【家賃の不公平】――賃貸住宅の家賃値下げ交渉の進め方

賃貸住宅に対するもっとも多い不満が「家賃が高い」というもの。そこで家主に家賃の値下げ交渉をしたいと思っている人は多く、実際に交渉を試みる人もいる。果たして家賃の値下げ交渉はうまくいくのか?

大谷昭二2023/09/27

【家賃の不公平】――賃貸住宅の家賃値下げ交渉の進め方

同じ間取り・広さなのに家賃が高い

Q.いま入居しているアパートで、私の部屋とほかの部屋とは同じ間取り・広さであるにもかかわらず、私の部屋の家賃が高いことを知りました。そこで家主に「同じ間取りの家賃に合わせて値下げしてほしい」とお願いしましたが、拒否されました。
どうしても不公平感がぬぐえません。どうしたらいいのでしょうか。


A.日本の法律(借地借家法)では、家主にも借主にも、家賃の増減を申し立てる権利が認められています。

そのため、同じアパートで同じ間取りにもかかわらず、家賃が高すぎる場合には「家賃を下げてほしい」と要求することができます。

しかし、「同じ間取りなのに、たまたま家賃が安い人がいる」のか、「相談者の部屋だけが家賃が高すぎる」のかによっても、家主の対応は異なることが考えられます。
また、たとえ同じ間取りであっても、階数や部屋向き、日当たりなどによって家賃が異なるケースはよくあることです。

ここでのポイントは、誰が考えても不合理なほど家賃差があるかどうかということになります。
ほかの部屋と比較して、本当に不当な家賃であれば、その理由を整理して資料にまとめ、家賃の値下げ交渉を家主と交渉してみてはいかがでしょうか。

ほかの人の家賃を教えてもらえない

A.同じ条件で入居している人が、家主に交渉して家賃の値下げをしてもらったことをと聞きました。そこで、ほかの方の家賃を教えてほしいといったところ、教えてもらえません。また、私も家主に交渉しましたが、「事情が違うので、同じように家賃の値下げに応じることはできない」と断られました。
その「事情」についても尋ねましたが、「個人のプライバシーにかかわることなので話せない」と言われました。上手な家賃交渉方法教えてください。


A.借主には、家賃の値下げを要求する権利があります。しかし、どのような場合でも家賃の値下げを要求できるわけではありません。あくまでも不合理な家賃になった場合、それを是正するために家賃値下げの権利があるにすぎません。

そのため、家賃の値下げに応じてくれた人がいるからといって、誰もが同じように値下げしてもらえるわけではありません。

また、家主には、ほかの人の家賃を下げた理由について、第三者(ここでは、ご相談者)に説明しなければならない義務もありません。

値下げ交渉をする場合は、「自分の部屋の家賃が相場と比較して不当に高い」など、明確な理由をきちんと家主に説明したうえで交渉をしなくては進められません。感情的にならずに資料をそろえたうえで交渉をする必要があります。

この記事を書いた人

大谷昭二

大谷昭二NPO法人日本住宅性能検査協会理事長/一般社団法人空き家流通促進機構会長/元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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