北里大学薬学部卒業後、大学病院、企業診療所、透析施設で薬剤師として勤務。その後、製薬会社で企画販売に従事し、体調を崩した時に漢方薬に出会い、漢方を学びはじめる。日本漢方協会漢方講座を経て、田畑隆一郎先生の無門塾入門、愛全診療所 蓮村幸兌先生(漢方専門医)の漢方外来にて研修。現在は「より健やかに、更に美しく」を目指して患者さんの漢方相談、わかりやすい漢方の啓蒙活動に取り組んでいる。著書に『更年期の不調に効く自分漢方の見つけ方』(ごきげんビジネス出版)がある。
「西洋医学」におけるがん治療は、抗がん剤等による薬物治療、手術、放射線治療の3つが柱となっており、治療法は著しく進歩し、克服する人が冷増えています。しかしながら、治療をきっかけに体力や免疫力が低下し、倦怠感や食養生、冷えなどに悩む人は少なくありません。
こうした薬物治療の副作用、手術や放射線治療による合併症などの心身の苦痛を和らげる手段として漢方薬は有効であり、最近はその効果が科学的に検証され、多くの結果が報告されています。
「こころ」と「からだ」を整える漢方薬で体力や免疫力をアップさせ、現在かかえる不調を軽減。より一層治療効果を高め、副作用の予防を図りましょう。
体力と免疫力をアップ――気虚・血虚タイプ
【主な症状】疲労倦怠感、体力低下、食欲不振
術後あるいは薬物療法後は体力が衰えるため、胃腸が不調となり食欲がない・むかつき、倦怠感、手足が冷える、めまい、皮膚の乾燥といった様々な症状がおこりやすくなります。体力や免疫力を補うことで、その後の治療効果を高めます。
補中益気湯(ホチュウエキキトウ)
【主な症状】体力低下、倦怠感、食欲不振、免疫力低下、寝汗
【特徴】がん治療により、エネルギー不足(気虚)となることでおこる倦怠感や食欲不振を改善します。免疫機能を増強し、NK(ナチュラルキラー)細胞を活性化する効果も報告されています。
【成分の効能】黄耆(オウギ)、人参(ニンジン)、白朮(ビャクジュツ)で元気を生み出し、当帰(トウキ)で血を巡らせ、陳皮(チンピ)、大棗(タイソウ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)で胃の調子を整え、升麻(ショウマ)と柴胡(サイコ)でからだにこもった熱を巡らせながら、からだの下に落ちたエネルギーを上に引き上げる効果を発揮します。
十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)
【主な症状】胃腸虚弱、食欲不振、気分の落ち込み、寝汗などの気虚に加え、貧血傾向、皮膚のかさつき、冷えが強い、白血球減少など血虚の症状もみられる
【特徴】胃を元気に建て直しながら、血を補うことで、全身の回復力を底上げします。免疫の司令塔となるマクロファージ(白血球の1種で体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物や、古くなった細胞を食べて処理する免疫細胞)を活性化させる作用が科学的に確認されています。
【成分の効能】胃を活発に働かせる四君子湯(シクンシトウ)と血を補う代表処方の四物湯(シモツトウ)に、気を補う黄耆とからだを温め冷えや痛みを改善する桂皮(ケイヒ)が含まれることで、病後や術後の回復をサポートします。
人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)
【主な症状】体力低下、倦怠感、食欲不振、手足の冷え、貧血傾向、咳・痰などの呼吸器症状、不安感、不眠
【特徴】十全大補湯の加減法で呼吸器症状や不安感や不眠を伴う場合に用います。特に高齢のがん患者に見られる体重減や筋力低下などの心身の衰え(フレイル)に対し、QOLを維持するために活用されています。
【成分の効能】十全大補湯が基本処方となり、心を落ち着かせ不眠を改善する遠志(オンジ)、鎮咳作用と共に元気を維持する効果がある五味子(ゴミシ)が追加されていることで呼吸器症状や不安・不眠に効果があります。







