昔風と今様の銭湯の違いが楽しめる広めの風呂なし物件(東京都北区)

東京・上野のお隣、ちょっとマニアックな「尾久駅」。この尾久駅エリアにも特徴的な2つの風呂なし物件がある。そして、この風呂なし物件に住む若い住人たちによって銭湯を支えるチームになり、シャッター商店街復活のきっかけになり、息を吹き返しつつある。

鹿島奈津子2023/10/19

スタッフとの交流、露天風呂で開放的に――2つの銭湯の楽しみ方

私が今回尾久駅の物件を紹介したのは、この町にある銭湯もとても素敵だからです。

佐藤荘、第二大和荘の最寄りには「千代の湯」と「梅の湯」という2つの銭湯があります。
どちらも物件からは徒歩5~7分程度で、私自身この2つのお風呂に交互に毎日入れるだけでなんて幸せなんだと思うんですよね。

「千代の湯」外観 (Photo 東京銭湯ふ動産)
昔の風情を残す「千代の湯」(Photo 東京銭湯ふ動産)

梅の湯のオーナーさんは3代目で、ほかにも銭湯をやってらっしゃる若手の銭湯経営者さんです。そして、千代の湯に関しては前の運営者さんが銭湯の経営がむずかしくなって、悩んでいたところに、この梅の湯のオーナーさんが運営のお手伝いすることを申し出て、千代の湯チームができ、千代の湯の運営を継承しました。

そのままでは廃業していたかもしれない銭湯を再始動してくれたことは本当にありがたく、風呂なし物件を扱う身としてはまた近隣の風呂なしが生き延びた――と思うわけです。
そんな2つの銭湯ですが、千代の湯さんの湯船には「千代の湯新聞」なるものが貼られ、スタッフさんが書いたコラムをのんびり読みながらお湯に浸かる、そんなほっこりとした感じに癒される銭湯です。ちなみに千代の湯さんの上の階にも風呂なし物件がアパートと銭湯が一体化しているんですよね…ふふふ。

梅の湯さんは、以前東京銭湯ふ動産が「風呂なし物件内見ツアー」などを行った際に協力していただくなど、とてもお世話になっている銭湯さんです。風呂なし物件ツアーについては、別の機会にご紹介したいと思っています。

「梅の湯」外観(出典:東京銭湯-Tokyosento-)

そんな梅の湯さんは2016年にフルリニューアルし、とにかく綺麗なのと、露天風呂があるのです。露天風呂がある銭湯が好きで、個人的な好きな銭湯ランキングでは上位には入る銭湯です。
空がまだ明るいうちに入る露天風呂は最高なんですよね。そんな露天風呂付の銭湯に毎日入れるなんて、個人的に至高の幸せと思ってしまいます…。

梅の湯にはほかにも面白いポイントがあります。
これまでも寄席やヨガ教室、ビール試飲会、映画上映、大画面でのマリオカート大会などなどのイベントの開催。なかには流しそうめんなんていう町内会の催し物のようなことまでやっているのには驚きました。
しかも、浴室内での流しそうめんに、DJブースもあって……ですよ、想像つきます?

こんな面白い銭湯が住んでいる近くにあると思うと、暮らしの中の楽しみが1つ増えるなと思いました。

「梅の湯」のお風呂(出典:東京銭湯-Tokyosento-)

若い担い手による銭湯再興、シャッター商店街が活性化

若い担い手による銭湯再興、シャッター商店街が活性化
こんな梅の湯のある尾久駅の「西尾久」にはもともと商店街があったのですが、最近まではほとんど閉まっていたシャッター商店街でした。ですが、シャッターを開けて新しいお店を参入させていく活動も始まり、いまは素敵な町の定食屋さん、ギャラリー×食堂、串カツ専門店などがオープンしました。また、梅の湯の1階には焼鳥屋さんも、向かいにはてんぷら屋さんもあります。

そんな新しいモノも入れていきながら、昔ながらのお店とも手を組み町全体が変わろうとしている光景を見ていると、この地域を応援したい気持ちになります。

この物件をおすすめするポイントとしては、この町に建っているということだけで十分じゃないかと思うくらいです。ここに住めばこの町の明るい未来を見届けることができますよってこともあります。そんな町の一員になれるのも楽しいと思うんですよね。

お気に入りの銭湯に入って、「今日は定食屋さん? 串カツかな~、焼き鳥の良いにおいするし、持ち帰りでてんぷらもありだな~」と幸せな選択ができる町の風呂なし物件で暮らしてみてはいかがですか?

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この記事を書いた人

鹿島奈津子

鹿島奈津子東京銭湯ふ動産/株式会社フィールドガレージ 不動産担当

1985年8月生まれ。大阪府出身。
滋賀県成安造形大学住環境デザイン科を卒業後、京都で京町家の再生活用などに携わる。
結婚出産を機に上京し今は茅ヶ崎で男の子二人、黒猫一匹と暮らすシングルマザー。
2014年フィールドガレージ入社、2015年「東京銭湯-TOKYOSENTO-」で銭湯ライターとして活動。2018年7月「東京銭湯ふ動産」を立ち上げる。

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