漢方薬のキーワード1 「証と気血水」

漢方活用の基本にある体の抵抗力を高め、バランスを保つために必要なこととは何か

斉藤明美2024/08/22

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体のバランス保つ「気・血・水」

「気・血・水」:漢方では人のからだは「気・血・水」3つの要素がバランスが保ち、スムーズに巡っていることが「健康で元気な状態」と考えます。

例えば、気分が落ち込む、眠りが浅いのは「気」の滞り、皮膚が乾燥する、抜け毛が多くなるのは「血」の不足、むくみやすい、めまいや立ちくらみが起こるのは「水」の滞りと考えます。

「気」は「元気」、「気力」などからだが正常に働くために全身を巡る生命エネルギーです。
からだを温め、「血」や「水」をからだの中心から末端まで運ぶ働きがあり、自律神経の働きに近いと考えられています。「気」が不足すると「気虚」、流れが滞ると「気滞」、逆流すると「気逆」となり、からだに様々な不調が起こります。

「血」は血液とその働きで、血管を通り全身を巡り各臓器に栄養を運びます。
栄養不足や多量の出血等で「血」が不足すると「血虚(ケッキョ)」、冷えやストレス等で血の巡りが停滞することを「瘀血(オケツ)」といいます。

「水」はからだの中を流れる血液以外のリンパ液、尿、汗などの体液とその働きをあらわします。
「水」の巡りが悪く滞る状態を「水毒」といいます。

それぞれ、不調になると起こりやすい症状を表にまとめてみました。
是非、自分がどの体質にあてはまるかチェックなさってみてください。

自分の体質を知ったうえで、漢方薬を選んだり、生活スタイルに注意することなどを取り入れてみてください。

*ワンポイントアドバイス

「気」にチェックが多かった方:ストレスをためないように気持ちの発散を心がけ、質の良い睡眠、無理のない運動でリフレッシュを心がけましょう。
「血」にチェックが多かった方:バランスの摂れた食生活、適度な運動、血液の流れをスムーズに整えるために冷えに注意しながら、マッサージなども取り入れてみましょう。
「水」にチェックが多かった方:湿度の高い日本では水分の摂り過ぎは浮腫みにつながるので水分は少量をこまめに摂取することが大切です。有酸素運動などで汗をかくことも有効です。
胃腸の不調は全身の水の巡りを低下させるので注意が必要です。

次回は漢方薬のキーワード その2 として五行(肝・心・脾・肺・腎)についてお届けしたいと思います。

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この記事を書いた人

斉藤明美

斉藤明美薬剤師・医学博士

北里大学薬学部卒業後、大学病院、企業診療所、透析施設で薬剤師として勤務。その後、製薬会社で企画販売に従事し、体調を崩した時に漢方薬に出会い、漢方を学びはじめる。日本漢方協会漢方講座を経て、田畑隆一郎先生の無門塾入門、愛全診療所 蓮村幸兌先生(漢方専門医)の漢方外来にて研修。現在は「より健やかに、更に美しく」を目指して患者さんの漢方相談、わかりやすい漢方の啓蒙活動に取り組んでいる。著書に『更年期の不調に効く自分漢方の見つけ方』(ごきげんビジネス出版)がある。

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