不動産など資本市場の分析と世代会計、文化財保護に高い関心持ち、執筆活動を行っている。『不動産絶望未来』『2030年不動産の未来と最高の選び方・買い方を全部1冊にまとめてみた』(いずれも東洋経済新報社)などペンネーム・共著含め著書多数。
(著者連絡先)windomaezaki@yahoo.co.jp
品川区議会において品川浦で計画されている10棟規模のタワマン建設を含む再開発計画に対する補助金の試算額が区議会で示された。その額2034億円あまり。膨れ上がる税金投入の背景にあるものとは。
山下努2024/12/05
タワーマンションを中核とした再開発をめぐる住民の請願や陳情を、カスハラ扱いしているとして波紋が広がる品川区。そんな品川区で進もうとしてタワマン開発に区が「最大で2000億円規模の補助金を投入する」という区議らの試算が出され住民たちを驚かせている。
このタワマン開発とは、北品川一丁目と東品川一丁目等にまたがる約13ヘクタールにも及ぶエリアに計画されている品川浦再開発計画のこと。
その中身は、京浜急行の北品川駅周辺の釣り船や屋形船が泊められている品川区の観光スポットにもなっている「品川浦」を囲むように西街区、南街区、北街区の3つ分け、ここに10棟規模のワマンを建設するというものだ。この再開発に名を連ねるのは、日鉄興和不動産、三菱地所、三菱地所レジデンス、旭化成不動産レジデンス、五洋建設、清水建設、大林組など大手デベロッパーとゼネコンである。
こうした品川区で進められている再開発をめぐっては、品川区内各地域の約10の住民団体で構成される「住み続けられるまちづくりをめざす品川区民の会」(以下「めざす会」)が立ち上がり再開発計画の見直しを求めている。これに対して、区側は「めざす会」の住民の請願や陳情を「悪質なクレーム」としている。実際、区が取りまとめた「悪質クレーム等調査票(まとめ)」という内部文書では、行動をしている住民について次のように記されている。
「再開発事業への反対者であり、元区議会議員であることから、地域に反対の旨のビラを配布し、区議会に多数の請願・陳情を多数提出していることから、対応業務が増大し、業務量が増加している。また、その内容に職員や再開発関係者の個人名が記載されていたり、事実と異なる内容や組合等を誹謗中傷する内容が含まれていたり、職員の処分を求める陳情の提出など、職員が安心して働くことを妨げている状況」
カスハラについては昨今、桑名市で全国初の「カスハラで氏名公表」という制裁措置含めたカスハラ防止条例案が出され注目されているが、民間よりも行政の動きが前のめりになっている印象がある。
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山下努経済アナリスト
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