今の株価がバブルではないこれだけの理由――これからの注目銘柄

バブル崩壊から34年2か月、日経平均株価は3万9000円台に突入した。その一方で今回も「バブルではないか」という懸念も出ている。果たしてこの株価は本物か? そして、最高値後の注目銘柄は?

望月純夫2024/02/26

今の株価がバブルではないこれだけの理由――これからの注目銘柄
  • 平成バブルはウォーターフロントと簿価の低い土地への投資マネー集中が原因
  • いまの株価は企業の収益力と純資産、そして新NISAが下支えしている
  • 半導体銘柄に続く期待のできる株は「防衛関連」

平成バブル経済の“バブル”の正体とは何だったのか?

2024年2月22日、この瞬間がこんなに早く訪れるとは、少なくとも年初の段階では誰も予想もしなかったのではないだろうか。
2月22日、日経平均株価は800円高超の大立ち回りを演じ、終値で未踏の3万9000円台に突入した。

思い起こせば1989年12月29日、この年の大納会の終値で日経平均3万8915円87銭の史上最高値をつけた。これがバブルの頂上であったことは後になって分かることだが、そこから34年2か月の時を経て、幾度となく視界から消えたその高峰に再びたどり着いた。
確かにここ最近の上昇ピッチの速さにバブル再来を警戒する向きもある。当時はウォーターフロント銘柄が乱舞し、簿価の低い土地を持っている銘柄に投資マネーが集中投下された。また、ゴルフの会員権がゴルフをしない人までが投資のために購入。銀座のバーは大繁盛、帰りのタクシーは1時間以上待ち、狂乱の中にあった。

今の株価がバブルではないこれだけの理由

しかし、今回の株価上昇は違う。
個別企業の収益力や純資産から換算した投資指標は、株価水準としての妥当性を強く示唆している。これを如実に表しているのが、PER(株価収益率)だ。バブル当時の1株当たり利益に対するPERは60倍超えていたが、現在は16倍と決して割高ではない。

さらにバブル崩壊後は金融機関・法人の株売りが継続する需給バランスが悪化した。一方、今回の株高は、新NISAが始まり、毎月株式市場のお金が流れる仕組みもできている。この効果は計り知れない。
1970年代の「株死の時代」から立ち直りを見せたのは401Kの導入にあり、米国株市場の反映をもたらしたのは積立て型の個人の株買いにあった。日本も2000年に入って日本版401k(確定拠出年金)を導入し、その後、iDeCo(個人型確定拠出年金)とかたちを変えながら、今回の新NISAによってようやく株式市場の健全化の道を歩み始めたといえる。

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この記事を書いた人

望月純夫

望月純夫株式ストレジスト、コンサルタント、ラジオパーソナリティ

1949年生まれ、静岡県出身。1971年慶應大学法学部卒、同年山一證券入社。1985年新日本証券国際部入社、パリ駐在員事務所長を経て企業部にて新規公開企業の実務に携わる。1998年退職後、コンサルタントとして独立。著書に『株をやさしく教えてくれる本』(あさ出版)などがある。フジサンケイビジネスアイ株式初級講座、ラジオ日経の「株式宅配便」のパーソナリティを務める。

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