元朝日新聞経済記者、英字新聞「ヘラルド・トリビューン朝日」記者。不動産など資本市場の分析と世代会計、文化財保護に高い関心持ち、執筆活動を行っている。『不動産絶望未来』(東洋経済新報社)などペンネーム・共著含め著書多数。
外資による“東京ドームの巨人戦”は不戦敗
さらに読売巨人軍が本拠地としてきた東京ドームについても、オアシス・マネジメントなどが株の買い占め揺さぶりをかけたことからこれを好機ととらえ三井不動産が外資の東京ドームを買収攻勢から東京ドームを守り切った。つまり、三井不動産は東京ドームの株を買い集めるTOBを東京ドームにしかけ、読売新聞社グループがそれを支えたのだ。
こうした構図から、三井など大手不動産と外資は対立するばかりでなく、持ちつ持たれつの関係にある。東京ディズニーランドを経営するオリエンタルランドも、三井不動産直系の大規模ショッピング会社のららぽーとも、事業のひとつは埋め立て事業だった。
元を正せば、東京湾でブレイクしたネズミの着ぐるみの親分だが、日本人はミッキーに夢を託し、いまや日本人は1万円以上もする入場券を買うことになった。
東京都の案件に欠かせない存在
三井不動産は4月上旬、2年後をめどに1株当たりの利益の成長率を年間8%以上としたうえで、株主への配当と、株の価値を高める自社株買いを合わせた株主へのトータルの還元性向を5割以上とする目標を打ち出し、株価は上昇した。
外資が評価するところは、三井不動産が神宮外苑再開発、晴海選手村再開発(晴海フラッグプロジェクト)、渋谷の宮下多層公園(レイヤードパーク)、日比谷公園再開発、内幸町再開発など、東京都の主要プロジェクトのほとんどすべてを中心的な役割を担っているからだ。
これは別の言い方をすると、三井不動産の再開発力がいかに優れているかともいえる。しかし、行政が三井不動産に公共用地などがからむ大規模再開発計画を任せざるを得ないかを物語るものだ。