1945年新潟生まれ。
中央大学商学部卒業後、東京重機工業株式会社(現株式会社ジューキ)入社。退社後は、企業の倒産現場に数多く立会い、企業の倒産回避のノウハウをマスター。1995年設立のTSKプランニングで、コンサルタントとして経営危機に直面した企業の倒産回避および事業再生に関するコンサルティングを手掛けている。
著書に『隣の会社「なぜ?」潰れないのか』『脱常識のしたたか社長論。』『日本が潰してはいけない会社』など多数。
共働き世帯が支えるマンション市場
一方、前にも指摘しましが、価格を押し上げているのはインバウンド需要だけでなく国内でも若い世代が都市部の高額マンション需要を支える存在になっていることがあります。
その理由は、所得水準の上昇と銀行ローンの長期化、柔軟化があります。
実際、都市部では共働き世帯が増加しており、なかでも30代から40代、共働きで世帯収入を合算すると1500万円以上になり、これが若い世代のマンション購入の原動力になっています。
また、これを大手金融機関が提供する住宅ローンの仕組みも需要を後押ししています。
最近では、70歳までの長期ローン(50年ローン)や、夫婦合算で1億円以上の融資を提供する商品が普及しています。これにより若い世代でも高額物件を手に入れることが可能になっています。
さらに共働き世帯は、子どもの教育環境も 重視していて、「都心部の名門校に近いマンションを購入する」ことが一つのトレンドとなっています。そのため中央区、港区、渋谷区といったエリアは、こうしたニーズで人気が高まり、マンション価格を押し上げています。
住宅ローン完済はハナから考えない
加えて、こうした若い世代の住宅購入に対する考え方も変化しています。
昭和世代は、「家は一生の買い物」という感覚で、住宅ローンを完済しようと思っていました。
しかし、いまの若い世代の人は最後までローンを払う、完済しようなんていう考えはありません。売却を前提にしています。ですから購入段階で、物件の利回りを考えています。そして、タイミング良く売却し、次の生活へと移るという柔軟な発想になっています。
このような意識の変化が、都市部マンション市場の活況を支えているのです。