1949年生まれ、静岡県出身。1971年慶應大学法学部卒、同年山一證券入社。1985年新日本証券国際部入社、パリ駐在員事務所長を経て企業部にて新規公開企業の実務に携わる。1998年退職後、コンサルタントとして独立。著書に『株をやさしく教えてくれる本』(あさ出版)などがある。フジサンケイビジネスアイ株式初級講座、ラジオ日経の「株式宅配便」のパーソナリティを務める。
円安から円高の転換点は1ドル=154円
相場格言に「七夕天井天神底」があるが、確率的には低いといわれている。しかし、今年は久しぶりに、この格言に沿った流れになりそうだ。
今年の天神さんのお祭りは7月24日で、日銀及びFRBの金融会合は7月30~31日である。株価の天井はオプション決済日(12日)の1日前の7月11日であった。
7月11日は窓を開けて急騰し史上最高値を更新する、翌日は一転して窓を開けて急落し、典型的な「離れ小島(リターンリバーサル)を形成した。その後、下げ渋ったものの、18日には再び窓を開けて1000円近い下落を演じた。
この下げの要因の一つは、急激な円高にある。政府が3連休(13日から15日)を利用して為替介入をしたことで、18日には156円割れをした。テクニカル的には、まだ円高に流れが変わったとは言えない位置にある。
転換を見るうえで大事なことは154円割れの円高である。日米金利差の縮小は、米FRBは9月の会合としているだけに、まだトレンド変換とは成り難いところである。
もう一つの要因は、トランプ氏の大統領戦勝利の高まりにある。市場は規制緩和や現在を歓迎しているが、マイナス面もある。
トランプ氏の政策(米国第一次主義)による日本への影響は無視できない。対中貿易の規制強化を迫るともいわれているが、日本にとって中国は輸出入でトップの国である。また、米軍の駐留費(思いやり予算)の増額が要求される可能性もある。
前回の大統領に就任の時は、突然のことで、為替にも大きな影響を与えた。今回は「もしトラ」から「ほぼトラ」とまでいわれているだけに、11月の大統領選までには悪材料を織り込んでいくことになろう。