大学卒業後、メーカーを経て広告代理店にてPR・広報のコンサルとしてと企業支援に従事。ところが新型コロナと50歳の節目が重なり、「このまま真面目に働いていていいのか?」と自問自答。一念発起し脱サラして、FIREを目指してスイングトレーダーに転身。現実はまだ“たき火レベル”だが、日々発表される決算書とチャートの動向と格闘している。

間違い3:値上がり銘柄への「乗り換え」
「あのファンドの方が伸びている」と気になり、保有を売って人気銘柄へ乗り換えるというのも、要注意だ。乗り換えには〈高値づかみ〉と〈年間枠の浪費〉という二重の落とし穴がある。
具体例で考えてみよう。年初に成長投資枠240万円を使い切った人が、夏に話題のテーマ型ファンドへ乗り換えたくなったとする。手持ちを売っても、その年の成長枠は戻らない。「売れたのに、年内はもう成長枠で買い直せない」という状態になってしまう。成長枠の空きがあればよいが、乗り換えのたびに買い替えることでその年の非課税で買える額をすり減らすことになる。資金的に余裕があれば、少額から新しい銘柄を買うほうが無難だ。
さらに言えば、過去のリターンが高い銘柄=これからも高い銘柄、とはいえない。直近で大きく上がったものほど、価格は割高に振れていることが多い。人気を追いかけて高値で乗り換え、その後の調整で含み益を失うということは、よくある負けパターン。気になる銘柄が出てきても、まずは積立の手を止めず、淡々と続けるほうが結果的に良い成績になりやすい。
間違い4:成長投資枠で「一点集中」
自由度の高い成長投資枠は、つい個別株や話題のテーマ型に偏りがちだ。当たれば大きいが、外れたときの下落も大きい。仮に資産の大半を1銘柄に集中させ、その銘柄が50%下落したとする。元に戻すには、そこから2倍(+100%)の上昇が必要になる。下げの痛手は、同じ率の上げでは取り返せない。一方、全世界株のように数千銘柄へ分散した投信なら、1社の不振が全体に与える影響は限定的だ。
非課税の最大の武器は「長く持ち続けられること」。値動きの荒い一点集中は、その武器を生かせない。広く分散したインデックス投信をコア(土台)に据え、個別株やテーマ型は“余力の範囲”にとどめ、配分の主従を逆にしないことがポイントになる。
間違い5:「枠復活」を当てにする勘違い
「売れば枠が復活するから」と、機動的な売買を前提に動く人がいる。だが、この“枠復活”を当てにした立ち回りは、現状では大半の人にとって取らぬ狸の皮算用というもの。
枠復活とは、生涯枠1800万円を使い切った人が、保有商品を売って翌年にその分の空きを取り戻す仕組みだ。逆に言えば、まだ枠が余っている人は、売らなくても残りの枠で新規に買えるので、復活を待つ必要がない。しかも、新NISAは始まってまだ3年目。2024年・2025年と毎年満額(360万円)投資してきた人でも元本はおよそ720万円どまりで、1800万円の上限に届いた人は誰もいない。つまり2026年の時点で「枠復活」を気にする必要のある人は、ほぼいないということになる。1800万円の復活枠活用は、もうちょっと先の話になる。
結局は…いちばんのリスクは「動きすぎ」
新NISAで最大のリスクは、暴落でも円安でもなく運用の「動きすぎ」だと言っていい。含み益が出た今こそ、利確・乗り換え・狼狽売りの誘惑が強まる。だが制度がもっとも報いてくれるのは、長く・コツコツ・分散して持ち続けるということ。最良の一手は、静かに見つめ“何もしないこと”である。2~3年目に身につけるべきは、増やす技術よりも「触らない技術」かもしれない。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたものです。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。









