親が亡くなった後も住める?賃借権の相続と敷金・保証金の違い

親が亡くなった後、今の家に住み続けられるのか―賃借権の相続の可否や名義変更、家主承諾の扱い、さらに敷金・保証金の違いと返還の実務まで、判断の目安をやさしく解説

大谷昭二2025/09/18

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親が亡くなった後も住める?賃借権の相続と敷金・保証金の違い
  • 親が亡くなっても、同居の子は原則いまの家にそのまま住める
  • 相続の連絡と保証人と敷金の引き継ぎ確認、更新時は名義変更
  • 敷金は原則、使った分を差し引いて戻るお金。保証金は扱いが多様

賃借権の相続とは何か?

物価高騰の流れが賃貸住宅の家賃にも広がってきている。こうしたこともあった家賃の値上がりを受けて引っ越しを考えている人も増えているようだ。
その一方で、ある程度の値上がりを覚悟でいま住んでいる家に住み続ける人も多い。中でも両親と同居していて、親が亡くなっても広い家のままに住み続けた人も多い。

実際、民間の賃貸アパートに父親と同居父親が亡くなったことから、家主に名義変更を求めたが断られ退去を求められこともあるという。
しかし、こうした場合、退去を拒否できる、
民法では6親等内の血族と配偶者、3親等内の姻族を親族と定めており、子は当然のことながら相続人で、父が有していた賃借権も相続の対象となる。賃借権の承継に家主の承諾は必要なく、家主は相続人の居住を拒めないのが原則なのだ。

とはいえ、実務上は速やかな相続通知と賃料支払の継続、連帯保証人や敷金の承継関係の確認が望ましい。名義変更は必須ではなものの、契約更新時に承継人名義へ改めておくほうが無難だ。というのも、以後の管理や連絡、修繕など何かあったときの手続きを円滑にすすめやすい。
こうしたケースでは、家主に退去を迫られて慌てる必要はなく、相続人としての地位を明確にし、手続を整えることが肝要である。

民法に則り、賃借権は相続可能で、家主の同意は不要とはいえ、家主への通知と必要書類の提出は必須になる。

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この記事を書いた人

大谷昭二

大谷昭二NPO法人日本住宅性能検査協会理事長/一般社団法人空き家流通促進機構会長/元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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