1949年生まれ、静岡県出身。1971年慶應大学法学部卒、同年山一證券入社。1985年新日本証券国際部入社、パリ駐在員事務所長を経て企業部にて新規公開企業の実務に携わる。1998年退職後、コンサルタントとして独立。著書に『株をやさしく教えてくれる本』(あさ出版)などがある。フジサンケイビジネスアイ株式初級講座、ラジオ日経の「株式宅配便」のパーソナリティを務める。
景気は株価を反映、株価は景気を反映
熊本県に台湾企業が半導体工場の建設に始まり、半導体に関する設備投資が北海道などでも見られている。
熊本の工場で新規採用される社員の給料が28万円に上昇し、これが引き金になって国内の一流企業の初任給アップにつながり、日本賃金デフレ脱却ムードが出てきている。
半導体企業の国内回帰は、米国の中国離れの動き呼応したもので、決して一過性なものではあるまい。
安倍政権以前は、円高の大きな流れにより海外進出をせざるを得なかった。しかし、円安定着により、国内回帰を始めている。
そして、国内で設備投資が起こり、日銀の金融政策の低金利政策の転換が来年には始まるとなると、企業は一気に設備投資に走り、予想以上の株価上昇局面になってもおかしくはない。
景気をよくする要因は、賃金が上がり、それに伴い消費が増え、設備投資が起きることにある。
2023年の名目設備投資は前年度比4.5%増の101兆円強。24年度は105兆円を上回る見通しである。100兆円超えは91年度以来32年ぶり、2年連続の100兆円超えが実現すると史上初のことになる。
そのほかの景気浮上要因では、政府の公共投資が挙げられる。
この公共投資も、DXの大幅な遅れが目立つことから、これから数年をかけて政府も資金を投入する必要性があり、この結果、景気は良くなることは間違いなさそうである。
低迷の30年を経て株式市場の構造変化進み出す
約30年をかけて株式市場の構造も変ろうしている。
東証プライムに残れる企業の条件も決まり、個人投資家が安心して投資出来る環境も整備されつつある。非課税で投資できる環境も整い、新資本主義の体制は整ってきた感もあり、長期で日本株は持つだけの魅力がある。
今年の日経平均は前半戦を見る限り、スピード違反気味だが、秋には上昇に向けて動き出してもおかしくはない環境は整いつつある。
その証拠に夏枯れ時期にもかかわらず、外国人投資家の買いは継続され、7月第3週は197億円、7月第4週は738億円、8月第1週は188億円、8月第2週は1799憶円を買い越し7週連続となっている。