北里大学薬学部卒業後、大学病院、企業診療所、透析施設で薬剤師として勤務。その後、製薬会社で企画販売に従事し、体調を崩した時に漢方薬に出会い、漢方を学びはじめる。日本漢方協会漢方講座を経て、田畑隆一郎先生の無門塾入門、愛全診療所 蓮村幸兌先生(漢方専門医)の漢方外来にて研修。現在は「より健やかに、更に美しく」を目指して患者さんの漢方相談、わかりやすい漢方の啓蒙活動に取り組んでいる。著書に『更年期の不調に効く自分漢方の見つけ方』(ごきげんビジネス出版)がある。
日本人は頭痛持ちが多く、特に慢性頭痛に悩んでいるといわれています。
頭痛はからだの冷え、ストレス、胃腸の働きが弱る、気候の変化等により気血水の巡りが悪くなると起こりやすい!と漢方では考えます。
自分の頭痛は個人個人の体質などが複雑にからみあって起こり、肩や首のこり、めまい、吐き気などが同時に起こることも多くみられます。頭痛が起こるタイミングや原因を知っておくことで早めに対応することが大切です可能です。
頭痛が起こる原因を漢方的なタイプに分け、それぞれ代表的な漢方薬を紹介します。
1)水毒タイプ
水代謝(水毒)が原因で起こるタイプ
水分のとり過ぎや胃の不調で水分代謝を調節している腎や脾 が弱ると、体内に余分な水毒が停滞するために起こる頭痛です。
(「脾」は消化吸収を行い、食べものからエネルギーを吸収するコントロールセンター)。
(「腎」は精(生きるためのエネルギー源)を貯蔵し、水の代謝をスムーズにする)
※「腎・脾」については「体の「五行」を理解して、毎日を快調に過ごす健康対策」を参照
水毒が原因となるためむくみ、吐き気、下痢、のぼせ、たちくらみ、めまいなどを伴うこともあります。
【頭痛の症状・傾向:雨天などの気圧の変化、二日酔いなどで起こる頭痛】
*五苓散(ゴレイサン) 雨天などの気圧の変化、二日酔いなどで起こる頭痛
口が渇く、尿量少ない、飲酒後にむくみやすい方に。
全身、特に頭部の余分な水分を除くことで、エネルギーである「気」、栄養物質である「血」の流れを改善して頭の重だるさや痛みを改善します。
下痢や吐き気、むくみにも効果があります。
※「気・血・水」については「漢方薬のキーワード1 「証と気血水」」を参照
【頭痛の症状・傾向:胃腸が弱く、足の冷えがあり、頭痛と共にめまいがでやすい方】
*半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ) 胃腸が弱く、足の冷えがあり、頭痛と共にめまいがでやすい方に
頭痛時に目の奥が痛む、全身の倦怠感、むくみ、吐き気、眠気を伴うことも。
胃の機能を改善し、水捌けを調えながら天麻と半夏の二味がめまいや頭痛を改善します。
【頭痛の症状・傾向:ふらつき、立ちくらみ、のぼせ、動悸がある方の頭痛】
*苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)ふらつき、立ちくらみ、のぼせ、動悸がある方の頭痛
耳鳴り、頭重感、みずおちが苦しく感じることがあり、顔や頭を冷やすと気持ちよく感じる方に
胃を温めて胃腸の働きを向上させることで、水を巡らせ、「気」と「水」の流れを整えます。