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契約期間中の共益費の値上げは許される? 拒否できるケース、拒否できないケース

物価高で家賃が上がる中、共益費まで値上げを求められるケースが増えている。契約期間中の共益費の増額は本当に許されるのか。拒否できる場合とできない場合の違いを分かりやすく解説

大谷昭二2025/12/10

契約期間中の共益費の値上げは許される? 拒否できるケース、拒否できないケース
  • 家賃が上昇する中、共益費も便乗的に値上げされるケースも
  • 実費が基礎のため、期中であっても公共料金高騰など例外もある
  • 費用増加の理由や妥当性など値上の算定根拠の提示が必要

家賃値上げに乗じて共益費も便乗値上げ

物価の高騰が続く中で、家賃の値上げも無縁ではいられない。
実際、2025年の首都圏・全国主要都市の募集賃料(家賃+管理費・共益費などを含む合計)は、ほとんどのエリアで前年同月比を上回っている。特にマンションでは、東京23区や主要都市で2015年以降の最高値を更新した地域も多い。
東京都23区を例に見ていくと、単身者向け(シングル向き)の平均家賃が2025年9月時点で“10万円超”を記録、16か月連続で最高値更新が続いている。

家賃と並んで毎月支払うのが共益費だ。
共益費とは、廊下や階段、エントランス、管理人室といった共有部分を維持するために必要な費用を、入居者数や専有面積に応じて按分したもの。具体的には電気・水道代、清掃費などの実費、物件によっては、管理人の人件費も含まれる。この金額は家主があらかじめ設定し、借主は契約時にその支払いに対して合意して入居する仕組み。
しかし、物価高に便乗して共益費の値上げを求められるケースもあるようだ。

もっとも、契約期間中にこの共益費を家主が一方的に値上げできるかについては、誤解が生じやすい面もある。
共益費は実費負担を基礎とした費用のため、家主が契約途中に自由に増額できるものではないとされている。そのため通常は契約期間が満了するまで、借主は当初定められた共益費を支払う義務がある一方で、途中での値上げを拒否することができる。

ただし、例外も存在する。電気代や水道代など、家主が関知できない公共料金が大幅に値上げされた場合だ。
共有部分の維持に要する実費が急増し、従来の共益費では不足する状況になれば、家主が増額を求めることは合理的といえるだろう。このような事情が明確に示されれば、契約期間中でも増額に応じる必要性が生じる可能性がある。

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この記事を書いた人

大谷昭二

大谷昭二NPO法人日本住宅性能検査協会理事長/一般社団法人空き家流通促進機構会長/元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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