スペースXで見る、海外IPOを買うための準備
今回のスペースXの公募は、国内IPOとは違い、応募には事前準備が必要だった。スペースXを例に、必要な準備を順に整理しておこう。
1)証券口座を開く
証券会社の口座を開いておくことは当然だが、米国株IPOに参加するには、その証券会社の総合口座に加えて、外国株式取引口座を別途開設しておく必要がある。
SBI証券を例にすると「総合口座+外国株式取引口座の開設が完了していること」が参加の前提とされた。口座開設には、数日~それ以上かかることもあり、仮条件の発表や短い申込期間に間に合わせるには、上場スケジュールが固まる前に済ませておく必要がある。
2)決済通貨に合わせてた資金を用意
これは証券各社で差があり、SBI証券は米ドル決済のみ、申込前に自分で米ドル残高を用意しておく必要があった。今回のスペースXでは、1株135ドル、上限引き上げ+20%を見込むなら1株あたり162ドル程度が必要だった。
一方、楽天証券は円貨決済のみで、必要資金は「申込株数×公開価格×為替レート×為替掛け目1.05」で計算され、1ドル160円換算なら1株あたり約2.3万円、余裕をもって2.5万円ほどを入金しておく形だった。楽天証券では事前のドル両替が不要な分だけ、初心者にはハードルが低かったといえるだろう。
3)入金の締切を守る
当然のことだが、必要資金は価格決定・抽選前の決められた時刻までに口座へ用意しておかなければならない。スペースXではSBI証券が6月11日15:00、楽天証券が6月12日未明など、締切が各社で異なり、間に合わないと抽選対象から外れる。みずほ証券は対面チャネル中心で、申込受付は上場当日のみ・抽選なしという独自の形だった。
4)NISA枠活用の条件
NISA枠を使う場合は、当然残高を確認しておくこと。スペースXは新NISAの成長投資枠の対象だった。枠残高がないと課税口座での取得になりかねないが、NISA口座なら売却益・配当が非課税になり、米国株の取引手数料も無料になるメリットがある。
実際の公募の手順も説明しておこう。具体的な流れは以下のようになる。
仮条件の発表→ブックビルディング(需要申告)期間中に希望株数と口座区分を入力して申込→抽選結果の通知→当選なら購入申込期間中に購入を確定、という順序になる。需要申告に申し込まなければ抽選には進めない点が最大の落とし穴だ。
抽選に外れたり申込に間に合わなかったりした場合は、上場後に市場で買う、あるいは未公開・上場直後の企業を組み入れるETF経由で間接的に持つ、という選択肢がある。スペースXは上場後、SBI・楽天に加えマネックス証券や松井証券などでも初日から売買できる見通しとされた。
本命はこれから? アンソロピック、OpenAIのIPOに備える

市場では、スペースXを大型IPOラッシュの「序章」とみる声が多い。誰もが気になるAI関連の本命が、これから控えているからだ。
Claudeを開発するアンソロピックは、2026年6月に米SECへ非公開でIPO申請を行い、同年10月の上場を目指していると報じられている。プレIPOの評価額は約9650億ドル、年間ランレート(ARR)は約300億ドル規模で、評価額・売上の両面でOpenAIを上回ったとの報道もある。
そのOpenAIも非公開でS-1を提出し、評価額1兆ドル超での上場を視野に入れているようだ。年換算売上は約250億ドル規模とされるが、巨額の計算コストで損失も大きく、CFOが時期に慎重で2026年第4四半期から2027年へずれ込むとの見方もあるものの、スケジュールはなお流動的だ。
そして、注目しておきたいのがこれらのAI株に日本の個人も手が届くかもしれない、ということ。スペースXで、日本のネット証券が米国の大型IPOの公募を個人に販売し、NISAでも買えるという前例ができた。
アンソロピックやOpenAIでも同じスキームが用意される可能性があり、実際OpenAIは個人への配分にも前向きとされる。国内のIPO情報サイトでも、後続の大型上場に備えて今のうちに外国株口座を開いておくよう促す声が出ている。
値上がりへの期待も、ゼロではない。IPOは初値が公募価格を上回りやすく、スペースXも初日に+19.2%で引けた。抽選に当選できれば公募価格という有利な値で取得でき、上場直後に人気が集まれば短期的な上昇も狙える。逆に持ち続けることで将来へ値上がりも期待できる
AIは成長は今後も期待できるため、アンソロピックもOpenAIの売上が急拡大する可能性もある。もっとも、評価額はすでに高く、IPOの時期も不確実で、IPOは初値で過熱したあと値を崩すこともある。確実に儲かる話ではないが、将来の夢を見られる余地はあるだろう。
スペースXは、日本の個人にとって「世界最前線のIPOに公募段階から参加できる」という扉を開けた。その先には、AIの本命であるアンソロピックとOpenAIが控えている。配分があるかはその時にならないと分からないが、外国株口座を準備し、買い方を理解しておけば、いざというとき動ける。次の大型上場に向けて、今から備えておいてはどうだろうか。






