東京市場、石破なら下落含みで市場警戒。高市なら12月に戻り

7月以降、乱高下する株価、自民党総裁選、新政権とあいまって10月以降の株価はどうなるか。

望月純夫2024/09/24

東京市場、石破なら下落含みで市場警戒。高市なら12月に戻り
  • 通り相場なら令和ブランクマンデーは「全治5か月」で回復だが…
  • 市場の動きは石破で警戒モード、高市なら12月にはもどり

3万6000円~3万9000円のボックス相場

驚く程の乱高下が続く東京市場だが、冷静な対応が必要だ。

さて、7月からこれまでの東京市場の動きを見ていこう。
7月11日の高値4万2426円で目先の大天井を形成した。この段階で10%程度の調整があり、3万8000円程度は想定内だった。しかし、この下落の局面で、植田日銀総裁による金利の引き上げの発表があり、市場は崩壊。一気に3万1000円まで急落してしまった。下落率は26%で「令正のブラックマンデー」と名付けられた。ちなみに、ブラックマンデーの下落率は35%だった。

7月から乱高下する株式相場

この局面での私の判断は全治5か月と考えていた。こうしたパニック売りが終わると、反転に入る。戻り相場は、下落幅の半値戻し、3分の2戻しが考えられ、今回は3分の2戻しの3万8600円となり、結果的には3万9000円を若干超えるところまできていた。
しかしながら、ここから再度、米国の金利の引き下げ幅が当初予想の0.25%から0.5%にになったことで、140円割れの円高が進み、これに呼応するかたちで株価も急落。すでに前回の急落(3万1000円)で今後の米国の金利引き下げ、国内の金利引き上げといった政策の転換、12月までの米金利引き下げが今回を含め1.00%、国内は当面見送りを織り込んだと思われる。

株式市場の相場格言に「半値戻しは全値戻し」とあり、現在までの企業の決算動向を見る限り、大幅に減益に転じる企業は少なく、3万6000円~3万9000円のボックス相場が継続すると考えられる。

石破か、高市かで相場の動きは逆目か

10月に入ると、2日は一目均衡表の変化日に当たり、現在状況では上昇が期待できる。9月27日には自民党の総裁選の結果も出ており、総裁の政策に期待する動きがあってもおかしくない。

石破茂元幹事長(左)/高市早苗(経済安保相)(右)

自民党総裁戦後、早期解散の動きが高まれば、市場は期待から「買い先行」となるだろう。
注目は誰が総理総裁になるかだが、石破茂元幹事長であれば「市場は警戒」に入るだろう。何といっても総裁選の第一声で金融所得課税の強化と述べているのだから致し方あるまい。
市場としては、高市早苗経済安保相に対する期待が大きく、高市氏なら全治5か月程度の読みは変わらない。

実態経済としては、九州・熊本の半導体工場の稼働が始まり、設備投資から実際の収益に貢献する局面になる。その中で電力需要不足も懸念され、これ対応するべく電線メーカー等電力設備投資の増加が期待できる。このため原子力発電所の再開が注目だ。
そこで注目銘柄はフジクラ(5803)、ダイフク(6383)、三菱重工(7011)、さくらインターネット(3778)、九州電力(9508)、アドバンストメディア(3773)。

この記事を書いた人

望月純夫

望月純夫株式ストレジスト、コンサルタント、ラジオパーソナリティ

1949年生まれ、静岡県出身。1971年慶應大学法学部卒、同年山一證券入社。1985年新日本証券国際部入社、パリ駐在員事務所長を経て企業部にて新規公開企業の実務に携わる。1998年退職後、コンサルタントとして独立。著書に『株をやさしく教えてくれる本』(あさ出版)などがある。フジサンケイビジネスアイ株式初級講座、ラジオ日経の「株式宅配便」のパーソナリティを務める。

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