【デベ考察②】万年3位定着か三菱地所、学生人気ない住友不動産、どうなる?東急不動産、ヒューリック

不動産デベの大手5社(三井・三菱・住友・東急・野村)の2024年3月期決算が出そろった。不動産市場の活況を受けて、ともに最高益をたたき出した。果たしてこの快進撃は続くか、各社が抱える事情。

山下努2024/05/23

【デベ考察②】万年3位定着か三菱地所、学生人気ない住友不動産、どうなる?東急不動産、ヒューリック
  • 大学を巻き込む三井不動産、三菱地所の再開発競争
  • 住友不動産は売上、利益で第2位になったも上がってこない学生人気
  • これからが厳しい西浦三郎会長の手腕に頼り切りなヒューリック
  • 大箱ビルのテナントが埋まらない東急不動産、森ビル

大学を巻き込んで再開発を進める三井不動と三菱地所

空前の利益を上げるデベロッパーは、ゼネコンを使いつつ、大学も儲けのネタにしようとしている。それも三井不動産が先行しているらしい。
その1つが八王子に引っ込んでしまった中央大学法学部の都心回帰だった。
具体的には、大塚界隈の都の交通局の用地を、大学とセットで賑わい施設にするプランを東京都に働きかけた。

一方、三菱地所は、東京医科歯科大に食いついた。東京医科歯科大は、東工大と合併して、東京科学大となり、その空いた不動産を活用する。東工大には野村不動産がついていて、野村不動産は、東京学芸大にも触手を伸ばしている。

大学なのに不動産会社のようになってしまったのが慶応大学だ。近くの一等地にある共立薬科大学を吸収合併し、東京歯科大も傘下に入れた。三田の近くの旧逓信省の文化財級施設は、三井不動産、三菱地所と共に再開発に参画している。

最近は、東大閥におされているが、三井不動産も三菱地所も慶応閥の企業だ。私は、慶応を起こした福沢諭吉の孫が三菱地所の社長を務めていたころ、何度も彼に会った。
不動産と学閥はコネが何より大切のようである。

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この記事を書いた人

山下努

山下努経済アナリスト

元朝日新聞経済記者、英字新聞「ヘラルド・トリビューン朝日」記者。不動産など資本市場の分析と世代会計、文化財保護に高い関心持ち、執筆活動を行っている。『不動産絶望未来』(東洋経済新報社)などペンネーム・共著含め著書多数。

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