1985年8月生まれ。大阪府出身。
滋賀県成安造形大学住環境デザイン科を卒業後、京都で京町家の再生活用などに携わる。
結婚出産を機に上京し今は茅ヶ崎で男の子二人、黒猫一匹と暮らすシングルマザー。
2014年フィールドガレージ入社、2015年「東京銭湯-TOKYOSENTO-」で銭湯ライターとして活動。2018年7月「東京銭湯ふ動産」を立ち上げる。
レトロ感を際立たせるモルタルづくりの台所とモザイクのガラス扉~佐藤荘~
さまざまなものの価格が上がるなかで、銭湯も例外ではないようです。
東京では2023年7月から、大阪でも10月から銭湯の入浴料金が520円値上げになりました。この動きは全国的なもので、銭湯好きには厳しくなりますが、銭湯存続のためには致し方ないことと覚悟をきめるしかなさそうです。
「風呂がないんじゃない、銭湯があるんだ!」というスローガンのもと、「東京銭湯ふ動産」では、これまでと変わりなく、風呂なし賃貸物件を紹介しながら銭湯を応援していきたいと思っています。
今回、ご紹介するのは、JR宇都宮線(東北線)上野駅のお隣の「尾久駅」の物件と銭湯です。
尾久駅は赤羽と上野に挟まれた東京に住んでいる人にもあまり知られていない駅なようです。とはいっても、車両基地がホームと併設しているので撮り鉄さんが一生懸命写真を撮っているというちょっとマニアックな印象がある駅です。
また、駅前には店が少なく、この町のポテンシャルは駅前にはないようですが、その尾久駅から歩いて5分、木造2階建ての古い共同玄関のアパート「佐藤荘」がそこにあります。
その2階のお部屋は、昔ながらの下宿風、そして、この佐藤荘も1階から2階に上がる階段の風情がまたいいんです!
前回ご紹介した「たかみ荘」でもそうでしたが、階段の趣、踏板などの幅、上りやすさなどを見ると、丁寧に建物が作られた印象があり、こうした古いアパートを見ると、階段の作りだけで感動してしまうことが多々あります。
その2階の一番奥の部屋は不思議な作りになっていて、ドアが2つあります。おそらく2部屋を1部屋にしたため、台所が2カ所になったのだと想像できます。
しかも板金やタイル製でもない三和土の台所が、なんともかっこいいのです。
また、部屋に付属しているタンスの扉のガラスがモザイクの入っているタイプで、これがさらにレトロさ際立たせています。
「東京銭湯ふ動産」では、この部屋を合わせて3部屋募集。最初に入居した方が女性だったため、共同トイレということもあり女性専用物件として貸し出しをしたところ、ほどなく残り2部屋も女性が入居されました。もちろん、風呂なしなので、皆さん近所の銭湯に通ってくれています。
そして、ここのもう一ついいところはやっぱり銭湯なんですよね。これについてはのちほど詳しく……。