不動産など資本市場の分析と世代会計、文化財保護に高い関心持ち、執筆活動を行っている。『不動産絶望未来』『2030年不動産の未来と最高の選び方・買い方を全部1冊にまとめてみた』(いずれも東洋経済新報社)などペンネーム・共著含め著書多数。
(著者連絡先)windomaezaki@yahoo.co.jp
株価と並んで上昇を続ける日本の不動産。これを背景に三井不動産は築地再開発、外苑再開発やららぽーとなどの商業施設も好調だ。一方、三菱地所は「大・丸・有」にこもりきりでふるわない。そんな大手2社の現状とこれからを考察。
山下努2024/04/22
日本株の日経平均がバブル経済ピークの1989年末の最高値を超え、4万円前後を推移している。一方、不動産も好調で、平均で2.3%上昇。これもバブル以来33年ぶりの大幅な伸び率となった。
不動産、株を買っているのは、外国人投資家だ。そして、彼らが買う株の業種の代表が不動産業である。
それは、日本が有史以来の超長期の大規模金融緩和を続け、経済成長力がないことから、ほとんどの余剰マネーが不動産に流れ込み、大手不動産業が空前の利益を得ているからだ
なかでも、大手不動産最大手の三井不動産は、外国人の持ち株比率が5割に達している。
理由は、東京都や国などの“行政物件”の再開発を次々と推進しているためだ。
そんななかで旧読売系の東京ドームにTOBをかけた香港のファンドや、アメリカのファンドが三井不動産の株を買い増してきた。
日本で銀座の不動産や優良不動産株に投資してきた米投資ファンドのエリオットマネジメントは、4月に入り三井不動産が株主に対する利益還元をさらに追加することに好意的評価を示した。これはかねがね香港の投資ファンドのオアシス・マネジメントが三井不動産に対して利益還元を求め、さまざまな揺さぶりをかけていたことが原因だ。
三井不動産が空前の利益を上げている背景には、日本人に非常に人気のあるオリエンタルランド(東京ディズニーランド)の株式を大量に保有していることもある。
そもそも三井不動産がオリエンタルランドの大株主でいるは、開発にあたってかかる漁業補償や付帯施設工事費を含めた埋め立て総工事費を進出企業が負担し、代わりに完成した土地の一部を取得する「千葉方式」という特殊な形態で東京湾を埋め立ててきたことがある。
三井不動産は、埋め立て事業において京成電鉄と組んでいるため、京成電鉄も同じようにオリエンタルランド株で空前の利益を上げている。そのため京成電鉄も海外のファンドから株主還元を求められていた。
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山下努経済アナリスト
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