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知らぬ間に「廃墟になった空き家」を相続 相続登記義務化の落とし穴

夫が他界して数年、突然、縁もゆかりもない自治体の役所から電話で、廃墟になった空き家の存在を知った相談者。今さら相続放棄もできずにその空き家処分に動き出すことに。2024年4が1日から相続登記義務化が開始されるが、誰にでも身に覚えのない空き家や空き地問題がこれから出てくる可能性がある。

田中裕治2024/01/23

知らぬ間に「廃墟になった空き家」を相続 相続登記義務化の落とし穴
  • 見も知らない自治体からかかってきた電話で空き家を相続していたことを知った相談者
  • 弁護士に相談しても、相続放棄はできないという返事が
  • ポイントは空き家を買いたいという顧客リストも持つ不動産会社に頼むこと

役所からの突然の電話

相続放棄は年々増える傾向にあり、令和3年(2021年)司法統計年報によると、令和元年は22万5416件、令和2年は23万4732件、令和3年は25万1994件と毎年1万件以上増えており、増加傾向にあります。
ご存じのように相続放棄の手続きは「相続の開始があったことを知った時から3か月」となっています。その3か月の間に何もしないと「単純承認」となって、亡くなった方の財産を全て相続することになります。

今回ご紹介する事例は、相続の財産の中に地方の空き家があることを知らず、相続してしまったという方のお話です。

きっかけはご主人が亡くなって数年が経ち、寂しさも癒えてきたころのこと、市役所から「あなたが相続された不動産の樹木が生い茂って近隣よりクレームがきているので対処してほしい」という連絡があったことでした。

ご相談者は神奈川県にお住まいで、亡くなったご主人が千葉県に不動産を持っていたことを知らされていませんでした。そのためご主人が亡くなられた際に、その不動産を相続していたことは身に覚えはありません。
その連絡を受けて、現地を訪れるとそこには廃墟と化した戸建があったとのこと。家の中を見ようにも鍵もなく中には入れませんでした。

そこで相談者は、この空き家を「何とか手放したい」と思い、市役所等で開催している無料相談会に参加し、弁護士に相談されました。
希望は当該物件の相続放棄でしたが、すでに年数もたっていることから、相続放棄もできず、手離す方法を模索された際に弁護士より当社を紹介されたとのとのことでした。
紹介元の弁護士は当社がいつもお世話になっているため、その場で引き受けさせていただくことにしました。

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この記事を書いた人

田中裕治

田中裕治株式会社リライト代表取締役

一般社団法人全国空き家流通促進機構代表理事
1978年神奈川県生まれ。大学卒業後大手不不動産会社に勤務したのち、買取再販売メインとする不動産会社に転職。その後、34歳で株式会社リライトを設立。創業以来、赤字の依頼でも地方まで出かけ、近隣住民や役所などと交渉。売れない困った不動産売却のノウハウを身につけてきた。また、神奈川県横浜市神奈川区で空き家を有志とともにで再生し、家族食堂など他世代交流拠点「子安の丘みんなの家」を運営している。
著書に『売れない不動産はない!』(叶舎刊)『困った不動産を高く売る裏ワザ』(ぱる出版刊)『不動産をうま~く処理する!とっておき11の方法』(ファストブック刊)がある。

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