株価乱高下後、9月はどう動く? 今知っておくべき経済指標と予測

7月の株価乱高下の背景と9月以降の日本の株式市場の読み解く

望月純夫2024/08/28

株価乱高下後、9月はどう動く? 今知っておくべき経済指標と予測
  • 植田日銀総裁の発言で一気にポジションを迫られたキャリートレード
  • 急落により買う枠が大幅に増えたことでGPIFが市場の支えに
  • 買いの中心はトヨタ、日立。金利上昇で金融株が狙い目


令和のブラックマンデー――その背景にあったもの

異常な暑さが続く今夏の日本列島は、地震あり、台風に伴う大雨有り、株の急落ありと市場に激震が走っている。

“株の余震”は、7月11日の高値4万2426円付けた日から始まった。その日のテクニカル指標はリターンリバーサブル(離れ小島)を形成した。これは天井のサインでもある。相場格言「七夕天井、天神底」を連想させる展開だけに、まず注意警戒信号を送り、調整の幅は微調整の範囲の10%下落(3万8000円程度)とした。
しかし、想定外のことが起きた。
7月末の日銀金融政策決定会合で、植田日銀総裁が国債購入の減額、確率は低いものの0.25%の金利引き上げは想定の範囲だったが、植田総裁が、その後も金利引き上げの余地がある旨のタカ派発言に転じたことだ。この発言により、円安と株高の流れを想定していた(キャリートレード)投資家は一気にポジションの巻き戻しを迫られた。

結果、売りが売りが呼ぶ展開となり、下落の最終局面ではサーキットブレーキも絡ませ3万1000円台まで落ち込んだ。この段階の下落率26%超えで、NYダウの7%下落、ナスダックの15%下落を大きく超えるものとなった。基本的には、日経平均はナスダックとの連動性が高いことから、日経平均の10%以上の下落は、国内事情で、日銀総裁のタカ派発言が下落の最大要因と言える。この下落率、下落幅は1987年10月の「ブラックマンデー」に匹敵するもので、「令和のブラックマンデー」と称されることになった。

とはいえ、この下落の最終局面で日銀副総裁による金利引き上げ論に関しての修正発言があり、東京市場は落ち着きを取り戻し、上昇に転じた。3万8000円~3万1000円までの急落はスピードが早く、テクニカル的には真空地帯の下落と言ってよい。またファンダメンタル的にもPERが13倍まで売り込まれた。

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この記事を書いた人

望月純夫

望月純夫株式ストレジスト、コンサルタント、ラジオパーソナリティ

1949年生まれ、静岡県出身。1971年慶應大学法学部卒、同年山一證券入社。1985年新日本証券国際部入社、パリ駐在員事務所長を経て企業部にて新規公開企業の実務に携わる。1998年退職後、コンサルタントとして独立。著書に『株をやさしく教えてくれる本』(あさ出版)などがある。フジサンケイビジネスアイ株式初級講座、ラジオ日経の「株式宅配便」のパーソナリティを務める。

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