1949年生まれ、静岡県出身。1971年慶應大学法学部卒、同年山一證券入社。1985年新日本証券国際部入社、パリ駐在員事務所長を経て企業部にて新規公開企業の実務に携わる。1998年退職後、コンサルタントとして独立。著書に『株をやさしく教えてくれる本』(あさ出版)などがある。フジサンケイビジネスアイ株式初級講座、ラジオ日経の「株式宅配便」のパーソナリティを務める。
テック、人工知能関連の上げも限界?
5月の連休前だけに警戒しなければという矢先に、今年一番の下落が4月19日の金曜日に起きた。
市場は米国市場の半導体およびマグニフィセント・セブン(M7)の動きに注目していた。
M7とは、アップル、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、アルファベット、メタ・プラットフォームズ、エヌビディア、テスラのことで、米国市場の歪さを表すキーワードでもある。
この偏りが24年に入り、アップル、アルファベット、テスラの株価が振るわなくない、もはやM7とは言えない状態で、残りの4社(M4)がけん引きしている。
M4の中でも圧倒的な強さをみせていたエヌビディアがテクニカル上でダブルトップ(二天井)を形成した。つまり、人工知能関連も限界に達していた可能性がある。実際、米銀バンク・オブ・アメリカはテック関連のファンドから2017年以降で最大規模の資金流失が起きていると伝えている。
その恩恵を受けていた半導体受託生産を受けていた台湾積体電路製造(TSMC)の決算が好調にもかかわらず、18日に売り込まれている。実際、18日の米国のフィラデルフィア半導体指数(SOX)が2か月ぶりの安値を付け、売りが波及した。その失望を招いたのがTSMCである。
TSMCの決算(1~3月)は市場を上回るものだったが、半導体業界全体の見通しを引き下げたことが大きな要因と言える。一方で「市場は好決算を織り込んでいた」「ここにきて過度な生成AI(人口知能)に対する期待がはげた」との指摘もある。