北里大学薬学部卒業後、大学病院、企業診療所、透析施設で薬剤師として勤務。その後、製薬会社で企画販売に従事し、体調を崩した時に漢方薬に出会い、漢方を学びはじめる。日本漢方協会漢方講座を経て、田畑隆一郎先生の無門塾入門、愛全診療所 蓮村幸兌先生(漢方専門医)の漢方外来にて研修。現在は「より健やかに、更に美しく」を目指して患者さんの漢方相談、わかりやすい漢方の啓蒙活動に取り組んでいる。著書に『更年期の不調に効く自分漢方の見つけ方』(ごきげんビジネス出版)がある。
体の抵抗力を表す「虚・実」
漢方は病気とはこころとからだのバランスが乱れた状態と考えます。辛い症状を改善するだけでなく、こころとからだのバランスを整えて治療しますので体質改善にもつながります。
その時の体力、体質、病態など一人ひとりの「証」により服用する漢方薬を決めていきますので、同じ症状でも異なる漢方薬を用いることはしばしばみうけられます。
現在のように解剖もわからず検査方法もない時代に「証」を見極めるための漢方のものさしに「虚・実」や「気・血・水(きけつすい)」があります。
「虚・実」:体力の有無や病気に対する抵抗力の強弱をあらわす概念です。
「実証」は体力があり、がっちりとした筋肉質、顔色がよく、暑がり、胃腸は強く、便秘傾向。
「虚証」は体力がなく、やせ型または水太り、筋肉は弱く、顔色が青白い、寒がり、胃腸が弱く下痢傾向。
の2つに分けられます。
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)など虚・実に関わらず用いることができる漢方薬もありますが、風邪に用いる場合「実証向け」には葛根湯(かっこんとう)など、「虚証向け」の場合には桂枝湯や麻黄附子細辛湯などを用います。
パッケージや添付文書に「実証向け」には「比較的体力があり」「体力が充実し」という記述。「虚証向け」には「体力虚弱で」「比較的体力が低下した」などの記載がありますので、パッケージなどの説明を参考になさってください。