【デベ考察①】築地再開発も決まってイケイケ三井不動産と、横浜で巻き返し狙う三菱地所

株価と並んで上昇を続ける日本の不動産。これを背景に三井不動産は築地再開発、外苑再開発やららぽーとなどの商業施設も好調だ。一方、三菱地所は「大・丸・有」にこもりきりでふるわない。そんな大手2社の現状とこれからを考察。

山下努2024/04/22

着々と準備が進む「2027年国際園芸博覧会」

失敗がゆるされない横浜「花博」

そこで三菱地所は意地を見せる。
2027年に開かれる「GREEN×EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)」に開かれる民間事業では、三菱地所1社が応札して決定している。
この横浜・花博は米軍が返還した横浜市の瀬谷区で開かれ、終了後は、三菱地所が中心となってアニメコンテンツのテーマパークを開設することになっている。

横浜市など行政が、区画整理をし、道路を拡充し、交通網を整備。横浜市はそのうえで瀬谷の地を三菱地所などに高く売るつもりだ。三菱地所としては、瀬谷での失敗は許されず、テーマパークのプロジェクトに地元の鉄道会社など補助役を巻き込んだ。西の大阪万博も建設費が膨らんでいるが、その後はカジノに化けるが、この横浜の花博とテーマパークの採算も楽なものではないだろう。

とはいっても、勢いに乗る三井不動産と、巻き返しを狙う三菱地所の強さは財務基盤の強さにある。
販売用不動産に限っても土地の含み益は三井不動産と三菱地所は数兆円規模に達するようだ。その分、借り入れも多いが、この先、金利が0.5%程度上がっても財務基盤はびくともしない。
しかも、日銀は金融緩和を続けざるをえないので金利の引き上げも非常にゆっくりしたペースになるのは明らかで、不動産デベロッパーへの順風はまだまだ続きそうだ。

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この記事を書いた人

山下努

山下努経済アナリスト

元朝日新聞経済記者、英字新聞「ヘラルド・トリビューン朝日」記者。不動産など資本市場の分析と世代会計、文化財保護に高い関心持ち、執筆活動を行っている。『不動産絶望未来』(東洋経済新報社)などペンネーム・共著含め著書多数。

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