令和の日本は、元気なうちに住宅ローン完済ができなくなった!?

高齢化が進み長生きができるようになったのはよいが、それにともなって住宅ローンの完済年齢も上がっている。その年齢も男性の健康年齢に迫る73歳。老後はゆっくりと悠々自適な生活は、もはや夢になってきたのか。

浅野夏紀2023/09/06

令和の日本は、元気なうちに住宅ローン完済ができなくなった!?
  • 住宅ローンの完済年齢は70歳を超えて、後期高齢者の年齢が目前に迫る
  • 晩婚化が1つの要因だが、日銀の低金利政策も大きな原因になっている
  • 高齢者住宅ローンが次々登場し、三菱UFJは残価設定住宅ローンの取り扱いを開始

住宅ローン完済の平均年齢は73歳超え

コロナ後のインフレ解消のために世界の中央銀行は金利の引き上げを行っており、低金利政策を続ける日銀は取り残された感がある。しかし、ジワジワと長期金利は上昇傾向にあり、9月に入りメガバンク3行は、固定型の住宅ローン金利を引き上げている。

金利引き上げに対抗するには、ローン期間を短縮、つまり、繰り上げ返済が効果的だが、なかなか難しいのが現実だ。

国土交通省の「令和3年度 住宅市場動向調査報告書」によると、新築分譲戸建て住宅の取得の平均年齢は37.2歳、新築分譲マンションの取得年齢は、39.5歳。そして、平均的な返済期間は、新築分譲戸建て住宅は34.1年、新築分譲マンションは32.0年だという。

つまり、新築分譲戸建て住宅のローン返済年齢は71.3歳、新築分譲マンションでは71.5歳になる。
また、日本経済新聞によると、2020年度の住宅ローン利用者が完済する平均年齢が73.1歳に達したという報道もあり、70歳住宅ローンの完済は後期高齢者年齢の75歳の目前になってからということになる。70歳以上の高齢就業者の割合が18.1%(総務省調べ)になっており、さもありなんという内容だ。しかし、日常生活に制限のない期間(健康寿命)は、令和元年時点で男性が72.68年、女性が75.38年で、男性にいたっては元気なうちに住宅ローン完済するのも難しいというような状況だ。

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この記事を書いた人

浅野夏紀

浅野夏紀経済アナリスト・作家・不動産小説家。

1963年生まれ。東京都心在住。オフィス・ホテル・商業施設・公有地・借地等の不動産の分析、株など資産市場の分析に詳しい。住宅業界のカリスマ事業家が主人公で、創業者まで徹底的に切り捨てる政権の歴史的な不良債権処理の暗闘局面などを明かした『創業者追放~あるベンチャー経営者の風雲録』などの作品がある。

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