実録「空き家処分」――抱え込んだ4軒の空き家に立ち向かう!

山梨県内にそれぞれ特徴的な4軒の空き家を抱えるAさんの空き家売却の体験記。いざ、売却しようとすると、いずれも予想外の売却価格、かさむ費用……簡単には進まない空き家売却の現実。

Gold beans.編集部2023/11/28

実録「空き家処分」――抱え込んだ4軒の空き家に立ち向かう!
  • 2000万円の売却価格、手元に残ったのは20万円
  • 山梨県甲府市中心部のマンション、戸建てであっても結局は赤字になる
  • 家財道具の中でも蔵書の処分は思った以上に費用がかかる
  • 定年サラリーマンには空き家の処分は難しい

人口減少が進む山梨県

秋山寬次さん(仮名・59歳)は、山梨県出身。山梨県の人口は80万人を切って久しい。県庁所在地の甲府の人口も20万を切っている。

そんな山梨県出身の秋山寬次さんは、今年60歳になる。ちなみに秋山さんの小学校同級生17人で、地元に残っている8人の同級生の男子はわずか。そのうち3人は結婚し、子どもの数は4人合わせて4人だけだ。一方、女子は高校などを卒業すると、都会がよいといって東京や横浜に出ていき、地元には一人もいない。

地域に残った男たちは農業を続ける場合もあるが、それは県や市町村から農地を道路用地として買収してもらい、一獲千金を夢見ているということもある。土建利権が色濃い山梨を物語る。

山梨県はリニア新幹線の実験線を誘致し、本線に変え、南アルプスをぶち抜いてリニアを通すJR東海の計画に全面協力。今度は富士山登山鉄道を建設。登山鉄道は排ガスを出さないため、環境に優しいとPRしている。
「機械的に計算すると、優良な果樹園の面積よりも道路や公共施設の面積の方が広くなる時代が来ますよ」
と秋山さんは苦笑いを浮かべながら生まれ育った郷土のこと話す。

抱え込んだ4軒の空き家

そんな秋山さんは、父母をはじめ親族が相次いで他界。最大4軒の空き家を抱えることになった。

1件目は母の実家で、これは関西系の大手住宅メーカーの系列会社に処分を丸投げしてみたという。当初は手元に2000万円以上残る計算だったが、フタをあけてみると残ったのは20万円。かろうじて赤字だけは免れた。

600坪超の敷地を活用するには、この土地を住宅6戸分に分割し、そこに水道やガスなどのインフラを引かなければならない。
そうした土地利用法を業者から見せられ、1区画の土地を2000万円以下にするには、その土地を二束三文で売らなければならない。そうなると相続税路線価の半分にもとどかない価格で買いたたかれる。
都会なら相続税路線価に対して時価は2倍や3倍であることが珍しくないが、地方では鉄道の駅から徒歩10分の旧役場前の土地でさえ、相続税路線価の2分の1でも売ることは至難の業なのだ。

しかも秋山さんの場合は、住宅の解体費用と家の中にあった家事道具、いわゆる残置物の処分などを任せたことも赤字寸前になった理由になった。
過去数年、田舎でも住宅の解体や家財道具の処分は環境面の規制が厳しくなったということで、その費用は高騰を続けている。
「田舎で空き家を相続しても、赤字が出なければ幸運なほうなんですよ」
と秋山さんはあきらめ顔だ。

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