不動産営業として苦戦した新人時代を経て、営業現場で成果につながる言葉の使い方を体系化。再挑戦後にトップセールスを獲得し、26歳で独立。著書に『お客様の心をつかむ 営業鉄板フレーズ88』がある。
スムーズな商談を進めるにあたっては、まず前半で、お客様に安心してもらうことで話しやすい空気をつくることが欠かせません。
ただ、営業で本当に難しいのは、その先です。
ヒアリングまでは順調でも、提案や判断の場面に入ると、お客様の言葉が急に曖昧になることがあります。
「悪くはないんだけどね…」
「ちょっと考えます…」
「家族にも相談してみます…」
営業をしていると、こうした言葉を耳にする場面は少なくありません。
もちろん、慎重になるのは自然なことです。特に不動産のように高額な買い物では、お客様の中で気持ちが揺れるのは当たり前です。だからこそ私は、ここで無理に押し切るのではなく、お客様が何に迷っているのかを整理し、決めやすい状態をつくることが大切だと考えています。
営業には、
「アイスブレイク」
「ヒアリング」
「プレゼンテーション」
「クロージング」
という流れがありますが、後半のフェーズほど、担当者の言葉の選び方が結果を左右します。
今回はその中から、提案後やクロージングの場面で使える4つの鉄板フレーズを紹介します。
提案の前にズレを防ぐ ニーズを再確認する一言
こんなときに…
お客様の要望に合った提案をしたいとき
【使いたいフレーズ】
「お手数ですが、再度ご要望を整理させていただいてもよろしいでしょうか」
営業では、ヒアリングがある程度できると、すぐに提案へ進みたくなるものです。私自身、新人時代は「早く物件を見せたほうがいい」「早く提案したほうがいい」と考えがちでした。
しかし、ここで急いでしまうと、提案にズレが生まれます。
営業している側は要望を聞いたつもりでも、お客様の中では優先順位がまだ整理できていないことが少なくありません。
たとえば、不動産では「駅近がいい」「広さも欲しい」「予算は抑えたい」といった希望がどれも本音です。しかし、すべてを同じ重さで満たせるとは限りません。だからこそ提案の前に、もう一度要望を整理する時間が必要です。
この一言を入れると、お客様も自分の考えをあらためて言葉にしやすくなります。その結果、営業側の思い込みで提案するのではなく、お客様の優先順位に沿った提案がしやすくなります。
提案の精度を上げるうえで大切なのは、早さだけではありません。お客様と認識をそろえてから進むことで、商談が前に進みます。
断られたときこそ前に進む 本音を聞き出す一言
こんなときに…
テストクロージングで良い反応が得られなかったとき
【使いたいフレーズ】
「それでは、ネックとなっている部分をお聞かせいただけますとありがたいです」
提案のあと、お客様の反応が鈍いと、営業としては焦りが出てきます。ですが私は、ここで「断られた」と決めつけないことが大切だと思っています。
なぜなら、お客様が即決しない理由は、商品そのものを否定しているからとは限らないからです。
予算が引っかかっているのかもしれませんし、立地に迷いがあるのかもしれません。あるいは、今決めていいのかというタイミングの問題かもしれません。
そうした本音を聞けないまま商談を終えてしまうと、次につながりません。逆に言えば、ネックが何かを具体的に把握できれば、提案の修正や補足もしやすくなります。
このフレーズのポイントは、無理に詰め寄るのではなく、判断を止めている理由を一緒に整理する姿勢を見せることです。
するとお客様も、「断る」のではなく「何が気になっているのか」を話しやすくなります。
営業にとって、本当の失敗は断られることではなく、何が障害になっているのか分からないまま終わることです。










