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契約期間中の共益費の値上げは許される? 拒否できるケース、拒否できないケース

物価高で家賃が上がる中、共益費まで値上げを求められるケースが増えている。契約期間中の共益費の増額は本当に許されるのか。拒否できる場合とできない場合の違いを分かりやすく解説

大谷昭二2025/12/10

共益費の値上げには根拠の説明が必要

ここで理解しておきたいのは、家賃と共益費の性質の違いについてだ。

家賃は合理性の有無に関わらず、家主が金額を定めることができる。一方、共益費は、共有部分に実際にかかった費用をどのように按分するかについて明確な根拠を示す必要があるということ。そのうえで共益費の値上げが合理的なものであると説明が必要ということである。

そのため家主から突然値上げの連絡があった場合には、まず共益費の算定根拠を確認することが必要だ。
こういうと難しく聞こえるが、要はどの費用がどれだけ増えたのか、現状の金額ではいくら足りないのか、そして、今回の値上げ額が妥当な金額であるといった点を丁寧に説明してもらうということである。
つまり、支払いを拒むのではなく、納得できる説明を求める姿勢を示すことが円滑な対応につながる。

まれに、家主側の過去の算定に誤りがあり、従来の共益費が実費より著しく低かったというケースもある。この場合は、家主側の説明や謝罪とともに、適正な金額へ改める必要が求められる場合もある。その結果、契約期間中の値上げにならざるを得ず、それに対して応じざるを得ない場合もある。

共益費は建物を快適に利用するための必要経費だが、その増額には合理性と透明性が求められるものといえる。値上げが提示された際には、まず、値上げの根拠を確認し、適正かどうかを見極めることが必要である。

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この記事を書いた人

大谷昭二

大谷昭二NPO法人日本住宅性能検査協会理事長/一般社団法人空き家流通促進機構会長/元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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