大逆転もあり? 2024年社会動向から読み解く25年の株式相場

トランプ政権が発足し、本格的に動き出した。果たして2025年の株式相場はどうなるのか? 2024年の社会動向から読み解く。

望月純夫2025/01/27

大逆転もあり? 2024年社会動向から読み解く25年の株式相場
  • 大統領令は40本あまり、意外と慎重なトランプ政権の滑り出し
  • 2024年業種別ランキングは金利上昇で保険、銀行の金融関連が1、2フィニッシュ
  • トランプ政権のエネルギー政策転換で大逆転もありか

トランプ政権にかかる期待値

2024年7月14日にトランプ前大統領が演説中に撃たれる暗殺未遂事件が起き、その後、8月6日にハリス副大統領が民主党の大統領候補となったあたりから、米国市場の流れが大きく変わった。

8月5日までは4万ドルを割込んでいたが、その後は着実に株価は上昇し、11月5日の大統領選でトランプ氏が勝利するまで上昇を続けた。
つまり、トランプ暗殺未遂によってバイデン政権の終わりを感じ取り、それを受け入れた。実際、株価の推移を見ると、8月5日のダウ平均3万8499ドルが、11月11日には高値の4万4486ドルまで15.5%も上昇している。

これはトランプ大統領になれば大きな変化をもたらすという期待と言える。いわば民主党のバイデン大統領の不安に対する裏返しでもあったわけだ。

2025年1月20日にトランプ大統領が就任し、現状ではその政策を評価していく段階に入った。大統領就任前までは100を超える大統領令を出すといっていたが、実際には40本あまりにとどまっている。とはいえ、政策の実効性にも期待が高い。実際、大統領就任直前にはイスラエルとハマスの停戦合意にこぎ着けている。

また、敵視していたTikTokを米で再開することなった。中国に対してすべてNOを突きつけるわけではないことを示してもいる。エネルギー政策も大転換し,インフレを迅速に克服に対する期待も大きい。

1月24日までに出されたトランプ大領が出した主な大統領令
発行日大統領令のタイトル日本語訳
2025年1月20日Protecting The Meaning And Value Of American Citizenshipアメリカ市民権の意味と価値の保護
2025年1月20日Securing Our Borders国境の安全確保
2025年1月20日Restoring The Death Penalty And Protecting Public Safety死刑の復活と公共の安全の保護
2025年1月20日Declaring a National Energy Emergency国家エネルギー非常事態の宣言
2025年1月20日Reevaluating And Realigning United States Foreign Aid米国の対外援助の再評価と再調整
2025年1月20日Protecting The American People Against Invasion米国民を侵略から守る
2025年1月20日Unleashing Alaska’s Extraordinary Resource Potentialアラスカの卓越した資源潜在力の解放
2025年1月20日Protecting The United States From Foreign Terrorists And Other National Security And Public Safety Threats米国を外国のテロリストおよびその他の国家安全保障および公共の安全の脅威から守る
2025年1月20日America First Policy Directive To The Secretary Of State国務長官へのアメリカ第一主義政策指令
2025年1月20日Establishing And Implementing The President’s “Department Of Government Efficiency”大統領の「政府効率化省」の設立と実施
2025年1月20日Defending Women From Gender Ideology Extremism And Restoring Biological Truth To The Federal Government女性をジェンダー・イデオロギーの過激主義から守り、連邦政府に生物学的真実を回復する
2025年1月20日Ending Radical And Wasteful Government DEI Programs And Preferencing政府の過激で無駄なDEIプログラムと優遇措置の終了
2025年1月20日Reforming The Federal Hiring Process And Restoring Merit To Government Service連邦政府の採用プロセスの改革と政府サービスへの功績の回復
2025年1月20日Designating Cartels And Other Organizations As Foreign Terrorist Organizations And Specially Designated Global Terroristsカルテルおよびその他の組織を外国テロ組織および特別指定グローバルテロリストとして指定する
2025年1月20日Restoring Names That Honor American Greatnessアメリカの偉大さを称える名称の復元
2025年1月21日Ending Illegal Discrimination And Restoring Merit-Based Opportunity違法な差別の終了と功績に基づく機会の回復
2025年1月22日Designation Of Ansar Allah as a Foreign Terrorist Organizationアンサール・アッラーの外国テロ組織としての指定
2025年1月23日Strengthening American Leadership in Digital Financial Technologyデジタル金融技術におけるアメリカのリーダーシップの強化
2025年1月23日Declassification of Records Concerning the Assassinations of President John F. Kennedy, and the Reverend Dr. Martin Luther King, Jr.ジョン・F・ケネディ大統領およびマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の暗殺に関する記録の機密解除
2025年1月23日President’s Council of Advisors on Science and Technology大統領の科学技術諮問委員会
2025年1月23日Removing Barriers to American Leadership in Artificial Intelligence人工知能におけるアメリカのリーダーシップへの障壁の除去
2025年1月24日Enforcing the Hyde Amendmentハイド修正条項の施行
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この記事を書いた人

望月純夫

望月純夫株式ストレジスト、コンサルタント、ラジオパーソナリティ

1949年生まれ、静岡県出身。1971年慶應大学法学部卒、同年山一證券入社。1985年新日本証券国際部入社、パリ駐在員事務所長を経て企業部にて新規公開企業の実務に携わる。1998年退職後、コンサルタントとして独立。著書に『株をやさしく教えてくれる本』(あさ出版)などがある。フジサンケイビジネスアイ株式初級講座、ラジオ日経の「株式宅配便」のパーソナリティを務める。

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