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節税効果がなくなっただけでは済まない、タワーマンションの落とし穴

物件の実勢価格と相続税評価額の差を利用した相続税の節税対策の有効手段として活用されえきたタワーマンション。しかし、2023年6月、国税庁はこのタワマン節税を防ぐルールの見直し案を公表し節税メリットがなくなった。そればかりか中古のタワマンは大規模修繕費用もあり、その負担が増える可能性もある。

浅野夏紀2023/09/01

節税効果がなくなっただけでは済まない、タワーマンションの落とし穴
  • 国税庁はタワマン節税を防ぐルールを見直し、節税目的のタワマン所有のメリットが薄れる
  • 多くのタワマンは大規模修繕にあてる修繕費が不足しており、修繕費の値上げや一時金の徴収の可能性も
  • 売却益を狙うのなら新築のタワマンは築後15年で売却したほうがよい

■ブームがはじまって20年余、明らかになってきた問題点

物件の実勢価格と相続税評価額の差を利用した相続税の節税対策の有効手段として活用されえきたタワーマンション。しかし、2023年6月、国税庁はこのタワマン節税を防ぐルールの見直し案を公表した。そんななかでも都心のウォーターフロントからさいたま新都心、名古屋、広島など全国で続々と販売されている。

しかし、変化も起きている。

8月に入って多くのタワマンが建ち並ぶ豊洲など東京湾岸エリアでは人気のない「日経ヴェリタス」という経済タブロイド新聞が売り切れた。その要因は「マンションもう買えない パワーカップルも降参 富裕層・海外マネー流入、平均1億円突破」という1面の記事で、自らタワマンに住む人たちも、タワマンに対する風向きが変わってきていることを微妙に感じ取っているようだ。

■信頼性、資産価値が揺れ始めたタワマン神話

そのきっかけは、2019年10月に発生した台風19号による、神奈川県川崎市・武蔵小杉でのタワマンの浸水被害だった。それまでも大規模地震へのリスクなど指摘されていたが、それにとどまらず、台風、水害というタワマンが被害を受けるなどまったく考えが及ばなかった災害によって信頼性や資産価値に疑問が浮かび上がった。

そもそもタワマンが都心で本格的に建設され始めたのは2000年前後で、古い物件は築後20年超えた物件が今後、続々と登場する。

こうしたことから、大規模修繕費の積立額を上回るような設備更新費という住民の想定外の負担について指摘されている。

実際、タワマンの設備は、ほぼ特注に近い大型設備が数多く使われている。

たとえば、エレベーターのような基幹設備であってもメーカーによる交換部品の供給は、これまでもおおよそ20年で停止してきた。そうなれば最悪の場合はエレベーターの付け替えが必要なってくる。

住民のほとんどはそうした現実を知らされていない。もちろん、これから新たに新築、中古を買う消費者に対してもこのことは、伝えられていないのではないだろう。

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この記事を書いた人

浅野夏紀

浅野夏紀経済アナリスト・作家・不動産小説家。

1963年生まれ。東京都心在住。オフィス・ホテル・商業施設・公有地・借地等の不動産の分析、株など資産市場の分析に詳しい。住宅業界のカリスマ事業家が主人公で、創業者まで徹底的に切り捨てる政権の歴史的な不良債権処理の暗闘局面などを明かした『創業者追放~あるベンチャー経営者の風雲録』などの作品がある。

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