スペースXが日本の一般投資家に開いたIPO公募の扉
2026年6月12日、イーロン・マスク氏率いるスペースXが米ナスダックに上場した(ティッカー:SPCX)。公開価格は1株135ドル、約5億5555万株を売り出し、調達額は約750億ドル。評価額はおよそ1兆7700億ドルに達し、2019年のサウジアラムコ(約294億ドル)を2.5倍以上上回る、文字どおり史上最大のIPOとなった。初値は150ドルで公開価格比+11.1%、上場初日の終値は160.95ドルと+19.2%まで上昇し、時価総額は2兆ドルに迫った。
事業の柱はロケットの打ち上げで、衛星通信の「スターリンク」、生成AI「Grok」やデータセンターを含むAI領域とされている。宇宙・通信・AIを束ねた「巨大インフラ企業」への期待が、世界の投資家を引きつけた。
超大型のIPOという点で注目される一方で、日本の個人投資家もスペースXのIPOに公募できた点でも注目された。これまで米国の大型IPOは、日本の個人投資家が上場前の公募に参加することはほぼ不可能で、上場後に初値がついてから市場で買うのが常識だった。
ところが今回は、みずほ証券・楽天証券・SBI証券を通じて、日本の個人もブックビルディング(需要申告)に参加できた。その仕組みは、幹事に入る米国みずほ証券が受けた配分を、国内の証券会社が顧客向けに販売するというもの。抽選に当選すれば公開価格で取得でき、しかも新NISAの成長投資枠の対象にもなった。
当初、日本での販売規模は最大20億ドル(約3200億円)だったが、需要の強さを受けて20億~25億ドル(約3200億~4000億円)へ引き上げられ、およそ1600万株が日本向けに割り当てられた。しかも、SBI証券・楽天証券といったネット証券が米国IPO株を上場前に取り扱うのはこれが初めてとされ、世界的な大型IPOに日本の個人が公募段階から参加できた。
2万5000円からできた大型IPOへの投資
参加のハードルは意外なほど低かった。スペースXの申込単位は1株からで、購入時手数料も無料。公開価格は1株135ドル=円換算でおよそ2万1600円。抽選に当たれば最小2万円台から、史上最大のIPOにオーナーとして参加できた。
米国株が基本的に1株単位で売買できることに加え、配分を国内証券が個人向けに広く販売したため、まとまった資金や特別な資格がなくても、ふつうの個人投資家が機関投資家や富裕層と同じ土俵に立てた。「大型の海外IPOは一部の人のもの」という常識もスペースXのIPOでは、崩れたというわけだ。
もちろん、門戸が広く開かれたとはいえ、希望者全員が買えるわけではない。日本経済新聞によれば、日本での募集額に対して3倍を超える購入希望が集まったとされ、実際に公募した投資家の感覚では3.5~4倍程度だったようだ。満額当選はごく一部で、多くは落選、あるいは希望株数から大きく削られた「部分当選」になったようだ。
当選確率は明確になっていないが、国、証券会社、申込条件によって当たりやすさには差があったようだ。しかし、証券会社によって当選確率ボーナスのようなものがあって、たとえばSBI証券では、連携するSBI新生銀行の「ハイパー預金」に10万円以上を置くと当選確率が上がる仕組みがあり、補欠当選、繰上当選の枠も用意された。つまり「申し込む権利」が広く開かれただけでなく、さまざまな特典も用意された。







