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実録「空き家処分」余話 空き家問題は土地の文化と風習を消し去る

山梨県内で4軒の空き家処分に苦労するAさん、この空き家問題は単に使わない家の処分というだけでなく、地域の文化や風習も消滅させる問題だと感じている。そんなAさんは自らの終活だけは、昔通りで行いたいと思っているが、それにいくつもの障害があって……。

Gold beans.編集部2024/01/17

実録「空き家処分」余話 空き家問題は土地の文化と風習を消し去る
  • お寺の住職の母親の葬儀も寺ではなく、葬儀場の行われて唖然としたAさん
  • 値上げで儲かるのは民間の火葬場
  • 火葬ではなく土葬を希望しても、実現にはいくつものハードルがある

過疎が進んだ寺の葬儀のかたち

山梨県内で4軒の空き家処分を進めている秋山寬次さん(59歳)の実家の近所にある寺の住職の母親が、先ごろ亡くなった。

秋山さんの実家のある地域の人は、この寺の檀家で、家族が亡くなるとその寺で通夜、葬儀を行い精進落としも寺で行うことが通例になっていた。

「広くて立派な本堂があるお寺で、子どものころは遊び場にもなっていたんです。あまり騒いでいると『仏さんの葬儀をする場所だからはしゃぐな』とおこられたものです」
と話す秋山さん。そして、少し強い口調でこう続ける。

「その寺の住職の母親の通夜、葬式を10キロ以上離れた山梨市の中心部の葬儀業者ホールで行われたんですよ。土地の人が檀那寺にしている寺なのに、寺の親族、しかも住職の母親の葬儀を寺でやらないなんて……」

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地域の風習もなくなって

秋山さんの住む地区では、そこに住む人が亡くなるとまず墓穴を掘っておき、参列者も天冠(額烏帽子ともいう。頭につける三角の布)をつけて棺を担ぎ、参列者は切り出した竹を手に弔い歌を歌いながらの葬式行列が集落を一周するという風習があったという。

「1980年代後半、バブル時代に私の祖父が亡くなったときは土葬で、そうした風習の葬儀が行われました。そのときに棺には故人の好きなものを入れるんだ! と思い、私は本を入れてもらおうと決めていたのですが、この住職の母親の葬儀を見て、人生最終プランは消えてしまいました。
日本の仏教は葬式仏教といわれていたのに、いまの寺はその葬式すらやらない。まさに葬式仏教までも崩壊してしまいましたね」
と秋山さんは残念そうに話す。

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