環七より外側 マンションブームの終焉「不動産2030年問題」

タワーマンションをはじめとしたマンションの需要は堅調に推移している。しかし、それは都心に限ってのこと。実は郊外型のマンションの年間の販売戸数は急激に減少している。その背景になるのが「不動産の2030年問題」を考察する。

立川昭吾2024/12/27

環七より外側 マンションブームの終焉「不動産2030年問題」
  • 住宅ローンを完済する気なし。30、40歳代の意識が変化
  • 物件選びの新常識は、子どもの教育環境と利回り
  • 環七、環八はマンション開発激減、国道16号線沿い大型スーパーは次々撤退

マンション価格が高騰する都市部

近年、東京や大阪を中心とした都市部でマンション価格が大幅に上昇しています。

東京23区の新築マンションの平均価格はおよそ1億4000万円、大阪でも中心地の新築タワーマンションでは1億円を超えており、これは過去最高値に近いとされています。
しかも、このような高額なマンションが続々と売れています。

この背景には、購入者層の変化があります。これまでのイメージですと「高額マンションを購入するのはインバウンと需要 や国内の富裕層が投資目的で購入している」と思いがちですが、実際には30代や40代の共働き世帯が購入者層の主力になっているというのです。

外国人が日本のマンションを購入する理由は円安もありますが、日本の不動産が「世界的に見て割安」なこともあります。
最近では海外に行く日本人は減少傾向にありますが、中国、香港、シンガポールにいる人にとって日本はもはやお隣の国、地区という感じなのです。とくに中国本国は、もとより香港、シンガポールなどでは、共産党の影響力が強くなってきて、安定性を求めて日本の高級マンションを購入するケースが増えています。

欧米系の外国人にとっても、先進国でありながら、日本は物価も安くてマンションも安い。しかも、安全できれい、物価変動も少ない。投資しても日本の経済状況は、いま以上に悪くならないと考えているようです。
これがマンション価格を押し上げていて、東京や大阪の一等地マンションに対する外国人投資家の需要を高めています。

1 2 3 4 5

この記事を書いた人

立川昭吾

立川昭吾

1945年新潟生まれ。
中央大学商学部卒業後、東京重機工業株式会社(現株式会社ジューキ)入社。退社後は、企業の倒産現場に数多く立会い、企業の倒産回避のノウハウをマスター。1995年設立のTSKプランニングで、コンサルタントとして経営危機に直面した企業の倒産回避および事業再生に関するコンサルティングを手掛けている。
著書に『隣の会社「なぜ?」潰れないのか』『脱常識のしたたか社長論。』『日本が潰してはいけない会社』など多数。

  • WEB

※このサイトは「事業再構築補助金」を活用しています