2024年株価予想――「辰巳天井」の市場動向を読み解く

2023年の株式市場は、年間での上げ幅7369円と1989年(8756円高)以来の大きさで幕を閉じた。「辰巳天井」の格言になる2024年の株式市場を占う。

望月純夫2024/01/03

2024年株価予想――「辰巳天井」の市場動向を読み解く
  • 2024年は2023年の好調を引き継ぐ年になる
  • 期待度は高く、平均株価は一気に4万円超えを予想する見方もある
  • 海外情勢、国内の政治不信を考慮して著者の予想は「3万8900円」

卯年の株式相場は4回連続の好パフォーマンス

年初にあたって、その年の株式相場を考えるにあたっての相場格言の紹介をしたい。

この相場格言は、
「子繁栄、丑躓き、寅千里を走り、卯跳ねる」であり、2024、25年は辰巳天井にあたる。
辰・巳の年は経済サイクルから見ると、在庫、設備投資、建築需要、技術革新に関連することが多く、年の初めの相場を紹介することが多い。

2023年は戦後過去8回の卯年になり、勝率では5勝3敗と高くはない。しかし、平均騰落率では、子年の39.8%、辰年の27.9%に次ぐ15.5%と卯年は高い。特に1987年の15.3%、1999年の36.8%、2011年は17.3%で、2023年は12月現在で26.8%と4回連続の好パフォーマンスで終えた。

これを受けての2024年の辰年は、戦後2番目となる好パフォーマンだけに当然、期待度は高くなってくる。そのため「日経平均は1989年の最高値を更新し、4万円超えもありえる」とする見る予想も多い。

「辰巳天井」の格言には2つの意味がある?

辰年の戦後の歴史をさかのぼると、1952年は朝鮮戦争特需で資源株や軍需株が活況となった。1976年はロッキード事件が発覚し政局が不安定化したものの、景気回復から年末には輸出関連株が買われている。そして、1988年はバブル景気で上昇基調を強めた。

一方で、格言と逆になった年もある。
1964年は日本が経済協力開発機構(OECD)に加盟した年で、東京五輪開催も終わり、企業業績の悪化が進み、翌年にかけては証券不況となり、年間騰落率は0.7%の下落と低迷。2000年はITバブルの崩壊でハイテク企業の業績予想の下方修正が続き27.2%の下落の厳しい年となった。

また、辰年の相場は相場の転換点となるケースも多い。
例えば、1952年のスターリン暴落、1964年の翌年5月に山一証券への日銀特融が決定された。1988年の翌年には資産バブルがピークを迎え、2000年はITバブルが終わっている。こうしたこともあることから「辰巳天井」、つまり、辰・巳年が山の頂点で、その後下落するという意味づけでの相場格言が印象付けられることになった。

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この記事を書いた人

望月純夫

望月純夫株式ストレジスト、コンサルタント、ラジオパーソナリティ

1949年生まれ、静岡県出身。1971年慶應大学法学部卒、同年山一證券入社。1985年新日本証券国際部入社、パリ駐在員事務所長を経て企業部にて新規公開企業の実務に携わる。1998年退職後、コンサルタントとして独立。著書に『株をやさしく教えてくれる本』(あさ出版)などがある。フジサンケイビジネスアイ株式初級講座、ラジオ日経の「株式宅配便」のパーソナリティを務める。

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