一般社団法人全国空き家流通促進機構代表理事
1978年神奈川県生まれ。大学卒業後大手不不動産会社に勤務したのち、買取再販売メインとする不動産会社に転職。その後、34歳で株式会社リライトを設立。創業以来、赤字の依頼でも地方まで出かけ、近隣住民や役所などと交渉。売れない困った不動産売却のノウハウを身につけてきた。また、神奈川県横浜市神奈川区で空き家を有志とともにで再生し、家族食堂など他世代交流拠点「子安の丘みんなの家」を運営している。
著書に『売れない不動産はない!』(叶舎刊)『困った不動産を高く売る裏ワザ』(ぱる出版刊)『不動産をうま~く処理する!とっておき11の方法』(ファストブック刊)がある。
■持分だけの売却額は、相場の10~20%
不動産の売買、仲介をしているとさまざまな物件の相談が持ち込まれます。そんななかでお問い合わせいただくのが、
「共有名義なっている土地・建物の自分の持ち分だけを売却できないか」
という案件です。共有名義の不動産で自分の持ち分だけでは売却できないと思っている人は、意外と多いのです。結論からいってしまうと、自分の持ち分だけの売却は可能です。また、持ち分だけを買い取ってくれる不動産会社もあります。
ただし、自分の持ち分だけを売却しても、その物件そのものの売却や賃貸、建て替えは、原則として共有名義者全員の同意が必要なため、買い取ってくれるところは少ないのが現実です。しかも、売却はできても、その価格は安くなってしまいます。
具体的には、持ち分だけを売却する際の相場は物件価格の10%~20%前後になります。
つまり、3000万円の物件で、持ち分が2分の1であれば、
1500万円×10%→150万円
1500万円×20%→200万円
になるというわけです。
ですので、なるべくなら持ち分だけを売却するのではなく、共有名義人全員で話し合って同時に同じ買主に売却したしたほうがよいのです。
とはいえ、そうはいかないのが人の常。なかでも相続問題が絡んでくると、合理的に考えれば双方が話し合あって円満に解決したほうが、双方ともに損はないとわかっていても、感情の行き違いによって、なかなか冷静な判断ができなくなってしまうものです。