マンションを購入するなら管理で選べ 管理組合役員目線からのチェックポイント

「マンションを購入するなら管理で選べ」といわれるが、それを実践している人は少ない。実際、どこをどうチェックすればいいのか、そんなマンション管理のチェックポイントを解説。

木村和人2023/09/19

マンションを購入するなら管理で選べ 管理組合役員目線からのチェックポイント
  • 中古マンションでは、物件、管理状況を確認できるのにやる人が少ない
  • エントランス、掲示板、ゴミ収集所、植栽…のチェックポイント
  • 注意が必要な駐車場、機械式は大きな負担になることも

売り手市場の中古マンション

首都圏の分譲マンション価格はこの10年ほど上昇基調を続け、2022年の新築マンション平均価格は6288万円(不動産経済研究所調べ)、中古マンション平均成約価格は4276万円(東日本不動産流通機構調べ)まで高騰、一方、専有面積は低下傾向にあり、2022年の首都圏平均値は66.12㎡でした。
土地価格、資材価格、人件費の上昇などの影響は長期化しており、今後も首都圏でのマンション価格上昇と専有面積低下はまだ続くと思われます。

中古マンション購入にあたっては、管理状況を目で確かめることができるうえに、物件概要、決算資料、修繕履歴、管理規約などさまざまな情報を入手することが可能で、それらを基に物件の良し悪しを評価することができます。しかし、残念ながら、購入者の多くは管理状況などほとんどチェックせずに購入してしまっています。

また、これまで日本は新築信仰が顕著でした。しかし、最近は新築分譲マンションの供給戸数も少なくなり、価格も高騰していることから新築マンションをあきらめて中古マンションに流れる傾向もみられます。中古なら管理状況を含めてしっかり物件価値を見極めて欲しいところですが、現在のような売り手市場では、物件の詳細チェックや他物件との比較をする間もないほど契約の決断を迫られ買い急いでしまうケースが多いというのが現状です。

そこで中古マンション購入にあたって軽視されがちで、かつ仲介業者がまともに教えてくれない(本当は詳しくは分かっていない)マンション管理について、管理組合役員経験から得た物件調査のポイントを解説していきます。

「マンションは管理を買え」は本当に重要

「マンションは管理を買え」というのは住宅情報誌やセミナーなどで強調されるアドバイスですが、購入者が実際に重視しているのは価格、立地、駅からの距離、間取り、周辺環境などばかりで、管理体制や状況のチェックはほとんどの方がしていないか、後回しになっています。

実際、いざマンションを買おうとするとまずは情報誌、セミナーなどで物件情報を集め、物件購入の流れ、住宅ローン、税金のことなどについては結構しっかり調べるようです。そのときにはぜひ共用施設の利用やペット飼育のルールなども含むマンション管理についてもきちんとチェックしてください。

特に中古マンションの場合は、現地調査もできるので、駐車場・駐輪場、掲示板、エントランス、ゴミ収集所、植栽、建物の外観などからは外見的な管理状態の良し悪しがある程度は判断できます。
その見極めのポイントは、以下の5つです。

1)自転車が決められたスペース内に整然と置かれているか
2)色褪せた掲示物がいつまでも放置されていないか
3)エントランスはきれいで明るい雰囲気があるか
4)ゴミは正しく分別され収集所が清潔に保たれているか
5)全体的に植栽の手入れや清掃は行き届いているか

現地訪問した際には、以上の5つを自分の目で確かめてみてください。

「管理費」と「修繕積立金」の違い、そして「管理委託費」とは

計画的な修繕費が計上されているかは見逃せない(Photo 123RF)

「管理費」は区分所有者が毎月支払う諸費用で、この管理費から管理会社の業務に対する「管理委託費」、清掃業務費、共用部分の水道光熱費・保険料・日常点検・補修費などに充てられます。
以前は独立系管理会社の積極営業などもあり、管理委託費の値下げ事例が多々見られましたが、近年は管理員や清掃員の人件費上昇や人手不足などから管理委託費等が値上がり傾向にあります。
しかも最近の新築マンションは10年ほど前までに比べて管理委託費、管理費が最初から高めの設定になっており、築古マンションの管理組合が昔の感覚で管理会社の相見積りを取るなどの強気の対応をしようものなら管理会社側から契約を解除されてしまう事態もおきています。

「修繕積立金」は計画修繕などに備えるいわば区分所有者の積立貯蓄です。
修繕積立金や駐車場使用料が極端に安い物件は要注意です。
新築のときの分譲会社は購入者の当初の負担感を軽く見せるため、ほとんどの新築マンションの修繕積立金をかなり低めに設定し、月々の支払額を低くして購入しやすいように見せようとします。そのためそのときの低い金額を鵜呑みにしている購入者が多いのです。物件が出来上がり、管理組合が機能し始めると、そのことに気づき自分たちの手で増額しなければならなくなります。それができなければ資金不足から管理組合会計が破綻し、将来の管理不全(スラム化)マンションになるということを理解しておきましょう。

修繕積立金が一定期間ごとに増額される予定になっている段階増額方式のマンションもありますが、これは分譲会社が勝手に表示しているだけで、実際にその金額で大規模修繕等を賄っていけるかどうかは、その都度シミュレーションしてそれに見合う修繕積立金の増額を総会決議しなければなりません。
しかしながら、実際には当初の低い額のまま放置されているマンションも多いのです。

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この記事を書いた人

木村和人

木村和人ケラー・ウィリアムズ東京 不動産エージェント(保有資格:宅地建物取引士、行政書士など)

当時マンション供給戸数トップの大京に新卒入社で5年間在籍、その後26年間は在日オーストラリア大使館、2018年から豪州最大手不動産会社に勤務、2021年に独立してコンサルタント業と不動産エージェント業を兼業している。趣味はテニス、マンション管理、コントラクトブリッジ。

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