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「分家住宅」の売却――“土地の縛り”のほどき方

農地関連の土地の処分でもやっかいなものが「分家住宅」だ。ほとんどの不動産会社に相談を持ち込んでもほぼ断られるという。そんな分家住宅をどのように売却するか、そのヒントをさぐる。

田中裕治2023/12/14

「分家住宅」の売却――“土地の縛り”のほどき方
  • 建てるには本家の三親等以内の血族、持ち家なし…厳しい条件の分家住宅
  • 相続人でも建て替えできない、使えない、売れない二重苦、三重苦の不動産
  • 農業委員会、行政との交渉によって1300万円で売却を成功させた著者

厳しい条件に縛られた「分家住宅」

売るに売れない不動産には、いろいろなものがあります。農地や市街化調整区域の土地については、これまでも売りづらいという話をしてきましたが、そのなかでも輪をかけて売りづらいのが「分家住宅」です。

「分家住宅」とは、その名の通り農家などを営んでいた「本家」から分家した人が市街化調整区域に建てた家のことです。
「本家」「分家」という言い方でもわかるように、分家住宅は誰でも建てられる家ではありません。市街化調整区域の土地を持っている所有者の子どもや孫など、分家住宅が建てられる人には条件が決められています。
具体的には、次のようになります。

・本家となる者の3親等以内の血族
・持ち家がないこと

分家住宅を建てるにあたっては、厳しい条件があます。つまり、分家住宅は属人性が強く、使用できる「人」も分家住宅建築の許可を受けた者、その配偶者及び直系卑属(子や孫)と限定された人だけになります。

ほとんどの不動産会社もソッぽを向く

そのため分家住宅を売却するには、都市計画法の用途変更の許可の取得などの手続きをしなければ、直系でない相続人や、買った人はもとより賃貸も含めて分家住宅を使用することはできません。

しかも、この手続きがやっかいで、用途変更の許可には原則として売主の「やむを得ない事情」が必要で、現金化したいという理由ではまず許可がおりません。

また、売却する場合はそれを購入する側も、なぜその住宅を購入するのか細かく審査されるため、極めて売買が難しく、ほとんどの不動産業者は扱いを断ります。

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この記事を書いた人

田中裕治

田中裕治株式会社リライト代表取締役

一般社団法人全国空き家流通促進機構代表理事
1978年神奈川県生まれ。大学卒業後大手不不動産会社に勤務したのち、買取再販売メインとする不動産会社に転職。その後、34歳で株式会社リライトを設立。創業以来、赤字の依頼でも地方まで出かけ、近隣住民や役所などと交渉。売れない困った不動産売却のノウハウを身につけてきた。また、神奈川県横浜市神奈川区で空き家を有志とともにで再生し、家族食堂など他世代交流拠点「子安の丘みんなの家」を運営している。
著書に『売れない不動産はない!』(叶舎刊)『困った不動産を高く売る裏ワザ』(ぱる出版刊)『不動産をうま~く処理する!とっておき11の方法』(ファストブック刊)がある。

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