東京都生まれ。2008年猫カフェスペースを設けた開放型シェルター(保護猫カフェ)を立ち上げ、2019年末までに7000頭以上の猫を里親に譲渡。住民が猫の預かりボランティアをする「猫付きマンション」「猫付きシェアハウス」を考案。「足りないのは愛情ではなくシステム」をモットーに保護猫活動を行っている。著書に『猫を助ける仕事』(光文社新書)などがある。
保護猫活動とビジネス
商店街のテナントのショーウィンドウのガラス越しに猫たちがいるお店や、場合によっては、猫が商品に混じって眠っていたりするショップも登場しています。
特に猫が好きな方でなくても、そんな猫がいるとなんとなく目がいってしまます。とくに猫好きさんからすれば、こうしたお店はたまらなく魅力的な場所ではないでしょうか。
昔から「◯◯屋さんの看板猫」というものはありましたが、当時の看板猫は猫が外飼いだったこともあって、お店のトビラを開けっ放しにして猫が出入りをしていました。しかし、いまは室内で飼っているため、走防止手段も講じてあるところがほとんどです。
そんな「看板猫」ですが、近年の猫ブームもあって、アイコンとしての猫の人気は、依然、高いようです。
猫の保護団体を運営している私のところには「保護猫と何かの事業を一緒にできませんか」というご相談がひっきりなしに来ます。
ご相談いただいたお話には以下のようなものがありました。
・保護猫と暮らせるサービス付き高齢者施設
・保護猫が暮らしている会社
・保護猫がいるコワーキングスーペース
・保護猫がいる就労支援事業所
・保護猫がいる児童養護施設
・保護猫カフェ付きのマンション
・保護猫のいるネットカフェorコミックカフェ
これらのお話が、保護された猫たちのメンタルや体調に充分配慮ができる方法であれば、居場所のない子たちの受け皿を作ることにもなるので、大変ありがたいお話です。しかし、人の都合だけで進めてしまうと「愛玩動物」であったはずの猫が「使役動物」としての扱いになり、せっかくの取り組みもよい評価を得られません。