火災保険の「水災補償」はどこまでカバーされるか
台風や豪雨、雪、雹など自然災害による被害は2010年前後から増加傾向です。洪水などによる水災(水害)についても、日本全国で大きな被害をもたらす損害が多発しています。
火災保険は火事だけでなく、こうした水災のときにも補償されます(水災補償が除外可能、補償されない火災保険もあります)。現在の火災保険には水災補償を付けるか付けないか選べるものがほとんどです。
しかし火災保険の水災補償は、これ以外の補償と比べると保険金の支払いに少々複雑な条件が付います。万が一のときに住まいを守る火災保険において、近年被害が増えている水災補償について見てみましょう。
火災保険における水災補償とは、「台風や暴風雨、豪雨等による洪水、融雪洪水、高潮、土砂崩れ、落石などによる災害」のことをいいます。水災というものの、土砂崩れや落石などによる災害についても、水災補償の補償範囲に入っているのです。
水災というと水に関連する損害をイメージしがちですが、それだけではないことを覚えておきましょう。一方で、火災保険の補償の中には「水」に関連する補償であるにも関わらず、水災補償ではカバーされない損害もあります。例えば次のようなことが原因の損害です。
【水災で補償されない水関連の損害】
・漏水事故
・津波
・雨漏り
漏水関連の損害については、マンションなどで上の階に居住する住人の落ち度によるものなら、その人の損害賠償になります。そうでなければ自分の火災保険の、「水濡れ」補償を付けていれば補償されます。
津波については、火災保険では補償しないため地震保険(地震・噴火、これらによる津波による損害を補償)の加入が必要です。また、雨漏りのような経年劣化を原因とするような損害は火災保険では補償していません。
現在の火災保険では、ほとんどのケースで火災保険の水災補償を付帯したり、外したりを選ぶことができるものが主流です。台風などのようにどこを通過するか分からないものと違い水災のリスクの有無は比較的判断しやすいため、このようなことができるようになっています。また、火災保険の水災補償を外すことができれば保険料に占める割合が高いため、保険料負担の軽減が可能です。
火災保険の水災補償の補償範囲は意外と広いのですが、実は他に注意点があります。水災で保険金を受け取るには所定の条件をクリアしている必要があるのです。一般的には次のような条件が付帯されています。
【水災における火災保険の支払い条件】
・床上浸水または地盤面から45cmを超えて浸水した場合
・再調達価額の30%以上の損害を受けた場合
このように「床上浸水」といっていることから、「床下浸水」では保険金の支払い対象外ですので注意してください。
旧タイプの火災保険では水災は補償されないものもある
火災保険には自由化される前の商品があり、保険期間30年などの超長期の契約をしている人の中には、自由化前の火災保険に加入している人もいるでしょう。具体的には、「住宅火災保険」「住宅総合保険」です。この商品は各社共通ですが、旧タイプ固有の注意点があります。
・住宅火災保険:水災は補償されない
・住宅総合保険:水災は補償。損害額の70%が限度で定率払い
定率払いというのは実際の損害を支払うのではなく、所定の比率に応じて決まった金額を支払うというものです。該当する人は補償内容を改めて確認しておいてください。