8月期決算短信〔IFRS会計基準〕(連結)。構成比と「使用権資産を除いた場合」は筆者計算

損益計算書では、逆に「得」をする

見落とされやすいのは、貸借対照表が悪くなる一方で損益計算書は良くなることだ。

家賃として販管費に入っていたものが使用権資産の減価償却費と支払利息に分かれ、このうち支払利息は営業外費用に回るため、その分だけ営業利益は大きくなる。R&Iは売上高営業利益率やEBITDAマージンは上昇し、EBITDAも増加するとしている。リース料の支払いが財務キャッシュフローに移るため、営業キャッシュフローも増える。

同じ会社が同じ事業をやったまま、営業利益もEBITDAも営業キャッシュフローも増えて見える。健全性の指標は悪化し、収益性の指標は改善する。方向が逆に出るところが、この制度変更のややこしいところだ。

KPMGが示した小売業のモデルケースでは、有利子負債が600億円増える前提で自己資本比率は33.3%から25.0%へ、ROICは5.0%から3.3%へ悪化する一方、EBITDAは300億円から350億円へ、営業キャッシュフローは250億円から280億円へ増えるとしている。

指標方向理由
自己資本比率悪化総資産が増え、自己資本は増えない
ネットD/Eレシオ悪化リース負債が有利子負債に加わる
ROA低下分母の総資産が増える
売上高営業利益率上昇支払利息が営業外費用に回る
EBITDAマージン上昇家賃が減価償却費に置き換わる
営業キャッシュフロー増加リース料の支払いが財務CFへ移る
財務キャッシュフロー減少同上
課税所得変わらない税務は引き続き賃貸借として損金算入
表2 新リース会計基準で財務指標はどう動くか。出所:R&I「新リース会計基準に関するQ&A」(2025年3月31日)、国税庁「令和7年度法人税関係の改正の概要」をもとに作成

投資家目線ではどう見るか

では投資家はどう受け止めればいいのか。結論から言えば、数字が動いたこと自体に驚く必要はない。

R&Iは2025年3月31日に「新リース会計基準に関するQ&A」を公表し、表題に「適用で負債が増えても、基本的に格付への影響はない」と掲げた。同社はオフバランス処理されていても営業に必要不可欠で重要と判断した資産は有利子負債で調達・購入したものとして財務諸表を調整しており、多額のリース負債が計上されそうな発行体はすでにオンバランスした姿を見据えて評価しているという。

「財務諸表の変化は会計基準変更に伴うものであって経済的な実態に変化はないことから、基本的には格付評価上中立と考えている」。同社のチーフアナリスト、後藤潤氏と渡辺博紀氏は同リリースでそう書いており、未経過リース料の注記やヒアリングで取引を把握してきたとも述べている。プロは注記を読んで、とっくに足し戻していたということだ。

税金も変わらない。2025年度の税制改正で、オペレーティング・リース取引については引き続き賃貸借取引として債務の確定した支払賃借料を損金に算入することとされた。会計が変わっても課税所得は動かない。

それでも、動く会社はある

とはいえ全社が中立というわけではなく、R&Iも2つの例外を挙げている。

1つは、認識されていなかった重要なリース取引が表に出てきた場合で、リースだと思われていなかった契約が新しい識別基準でリースになれば、金額次第で格付に影響しうる。

もう1つが実務では重い。財務制限条項への抵触である。借入契約に自己資本比率や純資産額の維持を約束する条項が入っていると、会計基準が変わっただけで数字が基準を割り込むことがありうる。R&Iも、財務制限条項へ抵触して金融機関の融資姿勢に変化が生ずるなど実際に資金調達に変化があれば、格付にも影響する可能性はあるとしている。実態は何も変わっていないのに、契約書の文言が資金繰りを締めるという筋だ。

投資家として見るべきはここだろう。2027年に自己資本比率が下がったという事実そのものではなく、その会社が借入契約の条項を貸し手と手当てできているか。多くの会社は適用前に銀行と条項を巻き直すはずだが、それができる会社とできない会社がある。

注記を読む習慣が、差になる

制度が始まるまで1年半あるが、投資家にできる準備はもう始められる。

これからリース負債として載る金額は、いまの決算書にも「未経過リース料」として注記されているため、格付会社がやってきたのと同じことを個人でもできる。保有銘柄の有価証券報告書で「リース取引関係」の注記を探し、オペレーティング・リースの未経過リース料を総資産に足して自己資本比率を計算し直す。それが2027年に見えるようになる姿の近似値だ。

そこで大きく動く会社があれば、2027年の決算発表で驚くのは自分ではなく他の投資家のほうだろう。

会計基準は事実を作らない。すでにあった事実の見え方を変えるだけだ。家賃を払い続けるという約束は、制度が変わる前からその会社の負債だった。2027年4月に起きるのは、それがようやく1つの表に並ぶというだけのこと。制度が追いついてくる前に、自分の目で足し戻しておきたいところだ。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

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https://goldbeans.jp/?p=7789 <![CDATA[ 日経平均の4日続伸は半導体3銘柄で上げ幅超え、今日25日は内需の小売2社|決算ウォッチ ]]> https://goldbeans.jp/financial/page_7789.html Thu, 24 Sep 2026 20:00:00 +0000 Thu, 24 Sep 2026 11:12:55 +0000 この記事でわかること
・今日25日の決算発表は4社 プライムは2月期2Qの小売2社
・今日の相場観 日経平均の4日続伸は、半導体3銘柄で上げ幅を超えた
・答え合わせ コーセルは決算を受けて+6.71%、オラクルと大光は今日値段が付く
・今週と来週の決算発表予定

今日25日の決算発表は4社 プライムは2月期2Qの小売2社

今日25日に決算発表を行う予定は4社で、プライムはハローズ(2742)とあさひ(3333)の2社。どちらも2月期の2Q(上期)になる。2社とも1Qは増収ながら営業減益で、今日の数字は2Qの3か月で1Qの減益を取り戻せたかを見る場だ。

☆【注目度S級】ハローズ(2742/小売業)2027年2月期2Q プライム

項目数字
前期実績(2026年2月期)営業収益2257億1900万円(7.1%増)、営業利益124億7300万円(1.7%増)
今期計画(2027年2月期)営業収益2456億2200万円(8.8%増)、営業利益125億9000万円(0.9%増)
上期計画営業収益1217億4700万円(9.1%増)、営業利益61億4000万円(4.8%増)
1Q実績営業収益578億7600万円(7.2%増)、営業利益27億2800万円(10.5%減)。販管費131億4200万円(11.6%増)
前年上期の営業利益58億5800万円(うち1Q 30億4700万円、2Q 28億1100万円)
配当前期70円 → 今期72円(予想)
24日終値3930円(前日比-0.88%)/出来高3万6600株

広島・岡山を中心に中四国と兵庫で114店舗のスーパーマーケットを展開する。

見どころ:1Qは7.2%の増収ながら営業利益は10.5%減った。販管費が11.6%増と売上の伸びを上回っており、増収が利益に届いていない。 前期も7.1%増収に対して営業増益は1.7%にとどまっていた。

2Qで見る数字:上期計画の営業利益61億4000万円に対し、1Qの進捗は44.4%。前年は1Qで上期の52.0%を稼いでいたので、そのぶん遅れている。 計画に届くには2Q単独で34億1200万円、前年同期の28億1100万円から21.4%の増益が要る。上期で前年の58億5800万円を下回れば、通期の0.9%増益計画にも疑問符が付く。

スイング目線:24日終値は3930円で前日比-0.88%、3営業日前から-1.01%。20営業日の日中値幅は平均2.30%、24日の売買代金は1億4000万円ほどで、プライムとしては板が薄い。

Point:私が見たいのは2Q単独の営業利益だ。売上が伸びても利益が減る会社は「どこかに無理がある」と『10万円を1年で100万円にする株式投資術』にも書いたが、1Qの減益がコスト増の一時的な山なのか、続く流れなのかは2Qの3か月でしか確かめられない。

◎【注目度A級】あさひ(3333/小売業)2027年2月期2Q プライム

項目数字
前期実績(2026年2月期)売上813億7400万円(0.3%減)、営業利益39億3700万円(28.2%減)
今期計画(2027年2月期)売上862億7800万円(6.0%増)、営業利益43億円(9.2%増)
上期計画売上479億4100万円(4.4%増)、営業利益33億2000万円(11.6%減)
1Q実績売上277億8600万円(2.5%増)、営業利益30億9700万円(5.3%減)
前年上期の営業利益37億5600万円(うち1Q 32億7000万円、2Q 4億8600万円)
配当前期50円 → 今期50円(予想)。今期から配当性向35%以上・DOE3.0%を目安とする方針
24日終値1293円(前日比-1.45%)/出来高17万2600株

自転車専門店「サイクルベースあさひ」を全国に557店舗(直営539・FC18)展開する。

見どころ:前期は売上がほぼ横ばいで営業利益は28.2%減った。1Qも2.5%増収で営業利益は5.3%減と、減益の流れはまだ止まっていない。

2Qで見る数字:1Qの営業利益30億9700万円で、上期計画33億2000万円の93.3%に達している。前年も上期37億5600万円のうち32億7000万円を1Qで稼いでおり、2Qはもともと利益の小さい四半期だ。 計画の2Q単独は2億2300万円と前年同期の4億8600万円から54.1%減に置かれており、これを超えれば上期計画は上回る。

スイング目線:24日終値は1293円で前日比-1.45%。出来高は17万2600株と前日の10万株から1.7倍に膨らみ、20営業日では-5.3%と決算を前に売られてきた位置にある。

Point:上期計画は低く置かれているため、上回っても驚きにはなりにくい。私が見るのは通期の営業利益43億円・9.2%増益を据え置くかどうかだ。 上期で計画を超えても通期に手を付けなければ、市場の関心は下期の数字へ移る。

【本日発表予定】

パレモ・ホールディングス(2778/小売業)2月期2Q スタンダード
 9月15日に上期予想を下方修正しており、営業利益は2億円から7100万円へ64.5%引き下げた。天候不順と自然災害で既存店売上高は前年比97.7%。数字の大枠はすでに出ている。

ニイタカ(4465/化学)5月期1Q スタンダード
 業務用洗剤・洗浄剤のメーカー。今期は11.7%増収ながら営業利益18億円で15.0%の減益計画を置く。前年1Qは営業利益5億8200万円で36.6%増と伸びていた。

今日の相場観 日経平均の4日続伸は、半導体3銘柄で上げ幅を超えた

指標9月24日前日比
日経平均6万5513円99銭495円04銭高(+0.76%)
TOPIX4075.3015.84pt安(-0.39%)
プライム平均株価―+0.01%(中央値-0.15%)
上げた銘柄/下げた銘柄674/83943.3%/54.0%
プライム売買代金約9兆2038億円―

※「プライム平均株価」とは、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を、単純に平均した当サイトの独自指数(詳しくは記事末尾)。

24日の日経平均は495円04銭高の6万5513円99銭と4日続伸した。休場中の米国市場でAI・半導体株が買われた流れを受け、アドバンテストが243円77銭、イビデンが191円08銭押し上げ、2銘柄で上げ幅の87.8%を占めた。 東京エレクトロンの81円46銭を足すと、3銘柄で上げ幅を超える。

一方でTOPIXは15.84pt安と下げ、プライムで上げた674銘柄は下げた839銘柄を下回った。プライム平均株価は+0.01%とほぼ横ばいで、指数の上げは半導体に集中し、全体としては動いていない日だった。 国内の長期金利の上昇が重荷となり、商社やトヨタは売られている。

今日の2社はどちらも内需の小売株で、24日の上げとはほぼ無縁の場所にいる。ハローズもあさひも24日は下げており、決算の数字は指数の地合いと切り離して読むほうがよい。

答え合わせ コーセルは決算を受けて+6.71%、オラクルと大光は今日値段が付く

コーセル(6905)の24日終値は1463円で前日比6.71%高、出来高は90万8200株。18日引け後に出た1Qの答えが値段に出た最初の日で、決算前の17日終値1320円から2営業日で10.8%上げた。 売上高が54.0%増と受注が売上に変わる速さを見せ、通期の営業利益計画も23億円へ引き上げた決算に、市場は買いで応えている。

24日付けの記事で取り上げた2社は、24日15時30分に1Qを開示した。日本オラクルは売上748億6100万円で13.0%増、営業利益259億1800万円で22.7%増。クラウドが251億4300万円で31.7%増と伸びを保ち、前年1Qの4.8%減益から増益に戻った。

大光は売上206億300万円で9.4%増えたが、営業損益は362万9000円の赤字に転じた。前期に足を引っ張った水産品事業は157万8000円と小幅ながら黒字を保ち、今回はアミカ事業の26.3%減益が響いた。 24日の終値は日本オラクルが-1.73%、大光が+2.58%だが、どちらも開示前の値段で、決算への答えが出るのは今日25日だ。

今週と来週の決算発表予定

日付社数主な銘柄
9月25日(金)4社ハローズ(2742/小売業・プライム) 2月期2Q/あさひ(3333/小売業・プライム) 2月期2Q ほか
9月28日(月)2社しまむら(8227/小売業・プライム)2月期2Q ほか
9月29日(火)8社DCMホールディングス(3050/小売業・プライム)2月期2Q/オークワ(8217/小売業・プライム)2月期2Q ほか
9月30日(水)10社ピックルスホールディングス(2935/食料品・プライム)2月期2Q ほか
10月1日(木)6社西松屋チェーン(7545/小売業・プライム)2月期2Q/平和堂(8276/小売業・プライム)2月期2Q ほか
10月2日(金)9社ハイデイ日高(7611/小売業・プライム)2月期2Q/象印マホービン(7965/電気機器・プライム)11月期3Q ほか

決算書Watchでは、またぎを推奨していない。

上がる株であれば、決算発表後も伸びるだろうから、そこで買っても遅くはない。

逆であれば、損切りしてマイナスを確定したほうがよい。

ただし、配当を目的にしている場合は、その限りではない。

来週は2月期決算の小売の2Qが続く。どの会社も上期計画は開示済みなので、1Qの進捗率を先に計算しておけば、発表の日に見る数字は1つに絞れる。 損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

「プライム平均株価」について

「プライム平均株価」は、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を単純に平均した当サイトの独自指標で、時価総額でも株価水準でも重みをつけず1銘柄を1票として数える。日経平均は値がさ株、TOPIXは大型株が効くのに対し全銘柄を等しく扱うため、上げ下げが広く行き渡っているのか一部に偏っているのかが見える。ただし日経平均より優れた指標という意味ではなく、あくまで補助線だ。24日の対象は1555銘柄。当社が独自に計算した指標であり、取引所等が公表する指数ではない。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

10万円を1年で100万円にする株式投資術(コマンドY 著)

記事を書いた人

コマンドY

スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。

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https://goldbeans.jp/?p=7772 <![CDATA[ 金利上昇で「個人向け国債」年1.95% 活用法と知っておきたいNGポイント ]]> https://goldbeans.jp/money/page_7772.html Thu, 24 Sep 2026 03:15:00 +0000 Thu, 24 Sep 2026 08:37:42 +0000

この記事でわかること
・9月募集分は変動10年が年1.95% 利率がどう決まり、なぜ先月より上がったのか
・100万円を1年預けたら手元にいくら残るか メガバンク・ネット銀行との差額を実額で比較
・変動10年と固定5年はどちらが得か 利率の高い固定を選ばないほうがよい場合
・1年で解約すると利息がまるごと消える 中途換金調整額という仕組み
・預金保険の1000万円の上限がない すぐ使う資金と当面動かさない資金の切り分け
・NISAもiDeCoも対象外 年3961円の税負担と、2027年度に向けた税制改正の動き

長いあいだ、個人向け国債は語る価値のない商品だった。下限金利0.05%に張りついたまま10年が過ぎ、預けても利息はほぼゼロ。買う理由が見当たらなかった。

その国債の利率が、2026年9月募集分で年1.95%になっている。銀行の定期預金を上回る水準で、しかも国が元本を保証する。日銀が9月18日に政策金利を1.25%程度へ引き上げたこともあり、この商品の位置づけは完全に変わった。何が起きたのかを整理しておきたい。

9月募集分の条件を確認する

財務省が2026年9月2日に発表した個人向け国債の発行条件は、次のとおりである。

種類回号初回の適用利率税引後利率の算式償還期限
変動10年第198回債年率1.95%1.5538575%基準金利×0.66令和18年10月15日
固定5年第186回債年率2.24%1.7849440%基準金利−0.05%令和13年10月15日
固定3年第196回債年率1.96%1.5618260%基準金利−0.03%令和11年10月15日
表1 個人向け国債 2026年9月募集分の発行条件。募集期間は2026年9月3日〜9月30日、発行日は10月15日。いずれも下限は0.05%。出所:財務省「個人向け国債の発行条件等」(令和8年9月2日)

募集期間は2026年9月3日から9月30日まで、発行日は10月15日。利払いは毎年4月15日と10月15日の年2回である。取扱機関は証券会社・銀行など873機関にのぼる。

利率の決まり方も公表されている。変動10年は基準金利×0.66で算出され、9月分の基準金利は前営業日の10年固定利付国債の入札結果から算出された2.96%だった。2.96×0.66は1.9536で、小数第2位までとって1.95になる。

固定5年は基準金利マイナス0.05%、固定3年は同マイナス0.03%で決まる。基準金利は前営業日の市場実勢利回りを基に計算した想定利回りで、固定5年が2.29%、固定3年が1.99%だった。いずれも下限は0.05%である。

なお前月の8月募集分は変動10年が1.87%だったので、1か月で0.08ポイント上がっている。利率は毎月見直されるので、募集のたびに条件が変わる商品だという点は押さえておきたい。

注意したいのは、9月分の基準金利が9月2日時点の数字であって、日銀が18日に利上げを決める前の水準だという点だ。引き上げが長期金利に波及すれば10月分以降の条件はさらに上がる余地があるが、変動10年なら半年ごとに見直されるので、その差が効くのは初回の半年分だけになる。

定期預金と並べてみる

前提を揃えて比較する。100万円を1年預けた場合の税引後の利息だ。

商品税引前利率税引後利率100万円1年の利息
個人向け国債 固定5年2.24%1.7849440%1万7849円
個人向け国債 固定3年1.96%1.5618260%1万5618円
個人向け国債 変動10年1.95%1.5538575%1万5539円
あおぞら銀行BANK 定期1年1.40%1.1155900%1万1156円
三菱UFJ銀行 スーパー定期1年0.65%0.5179525%5180円
個人向け国債 下限0.05%の場合0.05%0.0398425%398円
表2 100万円を1年預けた場合の税引後利息。税引後は源泉徴収20.315%を差し引いた値(税引前×0.79685)。あおぞら銀行は預入50万円以上、三菱UFJ銀行は300万円未満の場合。出所:財務省、あおぞら銀行(2026年9月1日改定)、三菱UFJ銀行(2026年9月18日時点)。税引後利率と利息は筆者計算

変動10年と三菱UFJ銀行の定期預金1年では、1年で1万359円の差がつく。ネット銀行の高金利定期と比べても4383円の開きがある。

下限の0.05%だった場合と比べれば、利息は39倍になる計算だ。これが「使える商品に戻った」という意味である。

変動と固定、どちらを選ぶか

表を見ると固定5年の2.24%が最も高い。素直に読めば固定5年が有利に見えるが、そう単純でもない。

変動10年の適用利率は半年ごとに見直される。いまは固定5年より低いが、今後さらに金利が上がれば変動10年の利率も上がっていく。日銀の政策金利は2026年9月18日に1.25%程度へ引き上げられた。決定は賛成7・反対2で、反対した浅田統一郎委員と佐藤綾野委員はこのタイミングでの利上げは適切でないという立場だ。日銀は公表文で、引き続き政策金利を引き上げて金融緩和の度合いを調整していくことになると述べており、次の一手が利上げなら変動が追い上げる。

逆に金利がここで頭打ちになるなら、2.24%を5年間固定できる固定5年が勝つ。

判断の分かれ目は、いまが金利上昇局面の途中なのか、終わりなのかという読みにある。これを当てるのは難しい。当てにいかないなら変動10年を選ぶ、というのが穏当な考え方だろう。変動は上がっても下がっても市場に追随するので、読みを外したときの後悔が小さい。

金利が下がる局面でも、変動10年には下限0.05%がある。市場金利がマイナスになっても、それ以下にはならない。下方向が制度で塞がれているのは、この商品の見過ごされがちな特徴だ。

中途換金の条件を正確に押さえる

国債は満期まで持つのが原則だが、途中で換金できる。条件は明快だ。

第2期利子支払日(発行から1年経過)以後であれば、いつでも中途換金できる。直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が中途換金調整額として差し引かれる。

100万円の変動10年を利率1.95%のまま1年で換金した場合、半年分の利子は9750円なので、調整額は9750×2×0.79685で1万5539円になる。ちょうど1年分の税引後利息が消える計算だ。元本は割れないが、1年で解約すれば利息は残らない。

つまりこの商品は、1年以内に使う予定の資金には向かない。発行から1年間は換金そのものができないので、なおさらである。保有者が亡くなった場合と大規模な自然災害の被害を受けた場合の特例はあるが、例外の扱いだ。

預金との使い分け

国債と定期預金は似て非なるものだ。3点で異なる。

保護の仕組み。銀行預金は預金保険で1金融機関あたり元本1000万円とその利息までが保護される。国債は国が元本と利子の支払いを保証するので、金額の上限がない。1000万円を超える資金を安全に置くなら、この差は大きい。

流動性。定期預金は中途解約しても元本は戻り、利率が下がるだけで済む。国債は1年間そもそも換金できない。すぐ使う資金は預金、当面動かさない資金は国債という切り分けになる。

手続き。国債は募集期間が月に一度で、買いたいときにいつでも買えるわけではない。9月分なら9月30日までで、逃せば翌月の条件を待つことになる。利率と条件は国が決めるので、873機関のどこで買っても中身は同じだ。

NISAもiDeCoも使えない

ここで読者が思うのは、NISAで買えば非課税になるのではないかという点だろう。結論は買えない。

金融庁の資料では、NISAの投資対象商品はつみたて投資枠が「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」、成長投資枠が「上場株式・投資信託等」とされている。個人向け国債は上場株式でも投資信託でもないので、どちらの枠にも入らない。

iDeCoも同じだ。運用商品として選べるのは定期預金・保険商品・投資信託の3種類で、個人向け国債そのものは並んでいない。

この差は小さくない。変動10年の1.95%には20.315%の税がかかるので、100万円を1年持って手元に残るのは1万5539円。非課税なら1万9500円で、1年で3961円、利率が変わらないまま10年持てば3万9614円が税で消える。安全資産として国債を選ぶなら、この税負担が前提になる。

国債の発行条件を決める財務省。NISA対象化を含む税制の検討が要望に載った
国債を売りたい財務省

もっとも、ここは動く可能性がある。金融庁が2026年8月31日に公表した令和9年度税制改正要望には、「国債に関する税制の検討」が財務省との共同要望として載った。片山さつき財務大臣兼内閣府特命担当大臣も7月14日の閣議後会見で、国債の魅力化と商品性見直しを「早急に具体化したい」と述べ、NISAについても整理が必要なことを含めて考えていきたいとしている。要望は具体的な制度設計を示さない「事項要望」の段階であり、対象化が決まったわけではない。いま買うかどうかの判断は、現行の課税を前提に考えるのが筋だ。

長く「買う理由のない商品」だった個人向け国債が、預金金利を上回る位置に戻ってきた。利率は毎月見直されるので、来月の条件は今月と違う。金利のある世界では、置き場所の選択肢が一つ増えたことになる。生活費の予備を削ってまで買うものではないが、当面動かさない資金が普通預金に眠っているなら、比べてみる価値はあるだろう。

※本記事は2026年9月21日時点の公表資料にもとづく情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品を推奨するものではありません。個人向け国債の適用利率は募集月ごとに見直されるため、記載の利率は9月募集分(発行日2026年10月15日)のものです。預金金利も各金融機関の改定により変動します。購入にあたっては財務省および取扱金融機関の最新の条件をご確認ください。

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https://goldbeans.jp/?p=7782 <![CDATA[ 日本オラクルのクラウドは34.3%増、前期配当858円のうち660円は特別配当|決算ウォッチ ]]> https://goldbeans.jp/financial/page_7782.html Wed, 23 Sep 2026 20:00:00 +0000 Mon, 21 Sep 2026 19:12:45 +0000 この記事でわかること
・今日24日の決算発表は2社 4営業日ぶりの再開日
・今日の相場観 4営業日ぶりの再開は、休場中の外部環境をまとめて織り込む
・答え合わせ 18日のコーセルは大商いで+3.86%、通期を上方修正
・今週と来週の決算発表予定

今日24日の決算発表は2社 4営業日ぶりの再開日

今日24日に決算発表を行う予定は日本オラクル(4716)と大光(3160)の2社。どちらも5月期の1Qになる。前営業日は9月18日の金曜で、土日と3連休を挟み東京市場は4営業日ぶりの取引再開だ。

☆【注目度S級】日本オラクル(4716/情報・通信業)2027年5月期1Q スタンダード

項目数字
前期実績(2026年5月期)売上2850億7300万円(8.2%増)、営業利益897億9500万円(3.4%増)、経常利益913億7300万円(4.5%増)、当期純利益635億3700万円(4.6%増)
前期のセグメント別売上クラウド831億8400万円(34.3%増)/ソフトウェア・ライセンス476億1800万円(2.1%減)/ソフトウェア・サポート1136億7800万円(1.1%増)/ハードウェア150億4800万円(3.5%減)/サービス255億4300万円(2.6%増)
営業利益率31.5%(前期は33.0%)
前期の配当858円(普通198円+特別配当660円)。配当性向173.0%
今期予想(2027年5月期)レンジ形式。売上6.0〜10.0%増、1株利益525円〜540円。配当は未定
前年同期(2026年5月期1Q)売上662億7500万円(3.7%増)、営業利益211億2800万円(4.8%減)
財務自己資本比率55.6%、1株純資産1597円24銭
18日終値9306円(前日比-0.43%)/出来高34万6400株

米オラクルの日本法人で、データベースとクラウド基盤を企業や官公庁に提供する。東証スタンダード上場ながら売上2850億円規模で、日々の出来高も30万株超と厚い。

見どころ:前期は8.2%増収で営業利益も3.4%増と伸びたが、中身は事業の入れ替えが進んでいる。 クラウドが831億8400万円で34.3%増と伸びる一方、ソフトウェア・ライセンスは2.1%減、ハードウェアも3.5%減と従来型の商売が細っており、全体の8.2%増は伸びる事業と縮む事業の差し引きだ。 営業利益率は33.0%から31.5%へ下がっている。

1Qで見る数字:今期の予想はレンジ形式で、売上6.0〜10.0%増・1株利益525円〜540円と幅を持たせて開示された。金額を1点で置かない開示は会社自身が着地の幅を見込んでいるということで、1Qの物差しは通期進捗率よりクラウドの伸び率になる。 加えて前年の1Qは営業利益211億2800万円で4.8%減と増収減益だったため、利益の伸びが戻るかも確認点だ。

スイング目線:18日終値は9306円で前日比-0.43%と、日経平均が882円70銭高と上げた日に逆行して下げた。出来高34万6400株、今期予想の1株利益に対してPERは17倍台になる。

Point:私がこの決算で見たいのは前期の配当858円をどう引き継ぐかだ。 858円のうち660円は特別配当で配当性向は173.0%と利益を超える配当を出しており、今期の配当予想は「未定」のまま置かれている。 特別配当は名前のとおり特別なもので翌期も続くとはかぎらない。決算を見る目的は地雷を避けることにあると『10万円を1年で100万円にする株式投資術』にも書いたが、前期の配当利回りだけを見て入ると、配当が普通配当の水準に戻ったときに前提が崩れる。

◎【注目度A級】大光(3160/卸売業)2027年5月期1Q スタンダード

項目数字
前期実績(2026年5月期)売上795億4900万円(6.2%増)、営業利益1億5900万円(80.3%減)、経常利益3億3900万円(59.9%減)、当期純利益5600万円(89.1%減)
前期のセグメント利益外商6億300万円/アミカ9億7000万円/水産品▲2億9400万円(前期は3200万円の黒字)
今期計画(2027年5月期)売上856億円(7.6%増)、営業利益6億3000万円(295.2%増)、経常利益6億3000万円(85.7%増)、当期純利益4億円
今期上期計画売上412億円(8.8%増)、営業利益2000万円
前年同期(2026年5月期1Q)売上188億2500万円(3.3%増)、営業利益4200万円(64.8%減)
配当前期15円 → 今期15円(予想)。DOE3.0%以上を目安に累進配当
18日終値582円(前日比+0.17%)/出来高1万3600株

岐阜県大垣市の業務用食品卸で、外食産業向けの「外商事業」、現金持ち帰り型小売の「アミカ事業」、子会社マリンデリカの「水産品事業」の3つを手がける。

見どころ:前期は6.2%増収と伸ばしながら営業利益は1億5900万円で80.3%減と5分の1に沈んだ。増収なのに利益が消えた決算だが、外商とアミカが減りつつ黒字を保つなか水産品事業だけが3200万円の黒字から2億9400万円の赤字へ転落した。 連結の減益幅6億5200万円に対し、水産品の悪化ぶん3億2600万円がちょうど半分を占める。

1Qで見る数字:今期は営業利益6億3000万円と前期の4倍近い計画だが、上期の計画はわずか2000万円で通期の3.2%しかない。 会社自身が上期は水産品の立て直しに時間がかかると見ており、前年1Qの営業利益4200万円と並べば上期計画を1Qだけで超えることになる。

スイング目線:18日終値は582円で前日比+0.17%、出来高1万3600株。日本オラクルの34万6400株と比べると25分の1ほどで、同じ日に発表する2社でも板の厚みがまるで違う。

Point:見たいのは水産品事業が黒字の側に戻っているかだ。 前年1Qの時点では水産品はまだ500万円の黒字で、赤字はそのあとの四半期に膨らんでいるため、1Qは悪化がどこから始まったかを確かめる場所になる。 増収80.3%減益という見出しだけで判断すると、3つある事業のうち2つは黒字を保っていた事実を見落とす。

今日の相場観 4営業日ぶりの再開は、休場中の外部環境をまとめて織り込む

指標9月18日前日比
日経平均6万5018円95銭882円70銭高(+1.38%)
TOPIX4091.143.05pt安(-0.07%)
プライム平均株価―-0.16%(中央値-0.42%)
上げた銘柄/下げた銘柄511/100332.9%/64.5%
プライム売買代金10兆3969億9900万円―

※「プライム平均株価」とは、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を、単純に平均した当サイトの独自指数(詳しくは記事末尾)。

18日の日経平均は882円70銭高の6万5018円95銭と大幅に3日続伸したが、指数の大幅高と中身が真逆に割れた日だった。 日銀が政策金利を0.25%引き上げて1.25%程度とし、2人の審議委員が利上げに反対したことからハト派と受け止められて後場に上げ幅を広げている。ところがプライムで上げたのは511銘柄にとどまり、下げた銘柄が1003と3分の2を占めた。

押し上げたのはアドバンテストと東京エレクトロンの2銘柄で約652円分、882円70銭高の73.9%にあたる。指数の8割近くを値がさの半導体2銘柄が作り、残りの大半は下げていた。日経平均の882円高を「地合いがよくなった」と読むと、持ち株の値動きと食い違う。 日本オラクルが-0.43%と逆行したのも、この日の中身を考えれば珍しい動きではない。

そして今日24日は4営業日ぶりの再開で、休場明けの寄り付きには3営業日ぶんの材料がまとめて乗る。 これは決算とは関係のない値動きだ。2社の1Qがどんな数字で出ても今日の値段にはまず休場中の外部環境が効くため、数字は数字として読み、売買の判断は板が落ち着いてからで遅くない。

答え合わせ 18日のコーセルは大商いで+3.86%、通期を上方修正

18日付けの記事で取り上げたコーセル(6905)の18日終値は1371円で前日比51円高の3.86%高。出来高は165万6200株と前日の15万8400株から10.5倍に膨らんだ。

18日付けの記事では、見るべきは進捗率より売上の前年同期比だと書いた。引け後に出た1Qは売上高78億1400万円で54.0%増、営業利益は5億4500万円と前年同期の3億8900万円の営業損失から黒字に転じ、会社は同時に通期の営業利益計画を13億3500万円から23億円へ引き上げた。受注が売上に変わる速さを見る、という見立ての答えは出ている。

ただし18日の+3.86%は決算を見る前の値動きで、短信の開示は引け後のためあの日の1371円は1Qの数字を知らずに付いた値段だ。 決算への答えが値段に出るのは今日24日になる。

今週と来週の決算発表予定

日付社数主な銘柄
9月24日(木)2社日本オラクル(4716/情報・通信業・スタンダード) 5月期1Q/大光(3160/卸売業・スタンダード) 5月期1Q
9月25日(金)4社ハローズ(2742/小売業・プライム)2月期2Q/あさひ(3333/小売業・プライム)2月期2Q ほか
9月28日(月)2社しまむら(8227/小売業・プライム)2月期2Q ほか
9月29日(火)8社ハニーズHD(2792/小売業・プライム)5月期1Q ほか
9月30日(水)10社―

決算書Watchでは、またぎを推奨していない。

上がる株であれば、決算発表後も伸びるだろうから、そこで買っても遅くはない。

逆であれば、損切りしてマイナスを確定したほうがよい。

ただし、配当を目的にしている場合は、その限りではない。

2月期の2Qと5月期の1Qが並ぶ時期で、発表は1日あたり数社から10社ほどが続く。またぎで悩む場面は少ない週だが、今日は決算より休場明けの外部環境のほうが持ち株に効く。 損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

「プライム平均株価」について

「プライム平均株価」は、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を単純に平均した当サイトの独自指標で、時価総額でも株価水準でも重みをつけず1銘柄を1票として数える。日経平均は値がさ株、TOPIXは大型株が効くのに対し全銘柄を等しく扱うため、上げ下げが広く行き渡っているのか一部に偏っているのかが見える。ただし日経平均より優れた指標という意味ではなく、あくまで補助線だ。18日の対象は1555銘柄。当社が独自に計算した指標であり、取引所等が公表する指数ではない。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

出典注記

株価・出来高・日中値幅はJPX公式のJ-Quants APIによる9月18日終値時点の値。日経平均の終値、18日の市況、寄与度、プライム売買代金、日銀金融政策決定会合の結果は報道による。日本オラクルの業績数値は同社が公表した2026年5月期決算短信(2026年6月25日)および2026年5月期第1四半期決算短信(2025年9月25日)にもとづく。大光の業績数値は同社が公表した2026年5月期決算短信(2026年7月14日)および2026年5月期第1四半期決算短信(2025年9月24日)にもとづく。コーセルの1Q実績と修正後の通期計画は同社が公表した2027年5月期第1四半期決算短信(2026年9月18日)にもとづく。発表予定は日本取引所グループ公表の決算発表予定会社一覧による。プライム平均株価は東証プライム全銘柄の前日比騰落率を単純平均した独自指標で、時価総額や株価水準で重みをつけず、1銘柄を1票として数える。当社が独自に計算した指標であり、取引所等が公表する指数ではない。

10万円を1年で100万円にする株式投資術(コマンドY 著)

記事を書いた人

コマンドY

スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。

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https://goldbeans.jp/?p=7766 <![CDATA[ 精算課税を選んだ8万人、税を払ったのは6000人だけ 贈与2年目の実像 ]]> https://goldbeans.jp/money/page_7766.html Wed, 23 Sep 2026 01:26:00 +0000 Mon, 21 Sep 2026 10:28:01 +0000

精算課税を選んだ8万人、納税したのは6000人

2024年1月に贈与税の制度が変わったとき、税理士も金融機関も口をそろえて「相続時精算課税が使いやすくなった」と言った。年110万円の基礎控除が新たに付き、その範囲なら贈与税も申告も要らなくなったためだ。一方の暦年贈与は、相続前の持ち戻しが3年から7年に延びて不利になった。制度の優劣は決着したかに見えた。

その改正から2年分の申告実績が、国税庁の集計として出そろっている。2024年分(令和6年分)の贈与税の申告人員は47万人で、前年より7.0%減った。内訳を見ると、相続時精算課税を適用した申告人員は8万人で、前年の4万9000人から59.2%増えている。制度が選ばれるようになったのは間違いない。

ところが、その8万人のうち贈与税を納めた人は6000人にとどまる。前年は5000人だったので、増えたのは1000人だけだ。申告人員が2万9000人増えたのに、納税した人はほとんど増えていない。

つまり、新たに精算課税を選んだ人のほぼ全員が、税額の出ない贈与しかしていない。110万円の基礎控除に収まる小口の贈与を、精算課税という枠組みで出しているということになる。

暦年課税は「人数が減って、1人当たりの税額が増えた」

同じ年の暦年課税は、逆の動きをしている。申告人員は39万7000人で14.0%減ったが、申告納税額は3274億円と9.7%増えた。1人当たりの納税額は前年の80万円から100万円へ上がっている。

人数が減って税額が増えたということは、少額の贈与をしていた層が暦年課税から抜け、まとまった額を動かす層が残ったという読み方ができる。年110万円前後のやりとりをしていた人たちが精算課税へ移り、数百万円から1000万円規模を贈与する人たちは暦年課税にとどまった、という姿だ。

精算課税の側の数字も、それを裏づけている。精算課税で納税した6000人の1人当たり申告納税額は1146万円で、暦年課税の100万円とは桁が違う。精算課税を選んだ8万人は、税額の出ない大多数と、2500万円の特別控除を使い切って多額を動かす少数とに割れている。

戻れない制度を、110万円のために選ぶのか

ここで引っかかるのが、増えた2万8000人のほうである。年110万円以下の贈与をするだけなら、暦年課税でも贈与税はかからず、申告も要らない。わざわざ精算課税を選ぶ理由は、相続前7年の持ち戻しを避けられるという一点にある。

精算課税の基礎控除110万円以下の部分は、相続が起きても相続財産に加算されない。暦年課税なら、亡くなる前7年以内の贈与は原則として相続財産に戻される。毎年110万円を確実に外へ出したいなら、たしかに精算課税に分がある。

ただ、この制度には引き返せないという性質がある。相続時精算課税選択届出書を出すと、その贈与者からの贈与は以後すべて精算課税になり、暦年課税へ戻すことはできない。届出書の提出期限は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までで、対象は贈与をした年の1月1日に60歳以上の父母や祖父母から、その年の1月1日に18歳以上の子や孫への贈与に限られる。

さらに、110万円を超えた部分は贈与時の価額のまま相続財産に加算される。値上がりする資産を早めに渡すときは有利に働くが、逆に値下がりすれば高いままの評価額で相続税の計算に入る。撤回できない制度なので、20年先の資産価値まで読んだうえで選ぶことになる。

年110万円の非課税枠を得る代わりに、その親からの贈与の設計を一生涯固定する。2万8000人がその取引をしたことになるが、10年後に親の資産構成が変わったとき、同じ判断をするかどうかは分からない。

7年加算がフルに効くのは2031年から

暦年贈与が不利になったとされる7年加算にも、まだ全体像は現れていない。7年へ延長されたのは2024年1月1日以後の贈与についてで、加算の対象は段階的に広がる。

2026年12月31日までに相続が起きた場合、加算されるのは従来どおり3年以内の贈与だけだ。2027年1月1日から2030年12月31日までは、2024年1月1日から死亡の日までの期間が対象になる。丸7年がそのまま加算されるのは、2031年1月1日以後に相続が始まったときである。

延長された4年分についても緩和がある。相続開始日が2027年1月2日以後の場合、加算対象のうち相続開始前3年以内を除く部分は、贈与時の価額の合計から総額100万円までが加算されない。

つまり、2026年に相続が起きるなら、暦年贈与の持ち戻しはこれまでと変わらない。改正のきつい部分が効いてくるのは5年先で、いま慌てて制度を切り替える理由にはならない。

親に確認しておく3つのこと

受け取る側からすると、この2年で確かめておくべき点が3つある。

1つは、親がすでに精算課税の届出書を出していないかどうか。出ていれば、その親からの贈与は暦年課税に戻せない。兄弟のうち1人だけが届出をしている場合もあるので、誰が誰に対して選択したのかまで確認しておきたいところだ。

2つめは、親の資産が相続税の基礎控除に収まるかどうか。基礎控除は3000万円に法定相続人1人あたり600万円を足した額で、相続人が子2人なら4200万円になる。ここに収まるなら相続税はかからず、7年加算を避けるための贈与設計そのものが要らない。

3つめは教育資金の一括贈与である。祖父母から1500万円までを非課税で渡せるこの制度は、2026年度の税制改正で適用期限を延長せず終了することが決まった。2026年3月31日までに拠出されたものには引き続き適用されるが、それ以後は使えない。孫の学費をまとめて出す話が親から出ているなら、期限が過ぎている点を伝える必要がある。

2年分の申告実績が示したのは、制度の優劣ではなく、額による住み分けだった。年110万円前後なら精算課税、まとまった額を動かすなら暦年課税という形に落ち着きつつある。分かれ目は「どちらが得か」ではなく、「その親から何年かけていくら渡すのか」という一点にある。その答えを持たないまま、戻れないほうの扉を開けることはないといえるだろう。

【合わせて読みたい】

・個人資産249億円が消失 ネット銀行・証券・仮想通貨…デジタル資産の相続リスク
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https://goldbeans.jp/?p=7758 <![CDATA[ 「駅徒歩10分」の壁 中古マンション価格、内と外では㎡単価の差が27.1% ]]> https://goldbeans.jp/real_estate/page_7758.html Tue, 22 Sep 2026 03:30:00 +0000 Mon, 21 Sep 2026 08:12:19 +0000

この記事でわかること

徒歩7分と10分の差は、320メートル
10分を境に、単価の下がり方が変わる
査定が「標準」を置いているのは「10分」
いま、減点が効きやすい市場になっている
分数が同じでも、道は同じではない

徒歩7分と10分の差は、320メートル

まず前提を確認しておく。不動産広告の徒歩分数は、不動産の表示に関する公正競争規約施行規則の第10条で道路距離80メートルにつき1分間と定められており、1分未満の端数は1分として算出される。

つまり徒歩7分は道路距離480メートル超560メートル以下、徒歩10分は720メートル超800メートル以下を指す。7分と10分の差は最大で320メートル、歩けば3分だ。

この数字に信号待ちや坂道は入っていない。起点も2022年9月の改正で明確になり、マンションなら建物の出入口から測ることになった。平坦な直線と急坂の320メートルが、広告の上では同じ3分として並ぶ。ここが後で効いてくる。

10分を境に、単価の下がり方が変わる

では実際の成約価格は、徒歩分数でどれだけ変わるのか。

国土交通省の不動産情報ライブラリのデータをもとにした分析では、東京23区の中古マンションの㎡単価は徒歩1分で124.31万円、徒歩5分で113.44万円、徒歩10分で100.07万円、徒歩15分で72.96万円となっている。徒歩1分を100とすると、10分で19.5%、15分では41.3%下がる計算だ。

注目したいのは、その下がり方である。1分から10分までの9分間で19.5%、10分から15分までのわずか5分間で21.8ポイント分が落ちている。同じ1分でも、10分を超えてからの1分のほうが大きい。10分と15分だけを比べれば、その差は27.1%になる。

これは古いデータも同じだ。東京カンテイが2009年1月から2010年9月の中古売却事例を調べたところ、首都圏では徒歩1分あたり平均坪単価が4.0万円ずつ下がるなかで、徒歩9分と10分の間だけ12.7万円の段差が生じていた。15年以上前の分析だが“1分の重さ”の違いは変わりない。

駅からの徒歩分数㎡単価徒歩1分との差70㎡に換算した価格
1分124.31万円/㎡―8702万円
5分113.44万円/㎡▲8.7%7941万円
10分100.07万円/㎡▲19.5%7005万円
15分72.96万円/㎡▲41.3%5107万円
東京23区の中古マンション(2022年1〜3月期〜2024年10〜12月期)。70㎡換算価格は㎡単価×70で筆者が算出。徒歩10分と15分の差は27.1%。下落幅はエリアによって差がある。出典=国土交通省「不動産情報ライブラリ」をもとにした分析

査定が「標準」を置いているのは「10分」

段差の正体は、査定の仕組みの側にもある。

不動産会社が売り出し価格を決めるとき、公益財団法人不動産流通推進センターの「価格査定マニュアル」を使うことが多い。このマニュアルは、国土交通省の告示に基づいて作られ、実務の標準になっているものだ。

このマニュアルは交通の便を評点で扱い、徒歩10分を標準(±0点)に置いている。9分までがプラス、11分からマイナスへ入り、遠ざかるほど減点が積み上がる仕組み。徒歩20分を超えると14点前後の減点になる。

ここで押さえておきたいのは、この評点表が土地(戸建住宅)の評価項目だという点である。中古マンションの査定で例示されているのは室内の維持管理状況、耐震性、所在階の3つで、徒歩分数の評点表は公表資料に出てこない。マンションの値づけは分数そのものより、事例マンションとの比較のなかで決まるようだ。

それでも徒歩10分という線は残る。買い手が検索条件で「駅徒歩10分以内」を選び、査定の世界も10分を標準に置いている。買う側と値をつける側が、同じ場所に線を引いているのだから、そこに段差ができないほうがおかしいといえるだろう。

いま、減点が効きやすい市場になっている

問題は、その減点がどれだけ価格に出るかだ。市場の局面によって変わる。

東日本不動産流通機構によると、2026年8月の首都圏中古マンションの成約件数は3180件で前年同月比マイナス10.5%と5か月連続の減少、成約㎡単価は81.60万円で同マイナス3.8%と4か月連続の下落となり、1990年10月の83.50万円を下回った。

一方で在庫件数は4万8235件と6か月連続で増え、在庫価格は6939万円で前年同月比プラス29.0%まで上がっている。成約価格は5129万円だから、売れ残っている物件と実際に売れた物件の差は1810万円ある。

 2026年8月前年同月比連続した月数
成約件数3180件▲10.5%5か月連続の減少
成約㎡単価81.60万円/㎡▲3.8%4か月連続の下落
成約価格5129万円▲2.8%4か月連続の下落
在庫件数4万8235件+8.2%6か月連続の増加
在庫㎡単価119.36万円/㎡+28.4%25か月連続の上昇
在庫価格6939万円+29.0%25か月連続の上昇
首都圏の中古マンション。成約は実際に売れた物件、在庫は売れ残っている物件を指す。成約価格5129万円と在庫価格6939万円の差は1810万円。成約㎡単価81.60万円/㎡は1990年10月の83.50万円/㎡を下回る。出典=東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート」2026年8月度

売り出しても売れずに残った物件が、成約している物件より35%高い値をつけている状態だ。こうなると条件の劣る物件から順に売れ残る。徒歩分数のような減点要素は、市場が緩んでいるときほど価格に効くといえるだろう。売り手が強気でいられた時期には徒歩12分でも売れただろうが、在庫が6か月積み上がる局面では同じ値段では動かない。

分数が同じでも、道は同じではない

買う側から見れば、10分の減点は割安に買える理由になる。査定が機械的に線を引く以上、そこには実態以上に下げられている物件が混ざるからだ。

とはいえ、やはり見るべきは分数ではなく経路だろう。徒歩10分でも平坦な一本道で途中に商店街があるなら、徒歩7分の急坂に生活の快適さで劣らない。分数が同じでも中身は違うのに、見分けラインでは分数しか見ていない。その乖離が買い手の取り分になる。

一方、売る側にとっては逆になる。分数は変えられないが、管理状態や修繕積立金の積み方、リフォーム履歴は積み上げられる。マンションの査定で例示されているのがまさにその種の項目である以上、そこで取り返す余地は残っている。

歩いて3分の差が数百万円になるというのは理不尽に思えるが、値段が示すのは分数ではない。たとえ3分の差であっても、これから何十年、毎日往復するという事実に値段がついている。測るべきは分数ではなく、どんな天候でも苦なく歩き続けられるか、どこまで許容できるか。その費用対効果ではないだろうか。

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https://goldbeans.jp/?p=7753 <![CDATA[ 火災保険が10月に値上げ 更新前に確かめる5つのこと ]]> https://goldbeans.jp/life/page_7753.html Fri, 18 Sep 2026 03:25:00 +0000 Thu, 17 Sep 2026 23:46:39 +0000

この記事でわかること

保険料が上がり続ける3つの理由
「参考純率」は保険料そのものではない
水災の料率は市区町村ごとに5区分へ
更新前に確かめる5つのこと

保険料が上がり続けている理由

火災保険料の改定が、10月に予定されている。

火災保険の値上げは今回が初めてではなく、2019年以降、短い間隔で引き上げが繰り返されてきた。直近で内容がはっきりしているのは2023年6月の改定で、損害保険料率算出機構が住宅総合保険の参考純率を全国平均で13.0%引き上げると届け出ている。

上がり続ける理由は、機構の資料に3つ挙げられている。自然災害による保険金支払いの増加、住宅の老朽化、そして修理費の高騰だ。

理由中身
自然災害の増加一定規模の被害を及ぼす自然災害が毎年発生している状況
住宅の老朽化築年数の古い住宅の割合が増加し、損壊・火災・水濡れのリスクが高まる
修理費の高騰建設資材費や労務費の上昇(国土交通省 建設工事費デフレーター)

このうち見落とされやすいのは後ろの2つだろう。築年数の古い住宅の割合が増えれば、台風や大雪で壊れやすい家が相対的に増え、給排水設備が古くなれば水濡れの事故も起きやすくなる。さらに建設資材費や労務費が上がっているため、同じ事故でも修理に出ていくお金が以前より大きくなる。災害が増えたから、というだけの話ではない。

「参考純率」は保険料そのものではない

ここで一つ、押さえておきたいことがある。

報道で目にする改定率は、多くが「参考純率」の改定率だ。保険料率は事故のときに支払う保険金に充てられる純保険料率と、保険会社の事業経費に充てられる付加保険料率で構成されており、機構が算出しているのは前者だけになる。

しかも参考純率には使用義務がない。そのまま使うか、修正して使うか、独自に算出するかは保険会社ごとの判断で、販売時期も各社が決める。

つまり「全国平均で何%上がる」という数字を見ても、自分の保険料がその通りに上がるとは限らない。上がる幅も上がる時期も、契約している会社と条件によって変わる。ここを取り違えると、更新通知を見たときに話が食い違う。

水災の料率は市区町村ごとに分かれた

2023年の改定で大きかったのが、水災の料率の細分化だ。

それまで全国一律だった水災の料率が、建物のある市区町村ごとに、保険料の安い「1等地」から高い「5等地」までの5区分に分かれた。最も高い地域と最も低い地域の較差は約1.2倍になる。

同じ都道府県でも市区町村によって改定率は違う。機構が示した例では、東京都のM構造は水準改定のみなら+10.4%のところ、水災等地別に見ると+4.3%から+20.2%まで開きがあった。

建物構造都道府県水準の改定のみ水災等地別(1等地〜5等地)
M構造東京都+10.4%+4.3% 〜 +20.2%
M構造大阪府+16.9%+11.6% 〜 +25.9%
M構造愛知県+13.7%+7.6% 〜 +23.6%
T構造東京都+13.3%+5.2% 〜 +26.8%
T構造大阪府+21.5%+14.9% 〜 +32.6%
T構造愛知県+14.8%+7.2% 〜 +27.2%
H構造東京都+6.3%▲1.3% 〜 +19.0%
H構造大阪府+17.3%+11.4% 〜 +27.1%
H構造愛知県+8.9%+1.9% 〜 +20.6%

※保険金額は建物2000万円・家財1000万円、築10年以上の場合の例。
※M構造=耐火構造(鉄筋コンクリート造等)の共同住宅/T構造=M構造以外の耐火構造の建物、準耐火構造(鉄骨造等)の建物/H構造=M・T構造以外(木造等)の建物。
※同じ都道府県でも市区町村により等地が異なるため、改定率は変わる。

自宅がどの等地かは、機構のウェブサイトで無料で調べられる。「水災等地検索システム」で市区町村を入れるだけだ。更新の前に一度見ておくと、提示された保険料の理由が腑に落ちる。

更新前に確かめる5つのこと

確認すること見るところ
1 満期日保険証券。各社の適用開始日より前なら現行条件で更新できる
2 契約期間参考純率の適用は最長5年(かつては10年)。長期は先送りできるが見直しにくい
3 水災補償自宅の水災等地とハザードマップの両方。安易に外さない
4 建物の評価額いまの再建築費と合っているか。資材費高騰で不足しやすい
5 他社の見積もり同じ条件でも各社で提示額が違う

1つめは、満期日の確認だ。改定が反映されるのは各社の適用開始日以降の契約からで、それより前に更新すれば現行の条件が残る。通知を待たず、保険証券で満期日を見ておきたい。

2つめは、契約期間である。参考純率を適用できる期間は最長5年で、かつては10年だった。長期で契約すれば値上げの影響をその間は先送りできるが、途中で補償を見直しにくくなる。子どもの独立や住み替えの予定があるなら、長さだけで決めないほうがいい。

3つめは、水災補償の要否だ。ただ、保険料を節約したいからと安易に外すのは勧められない。また、機構の資料にも、リスクが低いと判断して水災補償を外す人が増えると残った契約の料率をさらに上げざるをえなくなる、という懸念が書かれている。
加えて、昨今の異常気象を考えるとハザードマップ上は浸水想定がなくても、都市部の内水氾濫や土砂災害は起こる。外すかどうかは等地とハザードマップの両方を見てからだ。

4つめは、建物の評価額である。何年も前の契約のままだと、いまの再建築費と合っていないことがある。低すぎれば事故のときに足りず、高すぎれば払いすぎになるが、建設資材費が上がっている局面では評価額が実態に届いていないほうが起こりやすい。

5つめは、他社との比較だ。参考純率の使い方も改定の時期も各社が判断するのだから、同じ建物・同じ補償でも提示額は変わる。代理店を通すか通信販売かでも違ってくる。

火災保険は、入ったきり中身を見ないまま更新を重ねやすい商品。値上げの通知は、契約を点検する機会でもある。 満期が近いなら、まず証券と等地の確認をしておきたい。

※火災保険参考純率の改定内容、改定の背景、水災料率の細分化、改定率の例は、損害保険料率算出機構「火災保険参考純率 改定のご案内」(2023年6月28日)による。水災等地検索システムは同機構ウェブサイト(https://www.giroj.or.jp/ratemaking/fire/touchi/)。

※本稿は情報提供を目的としたもので、特定の保険商品の加入や解約を推奨するものではありません。契約の判断は、保険証券と各社の約款をご確認のうえ、ご自身の責任において行うようお願いします。

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https://goldbeans.jp/?p=7750 <![CDATA[ コーセルの受注は59.8%増なのに売上は7.4%減、今期は営業益13億3500万円へ|決算ウォッチ ]]> https://goldbeans.jp/financial/page_7750.html Thu, 17 Sep 2026 20:00:00 +0000 Thu, 17 Sep 2026 14:21:10 +0000 この記事でわかること
・今日18日の決算発表は2社 軸はコーセルの1Q
・今日の相場観 日銀の結果発表と植田総裁の会見がある金曜
・答え合わせ 17日のファーマライズは1.78%高
・今週と来週の決算発表予定

今日18日の決算発表は2社 軸はコーセルの1Q

今日18日に決算発表を行う予定は2社。どちらも5月期の1Qだが、プライム上場の事業会社はコーセル1社になる。

☆【注目度S級】コーセル(6905/電気機器)2027年5月期1Q プライム

項目数字
前期実績(2026年5月期)売上250億4600万円(7.4%減)、営業損失6億9500万円(前期は営業利益6億2800万円)、経常利益2億6700万円(63.9%減)、当期純損失34億600万円
前期の受注高278億4100万円(59.8%増)
今期計画(2027年5月期)売上288億7500万円(15.3%増)、営業利益13億3500万円、経常利益15億3900万円(475.9%増)、当期純利益16億400万円
今期上期計画売上142億100万円(27.5%増)、営業利益3億400万円
前期のセグメント日本140億円(15.3%減)/北米18億9600万円(18.6%増)/欧州64億800万円(2.3%増)
財務自己資本比率86.1%、現預金268億6500万円
配当前期55円 → 今期60円(予想)。DOEの下限を3.5%から4.5%へ引き上げ
17日終値1320円(前日比+0.61%)/出来高15万8400株

スイッチング電源を作る富山の会社で、FA機器や計測機器、半導体製造装置に組み込まれる部品を手がける。

見どころ:前期は受注と売上がはっきりねじれている。受注高が278億4100万円で59.8%増と急回復するなか、売上高は250億4600万円で7.4%減。短信は受注の回復の大部分が翌期以降の売上になると書いており、つまり前期の営業損失6億9500万円は仕事が無かったから出た赤字ではなく、受け取った注文がまだ売上に変わっていない時点の赤字だ。今期計画が15.3%増収・営業利益13億3500万円の黒字転換で置かれているのは、この受注残を売上に変えていく前提になる。

1Qで見る数字:上期計画は売上142億100万円で27.5%増に対し営業利益は3億400万円と、通期13億3500万円のうち利益は下期に大きく寄っている。1Qで通期の2割3割という進捗を期待する数字ではないため、見るべきは進捗率より売上の前年同期比だ。上期27.5%増の線に乗っているなら、受注残の消化は計画どおりということになる。

ただし今期計画の15.3%増収は、そのまま事業の成長率としては読めない。短信の見通しには期中に連結子会社Powerbox International ABの連結除外を見込んだ数字だと書いてある。前期の当期純損失34億600万円もこの株式譲渡契約に伴う関係会社整理損が主因で、34億円の赤字という見出しだけで本業が崩れたと読むと実態を外す。

スイング目線:17日終値は1320円で前日比+0.61%、3営業日前の1283円から+2.88%とじりじり水準を上げてきた地点での発表になる。自己資本比率86.1%、現預金268億6500万円と財務は厚く、配当も今期60円の予想でDOEの下限を4.5%へ引き上げた。派手に動く株ではないが、下値を支える材料は揃っている。

Point:私がこの決算で見たいのは利益の額ではなく、受注が売上に変わる速さだ。 受注生産の会社は納めるまでに時間がかかるため、好調の兆しは受注に先に出て売上と利益には遅れて出る。『10万円を1年で100万円にする株式投資術』にも書いたように決算を見る目的は地雷を避けることにあるが、赤字の見出しの下に受注59.8%増が隠れている決算は、数字を一段掘らないと逆向きに判断を誤る。1Qの売上が上期計画の線に届かなければ、黒字転換は下期に一段と重くなる。

【本日発表予定】サツドラホールディングス(3544/小売業)2027年5月期1Q スタンダード

MBOの経緯2026年6月19日にMBOの実施を発表、公開買付けは8月4日に成立。所定の手続きを経て上場廃止の予定
今期の開示2027年5月期の業績予想・配当予想はいずれも開示なし。株主優待も廃止
17日終値1249円(14日から4営業日続けて1249円)/日中の値幅1249〜1253円

北海道を地盤にドラッグストアを展開する会社だが、この銘柄は今、通常の決算の見方が当てはまらない。株価は4営業日続けて終値1249円と買付価格に吸い付いて動かなくなっており、決算の数字が市場の見ていた線と違ったから株価が動く、という当連載の切り口はこの状態では働かない。1Qの数字が良くても悪くても、株価が向かう先は買付価格だからだ。

今日の相場観 日銀の結果発表と植田総裁の会見がある金曜

指標9月17日前日比
日経平均6万4136円25銭213円25銭高(+0.33%)
TOPIX4094.1932.47pt高(+0.80%)
プライム平均株価―+0.97%(中央値+1.02%)
上げた銘柄/下げた銘柄1289/23582.9%/15.1%
プライム売買代金7兆1538億円―

※「プライム平均株価」とは、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を、単純に平均した当サイトの独自指数(詳しくは記事末尾)。

17日の日経平均は213円25銭高の6万4136円25銭で小幅に続伸したが、指数の幅より中身のほうが動いた日だった。寄り付きは720円58銭高と大きく買われながら上げ幅を縮め、一時マイナス圏に沈む場面もあった。前日16日の米FOMCで3年ぶりの0.25%利上げが決まり、ケビン・ウォーシュFRB議長の会見がタカ派と受け止められ、年内の追加利上げ予想まで示されたことが上値を抑えている。

中身は、半導体から内需への入れ替えだ。 押し下げ寄与はアドバンテストの約111円を筆頭に東京エレクトロン約72円、TDK、イビデンと半導体関連が並び、押し上げ側はファーストリテイリング約53円、ソフトバンクグループ、中外製薬の順。プライムの値上がりは82.9%、プライム平均株価は+0.97%と上げが広く行き渡っており、213円という小さな上げ幅は値がさの半導体株が指数を押さえた結果だ。円相場は一時1ドル=156円台まで進んだ。

そして今日18日は、日銀金融政策決定会合の結果発表と植田和男総裁の記者会見がある。市場では2会合ぶりの利上げが予想されており、焦点は結果より会見の内容だ。決算が2社しかない日に、相場を動かす材料は正面から1つ来る。 コーセルの1Qがどんな数字で出ても今日の値動きは日銀の受け止めに引きずられる公算が大きい。数字は数字として読んでおき、売買の判断は相場が落ち着いてからにしたい。

答え合わせ 17日のファーマライズは1.78%高

17日付けの記事で取り上げたファーマライズホールディングス(2796)の17日終値は514円で前日比9円高の1.78%高。日中は500円まで下げてから514円まで戻して高値引けとなり、出来高も4万4700株と前日から4倍近くに膨らんだ。

17日付けの記事では、この会社の四半期純損益は1Qと3Qが赤字で2Qと4Qが黒字という並びなので、1Qの赤字それ自体は慌てる材料にならないと書いた。出来高が4倍に膨らみながら高値引けした形は、失望売りに押された値動きではない。もっともこの日はプライムの82.9%が上昇しており、単独で強かったと読むには少し割り引いて見ておきたい。

今週と来週の決算発表予定

日付社数主な銘柄
9月18日(金)2社コーセル(6905/電気機器・プライム) 5月期1Q/サツドラHD(3544/小売業・スタンダード)5月期1Q
9月24日(木)1社大光(3160/卸売業・スタンダード)5月期1Q
9月25日(金)4社ハローズ(2742/小売業・プライム)2月期2Q ほか

決算書Watchでは、またぎを推奨していない。
上がる株であれば、決算発表後も伸びるだろうから、そこで買っても遅くはない。
逆であれば、損切りしてマイナスを確定したほうがよい。
ただし、配当を目的にしている場合は、その限りではない。

5月期決算の会社が順に1Qを出す時期で、発表は1日あたり数社が続く。またぎで悩む場面は少ない週だが、今日は決算より日銀のほうが持ち株に効く。 損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

「プライム平均株価」について

「プライム平均株価」は、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を単純に平均した当サイトの独自指標で、時価総額でも株価水準でも重みをつけず1銘柄を1票として数える。日経平均は値がさ株、TOPIXは大型株が効くのに対し全銘柄を等しく扱うため、上げ下げが広く行き渡っているのか一部に偏っているのかが見える。ただし日経平均より優れた指標という意味ではなく、あくまで補助線だ。17日の対象は1555銘柄。当社が独自に計算した指標であり、取引所等が公表する指数ではない。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

株価・出来高はJPX公式のJ-Quants APIによる9月17日終値時点の値。日経平均の終値、17日の市況、寄与度、FOMCと日銀金融政策決定会合の日程は共同通信47NEWS配信の市況報道(フィスコ)による。コーセルの業績数値は同社が公表した2026年5月期決算短信(2026年6月19日)にもとづく。サツドラホールディングスのMBOと公開買付けの経緯は各種報道による。

10万円を1年で100万円にする株式投資術(コマンドY 著)

記事を書いた人

コマンドY

スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。

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https://goldbeans.jp/?p=7746 <![CDATA[ ファーマライズの今期計画は当期利益90.35%減の1100万円、営業益は3.58%増|決算ウォッチ ]]> https://goldbeans.jp/financial/page_7746.html Wed, 16 Sep 2026 20:00:00 +0000 Wed, 16 Sep 2026 15:13:06 +0000 この記事でわかること
・今日17日の決算発表は6社 事業会社はファーマライズ1社だけ
・今日の相場観 FOMCと日銀に挟まれた木曜
・答え合わせ 16日の霞ヶ関ホテルリートと、アスクルの反応
・今週の決算発表予定

今日17日の決算発表は6社 事業会社はファーマライズ1社だけ

今日17日に決算発表を行う予定は6社。うち5社がREITだ。

東海道リート投資法人(2989)、産業ファンド投資法人(3249)、アドバンス・レジデンス投資法人(3269)、いちごホテルリート投資法人(3463)、三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471)。REITは分配金と稼働率で見るもので、四半期の決算区分もない。決算の数字が市場の見ていた線と違ったから株価が動く、という当連載の切り口とは性質が異なるので、級は付けず銘柄名だけを置く。

事業会社はファーマライズホールディングス(2796)の1社だけだ。

【本日発表予定】ファーマライズホールディングス(2796/小売業)2027年5月期1Q スタンダード

項目数字
前期実績(2026年5月期)売上695億1200万円(9.45%増)、営業利益9億7900万円(234.13%増)、経常利益7億1500万円(425.74%増)、当期利益1億1400万円(黒字転換)
今期計画(2027年5月期)売上706億400万円(1.57%増)、営業利益10億1400万円(3.58%増)、経常利益7億3600万円(2.94%増)、当期利益1100万円(90.35%減)
前1Q実績(2026年5月期1Q)売上168億円、営業利益1億5200万円(192.3%増)、純損益▲1800万円
前1Qの売上原価率86.67%(前年同期85.96%から0.71ポイント悪化)
16日終値505円(前日比変わらず)/出来高1万1300株
株式指標時価総額60億円、PBR0.88倍、予想配当利回り2.77%、株主資本比率20.3%

調剤薬局のチェーンを全国に展開する会社だ。売上は695億円あるが時価総額は60億円しかなく、薄い利幅で大きな売上を回す業態だとわかる。

見どころ:今期計画の並びに段差がある。営業利益は3.58%増、経常利益は2.94%増で置かれているのに、当期利益だけが90.35%減の1100万円だ。営業段階では前期並みを維持する計画なのに、最終利益がほぼ消える形になっている。前期は営業利益が234.13%増という急回復の年で、その勢いが今期は止まる計画でもある。

1Qで見る数字:前1Qの売上168億円、営業利益1億5200万円に対してどう並ぶか。そして売上原価率だ。前1Qは86.67%で、その前年の85.96%から0.71ポイント悪化している。調剤薬局は薬価改定が原価率に直接効く業態なので、ここが戻るのか、さらに重くなるのかを見る。

スイング目線:16日終値は505円で前日比変わらず。出来高は1万1300株で、5日移動平均の4480株より膨らんだが、絶対量としては薄い。3営業日前から▲0.39%と、値が動いていない。板が薄い銘柄は、材料が出たときに値が飛びやすい反面、降りたいときに降りられないことがある。1単元5万円台で手は出しやすいが、出来高の薄さは頭に入れておきたい。

Point:1Qの純損益が赤字でも、それ自体は慌てる材料にならない。 この会社の四半期純損益は1Qと3Qが赤字、2Qと4Qが黒字という並びを繰り返している。前1Qも1800万円の赤字で、それでも通期は1億1400万円の黒字で着地した。営業利益で見れば1Q 1億5200万円から4Q 3億7600万円へと期の後半に寄る形だ。赤字の見出しだけを見て売るのは、この会社の四半期の癖を知らないまま動くことになる。見るべきは純損益の符号ではなく、売上原価率と営業利益が前1Qの線に乗っているかだ。

なお、開示の時刻にも触れておく。前回の1Qは12時に出ている。引け後ではなく場中の開示なら、今日のうちに値段が付く。

今日の相場観 FOMCと日銀に挟まれた木曜

指標9月16日前日比
日経平均6万3923円00銭438円90銭高(+0.69%)
TOPIX4061.7224.56pt高(+0.61%)
プライム平均株価―+0.67%(中央値+0.50%)
東証グロース市場指数986.9220.51pt安
上げた銘柄/下げた銘柄1048/45267.4%/29.1%
プライム売買代金6兆7075億円―

16日の日経平均は438円90銭高の6万3923円00銭で4営業日ぶりに反発したが、一本調子で上げた日ではない。188円03銭高で始まったあと前場終盤には6万3209円92銭まで水準を切り下げ、そこから後場の買い戻しで高値引けとなった。安値からの戻りは713円08銭だ。

背景は前日までの3営業日で1700円超下げた反動と、時間外の米ナスダック100先物と韓国総合株価指数が堅調だったことにある。寄与度はアドバンテストが130円33銭、東エレクが104円59銭で2銘柄が約234円分を押し上げ、押し下げ側の筆頭はソフトバンクグループの77円23銭だ。

中身は選別が進んだ日だった。 プライムが値上がり67.4%で広く買われた一方、東証グロース市場指数は986.92と20.51pt安で大幅に3日ぶり反落し、25日移動平均線の997pt近辺と1000ptの節目をあっさり割り込んでいる。プライムの値がさハイテクに資金が向かい、グロースから抜けた形だ。プライム平均株価は+0.67%、中央値は+0.50%とどちらもプラス圏で揃っており、プライム内部では上げが特定銘柄に偏らず広がっていた。

そして今日17日は、日本時間の朝にFOMCの結果とケビン・ウォーシュFRB議長の記者会見が伝わる。0.25%の利上げという見方が市場の共通認識になっているが、焦点は利上げそのものより、参加者の経済見通しと会見でどこまでタカ派の姿勢を示すかだ。さらに明日18日には日銀金融政策決定会合の結果発表と植田和男総裁の記者会見が控えている。

決算が1社しかない日に、相場を動かす材料は外から2つ来る。 ファーマライズの1Qがどんな数字で出ても、今日の値動きはFOMCの受け止めに引きずられる公算が大きく、決算の内容と株価の反応がきれいに対応しない日になりやすい。こういう日は決算の数字を数字として読んでおき、株価の判断は相場が落ち着いてからにするほうが分が悪くない。

答え合わせ 16日の霞ヶ関ホテルリートと、アスクルの反応

16日付けの記事で取り上げた2件を見ておく。

アスクル(2678) は15日引け後に1Qを開示し、営業損失4億1800万円ながら通期70億円の黒字計画を据え置いた。16日の終値は1252円で前日比24円高の1.95%高と、日経平均の0.69%高を上回っている。出来高も76万2700株と前日の67万1700株から膨らんだ。1Qが営業損失という見出しで、株価は上げた。 通期計画を据え置いたことと、売上進捗22.9%が例年の線から外れていないことが効いたのだろう。悪い数字で売られないのは、市場がその赤字を織り込み済みだったからだ。

霞ヶ関ホテルリート投資法人(401A) は16日に第2期の決算を発表している。終値は9万6100円で、前日比200円安の0.21%安。出来高は541口だった。REITは分配金で見る商品なので、決算発表の日でも値動きは静かなままだ。

第2期の計画は営業利益が6.5%減なのに経常利益と当期純利益は15.5%増という並びで、ここは今日以降の開示資料で拾い直す。

今週の決算発表予定

日付社数主な銘柄
9月17日(木)6社ファーマライズHD(2796)/REIT5社
9月18日(金)2社コーセル(6905/電気機器・プライム) 5月期1Q/サツドラHD(3544/小売業・スタンダード)5月期1Q

明日18日のコーセルは、プライムの事業会社としては今週唯一の発表になるが、同じ18日に日銀の決定会合の結果と植田総裁の会見が重なるので、決算単独で株価が動く日にはなりにくい。

5月期決算の会社が順に1Qを出す時期で、来週24日に大光(3160)、25日にハローズ(2742)ほか4社と続く。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

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https://goldbeans.jp/?p=7743 <![CDATA[ アスクルの1Qは4億1800万円の営業損失、通期70億円の黒字計画は据え置き|決算ウォッチ ]]> https://goldbeans.jp/financial/page_7743.html Tue, 15 Sep 2026 20:00:00 +0000 Tue, 15 Sep 2026 16:38:11 +0000 この記事でわかること
・今日16日の決算発表は1社 事業会社の決算はない
・今日の相場観 8円89銭安は、値がさ2銘柄の綱引きの結果だった
・15日の答え合わせ アスクルの1Qは、今日値段が付く
・またぎ注意

今日16日の決算発表は1社 事業会社の決算はない

霞ヶ関ホテルリート投資法人(401A)の2026年7月期、これだけだ。事業会社の決算発表はない。

REITは分配金と稼働率で見るもので、四半期の決算区分もない。決算の数字が市場の見ていた線と違ったから株価が動く、という当連載の切り口とは、そもそも性質が異なる。だから級は付けず、事実だけを置く。

【本日発表予定】霞ヶ関ホテルリート投資法人(401A/REIT)2026年7月期

項目数字
第1期実績(2026年1月期)営業収益15億6100万円、営業利益11億1600万円、当期純利益6億7300万円
第1期の分配金1口2336円+利益超過分配金352円
第2期予想(2026年7月期)営業収益15億6300万円(0.1%増)、営業利益10億4400万円(6.5%減)、経常利益7億7700万円(15.5%増)、当期純利益7億7700万円(15.5%増)
第2期の予想分配金1口2704円+利益超過分配金221円
15日終値9万6300円(1.05%高)/出来高799口

霞ヶ関キャピタルをスポンサーとするホテル特化型のREITだ。第1期は新規物件の取得が2025年8月14日で、実質的な資産運用期間が短い変則決算だった。今日出るのは第2期にあたる。

上の表で目を引くのは、営業利益が6.5%減の計画なのに経常利益と当期純利益は15.5%増で置かれていることだ。営業段階より下で利益が増える形になっている。数字がこの並びになる理由は今日の開示で確かめるところで、着地は予想しない。

今日の相場観 8円89銭安は、値がさ2銘柄の綱引きの結果だった

指標9月15日前日比
日経平均6万3484円10銭8円89銭安(▲0.01%)
TOPIX4037.1621.05pt安(▲0.52%)
プライム平均株価―+0.13%(中央値+0.07%)
上げた銘柄/下げた銘柄801/68551.5%/44.1%

15日の日経平均は8円89銭安で3日続落した。下げ幅としては無いに等しい。だが中身は静かではない。

アドバンテストが1銘柄で222円押し下げ、東京エレクトロンが28円、フジクラが18円と続く。売られたのは前日と同じAI・半導体だ。一方でソフトバンクグループが354円押し上げ、リクルートHDが36円、キオクシアHDが27円と続いた。押し下げ上位と押し上げ上位がほぼ同じ規模でぶつかり、差し引き8円89銭安に収まった。

TOPIXは21.05ポイント安で反落したが、プライム平均株価は0.13%高で、上げた銘柄は51.5%と半分を超えている。指数の小さな下げは、市場全体が静かだったという意味ではない。値がさ株が両側で大きく動いて相殺された結果だ。

材料は国内の長期金利で、15日は一時3.030%まで上昇した。株式の割高感を警戒する売りが出た。米アンソロピックのCEOがAI開発の減速を呼びかけたとの報道も、半導体売りに重なっている。

※「プライム平均株価」とは、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を、単純に平均した当サイトの独自指数(詳しくは記事末尾)。

今日16日はFOMCの2日目、明日17日から日銀の金融政策決定会合。 金利が動いた日の翌日に、金利を決める会合が控えている。

15日の答え合わせ アスクルの1Qは、今日値段が付く

銘柄15日終値前日比3営業日
アスクル(2678)1228円▲0.08%+0.16%
フロンティアインターナショナル(7050)1532円+6.24%+13.15%
ベルグアース(1383)3005円0.00%+0.20%

15日付けの記事で挙げた2社のうち、フロンティアは6.24%高で答えが出た。出来高は4万8400株で前日の2.7倍だ。14日引け後に出た1Qは売上74億1200万円で30.2%増、営業利益5億6200万円で134.4%増だった。前期並みのペースで走っていれば計画が保守的だったことになる、という見立てのほうを市場は取った形になる。通期計画は売上301億円の0.5%増で据え置かれたままで、1Qの売上はその24.6%にあたる。

ベルグアースは前日比変わらずの3005円、出来高1200株だった。3Q累計は営業利益3916万円で、前年同期の営業損失2億2000万円から黒字に浮いている。15日付けの記事では3Q累計の営業損失が1億円を切っていれば通期の黒字計画は射程に入るという線を置いたが、損失どころか黒字で超えてきた。それでも株価が動かないのは、出来高1200株という商いの薄さがそのまま出ている。

そして15日引け後、アスクル(2678)が2027年5月期の1Qを開示した。 今日16日に値段が付くのはこちらだ。

項目数字
今1Q(2026年5月21日~8月20日)売上1123億4500万円(8.2%減)、営業損失4億1800万円、経常損失4億5200万円、純損失5億800万円
前年同期売上1223億2400万円、営業利益10億5300万円、経常利益9億3800万円、純利益3億4400万円
通期計画(修正なし)売上4900億円(22.4%増)、営業利益70億円、経常利益63億円、純利益40億円
1Qの売上進捗22.9%
eコマース事業売上1107億円(7.9%減)、営業損失3億9300万円(前年同期は営業利益10億6400万円)
15日終値1228円(▲0.08%)/出来高67万1700株

事務用品通販の最大手だ。2025年10月にランサムウェア攻撃を受けてシステムが止まり、前期2026年5月期は営業損失174億4500万円に沈んだ。今期はそこからの回復年度にあたる。

中身を分けて見ると、ASKUL事業が12.2%減、LOHACO事業が12.3%減で、どちらも1割以上落ちている。会社は理由として、攻撃からの売上回復が途上であることに加えて、前年同期の猛暑の反動で飲料や熱中症対策商品が伸びなかったこと、前期に備蓄米の販売があったことの反動を挙げている。一方でグループ会社は14.6%伸びた。営業損失の側は、売上総利益率が23.3%と前年から1.5ポイント下がったことが効いている。売上を戻すための価格施策の影響だ。

 Point:私が見るのは、この1Qを会社が「計画通り」と書いていることだ。eコマース事業の売上は期初計画通りで、通期の売上4900億円・営業益70億円も修正していない。1Qの売上進捗22.9%は、4等分した25%をやや下回る程度にとどまる。つまり赤字であること自体は織り込み済みで、回復は下期に置かれている。

 拙著『10万円を1年で100万円にする株式投資術』にも書いたが、株が動くのは good か bad かではなく市場が見ていた線との差だ。1Qの赤字が線の内側なら株価は動かず、外側なら動く。15日の終値1228円は決算を見ていない値段で、答えが出るのは今日の寄り付きからになる。出来高67万株の銘柄なので、線の外側だったときの振れは小さくない。

またぎ注意

決算書Watchでは、またぎを推奨していない。
上がる株であれば、決算発表後も伸びるだろうから、そこで買っても遅くはない。
逆であれば、損切りしてマイナスを確定したほうがよい。
ただし、配当を目的にしている場合は、その限りではない。

今週の発表は今日が1社、明日17日が数社で、事業会社の決算はすでにほぼ終わっている。またぐか降りるかで悩む場面は、今週はもう少ない。そのぶん、すでに出た数字に市場がどう値段を付けるかを見るほうに時間を使える週だ。

損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

「プライム平均株価」について

東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を単純に平均した、当サイトの独自指標だ。時価総額でも株価水準でも重みをつけず、1銘柄を1票として数える。日経平均は株価平均型なので値がさ株の動きが大きく出て、TOPIXは時価総額加重なので大型株の影響が強い。計算には分割調整後の株価を使い、前営業日と当日の双方に終値がある銘柄だけを対象にする。9月15日の対象は1554銘柄だった。

これは日経平均やTOPIXより優れた指標という意味ではない。売買代金の大きい値がさ株の動きは、それ自体が相場の重要な情報だ。当社が独自に計算した指標であり、取引所等が公表する指数ではない。

※本文中の決算数値は、各社が公表した決算短信(アスクル:2027年5月期第1四半期決算短信、フロンティアインターナショナル:2027年4月期第1四半期決算短信、ベルグアース:2026年10月期第3四半期決算短信、霞ヶ関ホテルリート投資法人:2026年1月期中間決算短信)にもとづく。株価・出来高はJPX公式のJ-Quants APIによる9月15日終値時点の値で、株式分割を調整済み。プライム平均株価は東証プライム全銘柄の前日比騰落率を単純平均した独自指標で、時価総額や株価水準で重みをつけず1銘柄を1票として数える。当社が独自に計算した指標であり、取引所等が公表する指数ではない。日経平均の終値と前日比、銘柄別の寄与度は報道各社の配信記事による。TOPIXはJ-Quants APIによる。決算発表予定は日本取引所グループ(JPX)の公表資料による。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

10万円を1年で100万円にする株式投資術(コマンドY 著)

記事を書いた人

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スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。

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この記事でわかること

最低賃金が壁を追い越していた
残る3つの要件とは?
まず自分が対象かどうかを確かめる
加入するとどうなるか
130万円の壁は残っている
10月に慌てる必要はない

「106万円の壁がなくなる」という見出しが、この夏から目につくようになった。2026年10月1日、パートやアルバイトが社会保険に加入する要件から、月額賃金8万8000円以上という条件が外れる。年収に直すと約106万円。これが「106万円の壁」と呼ばれてきたものだ。

壁がなくなるなら、働く時間を気にしなくてよくなるか、というとそうでもなさそうだ。
今回なくなるのは4つある要件のうちの1つで、残り3つはそのまま残る。しかも、その1つはすでに実質的な意味を失っているものだ。

最低賃金が壁を追い越していた

なぜ賃金要件が撤廃されるのか。厚生労働省が公表した政令案の概要に、その理由が書かれている。

「令和8年4月1日以降は全都道府県で最低賃金が1016円以上となり、労働時間要件に該当しなければ自動的に賃金要件にも該当しなくなった」

時給1016円で週20時間働けば、月の賃金は8万8000円を超える。2026年度の地域別最低賃金は全国加重平均が1177円で、最も低い宮崎県でも1085円。週20時間働く人は、もう全員が8万8000円を超えてしまう。だから要件として機能しなくなり、条文から外すことになったというのが、今回の改正の中身である。

つまり「壁がなくなったから手取りが減る人が増える」のではない。順番は逆で、最低賃金が上がって壁が意味をなさなくなったため、条文を整理したということである。

残る3つの要件とは?

10月以降も残るのは次の3つだ。

・週の所定労働時間が20時間以上であること。
・2か月を超えて雇用される見込みがあること。
・学生でないこと。

そして、もう1つが多くの人にとって大きいのが企業規模の要件である。
社会保険の適用対象になるのは、いまのところ従業員51人以上の企業に限られており、ここは10月に動かない。50人以下の会社で働いている人は、賃金要件が消えても加入対象にはならない。

この企業規模要件が下がりはじめるのは2027年10月から。厚生労働省の資料では、36人以上の企業が2027年10月、21人以上が2029年10月、11人以上が2032年10月、そして2035年10月に完全撤廃と、段階的に進む。10年かけて広げていく計画だ。

企業規模要件の段階的な撤廃
時期対象となる企業
2024年10月(現在)51人以上
2027年10月36人以上
2029年10月21人以上
2032年10月11人以上
2035年10月すべての企業(要件撤廃)

まず自分が対象かどうかを確かめる

自分の働き方が10月からどうなるのか。上から順に見てほしい。

加入対象かどうかの判定
確かめること結果
1 週の所定労働時間は20時間以上かいいえ → 対象外。ここで終わり
はい → 2へ
2 勤務先の従業員は51人以上かいいえ → 10月時点では対象外。2027年10月に36人以上へ
はい → 3へ
3 学生ではなく、2か月を超えて働く見込みがあるかいいえ → 対象外
はい → 4へ
4 最低賃金の減額特例を受けているかはい(かつ月8万8000円未満) → 当分の間は対象外。申し出れば加入できる
いいえ → 加入対象

週の所定労働時間は20時間以上か

20時間未満なら、10月以降も社会保険の加入対象にはならない。ここが最初の分かれ目になる。所定労働時間は雇用契約で判断するため、たまたま残業した月があっても関係ない。

勤務先の従業員は51人以上か

50人以下なら、10月時点では対象外だ。勤務先が該当するかどうかは、給与明細や会社の担当者に確認するのが確実である。2027年10月には36人以上まで下がるので、いまは対象外でも来年には変わる可能性がある。

学生ではないか/2か月を超えて働く見込みはあるか

学生は対象外。雇用期間が2か月以内の見込みしかない場合も加入しない。

最低賃金の減額特例を受けていないか

ここが見落とされがちなところだ。最低賃金法第7条には、心身の障害で労働能力が著しく低い人、試用期間中の人、軽易な業務や断続的労働に従事する人について、最低賃金を下回る額で働くことを許可する制度がある。この特例を受けていて報酬が月8万8000円未満の人は「特定減額特例対象者」とされ、当分の間は被保険者にならない。ただし自分から申し出れば加入できる。8万8000円という数字は、この場面だけ残るわけだ。

加入するとどうなるか

すべてに当てはまって加入することになった場合、負担はどれくらいか。東京都の協会けんぽ、40歳未満、標準報酬月額8万8000円で計算してみる。

標準報酬月額8万8000円の場合の本人負担(東京都・40歳未満)
項目月額
厚生年金保険料8,052円
健康保険料4,334円
子ども・子育て支援金101円
合計12,487円

厚生年金保険料が8052円、健康保険料が4334円、2026年4月から始まった子ども・子育て支援金が101円。合わせて月1万2487円が給与から引かれ、年間では約14万9800円になる。健康保険料率は都道府県で違い、東京は9.85%、全国平均は9.9%。40歳以上なら介護保険料率1.62%が加わるため、負担はもう少し重くなる。

手取りが減るのは事実だ。一方で、厚生年金に入れば将来の年金が増え、病気やけがで働けなくなったときの傷病手当金、産休中の出産手当金も受け取れるようになる。これは国民健康保険にはない給付である。

見落とされやすいのが、この保険料は労使折半だという点。給与から引かれる1万2487円と同じ額を、勤務先も負担している。国民年金を自分で払っている人が全額を自己負担しているのと比べると、同じ年金を積むためのコストは半分で済む。

さらに、新しく加入対象になる人には3年間、事業主が追加で保険料を負担して本人の負担を軽くできる特例措置も用意された。標準報酬が月8万8000円の人なら本人の負担は本来の半分まで下がり、賃金が上がるにつれて軽減幅は小さくなる。適用は勤務先の判断によるが、こうした制度があることは知っておいて損はない。

損か得かは、あと何年働くかで変わる。10年、20年と厚生年金に加入し続ける人と、数年で辞める予定の人とでは、同じ月1万2487円の重みがまるで違ってくる。

130万円の壁は残っている

もう1つ、混同しやすい点がある。よく並べて語られる「130万円の壁」は、今回の改正とは別の制度だ。配偶者や親の健康保険の扶養に入れるかどうかの基準で、10月以降も残る。

こちらは2026年4月に別の見直しがあった。年間収入を労働契約の内容で判断することになり、あらかじめ決まっていない残業代は含めない。想定外の残業で130万円を超えても、その範囲が社会通念上妥当なら扶養から外れない扱いになった。また、2025年10月からは、19歳以上23歳未満の人(被保険者の配偶者を除く)の基準が150万円未満に引き上げられている。60歳以上と障害のある人は180万円未満だ。

50人以下の会社で週20時間以上働いている人にとっては、いまも意識すべきは106万円ではなく130万円のほうだといえよう。

10月に慌てる必要はない

整理すると、2026年10月に変わるのは条文から賃金要件が消えることで、それによって新しく加入対象になる人はほとんどいない。すでに最低賃金が壁を越えていたためである。

実際に対象が広がるのは2027年10月から。勤務先の従業員が36人から50人の範囲にある人は、来年のいまごろ、同じ話をもう一度確認することになる。

「壁がなくなる」という言葉だけが先に走っているが、自分に関係があるかどうかは、週20時間と勤務先の規模という2つを見れば判断がつく。まずはそこを確かめておきたいところだ。

※本記事は2026年9月14日時点の公表資料にもとづく情報提供を目的としたものです。保険料率は加入する健康保険や都道府県、年齢によって異なります。ご自身が加入対象となるかどうかの判断は、勤務先または年金事務所にご確認ください。

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https://goldbeans.jp/?p=7732 <![CDATA[ 赤字から黒字へ戻す途中のベルグアースと、急拡大の翌期を横ばいに置いたフロンティア|決算ウォッチ ]]> https://goldbeans.jp/financial/page_7732.html Mon, 14 Sep 2026 20:00:00 +0000 Mon, 14 Sep 2026 12:15:20 +0000 この記事でわかること
・今日15日の決算発表は3社 ベルグアースとフロンティアを見る
・今日の相場観 日経平均は下げてもプライムの8割が上げた
・14日の答え合わせ 2社の数字は引け後に出た
・またぎ注意

今日15日の決算発表は3社 ベルグアースとフロンティアを見る

スタンダード2社、グロース1社。決算期は10月期2社、4月期1社。プライムの発表はない。

☆【注目度S級】ベルグアース(1383/スタンダード)10月期3Q

項目数字
前期3Q累計売上47億9700万円(3.7%増)、営業損失2億2000万円
今期中間期売上34億9600万円(9.1%増)、営業損失4300万円
前年中間期の営業損失2億3200万円 ── 1億8900万円改善
通期計画売上80億円(9.5%増)、営業利益1億1000万円、経常1億500万円、純利益5400万円
前期通期実績売上73億300万円、営業損失3200万円、経常損失2800万円、純利益4800万円
14日終値3005円(0.43%高)/出来高1200株

野菜苗の生産・販売で国内最大手。接ぎ木苗を農家に供給する事業で、収益が季節に大きく振れる。

Point:この会社は上期に損失を出し下期で取り戻す型だ。前期は3Q累計で2億2000万円の営業損失を出しながら、通期は3200万円の損失まで戻した。今期は中間期の損失が4300万円と前年から1億8900万円改善しており、通期は1億1000万円の黒字を置いている。私が見るのは3Q累計の営業損失がどこまで縮んだか。前期の同じ時点は2億2000万円だった。ここが1億円を切っていれば通期の黒字計画は射程に入る。出来高1200株の薄商いなので、数字が出たときの振れ幅には注意したい。

◎【注目度A級】フロンティアインターナショナル(7050/グロース)4月期1Q

項目数字
前期通期実績売上299億4800万円(47.3%増)、営業21億円(64.4%増)、経常21億800万円(66.4%増)、純利益12億4500万円(42.1%増)
今期通期計画売上301億円(0.5%増)、営業21億円(0.5%増)、経常21億1000万円(0.1%増)、純利益13億円(4.4%増)
14日終値1442円(4.12%高)/出来高1万7700株
直近3営業日4.95%高

イベントやキャンペーンの企画・運営を手がけるプロモーション会社。前期は売上が47.3%増、営業益が64.4%増と大きく伸びた。

Point:読みどころは会社が今期をほぼ横ばいに置いたことだ。前期に47.3%増えた売上を、今期は0.5%増の301億円。営業益も0.5%増で据え置いている。急拡大の翌期に慎重な計画を置く会社は珍しくないが、1Qがその線に乗るかどうかで見方が変わる。前期並みのペースで走っていれば計画が保守的だったことになり、逆に減っていれば前期が特需だったことになる。今日はその最初の材料が出る。

○【注目度なし】HODL1(2345/スタンダード)10月期3Q

14日16時30分に開示済み。3Q累計は売上5900万円(前年同四半期比39百万円増)、営業損失3億300万円(前年同四半期は営業損失3億7200万円)、純損失3億4700万円。

旧クシムで、今期に商号変更した。イーサリアムの保有とブロックチェーン開発が柱で、期末の自己保有暗号資産残高は652万5000円。旧経営陣のもとで子会社や資産が不当に流出した経緯があり、短信には継続企業の前提に関する重要事象等の記載がある。決算の数字と市場予想との差で株価が動くという当連載の切り口とは性質が異なるため、数字だけを置く。

今日の相場観 日経平均は下げてもプライムの8割が上げた

指標9月14日前日比
日経平均6万3492円99銭518円35銭安(▲0.81%)
TOPIX4058.2129.91pt高(+0.74%)
プライム平均株価―+1.06%(中央値+1.01%)
上げた銘柄/下げた銘柄1221/31078.6%/19.9%

14日は指数が逆を向いた。日経平均は518円安だが、TOPIXは0.74%高、プライム平均株価は1.06%高で、値上がり銘柄は78.6%にのぼる。下げたのは指数のほうで、市場全体は上げている。

理由は寄与度に出ている。ソフトバンクグループが1銘柄で563円98銭、アドバンテストが154円47銭。2銘柄で718円の押し下げだ。日経平均の下げ幅518円より大きい。この2銘柄がなければ日経平均はプラスだった計算になる。キオクシアHD80円72銭、東京エレクトロン53円30銭と続き、押し下げ上位はAI・半導体で占められた。押し上げはリクルートHDの99円06銭が最大で、コナミG、ソニーG、バンナムHDと内需・ゲームが並ぶ。

日経平均は株価平均型なので値がさ株の動きがそのまま出る。プライム平均株価は1銘柄を1票として数えるため、値がさ株が下げても8割が上げていれば上昇になる。1.87ポイントの差が、その構造の違いだ。

※「プライム平均株価」とは、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を、単純に平均した当サイトの独自指数(詳しくは記事末尾)。

今日15日からFOMC、17日から日銀の金融政策決定会合。 原油高とCPI上振れを受けた会合で、AI・半導体が売られた地合いはここに向かっている。

14日の答え合わせ 2社の数字は引け後に出た

銘柄14日終値前日比3営業日
Terra Drone(278A)2万310円▲3.29%+8.03%
サムコ(6387)8020円0.00%▲7.50%
ReYuu Japan(9425)255円▲3.04%+6.69%

14日付けの記事で3社を挙げたが、このうち2社の決算は引け後に出ている。したがって14日の値動きは決算を見ていない値段で、答えが出るのは今日だ。

Terra Droneは中間期の営業損失が8億1900万円だった。14日付けの記事で「2Q累計の営業損失が8億3000万円前後で収まるか」と書いた線の内側である。売上は22億3500万円で15.1%増。通期計画は営業損失16億5800万円のまま修正がなく、中間期でその49.4%を使った計算になる。前年同期の損失6億8100万円からは1億3800万円広がった。

サムコは前期が売上108億円(15.6%増)、営業30億400万円(28.2%増)、経常31億1000万円(31.0%増)で着地した。14日付けの記事では「7期連続の最高益のあとに会社が来期をどう置くか」を見ると書いたが、答えは強気だ。27年7月期は売上145億円で34.3%増、営業38億8000万円で29.1%増。経常38億4000万円は23.5%増で、8期連続の最高益を見込む。配当は75円を据え置いた。前期の3Q時点で進捗70.8%と書いた会社が、翌期にさらに3割増を置いたことになる。

株価は、Terra Droneが前日比3.29%安ながら3営業日では8.03%高、サムコは前日比変わらずで3営業日は7.50%安。どちらも決算前の水準だ。今日はここに数字が乗る。

またぎ注意

決算書Watchでは、またぎを推奨していない。
上がる株であれば、決算発表後も伸びるだろうから、そこで買っても遅くはない。
逆であれば、損切りしてマイナスを確定したほうがよい。
ただし、配当を目的にしている場合は、その限りではない。

今週の発表は今日が3社、16日が1社、17日が5社で、16日以降はすべてREITだ。事業会社の決算はほぼ今日で終わる。悩む場面が少ない週だが、そのぶん今日出る2社の数字と、昨日引け後に出た2社への値付けに材料が集中する。

拙著『10万円を1年で100万円にする株式投資術』にも書いたが、株が動くのは市場が見ていた線との差で、その差は発表という事実が出てからでないと測れない。損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

「プライム平均株価」について

東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を単純に平均した、当サイトの独自指標だ。時価総額でも株価水準でも重みをつけず、1銘柄を1票として数える。日経平均は株価平均型なので値がさ株の動きが大きく出て、TOPIXは時価総額加重なので大型株の影響が強い。計算には分割調整後の株価を使い、前営業日と当日の双方に終値がある銘柄だけを対象にする。9月14日の対象は1554銘柄だった。

これは日経平均やTOPIXより優れた指標という意味ではない。売買代金の大きい値がさ株の動きは、それ自体が相場の重要な情報だ。当社が独自に計算した指標であり、取引所等が公表する指数ではない。

※本文中の決算数値は、各社が公表した決算短信(ベルグアース:2026年10月期第2四半期(中間期)決算短信、2025年10月期第3四半期決算短信、フロンティアインターナショナル:2026年4月期決算短信、HODL1:2026年10月期第3四半期決算短信、Terra Drone:2027年1月期第2四半期(中間期)決算短信、2026年1月期第2四半期(中間期)決算短信、サムコ:2026年7月期決算短信)にもとづく。株価・出来高はJPX公式のJ-Quants APIによる9月14日終値時点の値で、株式分割を調整済み。プライム平均株価は東証プライム全銘柄の前日比騰落率を単純平均した独自指標で、時価総額や株価水準で重みをつけず1銘柄を1票として数える。当社が独自に計算した指標であり、取引所等が公表する指数ではない。日経平均の終値と前日比、銘柄別の寄与度は報道各社の配信記事による。TOPIXはJ-Quants APIによる。決算発表予定は日本取引所グループ(JPX)の公表資料による。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

10万円を1年で100万円にする株式投資術(コマンドY 著)

記事を書いた人

コマンドY

スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。

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https://goldbeans.jp/?p=7727 <![CDATA[ 大阪・神戸・京都いずれも下落 近畿圏中古マンション㎡単価7か月ぶり下げ、売り出しと成約の差569万円【2026年8月/近畿レインズ】 ]]> https://goldbeans.jp/topic/page_7727.html Mon, 14 Sep 2026 03:20:00 +0000 Mon, 14 Sep 2026 01:13:23 +0000

この記事でわかること
・6か月続いた中古マンションの単価上昇が止まった
・在庫が6か月ぶりに増加へ転じた
・エリア別は12地域中10地域で成約件数が減少
・戸建ては成約2か月連続増、在庫は50か月連続増
・土地は成約4か月連続減、在庫44か月連続増
・売り手と買い手の差はどこまで開くか

中古マンション:6か月続いた単価上昇が止まった

近畿レインズ(公益社団法人近畿圏不動産流通機構)が9月11日に公表した「マンスリーレポート2026年8月度」によると、近畿圏の中古マンション成約㎡単価は45.33万円/㎡で前年同月比マイナス4.8%と7か月ぶりに下落した。前月比も5.5%下げている。

7月まで6か月連続で前年を上回っていた流れが、ここで途切れた。

成約価格も3087万円(同マイナス3.6%)と、2025年5月以来15か月ぶりに下落。前月比は4.0%下げ、7月の3214万円から127万円下がっている。1年以上続いた価格の上昇が止まった形だ。

成約件数は1374件で前年同月比マイナス7.2%と7か月連続の減少。減少率は7月のマイナス4.5%から広がった。新規登録件数は5646件(同プラス3.0%)と2か月連続で増加している。

在庫が6か月ぶりに増加に転じた

数字の向きが変わったのは単価だけではない。

在庫件数は2万1596件で前年同月比プラス0.5%と、ほぼ横ばいながら6か月ぶりに増加した。3月から7月まで5か月続いた減少が止まったことになる。

先月は、売れ残りが積み上がる首都圏に対して近畿圏では市場に出ている物件そのものが減っていた。8月はその違いが薄れ、近畿圏も首都圏と同じ向きに揃いはじめている。

一方、売り出し側の数字は8月も上がり続けた。
新規登録㎡単価は57.98万円/㎡(同プラス13.9%)と2024年6月から27か月連続、在庫㎡単価は57.34万円/㎡(同プラス18.3%)と2024年9月から24か月連続で上昇している。在庫価格も3656万円(同プラス18.5%)と26か月連続の上昇だ。

区分件数前年同月比㎡単価前年同月比価格前年同月比
成約1,374件-7.2%45.33万円/㎡-4.8%3,087万円-3.6%
新規登録5,646件+3.0%57.98万円/㎡+13.9%3,734万円+14.4%
在庫21,596件+0.5%57.34万円/㎡+18.3%3,656万円+18.5%
近畿圏 中古マンション(2026年8月)

※近畿レインズ「マンスリーレポート2026年8月度」より作成

成約㎡単価45.33万円/㎡に対し、在庫㎡単価は57.34万円/㎡。その差は12.01万円/㎡ある。価格でみると在庫3656万円と成約3087万円の差は569万円で、7月の378万円から1か月で191万円広がった。

在庫2万1596件を成約1374件で割ると15.7か月分になる。売り出し中の物件を売り切るのに1年4か月かかる計算だ。

エリア別:12地域中10地域で成約件数が減少

エリア別の成約件数は、対象12地域のうち10地域が前年を下回り、減少エリアは前月から2地域増えた。

近畿圏で最も取引の多い大阪市は382件(同マイナス8.6%)で7か月連続の減少。京都市も105件(同マイナス2.8%)と7か月連続、大阪府北部は172件(同マイナス8.5%)と5か月連続で減っている。神戸市177件(同マイナス13.2%)、阪神間147件(同マイナス10.9%)、奈良県41件(同マイナス18.0%)は2ケタ減となった。増えたのは大阪府南部の115件(同プラス18.6%)だけで、和歌山県の14件は前年と同数である。

成約㎡単価は12地域中7地域が下落し、下落エリアは前月から4地域増えた。

大阪市は70.84万円/㎡(同マイナス7.1%)と2か月連続で下落。大阪府北部42.73万円/㎡(同マイナス7.0%)と神戸市38.50万円/㎡(同マイナス2.6%)は9か月ぶり、京都市53.19万円/㎡(同マイナス1.9%)は7か月ぶりの下落に転じた。滋賀県は32.67万円/㎡(同マイナス18.5%)と2ケタ下落している。

上昇したほうでは、京都府他が38.28万円/㎡(同プラス34.1%)と3割を超え、奈良県23.07万円/㎡(同プラス8.2%)、大阪府東部31.64万円/㎡(同プラス7.1%)が続く。大阪府東部は9か月連続、阪神間は5か月連続の上昇である。

エリア成約件数前年同月比㎡単価前年同月比価格
大阪市382件-8.6%70.84万円/㎡-7.1%4,263万円
大阪府北部172件-8.5%42.73万円/㎡-7.0%3,099万円
大阪府東部84件-9.7%31.64万円/㎡+7.1%2,283万円
大阪府南部115件+18.6%26.42万円/㎡-4.2%1,948万円
神戸市177件-13.2%38.50万円/㎡-2.6%2,660万円
京都市105件-2.8%53.19万円/㎡-1.9%3,264万円
中古マンション 主なエリアの成約動向(2026年8月)

※近畿レインズ「マンスリーレポート2026年8月度」より作成

7月に34.1%上昇した京都市の㎡単価は、8月は1.9%の下落となった。月ごとの振れ幅が大きいのは成約件数が100件前後と少ないためで、1か月の数字だけで方向を決めつけないほうがよい。

中古戸建住宅:成約は2か月連続増、在庫は50か月連続で増加

中古戸建住宅の成約件数は1089件で前年同月比プラス9.0%と2か月連続の増加。マンションとは逆に取引が増えている。新規登録件数は4408件(同プラス9.7%)と6か月連続で増加、在庫件数は2万468件(同プラス6.0%)で2022年7月から50か月連続の増加となった。4年2か月にわたって在庫が積み上がり続けている。

成約価格は2395万円(同プラス3.1%)と2か月ぶりに上昇し、前月比も1.6%上げた。

売り出し側では新規登録価格が2757万円(同マイナス1.7%)と、2025年1月以来19か月ぶりに下落している。在庫価格は2728万円(同プラス3.2%)と2025年4月から17か月連続の上昇を保つが、前月比はマイナス0.4%だった。マンションの売り出し価格がなお2ケタ上昇を続けるのとは対照的である。

土地面積は136.76㎡(同プラス4.2%)、建物面積は108.56㎡(同プラス3.1%)とそろって2か月ぶりに拡大した。

区分件数前年同月比価格前年同月比
成約1,089件+9.0%2,395万円+3.1%
新規登録4,408件+9.7%2,757万円-1.7%
在庫20,468件+6.0%2,728万円+3.2%
近畿圏 中古戸建住宅(2026年8月)

※近畿レインズ「マンスリーレポート2026年8月度」より作成

エリア別の成約件数は12地域中8地域が増加し、増加エリアは前月から2地域増えた。兵庫県他92件(同プラス31.4%)、滋賀県88件(同プラス27.5%)、奈良県95件(同プラス25.0%)、京都市91件(同プラス23.0%)、阪神間112件(同プラス21.7%)、大阪府南部167件(同プラス16.8%)が2ケタ増となり、兵庫県他は5か月連続で増えている。一方、和歌山県34件(同マイナス27.7%)と大阪府東部106件(同マイナス10.9%)は2ケタ減となった。

成約価格は12地域中7地域が上昇した。大阪市4213万円(同プラス14.8%)、京都府他1997万円(同プラス15.4%)、奈良県1737万円(同プラス16.0%)が2ケタ上昇し、大阪府南部と阪神間、奈良県は5か月連続の上昇である。逆に兵庫県他は1407万円(同マイナス15.7%)と2ケタ下落し、大阪府北部3781万円(同マイナス0.4%)は3か月連続で下落した。

エリア成約件数前年同月比価格前年同月比
大阪市84件+1.2%4,213万円+14.8%
大阪府北部81件+5.2%3,781万円-0.4%
大阪府南部167件+16.8%1,754万円+4.2%
阪神間112件+21.7%3,165万円+6.5%
兵庫県他92件+31.4%1,407万円-15.7%
奈良県95件+25.0%1,737万円+16.0%
中古戸建住宅 主なエリアの成約動向(2026年8月)

※近畿レインズ「マンスリーレポート2026年8月度」より作成

土地:成約件数は4か月連続減、在庫は44か月連続で増加

土地の成約件数は624件で前年同月比マイナス9.2%と4か月連続の減少。新規登録件数は3261件(同プラス8.3%)と3か月連続で増加し、在庫件数は1万8166件(同プラス7.0%)で2023年1月から44か月連続の増加となっている。

成約㎡単価は15.40万円/㎡(同マイナス3.5%)と2か月ぶりに下落し、前月比も5.4%下げた。成約価格は2454万円(同マイナス4.6%)で2か月ぶりの下落、前月比は5.7%下落している。在庫㎡単価は13.57万円/㎡(同プラス6.1%)と2025年2月から19か月連続で上昇した。

区分件数前年同月比㎡単価前年同月比
成約624件-9.2%15.40万円/㎡-3.5%
新規登録3,261件+8.3%17.49万円/㎡+7.3%
在庫18,166件+7.0%13.57万円/㎡+6.1%
近畿圏 土地(2026年8月)

※近畿レインズ「マンスリーレポート2026年8月度」より作成

エリア別の成約件数は12地域中8地域が減少し、大阪府北部55件(同マイナス26.7%)、阪神間51件(同マイナス28.2%)、京都市43件(同マイナス21.8%)、大阪府南部79件(同マイナス14.1%)、奈良県53件(同マイナス10.2%)が2ケタ減となった。大阪府南部は6か月連続、京都市は4か月連続で減少している。

売り手と買い手の差が、どこまで開くか

8月の近畿圏で最も重いのは、6か月続いた成約㎡単価の上昇が止まったことだろう。

7月までの近畿圏は、取引こそ細っていたものの単価は上がり続けていた。売り出し中の在庫も減っており、売り手が値を下げずに待てる状況にあった。その2つが8月に同時に変わった。単価は7か月ぶりに下落し、在庫は6か月ぶりに増えている。

とはいえ、売り出し価格のほうは何も変わっていない。在庫㎡単価は24か月連続で上昇し、在庫価格も26か月連続の上昇だ。動いたのは買い手が実際に払った金額のほうだけである。その結果、売り出しと成約の差は569万円へ広がった。7月の378万円から1か月で191万円開いたことになる。

首都圏では同じ差が1810万円まで開き、在庫は6か月連続で増えた。近畿圏の569万円はまだその3分の1にも満たないが、向きは同じだ。首都圏で先に起きたことが、近畿圏でも同じ順番で始まったと見ることもできる。

戸建てと土地に目を移すと、在庫はそれぞれ50か月、44か月と4年前後にわたって増え続けている。ただ戸建ては成約件数が2か月連続で増え、価格も2か月ぶりに上昇した。売り出し価格が2ケタ上昇を続けるマンションに手が届かなくなった層が、戸建てへ回っているとも読める。

売却を考えているなら、近隣の売り出し価格ではなく成約価格を見ておきたいところだ。8月の近畿圏では、その差は569万円ある。在庫が6か月ぶりに増えたということは、この差を埋められなかった物件が積み上がりはじめたということでもある。

買う側から見れば、待っていた局面が動いたといえる。成約単価が7か月ぶりに下がり、価格も15か月ぶりに前年を下回った。1か月の数字で流れが決まったと見るのは早いが、値引き交渉を持ちかける材料にはなるだろう。9月以降、この下落が続くのか、7月までの上昇に戻るのか――近畿圏の中古マンションは、その分かれ目に立っている。

合わせて読みたい

・首都圏中古マンション㎡単価3.8%下落、バブル期下回る 成約は連続減、在庫積み上がる【2026年8月/東日本レインズ】
・近畿圏中古マンション成約6か月連続減、㎡単価は6か月連続上昇【2026年7月/近畿レインズ】

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https://goldbeans.jp/?p=7722 <![CDATA[ 注目は迎撃ドローン・赤字のTerra Droneと光デバイスで最高益のサムコ|決算ウォッチ ]]> https://goldbeans.jp/financial/page_7722.html Sun, 13 Sep 2026 20:00:00 +0000 Sun, 13 Sep 2026 17:37:28 +0000 この記事でわかること
・☆【注目度S級】Terra Drone(278A)
・◎【注目度A級】サムコ(6387)
・★【要注意D級】ReYuu Japan(9425)
・○【値動き注意】
・今日の相場観 FOMCと日銀会合の直前
・11日の答え合わせ 3社とも下げた
・またぎ注意

今日14日の決算発表は69社 注目は3社

プライム12社、スタンダード24社、グロース24社、REIT9社。決算期は7月期25社、1月期18社、10月期16社、4月期10社。

☆【注目度S級】Terra Drone(278A/精密機器)1月期2Q

項目数字
直近1Q売上10億1000万円(6.6%増)、営業損失4億3400万円
前期1Qの営業損失2億8300万円 ── 赤字が1億5100万円拡大
通期計画売上50億7300万円、営業損失16億5800万円(修正なし・配当0円)
11日終値2万1000円(9.15%高)/売買代金404億6100万円
時価総額2183億円/20営業日で73.6%高
日中値幅10.88%(今日の69社で最大)

8月25日、防衛装備庁の「迎撃ドローン早期取得プログラム」で国産迎撃ドローン「Terra B1」が実証試験を通過し量産段階へ進んだ。当初38社が提案し4社が採択されたなかで、通過したのは同社のみ。シャヘド型など長射程自爆型UAVへの対処を想定した機体だ。

Point:会社は業績への影響を「精査中」とし、納期は2026年9月頃。今日発表の2Qにはまだ売上が入らない。赤字計画のまま73.6%上げた株価は期待で買われたもので、数字はこれから出てくる。私が見るのは2Q累計の営業損失が8億3000万円前後で収まるか。前期2Q累計は6億6600万円の損失だった。

◎【注目度A級】サムコ(6387/機械)7月期 本決算

項目数字
3Q累計売上74億1400万円(18.8%増)、営業益18億6300万円(33.7%増)、経常19億6500万円(43.4%増)
通期計画売上107億8500万円、営業益26億3100万円(6月12日に上方修正)
進捗率営業益70.8%/売上68.7%/経常72.2%
4Q単独の必要額営業益7億6800万円(前期4Qは9億4900万円)
11日終値8020円(6.20%安)/時価総額645億円

化合物半導体向けに特化した製造装置メーカー。6月12日の上方修正では期末配当も60円から75円へ引き上げ、売上5期連続・営業益6期連続・経常と純益7期連続で過去最高を更新する見通しとしている。

Point:用途別で化合物半導体が52.9%増、電子部品が151.6%増と伸びる一方、シリコン半導体は65.2%減。伸びているのは生成AI向けデータセンターの光デバイスで、1つの柱が全体を押し上げている形だ。今日は来期計画も同時に出る。7期連続の最高益のあとに会社が来期をどう置くか。私はそこを見る。

★【要注意D級】ReYuu Japan(9425/情報・通信業)10月期3Q

項目数字
2Q累計売上47億2100万円(58.8%増)、営業損失1億3200万円
前年中間期の営業損失2億500万円 ── 赤字は7300万円縮小
通期計画売上84億円、営業損失5200万円(7月10日に上方修正)
うち一過性営業益改善5300万円のうち3600万円が蓄電池の譲渡益
11日終値263円(3.14%高)/売買代金10億4700万円
時価総額21億円/日中値幅10.08%

中古スマートフォンの買い取りと販売が柱。要注意と付けたのは、時価総額21億円に対し1日の売買代金が10億4700万円と、会社の規模の半分に近い商いが立っているからだ。

Point:上方修正の営業益改善5300万円のうち3600万円は系統用蓄電池の権利譲渡による利益で、本業ぶんは1700万円にとどまる。譲渡は7月10日に実行済みなので3Qに計上される。3Q単独で営業黒字が出ても、中身が譲渡益なのか本業なのかは分けて読みたい。値が動く余地は、下にも同じだけ開いている。

○【値動き注意】

値幅が大きく売買代金5億円以上の5社。事業の性格だけを添えた。

銘柄決算値幅事業の性格
アピリッツ(4174)1月期2Q3.77%ウェブ開発とゲーム運営。5日出来高が20日平均の3.39倍
サンバイオ(4592)1月期2Q3.72%再生細胞医薬品。承認や治験で動く
ギフトHD(9279)10月期3Q3.35%横浜家系ラーメン。20営業日で19.0%安
GA tech(3491)10月期3Q3.17%中古住宅仲介「RENOSY」
フィットイージー(212A)10月期3Q2.88%24時間フィットネス。出店ペースが業績に直結

このほか学情(2301)、アインホールディングス(9627/4月期1Q)、巴工業(6309)、TOKYO BASE(3415)、クラシコム(7110)、Hamee(3134)、スマレジ(4431)などが発表する。REIT9社は分配金と稼働率で見るもので、この連載の切り口とは性質が違う。

今日の相場観 FOMCと日銀会合の直前

指標9月11日前日比
日経平均6万4011円34銭1259円61銭安(▲1.93%)
TOPIX4028.3026.28pt安(▲0.65%)
プライム平均株価―▲0.59%(中央値▲0.40%)
上げた銘柄/下げた銘柄510/98632.8%/63.4%

11日は一時2000円超下げて約1か月ぶりの安値。中東情勢の悪化でWTI原油が1バレル100ドルを超え、米8月のCPIが前月比で伸びを加速させて利上げ観測が強まった。キオクシア、ソフトバンクグループが売られ、三井住友フィナンシャルグループなど金融株は堅調。金利上昇で銀行が買われ高PERの成長株が売られる入れ替わりだ。日経平均▲1.93%に対しプライム平均株価は▲0.59%で、1.34ポイントの差が値がさ株の押し下げぶんになる。

※「プライム平均株価」とは、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を、単純に平均した当サイトの独自指数(詳しくは記事末尾)。

今週は15日からFOMC、17日から日銀の金融政策決定会合。 原油高とCPI上振れの直後の会合で、今日の69社はその直前に置かれている。

11日の答え合わせ 3社とも下げた

銘柄11日終値前日比
神戸物産(3038)2965円50銭▲3.44%
くら寿司(2695)1675円0.00%
モルフォ(3653)1289円▲13.49%
三井ハイテック(6966)868円▲7.66%
ANYCOLOR(5032)3115円▲3.86%

11日付けの記事で3社の見どころを上げたが、答えは3社とも下げている。とくにモルフォは「値幅10.64%は上にも下にも同じだけ動く」と書いた、その日のうちに13.49%の下げ。前日は7.43%高だったので2日で方向が入れ替わったかたちだ。

9日発表の2社も前日の上げを返した。三井ハイテックは通期を2度目の上方修正で195億円に引き上げた会社だが▲7.66%。上方修正でも相場が崩れる日には売られる。決算の中身がよいことと株価が上がることは別だと何度も指摘しているが、11日はその見本のような日だ。ただプライムの63.4%が値下がりした日でもあり、地合いのぶんと決算への警戒は分けて考えたい。

またぎ注意

決算書Watchでは、またぎを推奨していない。
上がる株であれば、決算発表後も伸びるだろうから、そこで買っても遅くはない。
逆であれば、損切りしてマイナスを確定したほうがよい。
ただし、配当を目的にしている場合は、その限りではない。

持ち株の決算発表日が今日なら、またぐかどうかを決められるのは今日の取引時間しかない。今週は決算の中身に加えてFOMCと日銀会合という変数が乗るため、わざわざ賭けを増やす必要はない。

拙著『10万円を1年で100万円にする株式投資術』にも書いたが、株が動くのは決算の良し悪しではなく市場が見ていた線との差で、その差は発表という事実が出てからでないと測れない。損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

「プライム平均株価」について

東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を単純に平均した、当サイトの独自指標だ。時価総額でも株価水準でも重みをつけず、1銘柄を1票として数える。日経平均は株価平均型なので値がさ株の動きが大きく出て、TOPIXは時価総額加重なので大型株の影響が強い。計算には分割調整後の株価を使い、前営業日と当日の双方に終値がある銘柄だけを対象にする。9月11日の対象は1554銘柄だった。

これは日経平均やTOPIXより優れた指標という意味ではない。売買代金の大きい値がさ株の動きは、それ自体が相場の重要な情報だ。当社が独自に計算した指標であり、取引所等が公表する指数ではない。

※本文中の決算数値は、各社が公表した決算短信(Terra Drone:2027年1月期第1四半期決算短信、2026年1月期決算短信およびその訂正版「(訂正・数値データ訂正)「2026年1月期決算短信[日本基準](連結)」の一部訂正に関するお知らせ」(2026年4月30日)、サムコ:2026年7月期第3四半期決算短信、ReYuu Japan:2026年10月期第2四半期(中間期)決算短信、2025年10月期決算短信)、サムコ「業績予想及び配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」(2026年6月12日)、ReYuu Japan「2026年10月期通期業績予想の修正に関するお知らせ」(2026年7月10日)およびTerra Drone「防衛装備庁の「迎撃ドローン早期取得プログラム」における実証試験の通過のお知らせ」(2026年8月25日)にもとづく。株価・売買代金・日中値幅・時価総額はJPX公式のJ-Quants APIによる9月11日終値時点の値で、株式分割を調整済み。プライム平均株価は東証プライム全銘柄の前日比騰落率を単純平均した独自指標で、時価総額や株価水準で重みをつけず1銘柄を1票として数える。当社が独自に計算した指標であり、取引所等が公表する指数ではない。日経平均の終値と前日比は日経平均プロフィルの公開データ、TOPIXはJ-Quants APIによる。9月11日の売買高・売買代金と市況、寄与した銘柄は共同通信および報道各社の配信記事による。決算発表予定は日本取引所グループ(JPX)の公表資料による。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

10万円を1年で100万円にする株式投資術(コマンドY 著)

記事を書いた人

コマンドY

スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。

著書をAmazonで見る →

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https://goldbeans.jp/?p=7717 <![CDATA[ 首都圏中古マンション㎡単価3.8%下落、バブル期下回る 成約は連続減、在庫積み上がる【2026年8月/東日本レインズ】 ]]> https://goldbeans.jp/topic/page_7717.html Thu, 10 Sep 2026 22:30:00 +0000 Thu, 10 Sep 2026 19:24:09 +0000

この記事でわかること
・中古マンションの成約単価がバブル期の水準を割り込んだ
・売り出し価格と成約価格の差が1810万円に開いた
・東京都区部の単価が76か月ぶりに下落した
・戸建ては価格8か月連続上昇、在庫は7か月連続減
・35年前の水準を割ったことが何を意味するか

中古マンション:成約単価が1990年10月の水準を割り込んだ

東日本レインズ(公益財団法人東日本不動産流通機構)が9月10日に公表した「月例速報2026年8月」によると、首都圏中古マンションの成約㎡単価は81.60万円/㎡で前年同月比マイナス3.8%と4か月連続の下落。前月比も3.1%下げ、1990年10月の83.50万円/㎡を下回っている。

7月は、成約㎡単価84.17万円/㎡がこの1990年10月の水準をかろうじて上回っていたが、8月はそこから2.57万円/㎡下げ、基準を割り込んだ。

成約件数は3180件で前年同月比マイナス10.5%と5か月連続の減少。減少率は7月のマイナス8.6%からさらに広がり、2ケタに乗せた。新規登録件数は1万5627件(同プラス9.7%)と3か月連続で増加し、在庫件数も4万8235件(同プラス8.2%)とこちらは6か月連続で増え続けている。この結果、在庫の増加率も5.5%から8.2%へ拡大した。

売り出し価格と成約価格の差は1810万円

成約価格は5129万円で前年同月比マイナス2.8%と4か月連続の下落。前月比も2.6%下げている。

一方で、売り出し側の数字は上がり続けている。
新規登録㎡単価は116.81万円/㎡(同プラス21.5%)と2024年5月から28か月連続で上昇、在庫㎡単価は119.36万円/㎡(同プラス28.4%)と2024年8月から25か月連続で上昇した。在庫価格は6939万円(同プラス29.0%)に達し、成約価格5129万円との差は1810万円ある。7月時点の1599万円から、1か月で211万円広がった。

成約・新規登録・在庫の3つを並べると、向きの違いがはっきりする。

区分件数前年同月比㎡単価前年同月比価格前年同月比
成約3,180件-10.5%81.60万円/㎡-3.8%5,129万円-2.8%
新規登録15,627件+9.7%116.81万円/㎡+21.5%6,751万円+21.5%
在庫48,235件+8.2%119.36万円/㎡+28.4%6,939万円+29.0%
首都圏 中古マンション(2026年8月)

※東日本レインズ「月例速報2026年8月」より作成

在庫4万8235件を成約3180件で割ると15.2か月分になる。いま市場に出ている物件を売り切るのに1年3か月かかる計算だ。

エリア別:都区部の単価が76か月ぶりに下落

エリア別の成約㎡単価で目を引くのは東京都区部だ。132.69万円/㎡で前年同月比マイナス0.3%と、2020年4月以来76か月ぶりに下落した。ほぼ横ばいの下げ幅とはいえ、6年以上続いた連続上昇がここで止まった。

7月は「単価そのものは都区部で75か月連続の上昇を保っており、価格が崩れたわけではない」としたが、その連続記録が途切れたことになる。

成約件数でも都区部は1265件(同マイナス20.6%)と8か月連続で減少し、下げ幅は2割に達する。多摩は297件(同マイナス9.5%)と5か月ぶりの減少、神奈川県他は227件(同マイナス9.2%)と2024年10月以来22か月ぶりの減少に転じている。横浜・川崎市も581件(同マイナス2.2%)と2か月連続で減った。

増えたのは埼玉県の412件(同プラス5.4%)と千葉県の398件(同プラス0.3%)だけで、どちらも2か月ぶりの増加である。

単価のほうは都区部と横浜・川崎市を除けば上昇が続く。多摩は59.90万円/㎡(同プラス9.1%)と2025年8月から13か月連続、神奈川県他は45.07万円/㎡(同プラス9.0%)と8か月連続、埼玉県は44.35万円/㎡(同プラス2.0%)と8か月連続で上昇した。千葉県は41.68万円/㎡(同プラス5.1%)と2か月ぶりに上昇している。

エリア成約件数前年同月比連続状況㎡単価前年同月比
東京都区部1,265件-20.6%8か月連続減132.69万円/㎡-0.3%
東京都多摩297件-9.5%5か月ぶり減59.90万円/㎡+9.1%
横浜・川崎市581件-2.2%2か月連続減65.95万円/㎡-0.5%
神奈川県他227件-9.2%22か月ぶり減45.07万円/㎡+9.0%
埼玉県412件+5.4%2か月ぶり増44.35万円/㎡+2.0%
千葉県398件+0.3%2か月ぶり増41.68万円/㎡+5.1%
中古マンション エリア別 成約動向(2026年8月)

※東日本レインズ「月例速報2026年8月」より作成

都心が減って郊外が増えるという、これまでの構図に戻ったようにも見える。ただ都区部の単価が下がり始めた点は、7月までとは違う大きな変化といえるだろう。

中古戸建住宅:成約価格は8か月連続で上昇、在庫は7か月連続減

首都圏中古戸建住宅の成約件数は1641件で前年同月比プラス1.9%と2か月ぶりに増加した。新規登録件数は6079件(同プラス2.5%)と2か月連続で増加、在庫件数は2万3277件(同マイナス1.2%)と7か月連続で減少している。在庫が積み上がるマンションとは需給が逆になっている点は、7月から変わらない。

成約価格は3960万円で前年同月比プラス1.7%と8か月連続の上昇。前月比もプラス0.7%と、7月の3933万円から戻した。新規登録価格は4908万円(同プラス9.9%)と2025年8月から13か月連続、在庫価格は4799万円(同プラス8.3%)と2025年3月から18か月連続で上昇している。

土地面積は151.08㎡(同プラス3.2%)と2か月ぶりに拡大し、建物面積は102.88㎡(同マイナス0.6%)と4か月連続で縮小した。

区分件数前年同月比価格前年同月比
成約1,641件+1.9%3,960万円+1.7%
新規登録6,079件+2.5%4,908万円+9.9%
在庫23,277件-1.2%4,799万円+8.3%
首都圏 中古戸建住宅(2026年8月)

※東日本レインズ「月例速報2026年8月」より作成

エリア別の成約件数は、東京都区部が271件(同マイナス0.7%)とほぼ横ばいながら6か月連続で減少、神奈川県他が198件(同マイナス2.9%)と2か月連続で減った。増えたのは多摩の220件(同プラス10.6%)が2か月連続、横浜・川崎市の234件(同プラス0.9%)が2024年11月から22か月連続、埼玉県の387件(同プラス2.1%)が5か月連続、千葉県の331件(同プラス2.2%)が2か月ぶりである。

成約価格は東京都区部が7815万円(同プラス4.4%)と5か月連続、多摩が3775万円(同プラス5.0%)と2か月連続、神奈川県他が3385万円(同プラス6.9%)と8か月連続、千葉県が2613万円(同プラス2.2%)と8か月連続で上昇した。下げたのは横浜・川崎市の4347万円(同マイナス2.8%)が2か月連続、埼玉県の2578万円(同マイナス2.4%)が5か月ぶりの下落となっている。

エリア成約件数前年同月比連続状況価格前年同月比
東京都区部271件-0.7%6か月連続減7,815万円+4.4%
東京都多摩220件+10.6%2か月連続増3,775万円+5.0%
横浜・川崎市234件+0.9%22か月連続増4,347万円-2.8%
神奈川県他198件-2.9%2か月連続減3,385万円+6.9%
埼玉県387件+2.1%5か月連続増2,578万円-2.4%
千葉県331件+2.2%2か月ぶり増2,613万円+2.2%
中古戸建住宅 エリア別 成約動向(2026年8月)

※東日本レインズ「月例速報2026年8月」より作成

35年前の水準を割った意味

8月の数字で最も重いのは、成約㎡単価81.60万円/㎡がバブル期の1990年10月を下回ったことだろう。

この水準は、2024年から2026年にかけての値上がりを語るときに繰り返し引き合いに出されてきた。「バブル期を超えた」という表現の根拠がこの83.50万円/㎡である。8月はそれを1.90万円/㎡下回った。7月に上回り、8月に下回る。境目の上を行き来している段階ではあるが、上抜けてから下抜けたという順番には意味がある。

もっとも、下がったのは成約単価だけだ。在庫㎡単価は119.36万円/㎡で25か月連続の上昇を続けている。売り出し価格は上がり続け、成約価格だけが下がっている。その差は37.76万円/㎡、価格でいえば1810万円に開いた。

在庫は6か月連続で増え、いまや15.2か月分ある。売り手が値段を下げずに待つことを選んだ結果が、この在庫の山だといえよう。都区部の単価が76か月ぶりに下落したのは、その待ちが限界に近づいたサインなのかもしれない。

一方の戸建ては、成約価格が8か月連続で上昇し、在庫も7か月連続で減っている。同じ首都圏の中古住宅でありながら、マンションとは逆の動きが続く。マンションの売り出し価格が手の届かない水準まで上がったぶん、買い手が戸建てへ回っていると見ることもできる。

売却を考えているなら、周辺の売り出し価格ではなく成約価格を見ておきたいところだ。8月の数字では、その差は1810万円ある。在庫が6か月続けて増えているということは、この差を埋められなかった物件がそれだけ積み上がっているということでもある。

買う側から見れば、局面は変わりつつある。成約単価が4か月続けて前年を下回り、都区部の連続上昇も止まった。値引き交渉の余地が出てきたといえるだろう。

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https://goldbeans.jp/?p=7715 <![CDATA[ 神戸物産とくら寿司 48.9%と49.5%、進捗が同じでも3Qの意味は逆|決算ウォッチ ]]> https://goldbeans.jp/financial/page_7715.html Thu, 10 Sep 2026 20:00:00 +0000 Thu, 10 Sep 2026 18:15:58 +0000 この記事でわかること
・☆【注目度S級】神戸物産(3038)
・◎【注目度A級】くら寿司(2695)
・★【要注意D級】モルフォ(3653)
・○【値動き注意】
・【本日発表予定】
・今後の決算発表予定 またぎ注意

3社とも小幅高、ただし答えは本日出る──10日付けの記事で挙げた3社

10日付けの記事で、私は3社に見どころを書いた。株価はいずれも小幅に上げて終えているが、これは決算を見ていない値段だ。

銘柄10日終値前日比売買代金
積水ハウス(1928)3372円+1.54%121.19億円
ビジョナル(4194)8794円+1.68%23.50億円
タイミー(215A)1559円+1.37%36.47億円

3社とも開示は引け後の見込みだった。上の株価はどれも発表前の値段で、数字を織り込んだ結果ではない。 答え合わせができるのは本日11日の値動きになる。

タイミーだけは売買代金が36億4700万円と、前日の18億4800万円から倍近くに膨らんでいる。決算発表を控えて商いが厚くなるのは、9日の三井ハイテックでも見た動きだ。 中身がどちらに出るかは別として、注目が集まっていること自体は数字に出ている。

9日発表の2社は、答えがはっきり出た

一方、9日に発表された2社は10日に評価が下された。

銘柄10日終値前日比売買代金20日平均比
三井ハイテック(6966)940円+4.56%193.17億円12.29倍
ANYCOLOR(5032)3240円+13.49%105.65億円6.71倍

ANYCOLORの13.49%高が答えだった。 10日付けの記事で私は「減益の1Qと、発行済株式の4.67%にあたる自己株式取得が、同じ日に出た。市場がどちらを見るかで、株価の方向は変わる」と書いた。市場が選んだのは自己株式取得のほうだ。営業利益が8.8%減っていても、株数が減る話のほうが強かったことになる。

三井ハイテックは通期を2度目の上方修正で195億円に引き上げ、4.56%高。出来高は2039万9300株と前日の6.1倍に膨らんでいる。数字がよくても株価が下がることはあるが、この2社は素直に上げた。

10日の東京市場──寄りは374円安、引けは128円高

指標9月10日前日比
日経平均6万5270円95銭+128円17銭(+0.20%)
TOPIX4054.58+7.94pt(+0.20%)
プライム平均株価―+0.07%(中央値▲0.03%)

※「プライム平均株価」とは、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を、単純に平均した当サイトの独自指数(詳しくは記事末尾)。

10日の日経平均は3営業日ぶりに反発した。ただ寄り付きは374円25銭安の6万4768円53銭で、前場には6万4186円68銭まで売られている。 米国株の続落、対イラン紛争の激化による原油高、米長期金利の上昇とインフレ懸念の再燃が売り材料になった。

そこから切り返した。台湾積体電路製造(TSMC)の8月の月次売上高が好調だったことに加え、金利上昇を背景に銀行や証券へ買いが入って下値を支えている。売買代金は8兆3803億円だった。

値上がり寄与のトップはアドバンテストで、1銘柄で日経平均を約260円67銭押し上げた。2位のリクルートホールディングスと合わせて2銘柄で約315円分になる。指数の上げ幅128円より、この2社の寄与のほうが大きい。 値下がり寄与では東京エレクトロンが約89円50銭、フジクラが約57円12銭押し下げている。

プライム全銘柄では値上がり723銘柄に対し値下がりが784銘柄で、数のうえでは下げた銘柄のほうが多い。 プライム平均株価は+0.07%だが中央値は▲0.03%で、指数の反発ほど中身は強くない。 業種別では証券商品先物取引業・サービス業・銀行業が上昇し、非鉄金属・その他製品・建設業が下落した。

本日11日はメジャーSQの算出日で、米8月CPIの発表も重なる。 決算発表74社と外部要因が同じ日に並ぶ形になる。

☆【注目度S級】神戸物産(3038/卸売業)2026年10月期3Q

「業務スーパー」を展開する。フランチャイズ本部として全国1137店舗を持ち、世界から食材を直輸入して自社工場で加工する製販一体が特徴になる。本日11日に10月期の3Qを発表する。本日の発表74社のうち、売買代金84億8600万円は突出している。

 中身:2Q累計は売上2861億7200万円で前年同期比5.1%増、営業利益210億3700万円で10.2%増、経常利益244億3600万円で16.8%増、中間純利益165億100万円で15.7%増。増収率5.1%に対して営業利益が10.2%増と、利益の伸びが売上の2倍になっている。

 サプライズ:通期計画は売上5665億円で前期比2.7%増、営業利益430億円で7.8%増だが、経常利益は437億円で9.1%減、純利益は295億円で7.5%減の計画になっている。 営業利益は増益なのに経常から下は減益という、ねじれた形の計画だ。会社は2Q時点で計画を据え置いている。

 初動:10日終値は3071円で前日比1.19%安。日経平均が0.20%高の日に逆行して下げている。売買代金は84.86億円で20日平均59.60億円の1.42倍。時価総額は6812億円になる。直近20営業日では9.9%高と、上げてきたところで決算を迎える。

 スイング目線:2Q累計の営業利益210億3700万円は通期計画430億円の48.9%にあたる。1Q単独は109億4500万円だったが、2Q単独は100億9200万円で7.8%減速している。 開示は引け後の見込みで、本日の値動きは決算を見ていない値段になる。

 Point:私が見るのは営業利益と経常利益の差だ。1Qは営業19.6%増に対して経常43.5%減、2Q累計は営業10.2%増に対して経常16.8%増と、四半期ごとに符号が入れ替わっている。この会社は輸入比率が高く、為替の予約や評価差が経常に出る。 営業利益だけを見て判断すると、着地の姿を読み違える。

3Qで見る数字

通期計画430億円の4分の3は322億5000万円になる。 2Q累計210億3700万円に対して、3Q単独で112億1300万円あれば届く計算だ。

前期の3Q単独は112億5300万円だった。つまり前年並みなら、ほぼちょうど75%に乗る。 実際に前年並みの112億5300万円を積めば累計322億9000万円で、進捗は75.1%になる。

もう一段上の線も置いておく。前期の3Q時点は、当時の通期計画377億円に対して80.5%まで来ていた。同じ進捗率なら今期の3Qは346億円になる。 322億円なら計画どおり、346億円なら前期並みの強さ、という2本の線で読める。

◎【注目度A級】くら寿司(2695/小売業)2026年10月期3Q

回転寿司チェーンを展開する。国内のほか米国84店舗、アジア62店舗を持ち、中間期末の店舗数は全て直営で699店舗になる。本日11日に10月期の3Qを発表する。

 中身:2Q累計は売上1252億5300万円で前年同期比6.5%増、営業利益24億7600万円で14.7%減、経常利益29億1700万円で2.5%減、中間純利益18億3500万円で6.1%減。増収なのに営業利益は2桁減という形だ。 原材料価格と人件費の上昇が効いている。

 サプライズ:通期計画は売上2570億円で前期比4.9%増、営業利益50億円で8.4%減、経常利益52億円で15.8%減、純利益30億円で16.8%減。売上は伸ばしながら、利益はすべて減益を見込む計画になっている。 会社は2Q時点で据え置いた。

 初動:10日終値は1675円で前日比2.39%安。日経平均が0.20%高の日に、指数に逆行して下げている。 売買代金は8.97億円で20日平均7.10億円の1.26倍。時価総額は1331億円になる。

 スイング目線:2Q累計の営業利益24億7600万円は通期計画50億円の49.5%で、進捗そのものは折り返しに乗っている。問題は前期の形だ。前期は3Q時点で営業利益51億8900万円と、通期着地54億6000万円の95.0%まで来ていた。 3Qまでで稼ぎ切り、4Qはほぼ横ばいという型になる。

 Point:私が見るのは3Q単独が前年の22億8600万円にどれだけ迫るかだ。前期と同じ型なら3Q累計は47億6200万円で、通期計画50億円の95.2%に達する。逆にいえば、この会社の4Qは利益をあまり生まない。 3Qの数字がそのまま通期の姿を決めることになる。

3Qで見る数字

セグメントの内訳が読みどころになる。 2Q累計では日本が売上876億1100万円で経常利益32億1200万円、前年同期比7.8%減だった。一方で北米は売上235億9100万円で20.3%増ながら経常損失7億1500万円、アジアは売上142億3900万円で16.3%増、経常利益4億2100万円で97.5%増になる。

日本が減益を埋めているのがアジアで、北米はまだ赤字が続いている。 米国子会社の第2四半期の既存店売上は前年同期比108.6%と好調だったが、それでも経常段階では損失が残った。年間16店舗の出店を目指す投資段階にある。

3Qでは、北米の赤字が縮んだかどうかが数字に出る。ここが埋まれば通期計画の50億円には余裕が出るし、埋まらなければ3Q時点の進捗が高くても安心はできない。

★【要注意D級】モルフォ(3653/情報・通信業)2026年10月期3Q

画像処理とAIのソフトウェアを開発する。スマートフォン向けのライセンスと車載向けの受託開発が柱になる。本日11日に10月期の3Qを発表する。要注意と付けたのは、すでに通期計画を営業赤字へ下方修正しているうえに、直近の値動きが極端に荒いからだ。

S級・A級は誰もが見る。ここでは、その陰に隠れていて、しかも値が大きく動きやすい一社を挙げておく。注目度ではなく、値動きの荒さで見るべき銘柄という意味だ。

 中身:2Q累計は売上11億5200万円で前年同期比24.8%減、営業損失5億3900万円、経常損失4億6400万円、中間純損失6億8100万円。前年同期の営業損失1億800万円から、赤字幅が4億3100万円ぶん広がった。 売上の内訳はロイヤリティ収入6億300万円で32.5%減、開発収入4億8500万円で20.3%減になる。

 サプライズ:会社は6月12日に通期計画を下方修正している。 売上を35億円から30億円へ14.3%、営業利益を1億円の黒字から3億5000万円の損失へ、純利益を7000万円の黒字から5億2000万円の損失へ引き下げた。同時に構造改革費用1億4300万円と減損損失4000万円、合わせて1億8300万円を特別損失に計上している。

 初動:10日終値は1490円で前日比7.43%高。売買代金は100億6900万円で20日平均24億7800万円の4.06倍に膨らんでいる。直近20営業日では118.2%高で、9月2日には1015円、4日には一時1615円まで買われた。日中の値幅は20日平均で10.64%と、本日の発表74社のなかで最大になる。

 スイング目線:時価総額は約77億円で、10日の売買代金100億6900万円はそれを上回る。 1日の商いが会社の時価総額より大きい状態で、値が飛びやすい。値幅10.64%は上にも下にも同じだけ動くということだ。 決算をまたぐには、この値動きの荒さと業績の不透明さが二重に乗る。

 Point:私が見るのは、下期に黒字が乗る前提が崩れていないかだ。 修正後の通期計画は、上期の営業損失5億3900万円に対して下期に1億8900万円の黒字を積んで、通年で3億5000万円の損失に収める形になっている。上期と下期で符号が逆転する計画だ。

3Qで見る数字

下期の黒字1億8900万円を3等分すると、3Q単独で6300万円になる。 ここに届いていれば計画線に乗っているという読みができる。

前期の3Q単独は営業利益1800万円、4Q単独は1億3500万円だった。前期も下期に利益が寄る形だったが、今期はその倍以上を下期で稼ぐ計画になる。 会社は「スマートグラスなど新しいデバイスへの受注」と「DX領域の営業成果」で回復基調にあると説明しているが、それが数字として出るのは3Qからだ。

売上では、下期に18億4800万円が必要になる。上期の11億5200万円に対して60.4%増だ。 ハードルは低くない。

値動きが大きい銘柄は、数字が出た瞬間に評価が変わる余地が残っている。 逆にいえば、その余地は下向きにも同じだけ開いている。

○【値動き注意】

上の3社のほかに、本日発表する銘柄のなかで値動きの大きいものを挙げておく。直近20営業日の日中値幅(高値と安値の差)が大きい順で、売買代金5億円以上のものだけを並べた。添えたのは、なぜ値が動きやすいかという事業の性格だけで、業績の評価はしていない。数字を読むのは上の3社と同じ手順が要るので、気になる銘柄があれば短信に当たってほしい。動くということは、上にも下にも同じだけ動く。持っている人は、その前提で決算発表日を確認しておきたい。

アストロスケールホールディングス(186A/サービス業) 4月期1Q 値幅5.75%
── 軌道上の衛星を点検・除去する宇宙事業。売買代金33億6900万円は本日の74社で2番目に大きい。

ノースサンド(446A/サービス業) 1月期2Q 値幅5.41%
── ITとビジネスのコンサルティング。昨年12月上場で、値動きの水準がまだ定まっていない。

HUMAN MADE(456A/小売業) 1月期2Q 値幅5.05%
── デザイナーのNIGO氏が手がけるアパレル。限定供給型で在庫を残さない売り方をとる。

Japan Eyewear Holdings(5889/小売業) 1月期2Q 値幅2.74%
── 福井・鯖江の高級眼鏡。売上の約9割が直営店で、10日の売買代金は20日平均の2.27倍に膨らんだ。

この4社に絞ったのは、売買代金5億円という線を守ったためだ。 本日の74社は中小型が中心で、値幅が大きくても1億円台の商いという銘柄が多い。板が薄いところで値幅だけを見ると、動きやすさと売買しにくさを取り違える。

【本日発表予定】

本日11日の決算発表は74社で、市場別ではプライム17社、スタンダード34社、グロース23社になる。決算種別は本決算24社、3Q22社、2Q20社、1Q8社と分かれる。

■10月期 3Q

エイチ・アイ・エス(9603/サービス業) ── 旅行大手。2Q累計は売上1931億3000万円、営業利益64億5000万円で、前年同期の67億2000万円からやや減った。10日終値1176円、前日比0.68%高。
正栄食品工業(8079/卸売業) ── ナッツ・ドライフルーツの輸入加工。
ジェイ・エス・ビー(3480/不動産業) ── 学生向けマンションの管理・仲介。
クミアイ化学工業(4996/化学) ── 農薬メーカー。
オハラ(5218)/ケア21(2373)/ソフトウェア・サービス(3733)/SCAT(3974)/CINC(4378)/BRANU(460A)/POPER(5134)/イトクロ(6049)/のむら産業(7131)/アシロ(7378)/ウイルコホールディングス(7831)/ミロク(7983)/トルク(8077)/ナレルグループ(9163)/ジャパンM&Aソリューション(9236)

■7月期 本決算

日本駐車場開発(2353/不動産業) ── 駐車場の運営とスキー場・テーマパーク。3Q累計は売上311億1000万円、営業利益70億2000万円で、前期通期の76億6000万円に迫っていた。10日終値261円、前日比2.25%安。
ファーマフーズ(2929/食料品) ── 卵由来の素材と通販。3Q累計は営業損失14億3000万円で、9日に業績予想の修正を開示している。
エターナルホスピタリティグループ(3193/小売業) ── 「鳥貴族」を運営する。2024年5月に鳥貴族ホールディングスから社名を変更した。
JMホールディングス(3539/小売業) ── 業務用スーパー「肉のハナマサ」。神戸物産と同じ日に、同じ業態が並ぶ。
大盛工業(1844)/カドス・コーポレーション(211A)/ランドネット(2991)/稲葉製作所(3421)/はてな(3930)/リンカーズ(5131)/日本スキー場開発(6040)/ウエスコホールディングス(6091)/ゼネラルパッカー(6267)/共栄セキュリティーサービス(7058)/さくらさくプラス(7097)/グローバルスタイル(7126)/アースインフィニティ(7692)/総合商研(7850)/メディア総研(9242)/シルバーライフ(9262)

■1月期 2Q

モロゾフ(2217/食料品) ── 洋菓子。
ネオジャパン(3921/情報・通信業) ── グループウェア「desknet's」。
トーホー(8142/卸売業) ── 業務用食品卸。本日は神戸物産・JMホールディングスと合わせて、業務用食品が3社並ぶ。
丹青社(9743/サービス業) ── 商業施設や博物館の空間デザイン。
丸善CHIホールディングス(3159)/クロスプラス(3320)/丸千代山岡家(3399)/coly(4175)/ジャストプランニング(4287)/石井表記(6336)/OSGコーポレーション(6757)/トミタ電機(6898)/NATTY SWANKYホールディングス(7674)/光・彩(7878)/ナイガイ(8013)

■4月期 1Q

gumi(3903/情報・通信業) ── スマートフォンゲームとブロックチェーン投資。
アゼアス(3161)/トーエル(3361)/菊池製作所(3444)/日東製網(3524)/HEROZ(4382)/インスペック(6656)

売買代金が5億円を超えるのは、上で取り上げた7社にとどまる。 残りは1億円台以下が大半で、値が飛びやすい規模になる。板の薄さは先に確かめておきたい。

今後の決算発表予定 またぎ注意

決算書Watchでは、またぎを推奨していない。
上がる株であれば、決算発表後も伸びるだろうから、そこで買っても遅くはない。
逆であれば、損切りしてマイナスを確定したほうがよい。
ただし、配当を目的にしている場合は、その限りではない。

日付社数主な銘柄
9月11日(金)74社神戸物産(3038)、くら寿司(2695)、エイチ・アイ・エス(9603)、日本駐車場開発(2353)、モルフォ(3653)
9月14日(月)69社学情(2301)、アインホールディングス(9627)、ギフトホールディングス(9279)、TOKYO BASE(3415)
9月15日(火)3社―
9月16日(水)1社―
9月17日(木)5社―

本日74社を通過すると、14日に69社が続き、15日から17日は9社にまで減る。 今週後半で山を越える形になる。持ち株の決算発表日がこの2日に当たっているなら、またぐかどうかを決められるのは本日と週明けの取引時間しかない。

本日はもう一つ変数が乗る。メジャーSQの算出日と米8月CPIの発表が、74社の決算発表と同じ日に重なる。 来週は15日からFOMC、17日から日銀の金融政策決定会合が控えており、CPIの数字はそこへの見方を左右する。

決算をまたぐと変数が2つになる、といつも書いているが、本日は3つだ。 決算の中身、SQに絡む需給、CPIを受けた金利と為替。どれか1つが読めても、残りは読めない。

10日のANYCOLORが13.49%高になったように、数字が出たあとの反応は、発表されるまで分からない。 減益の1Qでも、同時に出た自己株式取得のほうを市場が選べば株価は上がる。逆に予想を超えても売られることがある。9日のミライアルがそうだった。

拙著『10万円を1年で100万円にする株式投資術』にも書いたが、株が動くのは決算の良し悪しそのものではなく、市場が見ていた線との差だ。その差は、発表という事実が出てからでないと測れない。 発表直後に飛びつかず、反応を確かめてから動いても遅くない。損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

「プライム平均株価」について

プライム平均株価は、東証プライムに上場する全銘柄の前日比騰落率を単純に平均した、当サイトの独自指標だ。時価総額でも株価水準でも重みをつけず、1銘柄を1票として数える。9月10日の対象は1555銘柄だった。

日経平均は株価平均型なので、株価の高い値がさ株の動きが指数に強く出る。TOPIXは時価総額加重なので、大型株や金融・内需の動きが効く。これに対してプライム平均株価は全銘柄を等しく1票として扱うため、「数のうえで上げた銘柄が多かったのか」を見るのに向いている。

10日は日経平均+0.20%、TOPIX+0.20%に対して、プライム平均株価は+0.07%、中央値は▲0.03%だった。上げた銘柄は723で46.5%、下げた銘柄は784で50.4%になる。指数は反発したが、銘柄数で見れば下げたほうが多い日だった。 アドバンテスト1銘柄で約260円の押し上げがあったことを考えれば、上げの中身が偏っていたと読める。

ただし、これは日経平均より優れた指標という意味ではない。売買代金の大きい値がさ株の動きは、それ自体が相場の重要な情報だ。プライム平均株価は、値がさ株の影響を受けない見方をするとどう見えるか、という補助線として置いている。

なお株価は分割調整後の値を使い、前営業日と当日の双方に終値がある銘柄のみを対象にしている。この指標は当社が独自に計算したものであり、取引所等が公表する指数ではない。

※本文中の決算数値は、各社が公表した決算短信(神戸物産:2026年10月期第2四半期(中間期)決算短信、同第1四半期決算短信、2025年10月期決算短信、2025年10月期第3四半期決算短信、くら寿司:2026年10月期第2四半期(中間期)決算短信、2025年10月期決算短信、2025年10月期第3四半期決算短信、モルフォ:2026年10月期第2四半期(中間期)決算短信、2025年10月期決算短信)およびモルフォ「営業外収益(助成金収入)及び特別損失(構造改革費用、減損損失)の発生並びに通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」(2026年6月12日)にもとづく。株価・売買代金・日中値幅・時価総額はJPX公式のJ-Quants APIによる9月10日終値時点の値で、株式分割を調整済み。プライム平均株価は東証プライム全銘柄の前日比騰落率を単純平均した独自指標で、時価総額や株価水準で重みをつけず1銘柄を1票として数える。日経平均の終値と前日比は日経平均プロフィルの公開データ、TOPIXはJ-Quants APIによる。9月10日の市況と寄与度はフィスコの配信記事による。決算発表予定は日本取引所グループ(JPX)の公表資料による。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

10万円を1年で100万円にする株式投資術(コマンドY 著)

記事を書いた人

コマンドY

スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。

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https://goldbeans.jp/wp/wp-content/uploads/2026/08/toushou03.jpg
https://goldbeans.jp/?p=7711 <![CDATA[ 三井ハイテック 2Q営業益86.2%増で通期を再上方修正、置いた線の2.6倍|決算ウォッチ ]]> https://goldbeans.jp/financial/page_7711.html Wed, 09 Sep 2026 20:00:00 +0000 Wed, 09 Sep 2026 19:12:20 +0000 この記事でわかること
・置いた線に、両方とも答えが出た──9日付けの記事で挙げた2社
・9日の東京市場──原油高と利上げ観測が重荷に
・☆S級 積水ハウス(1928/建設業)──営業26.2%増でも、通期は純利益だけ減益計画
・◎A級 ビジョナル(4194/情報・通信業)──3Q時点で営業84.9%、4Qは前期割れでも届く
・★要注意D級 タイミー(215A/サービス業)──比べる相手のない1Q
・本日の決算発表は32社──プライムは7社
・今後の決算発表予定──11日に74社、メジャーSQと米CPIが重なる

置いた線に、両方とも答えが出た──9日付けの記事で挙げた2社

9日付けの記事で、私は2社にそれぞれ具体的な線を置いた。その両方に、その日のうちに答えが出ている。

銘柄私が置いた線実際の数字結果
三井ハイテック(6966)2Q単独の営業利益が28億1700万円あれば計画の折り返しに乗る73億8500万円線の2.6倍で通過
ANYCOLOR(5032)1Qの営業利益が前年の70億300万円を上回っているか63億9000万円前年比8.8%減で届かず

同じ日に発表された2社が、正反対の結果になった。 数字を追いかけてきた者としては、これほど分かりやすい対比も珍しい。

三井ハイテック──折り返しどころか、計画そのものが動いた

2Q累計の営業利益は118億1800万円で前年同期比86.2%増。売上は1306億7200万円で20.6%増、純利益は99億4300万円で137.3%増になった。1Qの営業利益44億3300万円を引くと、2Q単独は73億8500万円になる。

私が9日付けの記事で書いたのは「上方修正後の計画145億円の半分は72億5000万円で、1Qの44億3300万円に対して2Q単独で28億1700万円あれば届く」だった。実際は73億8500万円だから、線の2.6倍で通過したことになる。 累計118億1800万円は、修正前の計画145億円に対して81.5%にあたる。

そして会社は同じ日に、通期計画をもう一度引き上げた。

項目修正前修正後引き上げ幅
売上高2540億円2720億円+180億円(+7.1%)
営業利益145億円195億円+50億円(+34.5%)
経常利益145億円200億円+55億円(+37.9%)
純利益100億円145億円+45億円(+45.0%)

6月12日に1度目の上方修正をして、9月9日にまた引き上げた。1年で2度である。 修正後の通期計画は前期比で売上24.6%増、営業利益54.1%増、純利益にいたっては360.0%増になる。

私が「上方修正の翌四半期は、引き上げた計画に実績が追いつくかが問われる」と書いた問いへの答えは、追いつくどころか計画のほうが動いたというものだった。

ANYCOLOR──線を下回り、代わりに自己株式取得が出た

1Qの売上は166億2000万円で前年同期比5.4%増、営業利益は63億9000万円で8.8%減、純利益は43億6500万円で10.6%減になった。増収なのに減益である。

私が置いた線は「前年1Qの営業利益70億300万円を上回っているか」だった。63億9000万円だから、6億1300万円足りない。今期のレンジ予想(営業利益180億円から200億円)に当てはめると、下限180億円に対して35.5%、上限200億円に対して31.9%になる。前年1Qが通期の34.7%を稼いでいたペースには、下限で見てようやく並ぶ水準だ。

会社は通期予想をレンジのまま据え置いた。そのうえで自己株式取得を決議している。 上限280万株で発行済株式総数(自己株式を除く)の4.67%、取得金額の上限は70億円。取得期間は本日9月10日から2027年4月30日までで、取得方法は東京証券取引所における市場買付になる。

減益の1Qと、発行済株式の4.67%にあたる自己株式取得が、同じ日に出た。 市場がどちらを見るかで、株価の方向は変わる。ここは本日の値動きを見るしかない。

前日の株価はどちらも下げていた

銘柄9日終値前日比売買代金20日平均比
三井ハイテック(6966)899円▲0.44%30.18億円2.19倍
ANYCOLOR(5032)2855円▲2.99%21.22億円1.48倍

注意してほしいのは、この株価が決算を見ていない値段だということだ。 開示はどちらも15時30分で、9日の取引が終わったあとになる。上の数字が織り込まれるのは本日10日の値動きになる。

三井ハイテックは9日の売買代金が20日平均の2.19倍に膨らんでいる。決算発表を控えて商いが厚くなるのは、よくある動きだ。

9日の東京市場──原油高と利上げ観測が重荷に

指標9月9日前日比
日経平均6万5142円78銭▲126円55銭(▲0.19%)
TOPIX4046.64▲3.69pt(▲0.09%)
プライム平均株価―▲0.12%(中央値▲0.34%)

9日の日経平均は続落した。前日の米国株安とインフレ再燃への警戒を受けて売りが先行し、182円11銭安で寄り付いている。 売り一巡後は原油価格の上昇を背景に石油関連や資源関連へ買いが向かい、前場中盤にはプラス圏を回復したが、後場から上げ幅を縮めてマイナス圏に転落した。

対イラン攻撃の応酬が激化して原油相場が上昇し、北海ブレント原油は一時100ドル台に乗せている。中東情勢の悪化を受けた原油高に加え、日銀の利上げペースが加速するとの観測が投資家心理の重荷になった。

値下がり寄与のトップはアドバンテストで、1銘柄で日経平均を約231円押し下げている。2位のファーストリテと合わせて2銘柄で約382円分になる。一方で値上がり寄与のトップはソフトバンクグループで、1銘柄で約204円押し上げた。指数の中身は、押し下げと押し上げが大きな銘柄でぶつかり合った形だ。

業種別では非鉄金属・石油石炭製品・鉱業が上昇し、証券商品先物取引業・サービス業・小売業が下落した。原油高がそのまま業種の明暗になっている。 プライム全銘柄では値上がり602銘柄に対し値下がりが920銘柄で、59.2%が下げた。

テクニカル面では、日経平均は引き続き25日・75日移動平均線を下回って推移している。同水準が上値抵抗線として意識されている。

11日にはメジャーSQ算出日と米8月CPIの発表が重なり、15日からのFOMC、17日からの日銀金融政策決定会合が控える。

☆S級 積水ハウス(1928/建設業)──営業26.2%増でも、通期は純利益だけ減益計画

戸建て住宅の最大手。近年は米国事業の比重が高い。本日10日に1月期の2Qを発表する。本日の発表32社のうち、売買代金113.26億円は突出している。

  • 中身:1Qは売上9088億7800万円で前年同期比1.7%増、営業利益761億400万円で26.2%増、経常利益724億9500万円で54.9%増、純利益584億7900万円で75.2%増。増収率1.7%に対して営業利益が26.2%増と、利益の伸びが売上を大きく上回っている。
  • サプライズ:通期計画は売上4兆3530億円で前期比3.7%増、営業利益3500億円で2.5%増だが、純利益は2180億円で6.1%減の計画になっている。 前期の純利益2320億9500万円を下回る前提だ。1Qで584億7900万円と計画の26.8%まで来ているのに、通期では減益を見込んでいる形になる。
  • 初動:9日終値は3321円で前日比0.58%高。日経平均が0.19%安の日に逆行して上げている。 売買代金は113.26億円で20日平均71.54億円の1.58倍。時価総額は2兆1639億円になる。
  • スイング目線:1Qの営業利益761億400万円は通期計画3500億円の21.7%にあたる。前年の1Qは603億円で、そこから2Q単独で952億円を積んで累計1555億円まで来ていた。 同じ形なら今期の2Q累計は1700億円前後になる計算だ。開示は引け後の見込みで、本日の値動きは決算を見ていない値段になる。
  • Point:私が見るのは純利益が減益計画のままかどうかだ。1Qで26.8%まで来ている進捗に対し、通期は6.1%減を見込んでいる。この差をどう説明するかが2Qの読みどころになる。 計画を据え置くのか、上方修正に動くのかで、市場の受け取り方は変わる。

2Qで見る数字

通期計画3500億円の半分は1750億円になる。 1Qの761億400万円に対して、2Q単独で988億9600万円あれば折り返しに乗る。前年の2Q単独は952億円だったから、前年比で3.9%増えれば届く水準だ。

進捗が50%に乗るかどうかは、住宅事業の期ずれにも左右される。引き渡しのタイミングで四半期の数字は動くので、単月の進捗だけで決めつけないほうがよい。

◎A級 ビジョナル(4194/情報・通信業)──3Q時点で営業84.9%、4Qは前期割れでも届く

転職サイト「ビズリーチ」を運営する。本日10日に7月期の本決算を発表する。

  • 中身:3Q累計は売上731億5700万円で前年同期比24.3%増、営業利益196億1200万円で12.2%増、経常利益214億3800万円で17.2%増、純利益142億1400万円で13.2%増。増収率24.3%に対して営業増益率が12.2%と、利益の伸びが売上の半分になっている。
  • サプライズ:通期計画は売上992億円で前期比23.7%増、営業利益231億円で7.7%増、純利益160億8100万円で0.8%増になる。売上が2割超の伸びを見込みながら、純利益はほぼ横ばいの計画だ。成長のために費用を先に使っている形が、計画の数字にそのまま出ている。
  • 初動:9日終値は8649円で前日比3.04%安。日経平均が0.19%安の日に、指数以上に売られている。売買代金は21.19億円で20日平均17.24億円の1.23倍。時価総額は3501億円になる。
  • スイング目線:3Q時点の進捗は売上73.7%、営業利益84.9%になる。 前期の3Q時点は売上73.4%、営業利益81.5%だったから、今期のほうが利益の進捗は進んでいる。 本決算なので、着地と同時に今期の計画が出る。変数が2つ重なる日になる。
  • Point:私が見るのは4Q単独で営業利益35億円に届いたかだ。3Q累計196億1200万円と通期計画231億円の差が34億8800万円になる。前期の4Q単独は39億6300万円だったから、そこから12.0%落ちても計画には届く計算だ。 ハードルとしては高くない。

本決算で見る数字

本決算で本当の焦点になるのは、着地よりも今期(2027年7月期)の計画のほうだ。 前期の営業利益は214億4200万円、今期計画は231億円で7.7%増だった。この一桁の増益率が来期も続くのか、二桁に戻るのか。

売上が24%近く伸びているのに営業利益が12%しか伸びていない構図が、どこまで続く前提で計画が組まれるか。増収率と増益率の差が縮まる計画なら費用の先行投資が一段落したという読みになるし、開いたままなら投資が続くという読みになる。

★要注意D級 タイミー(215A/サービス業)──比べる相手のない1Q

スキマバイトのアプリを運営する。本日10日に4月期の1Qを発表する。要注意と付けたのは、決算期を変えた直後で前年同期の数字がないからだ。

  • 中身:前期にあたる2026年4月期は、決算期変更にともなう6か月の変則決算(2025年11月1日から2026年4月30日)だった。売上210億600万円、営業利益38億1200万円、純利益24億3900万円になる。その前の2025年10月期は12か月で売上342億8900万円だったから、期間が違って単純に比べられない。
  • サプライズ:今期の予想はレンジ形式で出ている。 通期は売上476億1300万円から488億2300万円、営業利益88億2100万円から97億4600万円。2Q累計は売上220億5600万円から225億6000万円、営業利益39億9700万円から43億8800万円になる。幅の下限と上限で営業利益に9億2500万円の開きがある。
  • 初動:9日終値は1538円で前日比3.39%安。売買代金は18.48億円で20日平均24.15億円の0.77倍と、むしろ細っている。直近5営業日で7.5%安、20営業日で7.9%安と、下げてきたところで決算を迎える。 時価総額は1549億円になる。日中の値幅は20日平均で3.70%と、本日の発表32社のなかで最も大きい。
  • スイング目線:値幅が大きい銘柄は、上にも下にも動く。 そのうえ今回は決算期変更の直後で、短信に前年同期比の欄が入らない。「前年比で何%」という一番わかりやすい物差しが、この1Qには存在しない。 市場が何を基準に評価するかが読みにくく、またぐには変数が多い。
  • Point:私なら2Q累計計画の折り返しに乗っているかを見る。2Q累計の営業利益計画は下限39億9700万円だから、その半分は19億9900万円になる。1Qで20億円前後あれば、レンジの下限には乗っているという読みができる。 売上なら下限220億5600万円の半分で110億2800万円になる。

前年同期の数字は、自分で作れば出せる

短信には載らないが、旧10月期の四半期開示から前年の同じ3か月(2025年5月から7月)は計算できる。 3Q累計から2Q累計を引けばよい。売上83億6700万円、営業利益18億3300万円になる。

この83億6700万円と比べれば、比較のない1Qにも物差しができる。 2Q累計計画の下限の半分110億2800万円は、前年同期比で31.8%増にあたる。決算期が変わっても、会社の中身が消えるわけではない。 開示の形が変わっただけで、数字は追える。

本日の決算発表は32社──プライムは7社

本日10日の発表は32社で、うちプライムが7社になる。

コード社名決算期種別市場
1758太洋基礎工業1月期2Qスタンダード
1928積水ハウス1月期2Qプライム
215Aタイミー4月期1Qグロース
2163アルトナー1月期2Qプライム
2198アイ・ケイ・ケイホールディングス10月期3Qプライム
2375ギグワークス10月期3Qスタンダード
2776新都ホールディングス1月期2Qスタンダード
2923サトウ食品4月期1Qスタンダード
2983アールプランナー1月期2Qグロース
3070ジェリービーンズグループ1月期2Qグロース
3246コーセーアールイー1月期2Qスタンダード
3248アールエイジ10月期3Qスタンダード
350Aデジタルグリッド7月期本決算グロース
4014カラダノート7月期本決算グロース
4026神島化学工業4月期1Qスタンダード
4194ビジョナル7月期本決算プライム
4334ユークス1月期2Qスタンダード
4422VALUENEX7月期本決算グロース
4441トビラシステムズ10月期3Qスタンダード
5031モイ1月期2Qグロース
5971共和工業所4月期1Qスタンダード
6184鎌倉新書1月期2Qプライム
6535アイモバイル7月期本決算プライム
6577ベストワンドットコム7月期本決算グロース
6619ダブル・スコープ1月期2Qプライム
6696トラース・オン・プロダクト1月期2Qグロース
6778アルチザネットワークス7月期本決算スタンダード
7095Macbee Planet4月期1Qプライム
7196Casa1月期2Qスタンダード
7640トップカルチャー10月期3Qスタンダード
7682浜木綿7月期本決算スタンダード
9692シーイーシー1月期2Qプライム

売買代金が5億円を超えるのは積水ハウス・ビジョナル・タイミー・デジタルグリッドの4社だけで、残る28社は1億円台以下が大半になる。25社は1億円にも届かない。値が飛びやすい規模なので、板の薄さは先に確かめておきたい。

今後の決算発表予定──11日に74社、メジャーSQと米CPIが重なる

日付社数主な銘柄
9月11日(金)74社神戸物産(3038)、くら寿司(2695)、日本駐車場開発(2353)、エイチ・アイ・エス(9603)、ファーマフーズ(2929)
9月14日(月)69社学情(2301)、アインホールディングス(9627)、ギフトホールディングス(9279)
9月15日(火)3社―
9月16日(水)1社―
9月17日(木)5社―

11日は74社の決算発表とメジャーSQ算出日、米8月CPIの発表が同じ日に重なる。 14日にも69社が続き、そこを越えると15日から17日は9社にまで減る。今週後半で山を越える形になる。

本日の2社が示したように、置いた線に対して数字がどちらに出るかは、発表されるまで分からない。 三井ハイテックは線の2.6倍で通過し、ANYCOLORは8.8%届かなかった。同じ日に同じように見どころを書いても、結果は正反対になる。

だからこそ、線を先に置いておく意味がある。線がなければ、出てきた数字が良いのか悪いのかを判断する足場がない。 拙著『10万円を1年で100万円にする株式投資術』にも書いたが、自分の物差しを持たないまま値動きだけを追うと、判断が後追いになる。発表直後に飛びつかず、自分が置いた線と照らしてから動いても遅くない。損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

※本文中の決算数値は、各社が公表した決算短信(積水ハウス:2027年1月期第1四半期決算短信、ビジョナル:2026年7月期第3四半期決算短信、タイミー:2026年4月期決算短信、三井ハイテック:2027年1月期第2四半期決算短信、ANYCOLOR:2027年4月期第1四半期決算短信)、三井ハイテック「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」(2026年9月9日)およびANYCOLOR「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」(2026年9月9日)にもとづく。株価・売買代金・日中値幅・時価総額はJPX公式のJ-Quants APIによる9月9日終値時点の値で、株式分割を調整済み。プライム平均株価は東証プライム全銘柄の前日比騰落率を単純平均した独自指標で、時価総額や株価水準で重みをつけず1銘柄を1票として数える。日経平均・TOPIXの終値と騰落、9月9日の市況はフィスコの配信記事による。決算発表予定は日本取引所グループ(JPX)の公表資料による。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

10万円を1年で100万円にする株式投資術(コマンドY 著)

記事を書いた人

コマンドY

スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。

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https://goldbeans.jp/?p=7709 <![CDATA[ ミライアルは予想16.4%超えでも1.48%安、アイルは7.15%安|決算ウォッチ ]]> https://goldbeans.jp/financial/page_7709.html Tue, 08 Sep 2026 20:00:00 +0000 Tue, 08 Sep 2026 19:56:25 +0000 この記事でわかること
・予想を超えても売られた──8日付けの記事で挙げた3社
・8日の東京市場──朝方392円高から、終値は安値引け
・☆S級 三井ハイテック(6966)──1Qで30.6%、2Qで折り返しに乗るか
・★要注意D級 ANYCOLOR(5032)──レンジ予想の下限なら10.8%減益
・本日の決算発表は11社──プライムは5社
・今後の決算発表予定──11日に74社、メジャーSQと米CPIが重なる

予想を超えても売られた──8日付けの記事で挙げた3社

8日付けの記事で見どころを書いた3社が、その日のうちに市場の評価を受けた。結果は三者三様に分かれている。

銘柄決算の中身8日終値前日比売買代金
アイル(3854)計画超えの着地、ただ来期は営業10.2%減2169円▲7.15%14.24億円
ミライアル(4238)2Q営業利益が予想を16.46%上回る1860円▲1.48%5.86億円
萩原工業(7856)3Q進捗87.7%、資本業務提携も開示1998円+5.10%14.96億円

注目してほしいのはミライアルだ。 2Q累計の営業利益は5億5900万円で、会社予想4億8000万円を16.46%上回った。売上・利益とも予想超えで、8日付けの記事で私が置いた「2Q単独の営業利益が1Q単独を上回っているか」という線も、3億2000万円対2億3900万円で満たしている。数字は文句のつけようがない。それでも株価は1.48%安だった。

日中は一時1731円まで売られている。前日終値からは8.32%安になる。そこから1860円まで戻して引けた。

よい決算が出ても株価が下がることはある。 『10万円を1年で100万円にする株式投資術』にも書いたように、株が動くのは決算の良し悪しそのものではなく、市場が見ていた線との差だ。予想を超えたかどうかと、株価が上がるかどうかは別の問題になる。

アイルは8日付けの記事で「着地は計画超え、来期は減益計画、中計は3年で戻す形。この3つのどれに反応するかで方向が変わる」と書いた。市場が選んだのは来期の減益計画だった。 寄り付きから6.42%安で始まり、終値は7.15%安。出来高は65万2200株と前日の2.9倍、売買代金は14.24億円で20日平均の5.3倍に膨らんでいる。

萩原工業は寄り付きで8.94%高まで買われたあと、終値は5.10%高まで押し戻された。3社に共通するのは、寄り付きが一日の高値圏だったことだ。 発表直後に飛びつくと不利になりやすいことが、そのまま出た形になる。

8日の東京市場──朝方392円高から、終値は安値引け

指標9月8日前日比
日経平均6万5269円33銭▲1130円51銭(▲1.70%)
TOPIX4050.33▲75.47pt(▲1.83%)
プライム平均株価―▲1.60%(中央値▲1.18%)

8日の日経平均は3営業日ぶりに反落した。朝方は392円高の6万6791円84銭まで買われたが、そこから値を消して終値は安値引けになっている。 ローソク足は下ヒゲのない「陰の大引け坊主」で、終値は25日移動平均線を再び下回った。

プライム全銘柄では値上がり362銘柄に対し値下がりが1159銘柄と、74.5%が下げている。 前日7日は日経平均が2.12%高でもプライム平均は0.02%安という逆行だったが、8日は指数も中身もそろって下げた。2日続けて、指数だけを見ていては分からない日になっている。

11日にはメジャーSQ算出日と米8月CPIの発表が重なり、15日からのFOMC、17日からの日銀金融政策決定会合が控える。大きな材料を前に、方向感の定まりにくい相場が続きそうだ。

☆S級 三井ハイテック(6966/電気機器)──1Qで30.6%、2Qで折り返しに乗るか

モーターコアとリードフレームを手がける。電気自動車向けのモーターコアが主力になる。本日9日に1月期の2Qを発表する。

中身:1Qは売上618億8600万円で前年同期比13.2%増、営業利益44億3300万円で27.8%増、純利益45億8400万円で373.2%増。増収増益で、純利益は前年の4.7倍になっている。

サプライズ:1Q発表の翌日に通期予想を上方修正した。 売上を2330億円から2540億円へ9.0%、営業利益を110億円から145億円へ31.8%引き上げている。理由は販売好調と為替影響で、中東情勢による資材価格上昇を増収効果が上回るという説明になる。1Qの営業利益44億3300万円は、上方修正後の計画145億円に対して30.6%にあたる。

初動:8日終値は903円で前日比5.45%安。売買代金は19.69億円と20日平均12.82億円の1.5倍に膨らんだ。日経平均が1.70%安の日に5.45%安で、指数以上に売られている。時価総額は1782億円になる。

スイング目線:上方修正を織り込んだあとの2Qになる。上方修正の翌四半期は、引き上げた計画に実績が追いつくかが問われる。 決算の開示は引け後の見込みで、本日の値動きは決算を見ていない値段だ。答えが出るのは明日10日になる。

Point:私が見るのは進捗が折り返しに乗るかどうかだ。上方修正後の計画145億円の半分は72億5000万円で、1Qの44億3300万円に対して2Q単独で28億1700万円あれば届く。前年の2Q単独は28億7800万円だった。前年並みで50.4%に乗る計算になる。

2Qで見る数字

前期の純利益は31億5100万円で、営業利益126億5100万円に対して小さい。今期計画の純利益100億円は前期比3.2倍になる。1Qですでに45億8400万円と45.8%まで来ているので、純利益の進捗は営業利益より先行している。 ここが2Qでも続くかは見どころになる。

上方修正後の計画に対して1Qが30.6%というのは、決して高い進捗ではない。 修正前の110億円なら40.3%だった。会社が計画を引き上げたぶん、ハードルは上がっている。

★要注意D級 ANYCOLOR(5032/情報・通信業)──レンジ予想の下限なら10.8%減益

「にじさんじ」を運営する。本日9日に4月期の1Qを発表する。要注意と付けたのは、今期の業績予想がレンジ形式だからだ。

中身:前期は売上556億8100万円で29.9%増、営業利益201億7200万円で23.9%増、純利益140億9100万円で22.4%増と大幅な増収増益だった。

サプライズ:今期の予想は幅を持たせた形で出ている。 売上560億円から600億円、営業利益180億円から200億円、純利益123億2600万円から136億9600万円になる。営業利益は下限なら前期比10.8%減、上限でも0.9%減で、どちらに転んでも減益計画だ。

初動:8日終値は2943円で前日比0.17%安。日経平均が1.70%安の日にほぼ横ばいで、逆行して踏みとどまっている。売買代金は10.99億円で20日平均14.13億円をやや下回った。時価総額は1798億円になる。

スイング目線:レンジ予想は、どの水準を基準に進捗を測るかが定まらない。 上限で見れば物足りない数字でも、下限で見れば順調ということが起こる。市場が下限と上限のどちらを見ているかは、決算が出るまで分からない。またぐには変数が多い。

Point:私なら前年1Qの営業利益70億300万円を上回っているかだけを見る。前年1Qは通期の34.7%を1四半期で稼いでいた。同じペースなら下限180億円に対して38.9%になる。レンジのどこを狙っているのかは、進捗率が教えてくれる。

本日の決算発表は11社──プライムは5社

本日9日の発表は11社で、うちプライムが5社になる。

コード社名決算期種別市場
1433ベステラ1月期2Qプライム
2294柿安本店4月期1Qプライム
2751テンポスHD4月期1Qスタンダード
3180ビューティガレージ4月期1Qプライム
4599ステムリム7月期本決算グロース
5032ANYCOLOR4月期1Qプライム
5132pluszero10月期3Qグロース
6966三井ハイテック1月期2Qプライム
7064ハウテレビジョン1月期2Qスタンダード
7678あさくま1月期2Qスタンダード
7804ビーアンドピー10月期3Qスタンダード

売買代金が10億円を超えるのは三井ハイテックとANYCOLORの2社だけで、残る9社は1億円台以下になる。ベステラとステムリムがそれぞれ1.07億円、ほかは1億円に届かない。値が飛びやすい規模なので、板の薄さは先に確かめておきたい。

今後の決算発表予定──11日に74社、メジャーSQと米CPIが重なる

日付社数主な銘柄
9月10日(木)32社積水ハウス(1928)、ビジョナル(4194)、鎌倉新書(6184)
9月11日(金)74社神戸物産(3038)、くら寿司(2695)、日本駐車場開発(2353)、エイチ・アイ・エス(9603)
9月14日(月)69社―
9月15日(火)3社―

11日は74社の決算発表とメジャーSQ算出日、米8月CPIの発表が同じ日に重なる。 14日にも69社が続く。決算の中身とは関係のない需給で値が動く日が、今週後半に集中している。

昨日の3社が示したように、予想を超えても下げることはあるし、寄り付きが高値になることもある。 発表直後に飛びつかず、反応が出てからでも遅くない。損をしない、あるいは損を最小限にすること。それが私の基本的な考え方だ。

※本文中の決算数値は、各社が公表した決算短信(三井ハイテック:2027年1月期第1四半期決算短信、ANYCOLOR:2026年4月期決算短信、ミライアル:2027年1月期第2四半期決算短信、アイル:2026年7月期決算短信)および三井ハイテック「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」(2026年6月12日)にもとづく。株価・売買代金・日中値幅・時価総額はJPX公式のJ-Quants APIによる9月8日終値時点の値で、株式分割を調整済み。プライム平均株価は東証プライム全銘柄の前日比騰落率を単純平均した独自指標で、時価総額や株価水準で重みをつけず1銘柄を1票として数える。日経平均・TOPIXの終値と騰落、9月8日の市況はフィスコの配信記事による。決算発表予定は日本取引所グループ(JPX)の公表資料による。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

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記事を書いた人

コマンドY

スイングトレーダー。著書に『10万円を1年で100万円にする株式投資術』(2026年7月発行)。決算を「地雷を避ける」ための守りの道具として読み、上がり始めを出来高で確かめてから乗ることを基本にしている。

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