2024-25年リストラ実施企業 黒字でも希望退職を実施する大企業の事情

2024-25年、上場企業57社が早期・希望退職を実施し、その6割は黒字企業だった。人手不足の時代にもかかわらず「選別型リストラ」が加速…日本の大企業か抱える事情とは。

Gold beans.編集部2025/05/20

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2024-25年リストラ実施企業 黒字でも希望退職を実施する大企業の事情
  • コロナ後のリストラは経営危機だけが理由ではない
  • 構造改革のためのリストラ――オムロン、資生堂、コニカミノルタ
  • 黒字企業の人材戦略の1つがリストラという方法

経営不振だけが理由ではない令和のリストラ

日産自動車による2万人規模の人員削減計画が大きな話題を集めている。しかし、こうした大規模なリストラは経営危機に陥った一部の企業に限った動きではない。コロナ後、日本の大企業では、黒字でありながらも将来の競争力維持のために構造改革を断行するケースが相次ぎ、「選択と集中」をキーワードに経営体制の見直しが広がっている。

東京商工リサーチの調査によると、2024年に早期・希望退職を募集した上場企業は57社にのぼり、前年の41社から約39%増加した。募集人数も1万人を超え、前年(3161人)の3倍以上という急増ぶりだ。特徴的なのは、その約6割が黒字企業であるという点だ。業績が堅調であっても、将来的な成長分野への投資や人材配置の最適化を目的とし、リストラを進める企業が増えているというわけ。

オムロン、資生堂、コニカミノルタの人員削減に踏みきった理由

代表的な例がオムロンだ。自動化機器を主力とする同社は、「NEXT 2025」構想の一環として国内外で約2000人の人員削減を実施。国内では希望退職を募り、1206人が応募したと報道されている。背景には、主力のファクトリーオートメーション事業の収益低下と、グローバル再編による体質強化がある。

資生堂も2024年、国内の販売子会社である資生堂ジャパンにおいて、45歳以上・勤続20年以上の社員を対象に早期退職を募集。約1500人が応募し、全従業員の4.5%に相当する人員を減らした。同社は黒字を確保しているが、国内市場の成熟を見据えたリソース再配分の一環だという。

このほか、精密機器のコニカミノルタは2701人の削減を実施。これは当初の2391人に加え、追加で310人の削減を発表したもので、構造改革の本気度を示すものといわれる。

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