北海道函館市生まれ。大学 卒業後、リクルート住宅情報事業部にてライターを務めた後、IT企業を経て不動産関連事業へ転身。その一方で、化粧品とサプリメントのコンサルティングや専門家としてのアドバイザー務める。海外派遣先では、フィリピン・タイ・カンボジア・マレーシアなどで日本への輸出入をテーマにセミナーを行うなどマルチに活動している。
現在は酒蔵を応援する SAKEPAを立ち上げ、日本酒業界の発展を応援している。
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そもそも民泊とは何か?
インバウンド需要が回復は続いています。観光庁の発表によれば、2023年9月の訪日観光客数は218万あまりと新型コロナ前の2019年同月比の96.1%と、ほぼ新型コロナ前の水準に達しています。また、宿泊についても観光庁がまとめた住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊の宿泊実績によれば、2023年2~3月の宿泊者数は25万1000人まで回復し、このうち外国人は9万1000人になっています。
こうした背景もあって、空き家の民泊活用に注目が集まっています。
とはいえ、実際に民泊をはじめるにあたっては、そもそも「民泊って何か?」を理解することが必要です。
民泊とは、住宅宿泊事業法という制度です。住宅を宿泊施設として貸し出すというのが定義で、自分の家やご両親の家など空き家になりそうな戸建てあるいは、マンションの専有部分での運用も可能です。
民泊に決まった“かたち”はない
実際に民泊を、と考えるときに大切なのは、空き家を宿泊施設として育てていくということです。そして、民泊にした際にどのくらいのプラスの収益があればと考えてみる。
例えば、年金に+αの収入、固定資産税のまかない、家を維持できれば……というくらいの感覚ではじめられるとよい結果が得られると思います。また、家そのものが空き家でなくても、使っていないお部屋があれば、そこでの受け入れも可能です。
地方で、農地があれば、農業体験をセットにすることも可能です。周りが畑や山だけであれば、自然を欲する人たちにとっては最高の憩いの場になります。海があれば釣りの宿として、何もない地方の街であってもバイクツーリングの宿泊や休憩所としても利用されるかもしれません。
場所はどこでもよいとはいえ、きちんとたどり着けることが最低条件です。複雑な山道をのぼって迷子になるようなところは向いていません。ぽつんと一軒家のように、秘境をウリにするのであれば別ですが、一般的には駅やバス停から歩いて、15分以内が理想的です。
小さな民泊とビジネスとしての民泊
「なぜ来るのか?」ということは、始めてみないとわからない部分も多くありますが、周辺にホテルや旅館がない地域のほうが、むしろ需要がある場合もあります。
「こんな田舎でも運用できるのか?」「古い家でも大丈夫なのか?」といったことを口にされる方も多いのですが、これも考える必要はありません。
使い方は利用者次第で変わり、それぞれです。極端は言い方をすれば、使い方は利用者が考えてくれます。
必要なことは快適な空間と気持ちよく宿泊できるようにしておくことだけです。
ただ、民泊をビジネスとして行っている方も多くいますが、投資対象としての民泊はハードルが高くなります。というのも、ビジネスになれば、確実に収益を上げなくてはなりません。そうなれば駅近くの物件やラグジュアリー施設として、ほかとの差別化することが求められます。こうなると小さく始める民泊とは違って、ちょっとした経験値や工夫が求められます。
ここでご紹介するのは「小さく始める民泊」です。そして、ほったらかしているなら少しでも収益を上げられればよい。せっかく家があるのだから、何か利益を生むような、可能性があるのなら初めて見たい……など、無理をせずに ゆっくりと自分のペースで始める民泊です。