保険料の値上げが続く火災保険、その背景にあるもの
火災保険は連続して改定が実施されており、近いところでは2022年10月に大手損保を中心に火災保険が改定されました。この10年弱の間に数回実施された火災保険の改定は全国平均ではすべて保険料が引き上げられました。こうした家計の火災保険料の負担が増えている中で2024年度中にも再び火災保険料が引き上げられる見通しとなりました。
近年連続して火災保険が改定されているにも関わらず、再び火災保険の改定が実施される背景には主に次の理由があります。
・自然災害などによる保険金支払いの増加
・築年数の古い物件の増加や修理費の高騰への対応
・水災料率における契約者間の保険料負担の公平化のため
自然災害の増加については今に限った話ではありませんが、2021年・2022年にも台風や豪雨、雪、雹(ひょう)などによる損害の被害が全国的にでていることが関係しています。また、建物が老朽化すると漏水や漏電などによる損害が発生しやすく、台風などの災害でも倒壊リスクが高くなります。
さらに昨今の物価高は建物の修理費にも影響があり、いずれも保険金の支払い増加に繋がっています。
加えて、自然災害リスクの高まりから、これまで過去全ての台風のデータを使っていたものを、近年の台風データ(台風による損害が増えているデータ)を用いるかたちにしたことも影響しています。
今回の改定で特徴的なのは水災補償における契約者間の公平化というものです。
火災保険には、洪水などによる床上浸水や土砂崩れなどをカバーする水災という補償がありますが、現状この水災補償の料率は全国一律です。地域などによって水災リスクは異なりますから、水災料率についてこれを公平化することなどがこの度の改定の背景です。