政治・経済、都市開発・不動産、再開発等に関係するプロフェッショナル集団。主に東京の不動産についてフィールドワークを重ねているが、再開発事業については全国各地の動きをウォッチしている。さらにアジア・欧米の状況についても明るいメンバーも参画している。
住み替え――これだけある日米の意識差
住み替え(引っ越し)の多かった人物として有名なのが江戸時代の浮世絵画家の葛飾北斎で90年の人生で93回引っ越ししたそうだ。住み替えといっても、賃貸が持ち家で違いがあるだろうが、持ち家、つまり家の買い替えそうそうはできるもでないだろう。
日本では「家は一生の買い物」という意識が高い。
実際、2022年に行われたインターネット調査「おうち売却の達人 調べ」(全国の持ち家に居住中の30歳以上70歳未満の男女)によると、「不動産(土地建物)を売却したことはあるか」という質問に「ない」と超えた人は79.4%、「ある」と答えた人は15.2%となっている。
一方、米国人は人生で4回、家を買い替えるといわれている。
具体的には結婚すると、職場の近く、大都市圏に近くの小さなマンション。子どもができたら、ちょっと郊外のタウンハウスや一軒家。子どもの成長に合わせて小学校に入ると、教育の学区の良い地域のファミリータイプの戸建て。子どもの独立に合わせて、夫婦2人の終の棲家となる小さな家といった具合だ。
家の買い替えに対する日米の違いは、なぜ生まれるのだろうか?
日本人は農耕民族なので、一度住んだところに定着するが、米国は狩猟民族だから住み処を移動させるということもありそうだ。とはいえ、現代社会においては、住宅の中古市場と中古住宅の価格にある。
米国の全住宅における中古住宅の割合はおよそ80%。これに対して日本はおよそ30%だ。また、中古住宅価格が、米国は年3~4%ほど値上がりしているが、日本ではタワマン、大都市圏の中心部のマンションや一部の宅地をのぞいて、平成バブル崩壊後は買った価格より安くなってしまう。
つまり、日本では持ち家の価値が上がらないため、資金的に買い替えづらいということがあるのだ。
新築マンション価格が1億円を超すなかで、注目が集まっているのが中古マンションや戸建だ。インフレが進み、中古マンション、戸建ての価格も上がってきており、「ホンネの不動産相談所」の調査によれば、中古マンション価格も右肩上がりで、東京23区/築21年の中古マンションの価格相場は、1㎡=99.2万円、平均占有面積42.7㎡=4209.1万円になっている。
高価格が続くうちに売却して買い換えや、郊外への転居には、チャンスといえるかもしれない。しかし、それにはいま住んでいる家を高く売却する必要がある。
そのためにはなるべくいま住んでいる家を高く売りたいところ。そのポイントを考えていこう。