1949年生まれ、静岡県出身。1971年慶應大学法学部卒、同年山一證券入社。1985年新日本証券国際部入社、パリ駐在員事務所長を経て企業部にて新規公開企業の実務に携わる。1998年退職後、コンサルタントとして独立。著書に『株をやさしく教えてくれる本』(あさ出版)などがある。フジサンケイビジネスアイ株式初級講座、ラジオ日経の「株式宅配便」のパーソナリティを務める。
今回の下落は“スピード違反”の調整か
これ受けての東京市場の半導体関連の雄「東京エレクトロン」の株価は、19日に5営業日の続落し、前日比3530円安(9%下落)、東京市場の急落の最大要因となった。
東京エレクトロン自体は、足元の受注は好調で2月の時点では24年3月期の連結純利益の従来予想を330億円の上方修正している。決算発表は連休明けの5月10日の予定だ。
一方、相場の調整局入りが危ぶまれる中、19日の前場「イランで複数の爆発音」との報道があり、下げ幅は拡大し一時1300円を超えた。これは週末に何が起きるかがわからないだけに、機関投資家は半導体ポジションを投げ売りした格好だ。
週明けからは値を戻してきているが、不安定な状況は続いている。イランとイスラエルの応酬は本格的な戦闘に発展する可能性は少ないと思われているものの、投資家サイドは最悪の事態に備え始めたわけだ。
さらに自主減産している原油価格のWTI価格は1バレル86ドルまで上昇してきている。また、金価格の高騰も続き、地政学リスクの受け皿として3000ドル説が浮上している。
東京市場は止まらない円、日銀の金融政策が待たれている。4月20~21日(日)が日銀金融政策決定会合の日にあたる。ここで多少金利を引き上げても、市場はその先の政策を要請してくるだけに、対応は非常に難しい。
米国の金利引き下げ説(当初6月)が大きく後退しているだけに、日米金利差の縮小ということにはならない。
今回の急落で高値から10%程度の下落(3万6800円水準)で済んでいる(19日現在)でいるので、スピード違反の調整ともいえる。ただこれが、15%以上の下落に転じるとなると、当面のシナリオを変える必要が出てくる。
ここにきて日経平均の構成する銘柄の一株当たり利益が下方する流れがみられるからだ。
3月中旬の段階では2350円超えが、19日現在では2300円割れと2.2%程下方修正されている。5月連休明けが決算本番、当分は様子見状態とみて良い。
これから3か月ぐらいは、3万6500円から3万8900円程度のボックス相場となるだけに、投資家の投資スタンスは、2025年3月期を強めに予想してきた企業に注目度が集まりそうである。