1949年生まれ、静岡県出身。1971年慶應大学法学部卒、同年山一證券入社。1985年新日本証券国際部入社、パリ駐在員事務所長を経て企業部にて新規公開企業の実務に携わる。1998年退職後、コンサルタントとして独立。著書に『株をやさしく教えてくれる本』(あさ出版)などがある。フジサンケイビジネスアイ株式初級講座、ラジオ日経の「株式宅配便」のパーソナリティを務める。
円高効果とインバウンド重要で輸出産業と観光産業が回復へ
相場の格言に「七夕天井、天神底」があるように、2023年はこのパターンをイメージしていた。
実際、2023年1月7日の安値25,661円からスタートし6月24日には高値33,772円まで上昇、上昇率は31.6%、上昇幅で8,111円、世界でもダントツの上昇率・上昇幅を記録した。
干支の格言に「子繁栄、丑躓き、寅千里を走り、卯跳ねる、辰巳天井」とあり、「卯」は相場の当たり年でもあり、翌年の「辰年」へと繋がっていくであろう。
上昇の要因の一つは1月20日の1ドル=127.227円から6月30日の1ドル=146円代半ばまで、円安に振れたことである。
悪い円安という評論家もいたが、当初から良い円安と主張! 以前ほどには円安効果は少ないものの、日本経済復活を力には十分なりうる。
2022年は半導体不足で業績が低迷していた自動車業界にとっては、販売増と為替益で利益が拡大し、今期のトヨタは過去最高益を記録している。自動車業界の業績の回復は株式市場には大きな影響を与えていることは間違いない。
しかも、円安効果により、外国からの旅行客が増え、ピークの年間訪問客比でも8割がた回復してきている。ホテルや旅館では人手不足の状態になっており、観光業界は人手不足による賃金上昇の痛手はあるものの、うれしい悲鳴と言えよう。
三越伊勢丹では免税店売上は156億円となり、新型コロナ前の19年同期売り下高を上回った。JALは4年ぶり最終益黒字、ANAも純利益が前年同期比31倍の306億円と大幅増益となっている。とはいえ、その後の8月16は、146.558円の安円局面では、株高から株安に転じている。これは上昇のスピード違反の局面か。
さらに新型コロナにより外出が控えていた日本人も動き出し、国内旅行もブームとなっている。
また、都内の百貨店では高級品も売り上げが増加し、高額な消費が堅調にある。観光業の回復は底堅い