マンションを購入するなら管理で選べ 管理組合役員目線からのチェックポイント

「マンションを購入するなら管理で選べ」といわれるが、それを実践している人は少ない。実際、どこをどうチェックすればいいのか、そんなマンション管理のチェックポイントを解説。

木村和人2023/09/19

機械式駐車場に注意が必要なこれだけの理由

予想外の負担がかかる可能性も(Photo 123RF)

このほか注意が必要なのは、機械式駐車場があれば、これは見逃せないチェックポイントです。
機械式駐車場の維持管理および修繕については駐車場使用料が充てられるべきですが、駐車場収入の大部分が管理委託費や修繕積立金に流用されている場合も結構みられます。機械式駐車場の維持管理に掛かる経費は築年数の経過とともに金額が大きくなり、ある時点から突然、モーター、インバーター、制御盤など高額な部品交換が重なりそれまでの数倍の修理費用が掛かるようになります。

この機械式駐車場が大きな問題になった例をご紹介しましょう。
築20年のあるマンションでは駐車場が総戸数の100%完備していたことが販売当初の売りの1つでした。しかし、そのほとんどは機械式駐車場で、次第に車が大型化、機械式駐車場では車高、車幅、重量などが対応できず、居住者の多くが車の買い替えにあたって、外部の駐車場へと出ていってしまいました。加えて最近は高齢化や車を持たない若い居住者も多くなり、30%近い空き区画ができています。
結果、駐車場収入の大幅な減少、さらに機械式駐車場の機器の交換や修理などによる支出が急増。そこで管理組合では急きょ専門委員会を立ち上げて駐車場空き区画の集約と解体、空きスペースを利用した平置き駐車場の増設などを計画することになりました。こうした修繕、平置き駐車場の転換が数億円レベルの大掛かりなプロジェクトになってしまいました。

このようなこともあるので、マンション購入時には、マンション内に設置されている駐車場の現状についても調べる必要があるのです。
とはいえ、多くの方は車があれば、自分の車を入れることができるか、その駐車場料金については関心が高くなりがち。しかし、機械式駐車場の場合は、マンション全体の機械式駐車機の種類、収容サイズ、戸数全体に占める割合、利用率などもチェックします。さらに、築年数が経っているマンションの場合は、駐車場会計が独立しているか、機械式駐車場の築年数とともに経費が急増していくことに対応した中長期の修繕計画ができているかなども調べてください。

「マンションを購入するなら管理で選べ」という本質部分をくれぐれも忘れず、そのマンションの現実を見つめてください。

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この記事を書いた人

木村和人

木村和人ケラー・ウィリアムズ東京 不動産エージェント(保有資格:宅地建物取引士、行政書士など)

当時マンション供給戸数トップの大京に新卒入社で5年間在籍、その後26年間は在日オーストラリア大使館、2018年から豪州最大手不動産会社に勤務、2021年に独立してコンサルタント業と不動産エージェント業を兼業している。趣味はテニス、マンション管理、コントラクトブリッジ。

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