いまさら聞けない「新NISA」――おさえておきたい基本

まだまだ間に合う「NISA」への取り組み。その基本的な考え方をイチから解説。

石田智美2024/07/04

いまさら聞けない「新NISA」――おさえておきたい基本
  • 年金だけでは足りない老後の資金は自分でつくる
  • 月3万円、やった人とやらなかった人の差は5年で117万円
  • 1日数百円からはじめるのが、最初のスタート

「新NISA」が注目された理由

「新NISA」とは何か。
購入した金融商品から得られる利益が非課税になる節税制度です。
正しくは、NISA(少額投資非課税制度)ですが、2024年に大幅な改正があり、従来のNISAと区別するために、2023年までのものを「旧NISA」、2024年以降のものを「新NISA」と呼んでいます。

元々NISAは、イギリスの税制優遇制度(ISA)にちなんで作られました。

なぜ政府は国民に「新NISA」を勧めるのか。
社会保障費の増加、人口減少などもあり、今後の日本では使いたい税金は増えるのに、税収は増えないことがみこまれているため、本来政府は国民から税金を取れるだけ取りたい! にもかかわらず、増税とは真逆の節税制度を作ったのには理由があります。

皆さんは、2019年に話題になった「老後2000万円問題」を覚えているでしょうか?
2019年6月に金融庁の金融審議会が「夫婦二人世帯の老後資金が厚生年金だけではやっていけず、2000万円以上の貯えが必要」という内容の最終報告書を出したことがきっかけになった問題です。

さらに、この年金の不足には2つの見過ごされた点がありました、
1つ目は、元になる年金が「厚生年金」で計算をされていること。
自営業者やフリーランスの「国民年金」は受給額が減るので、さらに多くの貯えが必要になります。
2つ目は、生活費のみの算出だということ。
あくまで、光熱費や食費など生活に必要な最低額で算出されているため、旅行などの娯楽費は含まれていません。老後に、夫婦で旅行に行く、孫におもちゃを買ってあげるといった生活を考えている方は、その分をプラスして算出する必要があります。

それまで「100年安心」といっていたいまの日本の年金制度では、老後の生活を年金だけではやっていけないということを政府自らが認めたということなのです。老後のお金は、国に頼らず、自分たちで何とかしておいてほしい。NISAはそんな政府の思惑が透けて見える制度なのです。

政府に文句を言っても、現実は変わりませんし、実際にNISAはスゴイ制度で、これを活用するとどんな人でも老後資金をちゃんと作れる可能性の高いものです。
実際に、「老後2000万円問題」が出た5年前の2019年からNISAを使って投資信託を始めていたらどうなっていたかを、投資信託の中でも代表的なS&P500に連動した商品を例に見ていきましょう。

※S&P500とは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCが公表している株価指数で、米国の代表的な株価指数の1つ。米国株式市場全体に対し、約80%の時価総額比率を占めている。

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この記事を書いた人

石田智美

石田智美マネーコーチ

市役所勤務時代に、1000万円の貯金を作るも、給料だけで今後のお金が足りない不安から、投資を始める。
投資スクールで学ぶなかで、お金の知識だけだけでは「投資できる人」と「できない人」に分かれていくことに疑問を持つ。どんな人でも上手くいく方法として、資産運用にコーチングを掛け合わせた手法を確立。1対1のパーソナルセッションを中心にセミナーや無料オンラインサロン「MONEY LABO.」を主宰。社会を支える人がちゃんと豊かに幸せに暮らすための「お金×コーチング」サービスを提供している。

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