【賃貸住宅契約トラブル解決】契約書の効力――契約途中の退去は認められない?

契約期間を残した退去。契約書には「期間満了までの家賃を支払う」とあるが、それを守る必要があるのだろうか?

大谷昭二2023/10/27

【賃貸住宅契約トラブル解決】契約書の効力――契約途中の退去は認められない?

Q.契約期間の途中で退去を申し入れました。すると、家主からは「契約書に『契約期間中の途中解約を認めない』と書いているので、契約終了までの家賃の全額を支払うように」といわれました。支払う必要があるのでしょうか。


A.契約が2001年4月以降であれば、必ずしも支払う必要はありません。

本来、日本の民法では、契約期間を定めている契約(通常の契約)の場合、契約書に「途中解約条項」がなければ途中解約そのものが認められていません。そのため、契約書に「途中解約条項」がなければ、契約期間が終わるまで家賃を支払わなければなりません。

しかし、2001年4月に施行された消費者契約法には、「消費者の利益を一方的に害する条項は無効である」とあります。相談内容もこれにあたると考えられるため、「途中解約条項」がない場合でも、契約期間満了までの家賃の支払いを行う必要はないでしょう。

判例を見ても、社会通念上、常識の範囲を超える金額の支払いについては免除する傾向にあります。
ちなみに、契約期間を定めない契約(法定更新*した契約も含む)の場合は、民法第617条の規定により、通知後3カ月で解約することができます。

*法定更新……契約を終了しなければならないときまでに、契約更新についての同意がなされなかった場合、それまでの契約内容が自動で更新されること

この記事を書いた人

大谷昭二

大谷昭二NPO法人日本住宅性能検査協会理事長/一般社団法人空き家流通促進機構会長/元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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