大学卒業後、メーカーを経て広告代理店にてPR・広報のコンサルとしてと企業支援に従事。ところが新型コロナと50歳の節目が重なり、「このまま真面目に働いていていいのか?」と自問自答。一念発起し脱サラして、FIREを目指してスイングトレーダーに転身。現実はまだ“たき火レベル”だが、日々発表される決算書とチャートの動向と格闘している。
新NISAがはじまって2年あまり。つみたて投資枠だけという人は、たまに見る口座残高の「含み益」の数字に、思わず頬がゆるむという人も多いことだろう。実は新NISAで資産を本当に減らすのは、株価の暴落ではなく「自分の手」であることが多い。制度の仕組みはもう十分に理解したはず。にもかかわらず、利益が乗った局面ほど人は動きたくなり、その一手が非課税のメリットを削ってしまうのだ。
新NISAの設計思想は「長期・積立・分散」。裏を返せば、頻繁に売買するほど制度の良さは薄れる場合がある。ここでは、含み益が出た今こそ陥りやすい5つの失敗を、起こりやすい順に取り上げ、それぞれ「やりがちな行動」「何が起きるか」「代わりにどうするか」を考えていく。
間違い1:急な下落での「狼狽売り」
相場が下げると「これ以上減る前に」と売りたくなる。いわゆる「狼狽売り」というものだ。もはや、これは多く人は認識されてことだろう。
しかし、その理由を明確に説明できるだろうか。
簡単にいうと、新NISAは非課税保有期間が無期限なので、旧NISAのように「期限があるからその前に」という判断を迫られることはない。つまり、長い目で捉えて、慌てて売る理由はないことだ。
しかも、見落としやすいのはNISA口座の損失は、他の口座(特定口座・一般口座)の利益と相殺する「損益通算」ができず、翌年以降に持ち越す「繰越控除」も使えない。課税口座なら、損失を出しても他の利益と相殺して税金を軽くできるが、NISAではその救済がない。言い換えれば、安値で投げ売りすれば、非課税のメリットも、税制の救済も同時に失う“二重の損”になってしまうからなのだ。
間違い2:「利益確定したい」で売る
含み益が出ると「いったん利確したい」という思いが出てくる。ここで誤解されがちだが、NISA口座で売った利益そのものには税金はかからない。問題はその先にある。理由は、売っても、その年の年間投資枠は戻らないからだ。
「利確したお金を、もう一度NISAで買い直せばいいのでは?」と思う人もいるだろう。たしかに、年間枠に空きがあれば買い直せる。NISAの年間枠は「つみたて120万円+成長240万円=合計360万円」。たとえば成長投資枠をまだ使っていなければ、利確した100万円を、その240万円の枠を使って買い直すことはできる。
問題は、その買い直しに枠を使うと、新しい資金を非課税にできる余地が、その分だけ減るということ。つまり、100万円を買い直しに充てれば、成長投資枠の残りは140万円。本来なら新規のお金を入れられたはずの枠を、“すでに持っていた資産の入れ替え”で消費してしまう。
そして、すでにその年の枠を使い切っている人は、もっと厳しい。利確したお金を年内はNISAへ戻せず、行き先は利益に約20%(20.315%)課税される通常の課税口座しかなくなってしまうからだ。いずれにせよ途中利確は、非課税の体力を削る行為になりやすく、値上がりしたからと利確するのは、控えておくほうがよいのだ。










